• 株式会社インテリジェンス
  • キャリアディビジョン マーケティング企画統括部 DODA編集部 広告宣伝グループ
  • 川跡 正博

オウンドメディアをどう見てもらう?潜在ユーザーに届けるプロモーション手法

〜2つのオウンドメディアを運営する、DODA。そのコンテンツプロモーションの効果測定手法を公開〜

近年のWebマーケティングにおけるトレンドのうちのひとつが、オウンドメディアの運営である。しかし、時間をかけて作ったオウンドメディアを、効果的に活用できている企業は意外と少ないのが現状ではないだろうか。

主力サービスの「転職サイトDODA(デューダ)」に加え、「キャリアコンパス」「“未来を変える”プロジェクト」と2つのオウンドメディアを運営するDODA。これらのメディアは、転職潜在ユーザー層にアプローチすることが目的だ。

同社では、メディア内にあるコンテンツを外部のニュースサイトなどに配信することで、新規ユーザーの流入を図っている。今回は、同社で担当している川跡 正博さんに、コンテンツプロモーションの実施から分析に至るまで詳しくお話を伺った。

効果的なオウンドメディアの運営には「外部流通」が必要

私はアルバイト求人情報サービス「an」のデジタルマーケティングに携わった後、1年ほど前から転職サービス「DODA」のコンテンツプロモーションを専任で担当しています。

DODAのマーケティングを行う上でのゴールは、会員登録エージェントサービスの利用求人の応募といったところになります。ですが、それだけを追い求めてしまうと、転職ニーズが顕在化されている方にだけアプローチすることになり、偏ってしまうんですね。


そこで、転職潜在層の方に対して、早いうちからDODAとの接点を持たせ、転職ニーズが顕在化した時、頭の中にDODAが思い浮かぶようにと、オウンドメディアを活用したコンテンツマーケティングを行っています。

現在では転職サイトDODAのサイト配下にあるコンテンツページ「DODA転職成功ガイド」や「キャリアコンパス」「“未来”を変えるプロジェクト」のコンテンツを活用したプロモーションを実施しています。

これらのメディアはすでに多くのコンテンツを持っていますが、一方でそれを十分に活用しきれていないという課題意識がありました。そこで、コンテンツをオウンドメディアの外へ流通させて、ユーザーへアプローチできないかを検討することになりました。

OutbrainとYahoo!コンテンツディスカバリーを活用

コンテンツを外部に出すにあたっては、「Outbrain(アウトブレイン)」「Yahoo!コンテンツディスカバリー」といったコンテンツレコメンドソリューションを活用しました。

自社のコンテンツを、MSNニュースやYahoo!ニュースの記事下にあるレコメンドモジュールに表示させることができるサービスです。こちらのソリューションを選んだのは、最も多くリーチができ、かつ効率的に誘導することができたからです。


Yahoo!コンテンツディスカバリーのクリック単価の相場と、検証に必要なクリック数から予算を決め、コンテンツはそれぞれのオウンドメディアから10本ずつ選び、運用を開始しました。

運用は代理店の方に依頼していたのですが、重複クリックが起こらないよう、できるだけユニークユーザーが増えるようにと依頼していました。各コンテンツに誘導するクリエイティブはひとつにするというのも、重複ユーザーの流入を防ぐためには重要です。

分析はネイティブ広告の分析支援ツール「TRIVER(トライバー)」「Googleアナリティクス」を活用しました。

▼取り組みの全体像

コンテンツプロモーションで追うべき4つの指標とは?

実際の活動で追っていたのは次の4つの指標です。

• 新規UU(ユニークユーザー)数

• 新規UU(ユニークユーザー)率

• 指名検索数

• 指名検索来訪率

このプロジェクトで成し遂げたいことは、「コンテンツを介してDODAの新規ユーザーを獲得する」ことでした。


DODAに用があってアクセスするユーザーではなく、通常の広告では出会わないようなユーザーにこちらから当たりにいこうと。そこで新規UU数と、クリック数に対する新規UUの比率を指標におきました。

そして、実際にコンテンツに触れたあとに「DODA」というワードで検索を行った回数、指名検索数とその来訪率も見るようにしました。コンテンツを読んだ人の「DODA」というサービスに対する認知度も知りたかったためです。

あまり多くの指標を見てもきりがないので、まずはこの4つをしっかり見ていく指標として設けました。

1ヶ月の実践から見えてきたメディアごとの特徴とは

この試みを1ヶ月行った結果を表にし、縦軸に指名検索来訪率を、横軸に新規UU率を取り、新規UU数をバブルの大きさで表した図にまとめました。

▼各メディアの「指名検索来訪率」「新規UU率」「新規UU数」を表した図


この分析から得られた第一の発見は、それぞれのオウンドメディアごとに異なった強みがあるということです。

「“未来を変える”プロジェクト」のコンテンツは、世間一般で注目されやすいテーマや独特の切り口で展開しているものも多いので、新規UU率が高い傾向がありました。

「転職成功ガイド」は転職サイトDODAのサイト配下にあるのでDODAを認知しやすく、指名検索率が高いということが分かりました。

そして、「キャリアコンパス」はそれらの中間に位置づけられるのですが、新規UU数が3つの中で最も高く、とにかく多くのユーザーを集める力があることが明らかになりました。

細やかな分析でコンテンツごとの強みも明確に

第二の発見は、それぞれのコンテンツごとの強みです。「20代年収事情」は新規UU率が高い、「転職理由ランキング」は指名検索率が高いなど、さまざまなコンテンツの傾向が分かりました。これらに共通する特徴があるかどうかも調べてみました。

▼各コンテンツの「指名検索来訪率」「新規UU率」を表した図


まず新規UU率が高いコンテンツについては、テーマがバラバラで共通の特性は無いという結論に至りました。そのため共通点を追い求めるよりは、多様なコンテンツを定期的に流通させることによって、新規ユーザーの流入を絶やさず行うことに振り切ることにしました。

次に、指名検索来訪率が高いコンテンツについても分析しました。これらのコンテンツは新規UU率は低めの結果が出ているので、既存ユーザーが多いということがわかります。そこで「実は指名検索を行っているユーザーは、既存ユーザーなのではないか」という仮説を立てました。


それを確認するため、新規ユーザーだけにしぼって指名検索来訪率を出してみると、やはりこれらのコンテンツはあまり効果が高くないという結果が出ました。

転職サイトDODAのサイト配下にある「転職成功ガイド」に新規ユーザーがアクセスしても、「DODA」というワードで検索を行うことにはつながっていない、ということに気付いたんです。

キラーコンテンツを模索しつつ、広告の運用も含めて改善

指名検索来訪率が高く、新規UU率も高い、グラフの右上に来るようなコンテンツをいくつも発掘できれば一番良いのですが、そのようなキラーコンテンツは限られているのが現状ですね。コンテンツ内容の工夫や広告の運用によって、今後はそれを改善していくことができればと思っています。

また、Yahoo!コンテンツディスカバリーとOutbrainの運用を通じて、よりリーチ数が多く、効率的に誘導することができるのがYahoo!コンテンツディスカバリーだと分かったので、今後はこちらに運用を集中させていくことを考えています。

ゆくゆくは、コンテンツに出会ったユーザーが「この記事はすごく面白かった!」「この記事はすごくためになった」と思ったらその発信元はDODAだった、という世界を作っていきたいですね。(了)

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