- ソウルドアウト株式会社
- WEBマーケティング本部 セールスプランニング部 部長
- 葛谷 篤志
Web集客80倍!プッシュ型マーケを脱却した、自社メディア ✕ MAツールという戦略
今回のソリューション:【HubSpot/ハブスポット】
〜テレアポなどの「プッシュ型」営業を脱却し、見込み客の獲得数を50倍にした「HubSpot」と自社メディアの活用法〜
新規顧客の獲得のために、営業の人海戦術によるプッシュ型マーケティングを行っている企業の数は少なくない。しかし、かかる労力に対して適正な成果を上げられているのだろうか? 新規営業をより効率的に、さらに心理的なストレスも少なく実行する方法はないのだろうか?
そんな課題に悩む企業を救う手法のひとつに、マーケティングオートメーション(MA)がある。MAツールを導入すると、獲得したリード(見込み顧客)に対して、次のアクションへと誘導する施策を効率的に実行することができる。
営業の手をかけずにリードを温め、適切なタイミングでアポイントへとつなげることで、効率的な営業活動を行うことが可能になるのだ。
中小企業向けに、リスティング広告、SEO、LP制作といったWebマーケティング施策を提供するソウルドアウト株式会社。
同社では、自社メディア「LISKUL(リスクル)」や営業が個別で獲得したリードを、MAツール「HubSpot(ハブスポット)」で一元管理し、定期的な情報提供メールなどを使ってナーチャリング(育成)する体制を構築した。
結果的に、月間獲得リード数は50倍に、Web集客数は80倍に、さらに顧客単価も2倍になり、プッシュ型頼みだった新規営業を効率化することに成功している。
今回は、同社WEBマーケティング本部セールスプランニング部の部長を務める葛谷 篤志さんに、HubSpotの導入でどのように営業活動が変化したか、詳しいお話を伺った。
▼見込み客を分析することで、効率的な顧客の獲得を可能にする「HubSpot」
中小企業のニーズに答え、ゼロから地方で営業所を設立
私は2009年に新卒でオプトに入社し、1年間ネット広告の営業をしていました。そして自分が所属する部署がスピンオフする形で2009年の12月ソウルドアウトが設立されました。
創業のときから「中小企業を支援する」というコンセプトで事業を進めており、地方からの問い合わせが多かったんですね。そのニーズに応える形で、地方にビジネスを拡大していきました。新会社では1年、営業を担当し、2011年3月からは新潟で新しい営業所の立ち上げを行いました。
新潟営業所では、1人でゼロからお客様を探しました。当時は新規開拓と言えばタウンページをつかってプッシュ型のアプローチをするというものでしたが、最終的にはのべ50社のお取引先様と新潟で出会うことができました。
プッシュ型マーケティングを続けた結果、組織に精神的な疲労が蓄積…
2012年には営業所の数が合計13になり、新卒を含めて40名ほどを採用したことで全国に70名弱の営業体制ができました。新規営業に関してはプッシュ型マーケティングが中心で、イメージとしては、1人あたり50社ほどにアプローチし、そのうち10社ほどご訪問のお約束をいただける。
その10社を3回ほどご訪問して、最終的に2社にお客様になっていただく、といった感覚でした。受注に至るまでに、かなり労力がかかっていましたね。
日々のプッシュ型のマーケティングによって社内に精神的に疲労がたまり、また体制としても既存のお客様へのケアが十分にしにくくなっていました。そんな状況を打開するため、2013年の初めよりCMOを務める長谷川を中心に営業を労働集約型からWebを活用したインバウンドに切り替えていこう、という動きがはじまりました。
インバウンドマーケティングを開始するために、まず行ったのは…
そして、Webから新規顧客を獲得するための仕組みづくりが始まりました。
まず、2013年10月にマーケティングオートメーションツールの「HubSpot(ハブスポット)」を導入しました。そしてWeb集客のために、3つの自社メディアを立ち上げました。
その中で、2014年1月に立ち上げた「LISKUL(リスクル)」というリスティング広告を中心にWebマーケティングのノウハウを発信するメディアが多くの方に見ていただけるようになったことから、HubSpotとの連携をはじめました。
▼リスティング広告を中心としたノウハウを発信するオウンドメディア「LISKUL」
HubSpotで実現したかったのは、まさに営業を効率化するためのインバウンドマーケティングです。
当時行っていたプッシュ型マーケティングは、「Webマーケティングのお困りごとをかかえる地方の中小企業をできるだけ多く支援したい」という私たちの目指すものを叶えるために、最適な体制ではありませんでした。
そこで、より多くのお客様を支援するために、LISKULでいわゆるリード(見込み客)を獲得し、HubSpotを使ってナーチャリング(育成)して、効率的に営業に引き渡せる体制へと転換を行いました。
自社メディア ✕ HubSpotで、月に150件以上のリード獲得に成功!
具体的に行ったのは、まずメディアとしてLISKULを強化し、流入を確保したこと。そしてLISKUL上で、さらに深いリスティング広告のノウハウが記載されているホワイトペーパーをダウンロードできるようにしました。
そしてそれをダウンロードしたユーザーに、HubSpotを使っていわゆるステップメールを送り、ナーチャリングする。最終的に、お客様自身から相談の希望の上がってきたタイミングで営業と連携し、訪問のお約束をいただく、というシンプルな体制です。
▼HubSpotを使うと、簡単にステップメールなどを作成できる
まずは問い合わせ目標数として、月間で100件を設定しました。それ以前は、営業を介さない問い合わせ数は月に3件ほどしかありませんでしたが、実際に2015年2月には100件という数値を達成。さらに直近で言うと、2015年12月には200件の問い合わせを獲得することができました。
LISKULでは、自社のサービスを押すのではなく読者にとって本当に役に立つ中立的な記事を用意し、さらにホワイトペーパーも読者がダウンロードしやすい場所に表示するなど、細かい工夫もこらしています。このあたりは結局、実は地道な作業が効いてくるんですよね。
リードの一元管理とメールマーケティングに役立つHubSpot
その次のステップとして昨年(2015年)から取り組んだのが、リードの件数だけではなく質を追求する取り組みです。それまでの施策はマーケティング側が主導していたので、そこに営業の目線を加えて受注までしっかり追っていこうと。
具体的には、営業が獲得した新規顧客のデータもHubSpotに入力し、一元管理をしていくようになりました。
▼複数のチャネルから獲得した見込み客を、セグメントして一元管理できる
その結果、今のHubSpotの役割は大きくふたつに分かれています。まずはWebとオフラインでリードを獲得し、それを一元管理する部分。これはHubSpotのいいところなのですが、 セミナーなどのWebページを簡単に制作できるCMSの機能があるんですよ。
▼集客に活用できる、Webページを構築することも可能
デザイナーもエンジニアもなしですぐにページが作れて、しかもそのページ経由で参加登録した人は自動的にHubSpot内のリストに入る。文言さえ決まっていれば20分ほどでページができるので、これは本当に重宝しています。
▼実際に同社がHubSpotで作成したセミナーの申し込みページ
もうひとつの役割はステップメールなどのメールマーケティングですが、特に強化しているのはリターゲティングメールです。
例えば、以前に弊社のホワイトペーパーをダウンロードした方がまたLISKULに来てくれた時に、すぐに自動でメールを送ることができます。
訪問があった時にすぐにメールが届くと、タイムリー性があるので、開封率が高くなります。平均で50%ほどはありますね。
他にも、LISKULのランディングページに関する記事に来た人だけに、関連するメールを送るなど、細かく設定ができます。その人が興味のあるものについて深掘りしたメールを届けられるので、開封率も高くなるんですよね。
新規顧客の「質」の変化で、顧客単価が2倍になるという効果も
HubSpotを導入してインバウンドマーケティングの仕組みを作ったことの副次的な効果として、顧客単価が2倍に伸びました。
理由は、新規のお客様がネット広告だけではなく、自社サイトの改善までを含めた総合的なパッケージを希望されることが増えたためです。
以前は、新規でお問い合わせをいただいたお客様は「広告で売上を作りたい」という希望が強く、Webサイトに手をかけましょうと提案しても、なかなか実現できませんでした。
でも実際、サイト自体も改善しなければ広告効果も思ったようには上がりにくい。そのためその現状や理由を、LISKULでダウンロードできるホワイトペーパーでしっかりと説明しました。
そして、それを読み、サイトを改善する必要性を理解したうえで、お問い合わせしてくださるお客様が増えたことで、よりお客様に適したWebマーケティングの施策を行うことができるようになりました。
個人的には、HubSpotを使うと、森より木を見るマーケティングが可能になると思います。例えばLISKULにどんなお客様が来ているのかとか、ステップメールのどこで離脱が多いのかなど。細かい部分までを簡単に把握することができるので、効果的に施策検証ができます。
今後もHubSpotの機能をもっと活かして、効率的にインバウンドマーケティングを続けていきたいですね。(了)