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検索キーワードこそ読者のニーズ! オウンドメディアでSEO対策をすべき理由とは

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今回のソリューション:【SEO】

マーケティングの世界で注目が集まる「オウンドメディア」。その成功事例のひとつとして紹介したいのが、ホテル・航空券等の、旅行に関するオンライン予約を扱うエクスペディアの取り組みだ。

同社が「We❤Expedia」を開設したのは2014年9月。本体の予約サイトでは「旅行先が決まった人」にしかアプローチできないという状況を打破するため、同社でSEOマネージャーを務める田中 樹里 さんが1人で立ち上げを行った。

田中さんは「オウンドメディア運営でSEO対策しない理由はない」と語る。その理由は、検索キーワードこそ読者のニーズそのものだからだ。

キーワードを意識したコンテンツづくりを行うことで、読者に求められる情報をしっかりと発信することができ、それが集客につながっていくという。田中さんに、具体的にどのようにSEOを意識したオウンドメディア運営を行うべきか、お話を伺った。

▼エクスペディアが運営するオウンドメディア「We❤Expedia」のSEO施策とは?

「まだ旅先が決まっていない」潜在層のためのオウンドメディア

弊社のオウンドメディアである「We❤Expedia」をリリースしたのは、2014年の9月になります。もともとこのサイトを立ち上げた背景には、エクスペディアでは「旅行」というマーケットにおける潜在層の獲得ができていなかったという課題がありました。

旅行って、「ハワイに行こう」と決めている人がいる一方で、「行き先は決めていないけれど旅行したいな」という人もたくさんいます。以前のエクスペディアでは、後者に対しての施策が打てていなかったんですね。

そこで私は入社当時から、「週末どこか行きたいな」「夏休みビーチに行きたいな」といった人にリーチするために、幅広いコンテンツを発信する場所が必要なのではないかと考えていました。

でも最初に提案した時は、「それはお金にならない!」と言われ、結構押し問答がありましたね(笑)。けれどもう、時代的にもコンテンツマーケティングが求められていますし、「やるしかないんです!」ということで押し切って、2ヶ月弱でバン!と立ち上げました(笑)。

エクスペディア自体は「予約数」を追いかけていますが、We❤Expediaに関しては、SEO的に考えた時に「予約につながらないキーワード」も取っていくことを重視しています。

エクスペディアでリーチしたいのは、検索ワードで言うと「ハワイ ホテル 予約」のような、旅行先が決まっている人。We❤Expediaでは「週末 旅行」と検索しているような人になりますね。

パソコンより人と話したい!プログラマーからSEOの世界へ

大学では、プログラミングと数学を学んでいました。でもプログラミングがあまり好きになれなくて(笑)。パソコンと話すより人と話したいな、と思って、サイバーエージェントに入社しました。その時の配属がSEOで、50〜60社さんの担当をし、色々と勉強させていただきました。

その後、オーストラリアのシドニーで1年間ワーキングホリデーをしていました。それで英語のスキルを身につけて、帰国したタイミングでちょうどエクスペディアのSEO担当者の求人があったんです。旅行が好きだったこともあり、2011年にとんとん拍子で入社が決まりました。

現在の日本のオフィスには100名ほどが在籍しているのですが、ホテルなどに営業をする仕入れ組と、マーケティング組に大きくふたつに分かれています。面白いのは、グローバル企業なので組織が縦割りなんです。

日本のSEO担当者は私ひとりなのですが、レポート先の上司はシアトルにいます。今は日本以外にも、韓国、インドネシア、ベトナムのSEOも担当しています。

SEO施策は「機械」ではなく「人」を相手にするものに変化

SEOって、結局は検索キーワードに対しての表示順位をどう上げるか、というシンプルな話です。ただ、私がSEOを始めた10年前と今では取り組み方が大きく変わったと思います。

以前は「Googleという機械を相手にする」といったものでした。例えば「旅行」というひとつのキーワードに対して、集中して対策をしていけば良かったんです。

でも今はどちらかというと、人間のような「考えることができる」ものを相手にしているイメージですね。

例えば「ボール」と「錦織圭」というワードが組み合わさると、Googleはそのボールが「テニスボール」だとわかるようになってきたんです。

そうすると機械というより、人を相手にするつもりで各社さんSEO対策をされるようになってきたと思います。

We❤Expediaを立ち上げたきっかけのひとつにも、従来のSEO対策がなかなか効かなくなってきたことがあります。

メインのキーワード以外で「旅行」に関わるものを押さえていきたいと考えた時に、これまでにやってきたことプラスαで必要なものは、コンテンツを使ったマーケティングではないかと考えるようになったんです。

今は外部のライターさんの寄稿を中心に、多い時は月間5、60本の記事を配信しています。メディア運営の目的は旅行の潜在層に楽しんでもらうことなので、記事を読んだ時に「ここ行きたいな」という反応を得ることが理想的です。

また、予約後の方のためにも情報を発信していて、「この情報は便利だから、旅行に持っていこう」と思ってもらえたらいいですね。この2点を軸に、コンテンツを作っています。

▼まだ行き先の決まっていない「旅行潜在層」にリーチできるコンテンツを配信

「検索キーワード=読者のニーズ」と考えてコンテンツに活かす!

リリースした最初の頃は、以前にプレスリリースとして出したデータなど、既存のコンテンツもかき集めてガツンと入れました。SEO的な効果が欲しかったこともありますが、いいコンテンツはどんどん外に出していくべきなので。

私は業務上もSEOベースの人なので、コンテンツを作る場合にも、読者を「検索キーワードで考える」ことをかなり意識しています。 キーワードって、結局は読者の方の想いを反映しているんですよ。

読者の方が頭の中で考えていることが、キーワードとして出てくるんだと思うんです。例えば「台湾 おすすめ ショッピングセンター」と検索されている方は、台湾でお買い物がしたいんだなってわかりますよね。

検索されていないということは、そもそも考えてもいないか、そのキーワードに魅力がない。でもその「考えられていない」キーワードを考えさせることも大切ですね。

例えばベトナムでもホーチミンやハノイは知っていても、ダナンというリゾートを知らない人が多いとします。

その場合は「ベトナム」や「ホーチミン」というキーワードから「ダナン」につながるような、デマンドを作れるコンテンツを届けていくことも必要です。

コンテンツの評価はPVと、ユーザーのリアクションで

We❤Expediaの場合、記事の評価基準は基本的にはPVです。旅行という商材は、コンバージョンで測るのが非常に難しくて。

例えばTV番組を見て「エジプトに行きたいな」と思っても、よし来月!という話にはなかなかなりません。考え方としてはプロモーションと似ています。

雑誌に広告を出しても、そこからダイレクトに売上につながったかどうかは見えないですよね。でも広告で認知を高めていくことで、いつかコンバージョンにつながる。

そのように考えると「露出」が大切なので、ひとつの評価基準としてPVが重要になります。わかりやすいですし、バズったら普通に嬉しいじゃないですか(笑)。

PVは記事数を増やせば伸びますし、SEO的にキーワードをきちんと狙っていくことで毎月コンスタントに実績を出せるようになります。

また、エクスペディアはFacebookのファン数が多いので、そこで出てくる反応も見ています。具体的に「すごくタメになりました」というようなリアクションがあると非常に嬉しいです。SEOとしてイマイチでもソーシャルでは反応が良いコンテンツもあるので、そこはバランスだと考えています。

オウンドメディア運営において、SEOを考えない理由はない

オウンドメディアを運営する上で、SEOを考えない理由ってないと思います。集客のために広告を打つのも良いのですが、SEO施策を行うことで同じだけの流入を広告費をかけずに獲得できる可能性もあるからです。

まずは、Googleのガイドラインを読むこと。それがわかっていないと、そもそもスタートラインに立てていないんですよね。見ていて残念なサイトって結構あります。

「Google来ちゃダメ」というタグが入れっぱなしになっていたり…。それってもう、靴を履かないでマラソンに参加しているレベルですよ(笑)。いくらいいコンテンツがあっても、それじゃもったいないと思います。

そして施策を打つためには、自分たちのサイトに入ってくるキーワードを知る必要があります。Googleのサーチコンソールを使えば、誰でも確認できます。

そこからポイントになるキーワードを選び、そこで1位になっているサイトを見れば、どのような情報を入れるべきか学習できます。やはりSEOもゴールデンルールはありませんし、本当にコツコツ積み重ねることが大事です。

検索キーワードは、実はコンテンツプランニングの助けにもなります。キーワードを考えることで、「それを解決してあげるコンテンツを作ろう」って思いますよね。

何なら「俺が新しいキーワードのデマンドを作ってやるぜ!」(笑)くらいの気概で挑戦してみてもいいと思います。

SEOを意識してコンテンツを作る上でひとつ思うのは、読者が求めているものに対してきちんと答えを出して欲しいということです。答えのないコンテンツを読んだ時のがっかり感ってありますよね。

「渋谷 カフェ」というキーワードに対して「渋谷のカフェっていいですよね。いっぱいあるから探してみてくださいね」のような、具体的なお店の提案のないコンテンツだったら、なんだよー!って(笑)。

結局そのようなコンテンツは読者に評価されずにファン離れを起こしてしまいますし、最終的には本当に読者の目線で考えることがSEO的にも、コンバージョン目線で考えた時にも、しっかり実績を残すことにつながると思います。(了)

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