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【第1回】「ヒートマップ」のポテンシャルを最大化する5つの分析手法とは?!
こんにちは。ヒートマップツール「USERDIVE」を提供しているUNCOVER TRUTHのChief Analytics Officerである小川と申します。この連載では、ヒートマップツール「USERDIVE」を活用して、ウェブサイトの改善に繋げる具体的な分析方法や、改善事例などを紹介していきます。
ヒートマップツールはポテンシャルを秘めた解析ツール
さて、ヒートマップツールを聞いたこと・利用したことはありますでしょうか?ヒートマップツールとは、ページを閲覧した人が、どこを見ていて、どこをクリックしているか、また実際にどういう動きをしているかをサーモグラフィでプレイバック出来るツールです。
▼種類別のヒートマップ
アクセス解析ツールなど数値だけではわからない気付きを発見することが出来る便利なツールなのですが、よく「どう活用すればよいかわからない」という声をいただきます。
なんとなくヒートマップを見て「このページは下までスクロールしていないね」とか「リンクの無い画像がクリックされてしまっている」などの課題を把握するという事も大切ですが、ページの改善に活かそうと思うと、それだけでは不十分です。
ヒートマップツールのポテンシャルを発揮するために、大切な2つの要素は「アクセス解析に基づいた仮説出し」そして「仮説をヒートマップでセグメント化」することです。
ヒートマップツールを導入して(あるいは過去に導入して)うまく活用できなかった方は、この2つを実践できなかったことが理由と言っても過言ではありません。ですから、ヒートマップツールに興味がある方、導入を検討されている方は、ぜひこの2点について学んでいきましょう。
アクセス解析ツールとヒートマップツールの役割の違い
ヒートマップツールを導入されている方、あるいは検討されている方は、既にサイトにGoogle アナリティクスなどに代表されるアクセス解析ツールを導入されているのではないでしょうか?
ヒートマップツールの前段階として「何をヒートマップツールで分析するか」を決めるためにこうしたアクセス解析ツールを活用することは非常に有効です。
アクセス解析ツールでは、数値をベースにサイト改善のための気付きを発見することが出来ます。その気付きは主に3つに分類することが出来ます。
1.良い点を発見する
2.悪い点を発見する
3.特徴を発見する
アクセス解析ツールではこのようにデータを通じて、サイトやページの「良い点」「悪い点」「特徴(トレンドなど)」を発見することが出来ます。しかしその事実が分かったとしても、その原因を特定することが難しいあるいはできないケースがあります。
シンプルな例として、「ある記事の下部にリンクがあり、そのリンクのクリック率が非常に低い」というケースがあったとしましょう。その理由として考えられることが2つあります。1つは「記事の下部までスクロールされておらず、利用者はそもそもリンクがあることを知らない」という理由。
もう1つは「多くの人は該当箇所までスクロールしているが、リンク内容が魅力的ではないために押していない」という理由。
どちらも考えられますが、アクセス解析ツールだけでは断定できません。そこで、USERDIVEのようなヒートマップツールのスクロールレポートを見れば、該当箇所までスクロールしている割合を簡単にチェックすることが出来ます。
▼スクロールヒートマップ
このようにアクセス解析ツールは「課題発見ツール」であり、ヒートマップツールは「原因発見ツール」とも言えます。そこで次の章では、ヒートマップツールを有効に活用するために、アクセス解析ツールからどのようなレポートや気づきを得ておくと良いかを紹介いたします。
見るべき5つのレポートの紹介
先ほど、アクセス解析ツールから気付きを発見して、その原因特定にヒートマップを活用するという内容を紹介いたしました。では、具体的にどのようなレポートをアクセス解析ツール側で見て、気付きを発見しておけばよいのでしょうか?
例えばGoogle アナリティクスでは100種類近くのレポートが存在します。それらをやみくもに全て見ても、時間がかかるばかりで気付きは得られません。そこで、私がオススメしたい5つのレポートを紹介いたします。
レポート1 : ページ×新規率のレポート
シンプルですが外せないレポートになります。サイトにとって重要なページの新規率を確認しておきましょう。
そして、新規とリピートユーザーで離脱・直帰、あるいは該当ページ経由のコンバージョン率などに大きな差があれば、これはヒートマップでその原因を特定したいページになります。新規とリピートユーザーの行動の差が大きいページをピックアップしてみましょう。
レポート2 : 流入元ページ
サイトにとって重要なページの1つ前のページを確認してみましょう(Google アナリティクスであれば「ナビゲーションサマリー」などを活用)。Xという重要ページにAとBの2つのページから流入があった場合、どちらのページから流入したかによって、Xのページでの遷移率や離脱率に違いはありますか?
同じページでも、どのページから来たかによって、そのページの効果が変わることがあります。それぞれのページから来た人がXでどういう動きをしているのか。これをヒートマップで確認することで、改善施策につなげることが出来ます。
またページXへのリンクが、ページAから2か所ある場合(例えば、TOPのメニューと、ページ下部のバナー)、それらの差をヒートマップで見ることが出来ます。流入元ページのレポートの分析手法に関しては、次回の連載で事例を紹介いたしますね。
レポート3 : 外部流入元
サイト内だけではなく、サイト外から流入してきた場合の分析もヒートマップは得意としています。同じランディングページでも、ブランドワードでの流入なのか、地域ワードでの流入なのか、 Facebookからの流入なのかによってページの利用の仕方は変わってきます。
例えば、3つの特典を説明しているランディングページがあるとしましょう。それぞれの特典ごとにバナーを作って広告を出していた場合は、1つ目の特典訴求したバナーで入ってきた人は、本当に1つ目の特典内容を確認しているのかをヒートマップでチェックすることができます。
Facebookページでの告知文や利用画像などのチェックにも利用することが可能です。流入元が複数種類あるランディングページは、ぜひヒートマップ分析の候補ページとしましょう。
レポート4 : 一覧での絞り込み利用
ECサイト・転職サイト・物件サイトなど、複数の商品を一覧形式で表示しているサイトは、この分析が欠かせません。一覧ページでの表示件数、並び替え、絞り込み利用率による遷移率・離脱率・コンバージョン率などの数値を取得しておきましょう。
この数値に差がある場合は、その原因を特定するのにヒートマップは大きな役割を果たすことになるでしょう。
例えば、「どのタイミングで絞り込みを利用している」「ページ上部と下部のページ送りはどちらがより利用されているか」「1ページでの表示件数が30の時に、何件目の商品をしっかり見ていて、どこはしっかり見ていないか」など確認できることは多岐に渡ります。
▼以下はある商品一覧ページのマウスヒートマップです。
左側のある絞り込みメニューや、ページ上部にある並び替え機能の、どこがどういう風に利用されているかをしっかり確認することができます。
このような分析を行うために、そしてコンバージョンに繋がりやすいアクションを促すためにも、アクセス解析ツール側で、まずは一覧でどのような動きを利用者が行っているかを確認しておきましょう。
レポート5 : コンテンツの評価レポート
ニュースサイトや、オウンドメディアなどコンテンツを中心に提供しているサイトの場合は、この分析が大切になります。アクセス数が多いコンテンツや記事の、基本的な指標をまとめておきましょう。
具体的には、ページビュー数・平均滞在時間・離脱率・直帰率・(コンバージョンポイントがある場合は)コンバージョン率などのデータになります。そして、私のオススメはそれをバブルチャートあるいは散布図にしておくことです。
記事ごとの訪問数・遷移率・コンバージョン率のデータ
このようにバブルチャートに分けることで、「効果が高いページ」と「効果が低いページ」を簡単に洗い出すことが出来ます。その上で、各タイプ(上記では3種類に分類)から代表的なページを数個ピックアップして、それをヒートマップで比較するとよいでしょう。
効果が高い・低いページの共通項が見つかれば、それを改善に活かすことができます。
最後に
今回は、ヒートマップのポテンシャルを発揮するために、まずはアクセス解析ツールで「改善すべきページにあたりをつける」方法を紹介いたしました。
次回は、アクセス解析ツールで得られた気づきを、どうヒートマップで確認すればよいのか。実際にヒートマップツールを使いながら、ヒートマップのセグメント活用術を紹介いたします。お楽しみに!