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【第1回】日本は5年遅れてる!? アメリカに学ぶ、BtoB企業の「コンテンツマーケティング」

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〜BtoB企業のコンテンツマーケティングをアメリカから学ぶ〜

B2B CONTENT MARKETING 2015の調査によると、アメリカでは86%のBtoB企業がコンテンツマーケティングに取り組んでいるそうです。

<参考>B2B CONTENT MARKETING 2015

コンテンツマーケティングとは、PR要素を含まない「役に立つコンテンツ」をオウンドメディアなどを通じて発信することで、潜在顧客を引きつけ、関係性を構築するマーケティング手法。

例えば、世界第4位のBtoBソフトウェアSAPは2015年6月に「Digitalist Magazine」というエクゼクティブ向けのメディアを公開しました。責任者にはテクノロジー系のメディア「CIO Magazine」の元編集長を迎え、1日10記事ほど配信しSAPの潜在顧客との関係構築をしています。

151124-0012.png (1.7 MB) Digitalist Magazine

日本でもB2B企業のコンテンツマーケティングは少しずつ浸透しています。私のチームで取材をさせていただいたサイボウズさんは「サイボウズ式」というオウンドメディアを運営し、潜在顧客に対するブランディングに成功しています。

【前編】サイボウズ式に学ぶ、「製品のPRにはつなげない」オウンドメディア運営術

今回は、コンテンツマーケティングの取り組みが進んでいるアメリカの事例を見ながら、B2Bのコンテンツマーケティングの今についてまとめたいと思います。

日本より5、6年先を行く、アメリカのコンテンツマーケティング事情

Googleトレンドに「content marketing」を入力してみると、アメリカでは2006年4月頃から検索数が増加を始め、現在に至るまで上昇傾向が続いています。

アメリカ合衆国における「content marketing」の検索結果 by Google トレンド

日本における「コンテンツマーケティング」の検索結果 by Google トレンド

それに対し、日本で検索数が増え始めたのは2012年3月頃からです。これにより、アメリカはコンテンツマーケティングにおいて日本の5〜6年先をいっていることが推測できます。

コンテンツマーケティング事例 | 99U、InVision Blog

取り組みが進んでいるアメリカにおいて、注目すべきBtoBコンテンツマーケティングの事例として、Adobeの99Uがあげられます。

99U.com

99Uは、もともとデザインポートフォリオサイトを運営する「Behance」が持っていたクリエイティブに関する教育プラットフォームです。2014年にAdobeがBehanceを買収したことによって運営主体が変わりました。

クリエイターに対してWebサイトで情報を発信するだけでなく、99Uカンファレンスと呼ばれる学びの場を開催したり、本、ポッドキャスト、雑誌の発行まで行っています。99Uカンファレンスは、Twitter・Squareの創業者ジャックドーシーやSlackの創業者も登壇するような質の高いコミュニティー。

通常のコンテンツマーケティングは、オウンドメディアでのコンテンツ発信にとどまりますが、リアルなコミュニティーも含め様々なチャネルから総合的にコンテンツを発信しているところが特筆すべき点です。

2014年に99Uの運営がBehanceからAdobeに代わったことで、PR色が強い場になってしまうのではないかと心配する声もあったようですが、現状も独立的なコミュニティーとして運営されているそうです。

そして、結果として99UはAdobeのクリエイターに対するブランディングの場として機能しているようです。

デザイン会社のInVisionが運営しているInVision Blogも秀逸です。Blogが取り上げるのは様々なデザイナーのプロフィールで、多くの会社のデザインチームにデザイン哲学、仕事環境、カルチャーなどをインタビューして記事にしています。

InVision Blog

「デザイン会社が他のデザインチームをインタビューする」というユニークな取り組みですが、結果的にデザインに興味がある人が集まる場所になっており、同社のブランディングに大きな影響を与えていると思います。

アメリカではBtoBのコンテンツマーケティング支援サービスも乱立

このようにアメリカではBtoB領域でもコンテンツマーケティングの成功例が多く出てきています。それにともない、コンテンツ製作を助けるサービスも数多く出てきております。

個人的にすごく面白いと思ったのは、Contentlyというサービスです。企業やブランドがクオリティー高いコンテンツを作るために、フリーランスのフォトグラファー、執筆者、編集者などとマッチングするサービスです。

そのために、約55,000人のプロのジャーナリスト、映像作家、グラフィックデザイナー、フォトグラファー、のネットワークを持っているようです。2010年にリリースされた新しいサービスですが、顧客にはAmerican Expressやコカ・コーラなどの大手がいます。

Contentlyは執筆や編集をアウトソーシングするだけなく、プラットフォーム上で約55,000人のクリエイティブタレントからコンテンツのアイデアを募る機能もあります。同じ企業内のメンバーからアイデアを集めることもできます。

取材をする中で、オウンドメディア運営で一番悩むのは「ネタ」ということをよく聞くので、この機能は魅力的だと思います。

Contently

Contently以外でも、コンテンツを制作するライターを探すプラットフォームも数多く存在しています。

scripted

151124-0010.png (1.1 MB) Ebyline

また、オウンドメディアの立ち上げから運用までを実施するコンサルティング会社も多く存在し、BRAFTONという会社は10年ほど前からコンテンツマーケティング支援を行っています。提供サービスとしては、コンテンツマーケティングの戦略立案、コンテンツ作成、ROIの計測、SEO最適化、など幅広いようです。

BRAFTON

コンテンツマーケティングにおいて、成功と失敗を分けるものは何か

このようにアメリカではBtoB領域でもコンテンツマーケティングが熱を帯びているようです。ただし、もちろんすべての取り組みが成功しているわけではないですし、成功と失敗の例はたくさんあります。

コンテンツマーケティングが銀の弾丸というわけではなく、あくまでも顧客体験を最大化させる販売活動全体の設計があった上で、その一部をコンテンツマーケティングが担っているのだと思います。

どのような取り組みが成功するのか、そして失敗するのか。今後もコンテンツマーケティングについて調査をして発信をしていきたいと思います。

【第2回】日本は5年遅れてる!? Adobeの99Uに学ぶコンテンツマーケティング事例

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