• 株式会社アールキューブ
  • 代表取締役CEO
  • 山崎令二郎

「確認の繰り返し」をやめる!働き方を効率化する、ウェディング業界のITツール活用法

〜IT初心者でもOK!ITツールの活用で、社外メンバーとの業務における生産性を向上させた事例〜

「◯◯ってどうすれば良いんですか?」という質問を、色々な人から何度もされた経験はないだろうか? 「またか…」と思いながらも、その度に同じ説明を繰り返すことで、仕事の生産性を下げてしまっているビジネスマンも少なくないだろう。

フリーのウェディングプランナーと協働した、会費制の結婚式「会費婚」を展開する株式会社アールキューブ。

同社でも、以前は案件ごとに毎回、プランナーに同じような説明を繰り返す必要があったという。しかし現在では、ドキュメント共有ツールやチャットツールの活用により、情報共有を効率化することに成功している。

ITツールの定着は、社内でさえも簡単ではない。それを外部の人間であり、且つ、普段ツールを使い慣れていないメンバーに浸透させるには、それ相応の工夫があったという。

今回は、同社代表の山崎 令二郎さんと、CEO室で採用・広報を担当する大和 まゆさんにお話を伺った。

同じことを何度も確認・説明…多くの時間を浪費する状況に

山崎 2006年にアールキューブを創業し、現在は会費制に特化した結婚式サービス「会費婚」を提供しています。

結婚式って、準備をしていくうちにどうしても金額が膨らんでしまいますよね。参加する側も、ある程度のご祝儀を用意する必要があって、短期間に結婚式が重なると結構な負担になってしまいます。

こういった問題意識から、あらかじめプランをパッケージ化することで費用を通常の半額程に抑え、参加者が1.5万〜2万程度の一律金額で参加できるサービスを作りました。現在は23名の社員と、約40名のプランナーさんで、サービスを運営しています。


大和 私は2015年に入社し、採用・広報に加え、サービスの全国展開を担当しています。

私たちのサービスは、多くのフリーで活躍しているウェディングプランナーさんと協力して、お客様に結婚式のプラン作りや、当日の運営といったウェディングプロデュースサービスを提供している点が特徴です。

そして外部のプランナーさんには、案件ごとに、電話や面談によって会場のルールなどをレクチャーする必要があります。

案件を担当していただく頻度が月1くらいになるので、前回のことを忘れてしまっているケースもあります。すると、同じことを何度も説明することになってしまって、そこに多くの時間を割いている状況でした。

山崎 また、会場の食事メニューや席のレイアウトなどの条件が変わった際に、その情報が担当プランナーさんから上がってくる仕組みがなかったんですね。そうすると、同じ会場をまた使うとしても、次の担当者が改めて会場に条件を確認をする…というような状況でした。

紙のファイルにあった情報を、情報共有ツール「Docbase」へ

大和 そこで社内で活用していた情報共有ツール「Docbase(ドックベース)」を、外部のプランナーさんとも一緒に使うことにしました。

もともと、私はIT業界から転職してきたのですが、入社当初は、大量の紙の資料がファイルにまとめられている状況で。何か情報を探す時は、それを1枚1枚めくって…という感じで、とても非効率的でした。

▼当時、使用していたファイル


山崎 情報がオンラインで共有される仕組みができていなかったので、あらゆる情報が、すべて各個人の頭の中にあるという状況で…。その状態を変えるために、CTOが開発用に活用していたDocbaseを、まずは社内で使ってみることにしました。

Docbaseはエンジニア専用のツールという訳ではなく、複雑な操作も必要ないので、非エンジニアが使う場合も決して難しくはありません。議事録のような皆が頻繁に目を通すような情報を、社長である私自らが積極的に発信することで、社内における活用を定着させていきました。

▼Docbaseに投稿された議事録

このように、ちょうど社内でも活用が進んでいたので、外部のプランナーさんにも使ってもらえないかと考えたんですね。

IT初心者には、導入ハードルを低く!設定までレクチャー

大和 プランナーさんは結婚をして引退された30代の女性が多いのですが、ツールを使うことに慣れている方は多くはありません。そのため、まずはツールを使うための最初のハードルを下げることを意識しています。

例えば、使い始めるときには、記入の方法といった基本的なところから、丁寧に説明することを心がけています。また、誰でも投稿がしやすいように、簡単なテンプレを作り、それに従って記入してくださいねとお願いしています。

▼テンプレートを登録することで、記入形式を迷うことなく投稿できる


山崎 また、Docbaseが更新されても気が付かないという状況を防ぐために、社内外のコミュニケーションツールとして活用している「チャットワーク(ChatWork)」と連携させています。何か更新があった際に、チャットワークに通知がいくという形ですね。

▼Docbaseが更新されると、チャットワークに通知される

これも、そもそもチャットワークに連絡が来ていることを気付いてもらうために、通知設定まで最初の段階で一緒にやっています。

大和 また、Docbaseを見てもらえるように、投稿する内容も工夫しています。例えば、新郎新婦の写真も掲載された施行報告書です。

以前は、現場に出ているプランナーさんしか、当日の雰囲気を知ることができませんでした。けれどDocbaseに施行報告書が投稿されることで、全体に事例がシェアされるようになりました。プランナーさんも他の事例が気になるので、自然に投稿を見てもらえるんですね。

「社外インフルエンサー」によって、ツールの活用を促進

山崎 新しいツールを導入して定着させる時、社内であっても一苦労するものですが、社外のプランナーさんに使ってもらうためには、より一層の仕掛けが必要です。

そのため、プランナーさん1名に協力していただき、Docbaseをガンガン更新してもらうインフルエンサーの役割を担ってもらいました。

投稿にグッジョブ(いいね!)を付ける機能があるのですが、他の人の投稿にたくさんグッジョブしてもらったり、プランナーさんが提出する報告書の納期管理などを行ってもらいました。


大和 私たちが直接お願いするよりも、同じ外部の人間であるプランナーさんが率先してDocbaseを活用すると、他のプランナーさんも「自分も更新しなくちゃ」という動機が生まれますよね。

実際、Docbaseはそれほど難しいツールではないので、他のプランナーさんが使っているのを見て、「自分もできないことはない」と感じてもらえるのだと思います。

それでもわからない部分は出てくるので、月1の定例ミーティングの際に、定期的なフォローアップをするようにしています。

確認にかかっていた時間を、大きく削減することに成功

山崎 Docbaseの活用が定着したことによって、これまで色々なことの確認に割いていた時間を、大きく削減できました。

以前は「この会場の◯◯について教えてください」とプランナーさんから電話をもらっても、自分ではわからないし、社内でもドキュメント化されていませんでした。そこで誰かに確認して、プランナーさんに返答する、というフローが発生していたんです。

今では、会場の情報は毎回、担当したプランナーさんが更新する仕組みができているので、「Docbaseを見てください」で済ませることができるようになりました。

▼プランナーによって、会場情報が常に更新される


大和 同様に、案件ごとに発生していた対面での打ち合わせも、Docbaseに情報が常にアップデートされる仕組みをつくったことで、不要になりました。同じ説明を繰り返すのは、本当に生産的ではなかったので、とても業務が効率化されましたね。

ITツールの活用で、より多くの人が働きやすくなる仕組みを

大和 私たちのようなベンチャー企業は、少ない人数で色々なことに取り組んでいる分、どうしても業務に追われがちです。そこで、いかに生産性を高めて、余白を作るかが重要だと考えています。すると、より顧客満足度を追い求めることができたり、人為的なミスも減らすことができます。


山崎 弊社で一緒に働いているプランナーさんは、結婚して家庭に入ったけれど、自分に合ったペースでまた働きたいという想いを持っていらっしゃるという方が多いんですね。

個人的には、そういった方々が最適な形で働けるようにしていきたいですし、それは日本の社会という大きな枠で考えても、必要なことだと思います。どんどん生産年齢人口が減っていく中で、より幅広い人が、それぞれに合った形で働けるような状況をつくっていきたいです。

そのためには、1人ひとりが短い時間でも一定の業務を行えるよう、ツールもうまく活用しながら、生産的な働き方をしていきたいですね。(了)

;