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  • 日向 諒

真実は市場のみぞ知る。市場分析に基づいた、paymoの大胆なマーケティング投資の裏側

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〜3分24秒にわたる「ワンカット」動画の公開をはじめ、リリース直後から大胆な広告施策に踏み切る「paymo(ペイモ)」。そのマーケティング戦略の裏側に迫る〜

ベンチャー企業が新しいサービスを世に広める際、最初から大規模なマーケティング投資をすることは難しい。

そこで近年は、「まずは小さく始める」ということがセオリーになっている。少数のユーザーから得たフィードバックを踏まえ、試行錯誤を繰り返す。そして、一定の基準をクリアした段階で、大きくマーケティングへと舵を切っていく。

その一方で、リリース直後から積極的なマーケティング施策をスタートさせたのが、2017年1月にリリースされた「わりかん」アプリ「paymo(ペイモ)」だ。

ペイモは新規アプリでありながら、リリースと同時に3分を超えるブランドムービーの公開や、タクシー車内のビジョン広告を活用したプロモーションを実施した。

この大胆な戦略の裏側には、綿密な戦略設計と、サービスの特性を踏まえたマーケティング戦略への考え方があったという。

今回は、同アプリを運営するAnyPay株式会社で取締役を務める日向 諒さんに、ペイモの目標設定やマーケティング戦略について、詳しくお話を伺った。

リリースと同時に、「登場感」のある動画マーケティングを実施

ペイモは、飲み会などのシーンで、「割り勘」をスマートフォン上で完結させるアプリです。「わりかんを思い出に」をコンセプトに、友達との割り勘が楽しく、そして簡単になるサービスを提供しています。

▼2017年1月にリリースされた「わりかん」アプリ「paymo(ペイモ)」

ペイモは2017年1月にリリースしたのですが、最初からかなりブランディングを意識して、一気にプロモーションをかけました。例えば、アプリリリースと同時に公開したブランドムービー「paymo Table Trick」もそのひとつです。

▼ワンカットで撮影された印象的なブランドムービー「paymo Table Trick」

※実際のムービーはこちら 「paymo Table Trick」

スタートアップのアプリで、ブランドコンセプトをしっかりと定め、オフラインを含めた施策を最初から打つことってあまりないですよね。でも、新しい文化を作るサービスだからこそ、「登場感」みたいなものって、やはり大事だと思っていて。

それに正直、世界では、競合が台頭してきていて、もう時間がないって思っていたんですよ。例えば中国ですと、WeChat PayやAlipayが、大きな成功を収めています。

このままだと、日本の決済市場も海外のプレーヤーにまるっと獲られてしまうのではないか、という危機感がありました。それって、日本として大丈夫かな? という思いもあったんですよね。

ですので、どちらかと言うと、まずは一気に踏み込んで、ガンガンPDCAを回して、最適化をしていく方がいいだろうと。

「1年で700万ダウンロード」という、具体的な目標設定の理由は…

私はもともと、広告代理店でアプリのプロモーションの営業をさせていただいていました。そのときに縁あって、今の代表の木村と知り合ったんです。

その後、自分でも転職を考えていたタイミングで、木村が会社を立ち上げるという話を聞いて。ゴールデンウィーク明けくらいに転職を決意して、会社に退職の話をしつつも、決済市場の日本の状況を勉強して、7月1日にAnyPayに参画。という、怒涛の1ヶ月半という感じでしたね。

会社として最初に始めたのは、「AnyPay」という、集金や支払いが手軽にできるWeb決済サービスです。ただペイモの方も、会社を設立して2ヶ月後ぐらいにはもう「やろうか」という話をしていたんですよ。同時進行で進めていたという感じです。

リリースにあたり、ペイモの目標は「1年で700万ダウンロードを達成する」ことに設定しました。現在、その目標に関してはオントラックに来ているので、このまま伸ばしていければ問題なく達成するかなと思っています。

この目標値は、かなり綿密に分析をした上で決めたものです。海外の類似サービスや、日本のCtoCサービスの実績、他にも人口データ、スマホ保有率…様々な数値から、どんな風にサービスが広まっていくのかを試算しました。

でもそれだけではなく、僕たちの場合、AnyPayというサービスを既に持っていたことが、ユーザー行動を推測する上での大きな助けになりました。データがあったことで、試算をより確信を持ったものに変えられた部分があったと思っています。

既存サービス上でのユーザー行動データを、新サービスに活かした

と言うのも、ペイモのリリース前から、AnyPayが既に個人間での決済手段としてもよく利用されるようになっていたんです。

▼オンライン決済サービス「AnyPay」

AnyPayは、基本的にはオンラインで商品を販売するような、個人事業主さん等をターゲットにした決済サービスです。デジタルコンテンツの販売やレッスン料の集金などで利用されていましたが、飲み会代の事前集金など、より日常的なシーンでも活用されるケースも多く見られていて。

飲み会に参加する人数や金額など、AnyPay上でのリアルな行動データが見えていたことで、「ペイモはこのくらい伸びるだろう」という試算が、割と簡単にできたんです。

このリアルなデータと、市場データとを組み合わせることで、「1年間で700万ダウンロード」という具体的な目標に落とし込むことができました。

認知コストを下げ、ユーザー獲得を加速させる「ワンカット動画」

こうした背景から、今回はアプリリリースと同時に、3分24秒にわたるブランドムービーを「ワンカット動画」という形で配信しました。こちらはクリエイター集団「PARTY」さんと制作したものです。

1人の女の子が、彼氏とのデート、女子会、合コン、パーティーとはしごしていき、それぞれの場所でテーブルクロス引きを成功させていく、というストーリー仕立てになっています。

このムービーを作るにあたっては、どうしたら見てもらえるか、そしてペイモという名前や世界観をどう伝えるか、ということを強く意識しました。

「割り勘アプリ」という文化がない中で、いかに認知コストを下げるか。それを考えた結果、動画配信によって「あのムービーのやつだよね?」といった風に、多くの方に認知してもらうことを狙っていました。「何か聞いたことある」というだけで、実際に飲み会の場で「ペイモを使おう!」となった際の、ダウンロードのハードルは大きく下がるので。

そもそも割り勘って面倒ですし、あまり良い印象はないですよね。また、アプリを使ってお金のやりとりをするという体験も、まだ日本では一般化していません。さらに市場感的にも、ユーザーさんもWeb広告に飽き飽きしている部分もある。

その一方で、このムービーによってペイモが持っている「わりかんを思い出に」というコンセプトを伝え、かつ、どういう場面で使えるのかを理解してもらいたい。そうすると、どうしても長い動画になってしまう。でも動画は、長尺だとやはり見られないんですよね。

どうしようかなって考えたときに、それだったらミュージックビデオのようなコンセプトでできないかなと。その結果、歌もしっかり作って、かくし芸的な要素でテーブルクロス引きがあって、さらにワンカットで撮影する、あのムービーが生まれました。

オンラインとオフライン、それぞれが担う役割を切り分け

他にも、Web広告やオフラインでの施策も含め、様々なマーケティング施策を行っています。基本的には、広告予算があって、媒体ごとにLTV(※)を鑑みて、CPI(ユーザー獲得単価)の目標値を設定し、その中で回していく。他の企業さんと、基本的には同じやり方かなと思います。

(※)LTV:Life Time Valueの略、顧客がサービスに投下する金額の総額を指す。

Web広告に関しては、網羅的に広告を出していきました。実際に、ペイモをどういう人が使うかはわかりませんでしたし、たくさんの媒体や広告枠がある中で、一つ一つ精査するのは現実的ではないので、まずはやってみるという考えでしたね。

その中で、ダウンロード単価に加え、ダウンロード後の動きも重視して、媒体を絞り込んでいます。Web広告を運用する中でわかったこととしては、オフライン広告の施策も重要だということです。

ペイモは割り勘アプリなので、利用するシーンが絞られてくるんですね。例えば、電車の中でスマホを見ていて、Facebook広告でペイモが出てきても、ニュースアプリなどと違って、その場でダウンロードする動機が働きづらいんです。

そのため、実際にダウンロードしてもらうには、まさに「飲み会などの場」がベストです。ですので、オンライン・オフラインでしっかりと認知をとり、実際の現場でダウンロードしてもらう、という形ができるように、マーケティング施策の位置付けを切り分けています。

例えばオフラインに関しては、飲食店のテーブル上に広告を掲載したり、タクシーのビジョン広告、電車のビジョン広告など、実際にペイモを使用する場との距離感を考えながら施策を展開しています。

数値は1時間単位でチェック!軌道修正の素早さが強み

このようにさまざなマーケ施策をスピード感を持って展開できるのは、我々のチームの強みかなと思います。

広告費・登録者数・ペイモ上でのトランザクション量などの、あらゆる指標をダッシュボードで可視化し、チーム全員で1時間単位でチェックする習慣がついていますね。

「今日の12時に数字が伸びているね」といった会話が自然と発生するので、それぞれの施策に対しての効果検証と軌道修正を、素早く行う体制ができているかと思います。

今後は、AnyPayとの連携なども視野に入れ、世の中の決済手段に大きなイノベーションを起こすサービスへと成長させていきたいですね。(了)

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