• 株式会社シータス&ゼネラルプレス
  • デジタル×グローバル マーケティング部
  • 吉田 浩子

ベトナムのデジタルシフトを先取りし、アプリを展開。海外向けデジタルマーケ構想とは

〜編集制作会社として始まった会社が、Monacaによるハイブリッドアプリ開発で、ベトナムからのインバウンドを狙う企業を支援する事例〜

あらゆるものがデジタル化される中、市場で勝ち残るために、新しい事業の創出に積極的にチャレンジすることはそう珍しくない。

ダイレクトマーケティングから事業会社のマーケティング支援、事業広報・企業ブランディングまでを手がける、株式会社シータス&ゼネラルプレス。同社もまた、市場の変化に合わせ、新しい「デジタルマーケティング市場」を開拓するための取り組みを始めた。

ベトナムで展開する日本情報誌「Kilala」も、Web版、アプリと拡大し、海外向けのマーケティング市場を切り開いている。

▼ベトナム人に向けた日本情報誌「Kilala」

今回は、同社でデジタルマーケティングの取り組みに責任者として携わる吉田 浩子さんと、Kilalaアプリの開発を先導するエンジニアの村越 聖人さんに、Kilalaアプリの開発から、ベトナムからのインバウンドの構想まで、詳しく話を伺った。

アナログから始まった会社が、デジタルマーケ市場へ進出

吉田 弊社は、編集・制作会社として創業し、主にカタログ制作や情報誌の出版を行ってきました。私はその中で、20年以上コンテンツの企画・編集に携わっています。

弊社の売上の多くを占めてきたのは、「カタログ」「チラシ」「入会ガイダンス」などの受託制作物のクリエイティブ費とその印刷費、管理運用費です。

ですが、オウンドメディアを持ち、企業にとって比較的安価に生活者とのダイレクトコミュニケーションを取り、「つながり顧客」「見込み顧客」の段階から関係性を築いていくことや、そこから獲得するデータをマーケティングに活かさない手はありません。多忙な販促企画ご担当でもスモールスタートできるような、コンパクトなデジタルマーケティングサービスが求められるようになりました。

そうした考えもあり、弊社では2014年から、本格的にデジタルマーケティングに取り組み始めました。

私は、デジタルマーケの中でも、デジタルグローバル領域のサービス企画と開発プロデュース、インサイドセールスの企画と実行をするチームの責任者をしています。

ベトナムで30,000「いいね!」を獲得する、日本情報誌「Kilala」

吉田 弊社は3年ほど前から、ベトナムのホーチミンで「Kilala」という日本情報誌を発行しています。日本のファンを作る目的で、現地のF1層(20〜34歳女性)をターゲットにした内容になっています。

ベトナムは社会主義国なので、書籍や雑誌の発行に制限があります。また、TV、新聞、ラジオの3大メディアは国営のため参入が難しくなっています。

そういった背景に加えて、当時は読み物として魅力ある雑誌が少なかったため、競合の少ない雑誌という形で「Kilala」を展開することにしました。

創刊当初は、日本人編集長が主導で、日本語主体で翻訳を載せるという形を取っていました。ですが、これがベトナムの方にはあまり受け入れられず…。

今では、ベトナム人編集者が、ベトナム人の目線でコンテンツを作っています。表紙にもベトナム人の読者モデルを起用することで、現地のOL層にリーチするようになりました。

デジタル化が進む未来を見据え、アプリ化に着手

吉田 Kilalaでは、日系企業の広告を掲載して収益化しています。ベトナムに限らず、海外へのプロモーションを苦手としている日本企業は多いですからね。

ベトナムでは、デジタル化が進行してはいますが、まだまだアナログが主体です。しかし、今後は日本が通ってきたように、「情報誌を紙で見る」時代から、「Webで調べつつデパートで買い物をする」時代、そして「ECで買い物をする」時代へと移り変わっていくはずです。

そのように環境が変化していく中、メディアとしては早期に紙もWebも押さえておくことで、ターゲットの母数を広げ、幅広い年齢層にアプローチできる状態にすることが重要だと考えています。

そういった背景から、まだまだ紙媒体のほうが「確実に情報を届けられる」状態ではありますが、Kilalaのアプリ化に着手しました。

日本のライフスタイルやトレンドを提案するベトナム語雑誌「Kilala」のアプリ

たった1人でアプリ化を進める。選んだのは「Monaca」!

村越 僕は今、会社の唯一のエンジニアとして、Kilalaのアプリ開発に携わっています。

Kilalaは、すでにWeb版もリリースしています。今回アプリを開発するにあたり、そのWeb版とアプリを、いかに簡単に運用できるかという点を重視しました。

そこで活用したのが、アプリのハイブリッド開発を実現する「Monaca(モナカ)」というプラットフォームです。

Monacaを選んだ理由は、デバイスをまたいでアプリを一元管理できるなど、運用の面で優れていたからです。通常のネイティブアプリだと、iOSとAndroidのコードを別々に準備し、デプロイの管理をしなければならず、どうしてもフットワークが悪くなってしまうんですよね。

一方でハイブリッドアプリなら、短時間で複数のデバイスに対応できます。これは、ビジネス的にも価値があることです。広告をどこにどう出すかを、Webやスマホですぐに試せて、クライアントにも即座に見せられるんです。

ハイブリッドアプリ開発プラットフォームMonaca

また、Kilalaのケースのように、もともとWeb版があるものをアプリ化するときは、Monacaを使うと工数をかなり短縮できます。実工数としては1,2ヶ月くらいですね。速度や使い勝手にそこまでこだわらずにリリースするのであれば、もっと早くリリースすることもできます。

逆に、ネイティブアプリ開発よりも大変な部分もあります。使い勝手をネイティブに近づけるためのUI設計や開発の進め方は、最初の頃はハードルが高いと感じました。また、動画広告などの一部の要件を検討する場合、プレイヤーをネイティブで作る必要が出るなど、必ずしも一筋縄ではいかないなと感じています。

ただ、ネイティブに近づけるというハードルを一度超えてしまえば、メリットの部分が大きくなりますね。また、ネイティブで作らなければいけないという問題も、今後Monacaの開発が進めば、解消されていくと思います。

DMPも活用し、一貫したデジタルマーケティングを

村越 僕らは、Kilalaというメディアをフックにして、インバウンドを狙う企業に対して、マーケット開拓を総合的にサポートしていきたいと考えています。

そもそもKilalaへの広告出稿に興味のある企業様の目的は、現地のF1層からの認知を高めることなんです。なので、総合的な現地のメディアネットワークを構築することが、重要だと思います。

DMPを活用したり、動画などのプレミアムメディアだったり、WeChatやFacebookなどのソーシャルメディアとも連携していくことで、日本と現地での一貫したデジタルマーケティング施策を提供していけたらと考えています。

その中でも、メディアと相性の良いDMPを活用して、海外向けのコンテンツマーケティングにつなげていきたいと考えています。メディアなら、コンバージョンの手前にある「どのようにしてコンテンツに興味を持ったか」「どんな人が興味を持ったか」というデータが取れます。

こういった、購買前の「ユーザーのストーリー」を暴き出すことで、ユーザーに刺さる最適なコンテンツを分析し、マーケティングに役立てていきたいですね。(了)

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