- コラボレーター
- 加藤 章太朗
オウンドメディアってどう始めたらいいの?抑えるべき4つのポイント
オウンドメディアを立ち上げて、ユーザーを惹きつける企業が増えています。今回は、様々な企業のオウンドメディアに取材をした知見をもとに、オウンドメディアを立ち上げる上で抑えるべき4つのポイントをまとめました。
- オウンドメディアとは?
- オウンドメディア注目の理由①:潜在顧客にアプローチできる
- オウンドメディア注目の理由②:低コストで継続的に顧客を獲得できる
- オウンドメディア立ち上げのポイント①:まずやると決めること
- オウンドメディア立ち上げのポイント②:明確なペルソナを決めること
- オウンドメディア立ち上げのポイント③:コンセプト×トレンド
- オウンドメディア立ち上げのポイント④:足を使ったインタビュー
- まとめ
オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、企業が自社で運営するメディアのことで、ユーザーの理解を促すコンテンツを自社のコントロールのもと発信していくことができます。広告などお金を支払ってユーザーにリーチするペイドメディアとの比較でよく使われます。
オウンドメディア注目の理由①:潜在顧客にアプローチできる
広告などのペイドメディアを使えば、ユーザーに対して確実に自社サービスを訴求できます。ただし、広告のターゲットはある程度ニーズが顕在化している層です。
例えば、ハワイのツアーの広告を打てば「ハワイに行きたい」というニーズが顕在化している人を獲得できるかもしれません。ただし、何となく「旅行に行きたい」と考えているニーズ潜在層には「ハワイ」という特定ワードが刺さらない可能性がある上に、広告では営業色が強く逃げられてしまう可能性があります。
一方で、オウンドメディアは広告でないコンテンツを継続的にユーザーに届けることができるので、まだ具体的な検討をしていないニーズ潜在層に継続的にコンテンツを届け、温度感を高めていくことができます。
例えば、何となく旅行に行きたい人に対して「おひとりさまでもOK!海外一人旅おすすめ旅行先ランキング~ヨーロッパ編~」といったような記事を定期的に配信し、少しずつユーザーの「旅行に行きたい熱」を温めていけます。
旅行に関するオンライン予約を扱うエクスペディアのオウンドメディア「We❤Expedia」を運営する田中 樹里さんは下記のように話しています。
▼エクスペディアホールディングス株式会社の田中 樹里さん
もともとこのサイトを立ち上げた背景には、エクスペディアでは「旅行」というマーケットにおける潜在層の獲得ができていなかったという課題がありました。
旅行って、「ハワイに行こう」と決めている人がいる一方で、「行き先は決めていないけれど旅行したいな」という人もたくさんいます。以前のエクスペディアでは、後者に対しての施策が打てていなかったんですね。
そこで私は入社当時から、「週末どこか行きたいな」「夏休みビーチに行きたいな」といった人にリーチするために、幅広いコンテンツを発信する場所が必要なのではないかと考えていました。
▼「We❤Expedia」
このようにオウンドメディアはニーズ潜在層にアプローチするために有効です。
オウンドメディア注目の理由②:低コストで継続的に顧客を獲得できる
オウンドメディアの成果は一朝一夕では出ませんが、粘り強く続ければ、自社サービスのブランディングや見込み顧客獲得ができるようになります。
株式会社ガイアックスの「INBOUND marketing blog」は毎月100件のリード獲得を実現できているそうです。
BtoBサービスだと、1人の営業マンが1日に100件電話をしてやっと1〜2件のリードが取れる程度です。なので、オウンドメディアで100件のリード獲得ができるのは素晴らしい成果だと思います。
しかも、オウンドメディアの場合は、顧客が能動的にコンテンツを見て、資料ダウンロードなどの行動を起こして、メールアドレス等の情報を入力するので、興味関心度が比較的高いリードが獲得できる可能性が高いです。
オウンドメディア立ち上げのポイント①:まずやると決めること
オウンドメディアを立ち上げるためのポイントは「まずやると決めること」です。
▼参考:「We❤Expedia」の田中さん
弊社のオウンドメディアである「We❤Expedia」をリリースしたのは、2014年の9月になります。もともとこのサイトを立ち上げた背景には、エクスペディアでは「旅行」というマーケットにおける潜在層の獲得ができていなかったという課題がありました。
でも最初に提案した時は、「それはお金にならない!」と言われ、結構押し問答がありましたね(笑)。けれどもう、時代的にもコンテンツマーケティングが求められていますし、「やるしかないんです!」ということで押し切って、2ヶ月弱でバン!と立ち上げました(笑)。“
▼参考:株式会社ココマッチーの川島さん
実はオウンドメディアも一緒で、なかなかアクセスが増えずに次第に更新が減っていくパターンが多くて、本当にもったいないと感じています。そうならないためには、最初からある程度投資をすることも大切です。外部ライターを登用することもそうですが、広告も初期から打って集客していく必要があると考えています。そもそもここまでしなければ、メディアとして成長できないのも当たり前かと思うんですよね。ただ最初からお金をかけることが難しいケースもあるので、そういった場合にはある程度楽しみながら、半年はとにかく更新し続けることです。
このように、オウンドメディアを立ち上げるためにはそれなりの投資が必要なので、まずは「一定期間やる」と決めることが重要です。
オウンドメディア立ち上げのポイント②:明確なペルソナを決めること
やると決めた後に重要なのは明確なペルソナを決めることです。ペルソナが決まらなければコンセプトも決まらず、発信するコンテンツがぶれてしまい結局強いメディアにならない。
先ほどより取り上げている「We❤Expedia」の例で言えば、エクスペディアが「ハワイ ホテル 予約」のような旅行先が決まっている人を対象にしている一方で、「週末 旅行」のような旅行先が決まっていない人にリーチすることを決めたようです。
このようにある程度明確なペルソナが決まっていれば「じゃあ、オススメの週末の旅行先についてレポートをしてあげよう」とか「地方の食特集をして旅行に行きたい人の後押しをしよう」とコンテンツの企画がしやすくなります。
オウンドメディア立ち上げのポイント③:コンセプト×トレンド
ペルソナを決めた後はコンセプトを決めることが重要です。ペルソナに対してどのような情報を提供していくかを定義します。オウンドメディアで作っていくコンテンツが入る大きな箱を作るイメージになります。
株式会社のサイボウズのオウンドメディア「サイボウズ式」の編集長いわく、コンセプトがしっかりしていれば、トレンドと組み合わせて無限にコンテンツを創りだしていけるとのことです。
▼参考:サイボウズ式の藤村さん
自社メディアの運営をしていると「企画のネタ切れ」が起こるという話をよく聞きますが、サイボウズ式ではそのようなことには全然ならないんです。
これは発想術だと思っているのですが、アイデアって掛け算なんですよね。メディアのコンセプトをベースにして、それに何かしらの要素を掛け合わせれば、新しいネタはどんどん生まれてくると考えています。
そして掛け算する要素としては、トレンドや流行が挙げられます。なぜならば、人は新しいことに興味を持つからです。ニュースが昔からずっと人の関心を惹き付ける理由は、新規性を持っているからですよね。
サイボウズ式の企画も、それを意識して作っています。例えば社会現象として、働くお母さんが仕事で困っている、というトレンドがある。ではそれをサイボウズ式のコンセプトと掛け合わせてみよう、という風に企画に落としていきます。
▼サイボウズ式
「サイボウズ式」であれば、「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイト、というコンセプトを作って、コラボレーションやITという箱にそってコンテンツを投稿しています。
オウンドメディア立ち上げのポイント④:足を使ったインタビュー
オウンドメディアにインタビュー記事を掲載していくのは少しハードルが高いかもしれませんが、素晴らしい経験を持った方の話は最高のコンテンツになるので、インタビュー記事を作るのはお勧めです。
インタビューからまとめ記事を作ることもできるので、インタビュー記事はオウンドメディアの資産になります。
では、インタビューを始めるポイントは何でしょうか。
ポイント②、③であげたペルソナ、コンセプトを明確にすればインタビュー記事を作る準備ができたも同然です。これらが明確であれば「誰にどんなことをいつ取材したいか」も具体化し、インタビューのアポイントも取りやすくなります。
SELECKを立ち上げる時は、サイトがまだないリリース前の状態で3ヶ月で約100社の取材ができました。これは「ソリューションを用いた課題解決ストーリー」というコンセプトがあったことが大きいと思います。
ペルソナとコンセプトが決まったら、具体的に取材したい内容を相手に送れば案外OKしてくれます。はじめは取引先や友人などからアポイントを取っていくと良いと思います。
海外のデザイン会社「InVision」は、多くの会社のデザインチームにデザイン哲学、仕事環境、カルチャーなどをインタビューして記事にしています。
▼InVisionのオウンドメディア
まとめ
このようにまずは始めることを決め、ペルソナを設定し、コンセプト×トレンドでコンテンツを地道に作り続けていけば、オウンドメディアは強くなっていきます。そのためには一定の投資をし、続けていくことが重要です。
B2B領域でも少しずつコンテンツマーケティングが広まり始めているので、今後の流れに注目です。
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