- コラボレーター
- 加藤 章太朗
【第3回】SAPに学ぶ BtoB企業のコンテンツマーケティングのポイント
〜BtoB企業のコンテンツマーケティングをアメリカから学ぶ〜
PR要素を含まない「役に立つコンテンツ」を発信することで、潜在的な顧客との関係性を築くコンテンツマーケティング。前回までの投稿では、日本の5年先をいくアメリカでの取り組みやAdobeのコンテンツマーケティングの事例を整理しました。
【第1回】日本は5年遅れてる!? アメリカに学ぶ、BtoB企業の「コンテンツマーケティング」
【第2回】日本は5年遅れてる!? Adobeの99Uに学ぶコンテンツマーケティング事例」
今回は世界第4位のソフトウェア会社SAPのDigitalist Magazineというオウンドメディアを事例に、BtoB企業におけるコンテンツマーケティングのポイントを学びたいと思います。
明確なペルソナの設定:BtoBコンテンツマーケティングのポイント1
世界第4位のソフトウェア企業であるSAPは、コンテンツマーケティングを行うために2015年6月にDigitalist Magazineという専門性の高いオウンドメディアをオープンしました。
BtoB企業がオウンドメディアを通じてコンテンツマーケティングを行う上で重要なことは、明確なペルソナを設定することです。ペルソナを明確に設定せずにオウンドメディアを運営し、コンテンツに一貫性がなくなり失敗した事例を聞くことは多いです。
Digitalist Magazineでは、オウンドメディアのターゲットをC-level Exectiveと明確に定めており、その人たちに刺さるコンテンツを投稿しています。C-levl Exectiveとは、CEO、COO、CFO、と言われる企業のエクゼクティブ。SAPのソフトウェア製品の意思決定に重要な影響を与える層をターゲットにしていると予想されます。
取材をしたサイボウズのオウンドメディアであるサイボウズ式では、下記のようにペルソナを設定していました。
サイボウズ式で言うと、コアな読者層は、20〜30代のビジネスパーソンとしています。会社やチームの中で「次のリーダー」になっていくような人を想定していますね。理由は、そういった方がいざ「チームを良くしていく」ということになった時に、サイボウズのことを思い出してほしいと考えているからです。
オウンドメディア運営においては、明確なペルソナを設定することは重要です。
コンテンツづくりへの投資:BtoBコンテンツマーケティングのポイント2
コンテンツマーケティングを成功させるためには、中途半端に行うのではなくコンテンツづくりにある程度の投資が必要になります。
Digitalist Magazineも長期的な視点でコンテンツづくりに投資をしています。コンテンツは、デジタルエコノミー、未来の仕事、カスタマー・エクスペリエンス、リソース最適化、CFOの知識、生活改善、といったカテゴリーに分類されて配信されています。
例えば、デジタルエコノミーのカテゴリーにはIoTなども含まれていて、下記のような記事が投稿されています。
Darwin And The Internet Of Things
Internet of Thingsがどうなっていくのか?というヒントが自然界の進化にあるという内容です。IoTは2019年に国内だけでも16.4兆円(*)のマーケットになると言われており、エクゼクティブにとっては興味深い記事だと思います。
(*)IDC Japan 株式会社による2015年〜2019年のIoT市場規模予測による。
このような専門性のある記事が1日10本ほど配信されており、かなり読み応えがあるオウンドメディアとなっています。
取材先のオンライン予約のExpediaのオウンドメディアである「We❤Expedia」では月に5〜60本の記事を配信しており、コンテンツづくりに大きく投資していました。
検索キーワードこそ読者のニーズ! オウンドメディアでSEO対策をすべき理由とは
専門人材への投資:BtoBコンテンツマーケティングのポイント3
Digitalist Magazineをオープンするにあたり、SAPは責任者としてプロの編集者であるElana Varonさんを迎えています。
Elana Varonさんは、20年以上テクノロジーやイノベーション等について編集や執筆を経験しており、約30年の歴史をもつテクノロジー雑誌「CIO magazine」で編集長を務めていたので、まさに適任。
企業がオウンドメディアを作るために、メディア企業出身のプロのライターや編集者を迎え入れるのは少し驚きですが、BtoB系のコンテンツを作るためには専門性が必要になるので、専門人材へ投資が重要になってくるのだと思います。
先ほど紹介したサイボウズ式の編集長である藤村能光さんも、もともとアイティメディアの編集記者だったそうです。
もともと私は、新卒でアイティメディア株式会社に入社し、Webメディアの編集記者をしておりました。4年ほど在籍した中で、基本的には企画を作って取材をし、記事を書いてコンテンツを作る、ということに携わってきました。
まとめ
SAPの事例からBtoB企業のコンテンツマーケティングには、ペルソナの設定、コンテンツづくりへの投資、専門人材への投資、が重要だと言えます。日本でもBtoB領域でコンテンツマーケティングが少しずつ広まっているので、ぜひ参考にしてみてください。