• 株式会社CRAZY
  • CRAZY WEDDING 最高経営責任者
  • 中西 章仁

CRAZYの社員は、なぜ仕事に「夢中」なのか?1人ひとりに向き合う、その組織作りとは

〜社員全員が「夢中で」目の前の仕事に取り組む。株式会社CRAZYの、自由と責任のメリハリを徹底する組織作りとは〜

1年のうちの4割の期間、営業活動を全てストップし、全社員で「仕事ではない活動」を行う会社がある。

それが、新郎新婦の人生と徹底的に向き合い、完全オーダーメイドのコンセプトウェディングを提供する「CRAZY WEDDING」で知られる、株式会社CRAZYだ。

▼完全オーダーメイドのコンセプトウェディング「CRAZY WEDDING」

毎年年末に行っている全社員企画の一環で、2016年末、同社は2週間にわたり、業務を完全にストップした。そしてその期間、70人の全社員で長野県の根羽村に里暮らしをし、築160年の古民家リノベーションに取り組んでいたのである。

▼古民家リノベーションに取り組む社員の様子

この活動の他にも、「朝礼でその日の感情をシェアする」「なぜCRAZYにいるかを問い続ける」「1分の遅刻でも、その日の仕事をストップして全員でそれについて話し合う」など、他にはないカルチャーを持つCRAZY。そんな同社では、全社員が自分の仕事を愛し、時には涙を流しながら、理想を語り合っている。

今回は、そのように社員が夢中になれる組織作りについて、CRAZY WEDDINGの事業部代表を務める中西 章仁さんと、最高執行責任者を務める遠藤 理恵さんに、詳しくお話を伺った。

仕事を夢中で楽しむ秘密は、CRAZYカルチャーにあり

中西 私はCRAZYの前身である株式会社UNITED STYLEに、2013年4月に入社しました。現在はCRAZY WEDDINGの事業部代表として、組織のマネジメントや経営に携わっています。

遠藤 私は創業メンバーのひとりとして、最初はウェディングプロデューサーとして働いていました。現在は、CRAZY WEDDINGの最高執行責任者をしています。

▼左:遠藤さん 右:中西さん

中西 CRAZYは、「STYLE for EARTH(地球にとって本質的なことを、だれよりも美しく、だれよりもユニークに)」を経営理念に掲げる企業です。事業としては、完全オーダーメイドで作るコンセプトウェディング「CRAZY WEDDING」や、一生忘れられない食体験を届けるケータリング「CRAZY KITCHEN」などを展開しています。

創業から4年が経ち、社員数は64人まで増え、売上も10億円を越えるようになりました。特にCRAZY WEDDINGに関しては、毎年1.5倍〜2倍で成長しています。

遠藤:最近は口コミで、サービスを知ってくださる方も多いです。お客様に依頼した背景を聞くと、「CRAZY WEDDINGで式を挙げた友人が、プロデューサーがまるで友人のようで、式を最高にするために本気で向き合ってくれたと聞いて」といったことを言ってくださる方もいて。


CRAZY WEDDINGは、新郎新婦の想いや、結婚にいたるまでの背景を、友人のようにヒアリングするところから始まります。あるプロデューサーは「2人が大事にしている地元の風景を感じたい!」と、休みを使い、アートディレクターと一緒に新郎新婦の地元に足を運んでいました。それくらい本気で、ウェディングに向き合っています。

このように、プロデューサーをはじめ、CRAZYの社員がとことん本気で仕事に向き合えるのは、仕事自体を夢中で楽しんでいるからだと思っています。そして、みんなが夢中になれる理由は、創業から続くCRAZYのカルチャーにあると感じています。

全社員で年末2週間休業し、古民家リノベーションを行う理由

中西 CRAZYでは、経営の優先順位を明確に決めていて、1番が「健康」その次が「人間関係」になります。

▼同社の「経営の優先順位」


私たちは、年間業務の約40%の時間を、社内のコミュニケーションに使っています。毎週水曜の午前中は、仕事ではなく、会社のカルチャーや未来について話す時間にしているんですね。

また、1日がかりの月初会議や、3ヶ月に1度の合宿も行っています。さらに年末には、2週間にわたって業務を停止し、「新たな挑戦」に取り組んでいます。

2016年の12月には、全社員で長野県の根羽村に2週間滞在して、古民家のリノベーションを行いました。

▼社員全員でリノベーションに取り組んでいる様子


塗り壁を大胆に壊したり、屋根裏の梁に溜まったホコリを落としたり、かなり大掛かりな作業でした。古民家の近くに住んでいるおばあちゃんがニコニコしながら「まあ、にぎやかになったわ」と話しているのが印象的で、2週間が経つ頃には、みんなこの村が大好きになっていて。

この活動は、業務とは直接関係ありません。でも、みんなで一緒にリノベーションに取り組み、村の方々にいただいたたっぷりの野菜でご飯を作るという「全社員での共通体験」は、社員同士の強い絆を生み出すんです。私たちにとってこの時間は、強制されたものではなく、「大好きな仲間と過ごす最高の2週間」なんですよね。

▼リノベーションが終わった後、村の人達と撮影したCRAZY社員の集合写真


なぜここまで人間関係に時間を費やすのかというと、良い人間関係があって初めて、良い仕事ができると考えているからです。

例えば、普通は言うのをためらうような指摘であっても、その人のことを本気で思えば、きちんと伝えることができます。その指摘を受ける人も、「自分のことを本気で考えてくれている」と思っていれば、次の成長につなげようとしっかり受け止めるはずです


このように、お互いのことを信頼し合えるフラットな関係性は、チームでの仕事を良くしていくベースになると思うんです。そして何より、自分たちが楽しいので。「◯◯さんが嫌だ」といった話も全然ないので、何か思ったらすぐに言い合えるし、意思決定のスピードも断然早くなります。

感情をオープンに!お互いの「今」を理解し、助け合う

中西:CRAZYの社員は、よく泣いたり喧嘩したりしています。感情をオープンにすることを推奨する文化があるんです。

私たちは、「家族や恋人といるときは感情をオープンにして、仕事をしているときには心を閉ざして頑張る」という、よくある考え方はちょっと違うと思っていて。働くことと生きることを、分けて考えていないんです。

遠藤:ですから、「あまり調子が良くない」といったネガティブな状況でも、オープンに話すようにしています。そうすると、同じような悩みや不安を乗り越えてきた人も多いので、自然と手を差し伸べてくれて、解決に近づくんです。

▼年次や役職は関係なく、オープンに話し合う


中西:毎日の朝礼でも、感情を意識的に表現するようにしています。例えば、毎日同じ風景の映像を見て、何を感じたかを話します。同じ映像でも、自分のその日の状態で全然違って見えるんです。

このように、自分を定点観測し、感情をシェアする場を作ることで、お互いの「今」の状態を理解し合うことができます。そうすることで、社員同士の助け合いにつながるんです。

「WHY CRAZY?」と問い続ける。夢中になるための思考法

中西:CRAZYの根底の価値観には、1人ひとりが「意志を持って生きる」という考え方があります

遠藤:入社前に、全社員の前で自分の人生について発表する、「人生プレゼン」という機会があるんです。全員が、これまでどう生きてきて、自分の理想は何で、なぜCRAZYを選び、今後どう生きていきたいのか、ということを考えた上で入社します。

そして入社後も「WHY CRAZY?(なぜクレイジーを選んだか?)」「Who am I?」を常に問い、自然とこの思考が習慣化されていきます。月の定例会議でこの話になることもありますし、合宿などでも、自然に会話に出てきたりします。

▼WEDDINGチームでは、メンバー1人ひとりの理想が書かれたカードを全員が携帯している


例えば、目の前のタスクに追われて仕事に忙殺されると、自分が何者かわからなくなってしまうことがありますよね。そういったときも、自分自身に「WHY CRAZY?」と問いかけるんです。

そこでしっかりと自分の気持ちと向き合うことで、「自分の人生をどう生きたいか」ということを考えることができます。そして、理想の形と現在の状況を知ることで、目の前の仕事に夢中になって取り組むことができるんです。

自由と責任のメリハリを。1分の遅刻でも、全員で考える時間を取る

中西 これまでの話だと、「CRAZYは自由で楽しい会社」というイメージを持たれるかもしれません。けれどその一方で、時間だけは何が何でも守るようにしています。

以前は、全員の出社時間は必ず9時と決まっていました。誰かが1分でも遅れた場合は、その日の仕事をストップして、遅刻したことについて全員で向き合うミーティングを、とことん行っていたんです。正直、ものすごい重いミーティングです。

遠藤 時間をなぜそれだけ大事にしているかというと、究極、時間を守ることは人との約束を守ることだからです。それが社内でできなかったら、社外でも誰かを傷つけたり、大きなチャンスを逃したりすることがあると思っていて。


そのような思いを絶対にしないように、ということで、創業時から守り続けています。

また、CRAZY社員に対する外の人の印象は、「若くて元気がある」だと思うんです。でも、それでいて時間にルーズだったら、「あの会社は若いから…」と落胆されてしまいます。

ルーズな状態を放っておいたら、会社の規律はどんどん守られなくなってしまいます。そこで、遅刻はその人の心のサインだと捉えて、ちゃんとみんなで考えていくんです。

「いけないことだけど、まあしょうがないか…」とスルーする文化ではなくて、自由と責任のメリハリを徹底しています。

CRAZYカルチャーを広め、2,000社100万人雇用を目指す

中西 CRAZYは、「STYLE for EARTH」の理念のもと、あらゆる理想を現実に変えていき、ゆくゆくは2,000の会社と100万人の雇用を生み出していきたいと思っています。私たちが大切にしているCRAZYのカルチャーに共感し、情熱を持って生きる人を、世の中にもっと増やしていきたいです。

ゲストハウスを作る人や、教育機関を設立するグループ、ユニークなものをクリエイションするユニットが生まれたっていい。「これが本質だよね」と語る人々が世界中に散らばって、みんなで「地球が喜ぶシゴト」ができればいいなと思っています。(了)

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