• 株式会社ココマッチー
  • 代表取締役
  • 川島 康平

【前編】強いコンテンツで自社メディアは変わる! SEOから社外ライター活用法まで

今回のソリューション:【オウンドメディア】

〜「挫折しない」自社メディア運営術とは? 成果を上げるためのキーワードは、「SEO対策」と「ユーザー視点」〜

マーケティングやユーザーコミュニケーションの手段のひとつとして、オウンドメディア(自社メディア)を運営する企業の数が増え続けている。企業が発信したい情報をユーザー目線でコンテンツ化し、ブログなどの形式で発信するオウンドメディア。

従来の広告とは異なり、あくまでもユーザーが「読みたい・知りたい」と思う情報を届けることで、企業や製品のファンをつくっていくマーケティング手法だ。

オウンドメディアを運営する上でのハードルのひとつに、いかに継続的に運営を行い、良質なコンテンツを生み出し続けるかということが挙げられる。

コンテンツ生成のために、限られた社内リソースをどこまで使うのか、外部リソースにどこまで投資を行うのか。そのバランスを判断することは難しい。

リスティング広告やLPO対策の事業を行っている株式会社ココマッチーでは、オウンドメディア「ココ街」を運営している。

同社代表の川島 康平さんによれば、オウンドメディアが失敗に終わる理由は大きく2つあるという。ひとつ目はテーマやターゲットをきちんと設定できていないケース、そしてもうひとつは自社ですべての運用を行おうするケースだ。

どちらの場合も結果的に運用が続かなくなり、本来の目的を果たすことができなくなってしまう。前編では、挫折しないオウンドメディア運営のポイントを中心に、川島さんにお話を聞いた。

※社外ライターをどのように見つけ、いかに良質な記事を継続的に作っていくかというノウハウをお伺いした【後編】はこちらです。

オウンドメディアは、何がなんでも半年間・週1度は更新すべし!

僕はインターネットがまだ「パソコン通信」と呼ばれていた時代から、ずっとWebに関わってきました。「コンテンツマーケティング」という言葉が日本でもよく聞かれるようになったのは、ここ1、2年のことですよね。

弊社のお客様にもニーズが出てきていて、そこでまずは自分たちでいろいろ実験してみよう、ということで立ち上げたのが、オウンドメディアの「ココ街」です。

これまでの経験を踏まえて、これからオウンドメディアを運営する方に伝えたいのは「諦めないでください」のただ1点に集約されるかもしれません。

何がなんでも半年は、週に1度の更新を続けてほしいですね。続けなければなかなか成果にはつながらないんですよ。途中で挫折してしまわないように、最初からきちんと設計をして、とにかく続けていくことが重要です。

▼オウンドメディア「ココ街」

運用の挫折を防ぐ「テーマ・カテゴリー・タイトル・ターゲット」

運営に挫折しないためのポイントのひとつは、オウンドメディアを立ち上げる時にあります。この時にきちんとテーマを決めて、更にカテゴリーまでを作ってしまうことがオススメです。先にこれを決めておくことで、「ネタがない…」という状態に陥ることを防止できます。

例えば採用サービスを展開されている企業さんで、テーマが「就職活動」であれば、就活の準備から内定までの流れを出していくと、自然にカテゴリーが作れるかと思います。

オウンドメディアを作るのって、本を書くようなものだと思っています。まずはメディア全体で伝えたい大きなテーマがあり、カテゴリー立ては本で言うところの章立てですね。そして各章を構成する「節」や「項」が記事1つひとつになっていきます。

そして、オウンドメディアで配信するコンテンツを俯瞰して見た時に、きちんとストーリーになっていることが重要です。

カテゴリーが決まったら、運用を見据えて記事タイトルは出せるだけ出しておいた方がいいですね。タイトルがないと、構成もなしに本を書くようなものなんです。目安ではありますが、少なくとも50本程度は考えておかなければ、後々辛くなってくると思います。

また、ターゲットを広げすぎないことも重要です。例えば看護婦さん向けの転職サイトを運営されている企業さんだとして、メディアのターゲットが「ナース」だと、幅が広すぎるんですね。新人ナースなのか、ベテランのナースなのかで欲しい情報は全然違います。

そこで、今回のケースで言うと転職の潜在層として考えられる「看護学校を卒業してから20年までの看護婦さん」程度には、ターゲットを狭くする必要があります。せめてこれくらいまではセグメントしなければ、発信がブレブレなメディアになってしまいます。

成果を上げるために必要な「SEO対策」と「ユーザー視点」

オウンドメディアの記事を評価するには、やはりメディアである以上PVは重要な数値だと考えています。PVを伸ばすためには、今の時代、配信直後にはSNS上でいかに拡散されるかということが重要で、その後はオーガニックでどれだけ引っ張れるかということになります。

世の中の強いオウンドメディアには単独で10万PVを稼ぐような記事もありますが、ソーシャルで爆発しているだけのように見えても実はオーガニックの影響も大きいんですよ。

そのため、長い目線で考えた時にSEO的なキーワードはしっかり考える必要がありますし、1コンテンツあたりの分量も大切です。弊社ではライターさんにはベース1,500文字、プラスマイナス2割で依頼しています。

SEOの観点から言うと、1,000文字だと薄くてオーガニックに弱いんですよね。ちょっとしたノウハウとしては「追記」という方法があります。PV数が高い記事があったら、追加で文字数を6,000文字〜10,000文字に増やすんです。すると、オーガニックで長い期間PVを伸ばし続けることができます。

ただ、SEOだけを意識していてはダメですね。昔と明らかに変わったことなのですが、もうタイトルだけで「釣る」ことはできません。きちんとユーザーに評価される、中身を伴った記事を届けることが最も大切です。

メディアのテーマや目的に沿った幅広いネタを提供しながら読者の反応を見ていくことで、良質なコンテンツの生成につながり、成果が上がるオウンドメディアを運用することができると考えています。

運営をする上で最低限の更新頻度を保つことが重要

コンテンツの「質」ももちろんなのですが、オウンドメディア運営においてはコンテンツの「量」も重要です。最低でも週に1度は新しいコンテンツを配信しなければ、そもそも運営する意味がほとんどないと思います。

理想的な運営の流れとしては、まずがんばって自社で週に一度は更新する。徐々にPVが上がってきたタイミングでライターを増やし、1日1回の更新を目指す。毎日配信すればクローラーがきちんと回転してオーガニックの流入が増えるので、数字もついてくるようになるかと思います。

でも実は、PVが跳ね上がるために必要な更新頻度は「1日3回」です。3記事の配信になると、「通勤前」「お昼前」「帰り前」のように時間差で記事を出すことも可能になるので理想的です。ただ最初からそれは難しいので、徐々に増やしていきましょうということですね。

これくらいの更新頻度を保とうとすると、自社のリソースだけで回していくのは難しいですよね。実はここも失敗が多いポイントで、「自社で全部やろう」と考えてしまってはダメです。

クラウドソーシングなどを活用しながら、効率的に質の良い記事を確保する体制づくりが重要ですね。(了)

※社外ライターをどのように見つけ、いかに良質な記事を継続的に作っていくかというノウハウをお伺いした【後編】はこちらです。です。

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