• 株式会社ブレンド
  • 共同創業者
  • 北國 悠人

サービス改善には「ユーザーの声」を!10分で導入可能なカスタマーサポートツールとは

〜新規Webサービスを展開するスタートアップが、ユーザーの声を幅広く、効率的に吸い上げるために作った仕組みとは〜

Webサービスを運営する上で欠かせないのが、ユーザーとの接点をつくる仕組みだ。とくに新規サービスにおいては、具体的なユーザーの声を吸い上げることが、サービスを改善していく上で重要である。

「TastyTable(テイスティテーブル)」は、自宅でレストランのようなこだわりの食事を楽しむことができる、オンラインの食材宅配サービスだ。2016年11月のローンチ後すぐに、「日経トレンディ」の「2017年ヒット予測ベスト30」において第2位にランクインし、テレビ番組でも取り上げられるなど、順調にその認知を広げている。

同サービスではユーザーの声を吸い上げる手段として、NPS(Net Promoter Score)を利用した月に1度のアンケート、レビュー投稿、問い合わせ、の3つの仕組みを用意しているそうだ。

そして限られたリソースを有効に使うために、問い合わせの管理と対応には「formrun(フォームラン)」という外部ツールを活用している。

今回は同サービスを運営する株式会社ブレンドの共同創業者で、エンジニア兼デザイナーを務める北國 悠人さんに、ユーザーの声の活かし方やツールの活用について、詳しくお話を伺った。

サービスリリース後すぐに、予想外のメディア掲載が殺到!

「TastyTable(テイスティテーブル)」は、こだわりの食材とレシピを毎週お届けするサービスです。「食」の体験を変えるということを掲げて、見た目も良くて味もおいしい、ワンランク上の食事を楽しめるようなサービスを提供しています。

▼2016年11月にローンチされた「Tasty Table」


2016年の11月からサービスを開始して、3人の共同創業者で運営しています。その中でも私は、エンジニア兼デザイナーとして、制作全般を担当しています。


新規サービスということで、当初は、まずプロダクトのクオリティーを上げるべきだと考えていました。その後、徐々に集客チャネルを拡大していき、各チャネルにおける顧客獲得の単価とLTVのバランスを見る。その結果を見て、プランを拡充し、ユーザーのボリュームを増やす、という流れが理想でしたね。

ただ、ありがたいことにローンチ後すぐに、「日経トレンディ」の「2017年ヒット予測ベスト30」で、2位に選ばれたんです。その影響でテレビ番組にも取り上げられ、一気にユーザー数が伸びました。

「すげえ!」という感じになりましたが、やっぱりそこからの継続率は、あまり芳しくなかったです。クオリティーがまだ完璧になっていないのに、ユーザーさんがたくさん来ちゃったんですね。ありがたいことですが。

これからさらにユーザー数を拡大していくため、現在はサービス改善を行っているところです。

NPS計測とレビュー機能で、ユーザーへのアンケートを実施

始まって4ヶ月のサービスなので、まだまだクオリティーを上げていくフェーズです。そのために特に重要だと思っているのは、ユーザーの声を聞くことですね。

果たして自分たちの仮説が正しいのかどうか、ひとつひとつ答え合わせをする必要があって。こちらがやりたい世界観をただ押し付けていたら、それが伝わっているかもわかりませんし。


そこでTastyTableでは、そういったユーザーさんの声を吸い上げるための経路をいくつか用意しています。

まず、NPS(Net Promoter Score)を導入し、月に1回、ユーザーさんにヒアリングをしています。トップページにアクセスするとポップアップが出てきて、11段階でサービスの推奨度を評価できるようになっています。

▼ユーザーの回答画面


また、サイトで実際のレシピを紹介しているのですが、そのページ上でレシピを5段階で評価できるようになっています。さらに、コメントをすることもできます。このレビュー機能に関しては自前で開発して、実装したものです。

▼レシピへのレビュー画面


ただ、どちらかというと数字はあまり気にしていなくて、コメントとして「書いてくれた内容」が大事だと思っています。

いまは、特に意識している数値がサービスの継続率なんですね。継続率を伸ばすためには、いかにユーザーさんが満足できるサービスになっているか、ということが大事です。

ユーザーさんの満足度を上げるためには、おいしいかおいしくないかはもちろん、料金に見合っているか、システムはわかりやすいかなど、色々な要素が絡んできます。そうなると、よりいっそうユーザーさんの具体的な意見が大切になるので、これからはユーザーインタビューも実施しようと考えています。

問い合わせ機能には、10分で導入できる「formrun」を活用

ユーザーさんとの接点としては、もうひとつ「お問い合わせ」があります。電話とWeb経由の問い合わせがあるのですが、Webの方では「formrun (フォームラン)」というツールを活用しています。

formrunを導入した理由は、とにかく導入が簡単だったことです。コードを1行埋め込むだけで、10分弱で使い始められます。

問い合わせフォームだけを設置するのであれば、自前でも1時間もあればできてしまうので、そう難しいことではありません。ただ、自分で開発すると、あとで「もっとこんなふうに変えられないのか」という要望が、社内から絶対に出てくるんですよね。

スタートアップの限られたリソースの中で、なかなかそこには時間を投下しにくい。そういった点を考えると、外部サービスを使うメリットは高いです。外部サービスは、こちらが何もしなくても勝手にどんどんよくなるし、使いやすくなっていきますから。

formrunの活用で、問い合わせへの対応状況をすべて可視化

formrunを使うと、お問い合わせフォームが設置できるだけでなく、ひとつひとつの問い合わせへの対応状況も可視化できます。

すべての問い合わせが、カンバン形式のボード上で一元管理されます。それぞれのステータスに応じて分かれるようになっていて、未対応、対応中、対応完了といった形で、動かしていきます。

▼対応ステータス別に問い合わせを一覧できる

実際に問い合わせがあると、まずはformrun上で「未対応」に振り分けられます。メール、そしてチャットツールの「Slack(スラック)」と連携しているので、リアルタイムに問い合わせに気づくことができます。

返信は、formrun上で行います。最初に返信をしたら、ステータスを「対応中」に変更して、対応が終わったら「対応完了」と変えていきます。するとボード上でも、その問い合わせのステータスが自動で更新されます。

▼問い合わせごとに対応ステータスを管理していく

誰がその問い合わせに対応しているかということもぱっとわかりますし、メモを残すこともできるので、引き継ぎも簡単です。

▼メッセージのやりとりをする画面

このように僕たちはformrunを、問い合わせの管理と対応をするための場所として使っています。さすがにこれを自前で作るとなると、30分とか1時間では無理なんです。これでひとつのサービスとして成立させているわけなので、やっぱり便利ですね。

最近のアップデートで良かったのが、formrunからメールを返信した際の、返信元のアドレスを自由に設定できるようになったことです。

普通はformrunからメール返信すると、formrunのアドレスから返信されてしまいますよね。それってユーザーさんからすると、「何だろう」ってなってしまうので。今はすべて「info@tastytable.jp」から返信される形になったので、違和感がなくなりました。

「意外な」問い合わせが、サービス改善につながることも

問い合わせの内容から、ユーザーさんのことを知ることもできます。

例えば、想定外に多い問い合わせが「キャンセル」なんです。TastyTableは定期宅配のサービスで、キャンセルをしなければ、毎週食材が届くんですね。でもそれが思ったより伝わっていなくて、「頼んでいないのでキャンセルできないでしょうか」という問い合わせがあったり。

▼問い合わせはSlackに通知される


サービスの内容がしっかりと伝わっていないのかもしれないということで、改善することにしました。具体的には初回登録の画面で、「定期便のサービスです」ということを、よりわかりやすく、目立つ形で記載しました。

また、今は退会も問い合わせからという形になっています。これは、退会されてしまったときの肌感を、自分たちがしっかりと持っておくためです。「今週の退会は◯◯人」という数字だけより、formrunを通じてSlackにも流れたほうが、危機感を感じ取りやすいですし。

退会の際には、食材やレシピに満足がいかないのか、Webサイトが使いにくいのか、といった退会理由を必ず聞くようにして、サービス改善につなげています。

まだまだ古い文化が残る、「食」の世界を変えていく

今後の展望としては、今やアメリカ中で使われていて、上場間近と言われている「Blue Apron(ブルーエプロン)」くらいの規模感を、日本で目指したいと思っています。

そのために重要なのは、やはり食材やレシピのクオリティーですね。Webサイトはあくまでも入り口で、サービスの価値は「いかに料理に満足してもらえるか」という部分なので。ユーザーさんのフィードバックをもとに、そこを改善していくというのが最優先かなと。

食品って、結構オールドな文化が残っている業界なので…。それをもうちょっと今っぽく、おいしいものを使いやすく。トータルで「食」のデザインができるところまで、やっていけるようになりたいですね。

;