- ブレークスルーパートナーズ株式会社
- マネージングディレクター
- 赤羽 雄二
行動を変えるための読書術!成果志向のアクションリーディングとは
〜元マッキンゼーの経営コンサルタントが生みだした、能動的な読書術を紹介〜
仕事をしていると、新しい知識が必要になることは多い。特に、変化の激しいIT業界や様々な業種に携わるコンサルタントにとっては、新しい情報をインプットすることは必要不可欠だ。
そんなときに有効なのが、本を読むことである。ただ、限られた時間の中で適切な本を読み、具体的な行動につなげ、成果を生み出すのはやさしいことではない。
「日本発の世界的ベンチャー」を生み出し育てることを使命とする、ブレークスルーパートナーズ株式会社。同社のマネージングディレクターで、以前はマッキンゼーで経営コンサルタントをされていたという、赤羽 雄二さんは、これまで多数の書籍の執筆実績を持つ。
▼赤羽さんの執筆著書
今回は、「アクションリーディング 1日30分でも自分を変える“行動読書”」もご執筆された赤羽さんに、多忙なビジネスパーソンにとっての効果的な読書法をお伺いした。
マッキンゼーで14年。一人立ちするため、片っ端から本を読む
私は、コマツのエンジニアとして8年間、超大型ダンプトラックの開発を経験しました。うち2年間はスタンフォード大学大学院に留学し、その後マッキンゼーに転職して14年間、大企業の経営改革に取り組みました。
理系で、企業や経営に特別な興味が無かったところから、マッキンゼーの経営コンサルタントとして一人立ちするまで、ずいぶん本に助けられました。
最初は、ドラッカーなど経営に関する本を片っ端から読みました。新しいクライアントへのアサインメントがあるたびに、すぐに書店で関連分野の本をある限り購入し、数日で読んで準備しました。
いかに短期間でその業界、その企業の全体像をつかむかが重要ですので、本当に必死で読んでいました。「社長とは」「経営とは」という、理系のエンジニアには縁が遠いことに関しても、知らないではすみませんので。
「行動を変える」読書法、アクションリーディングとは
社会人になってからずっと、毎月10冊以上の読書を必達目標として、「今年は144冊読めた」「今年は130冊しか読めなかった」と、冊数を意識して行動していました。
冊数を確保するために、展示会への参加や、人に会うなど、本当はするべきだったこともかなり犠牲にしていました。「多読、乱読、積読は非常に良いことだ」と、信じて疑わなかったのです。
でもあるとき、ふと気づきました。「どうもこれはおかしい。ここまで無理して読書をして、何になるのだろうか」「他にやるべきことがあるのに、読書に時間を取られて、結局手をつけられていないのでは」と、急に思い始めました。読書にとらわれていたことが、本末転倒だと気づいたのです。
それ以降は、「行動するための読書とはどうあるべきか」を考え、成長するための読書の方法を研究してきました。
そこで自分が模索した、本の選び方、読み方、読んだ後の活用の仕方などを「アクションリーディング」にまとめ、今年5月に出版しました。
ビジネスパーソンが本を読むときは、たとえ小説であっても、100%娯楽というよりは、何かを得ようとされていることが多いと思います。 ところが、その期待と実際の行動にはギャップが発生しがちです。そこで、「もう少し自分の成長に役立つ読書があるのではないか?」という問題意識を持ったことが執筆の出発点になっています。
多忙なビジネスパーソンが読書時間を生み出すためには?
忙しいビジネスパーソンが読書の時間を生み出すには、大きく3つの方法があるのではと考えています。
▼多忙なビジネスパーソンが読書時間を生み出す3つの方法
ひとつ目は、毎日、例えば30分だけと時間を決めて読む、という方法です。朝でも夜でもいいですが、できればその時間をブロックして読みます。週5日だと2時間半、ちょっとした本であれば読めてしまいます。
ふたつ目は、通勤時間です。満員電車であってもスマートフォンで電子書籍を読むなら十分可能です。私はもともと電子書籍派ではなかったのですが、この便利さ、手軽さに気づき、必ず1つ2つはダウンロードしておくようにしています。
みっつ目は、週末です。金曜の夜から日曜の夜までには、本を何冊も読めるほどの時間があります。もちろん、家庭をお持ちの方はそれなりの制約があり、家族の協力がある程度は必要ですが、それを考えても時間があります。
また、「読書の習慣」をつけるためにお勧めなのが、仲間を募り、FacebookなどのSNS上に読書グループを作ることです。
本を読んで成長したい人同士が期間を決めて、興味のある本を読み、感想をシェアする場を作ることで、より計画的に読み進められるのではないかと思っています。
読むべき本がわからない人のための、「Googleアラート」の使い方
次に、どういう本を読むかですが、私は「関心のある分野」「関心を持つべき分野」に関しては、固め読みが良いと考えています。次々に本を読み、一気にその分野への理解を深め、自信をつけることができます。
私の場合、この数年でいうと「人工知能・AI」「愛着障害、発達障害」「国際関係、政治、紛争」などの、関心があったものの食わず嫌いをしていた分野を、固め読みしました。
そうは言っても、何に関心を持ったらいいかわからない、という方もよくいらっしゃいます。その場合にお勧めしたいのが「Googleアラート」です。Googleアラートに「ちょっと気になる言葉」を登録すると、毎日決まった時間に、過去24時間に公開された、その言葉を含む記事がすべて送られてきます。
▼気になるキーワードの情報収集に役立つGoogleアラート
毎朝それをさっと見て、特に面白そうな記事だけを読んでいくと、だんだん関心が深まりますし、自分が何に関心があり、何にあまり興味を持てないのかが見えてきます。
それを毎日繰り返すことで、関心のある分野や、その分野のキーワードが急速に浮かび上がってきます。それもまたGoogleアラートに登録します。
こうして毎日、最新の記事を眺めていると、優れた記事、わかりやすい記事、体系的な記事に出会います。その記事には、知っておくべきキーワードが含まれますし、読むべき本の紹介もよくあります。そこで紹介されている本を読んでいくわけです。
ちなみにGoogleアラートでは、日本語の記事、英語の記事などを指定できるので、英語の生情報にも触れるとよいと思います。ただそれだけのことで自信もつきますし、急激に関心が高まります。人に相談されることも増えて、好循環が始まります。
例えば、「ウェアラブル」に関する日本語の記事、「Wearable」に関する日本語の記事、「Wearable」に関する英語の記事と3つ登録することで見落としがなくなります。
▼見落としをなくす、日本語と英語の記事の見つけ方
そして、世界で何が起きているのか、ある程度以上の自信を持って話すことができるようになり、読むべき本も自然に見えてきます。
また、日本語に翻訳される内容は全体のごくわずかであることが分かり、日本語の本の限界なども痛感するようになります。
集中して本を読むコツは「環境」と「マーキング」
効率的に本を読むには、何といっても、集中して読める環境作りが必要です。「ながら読書」はうまくできません。
人間の頭はそういう風にできていませんので、割り切ってTV、音楽などを切って、30分でも1時間でも集中して読むほうがいいです。読む速さだけではなく、頭への入り方が違ってきます。生産性は2~3倍違ってくると思います。
同様に、その時間は携帯電話をオフにするか、どこかにしまっておき、ネットも切っておくことが重要です。ネットを切るだけで集中度がぐっと上がります。機内モードに切り替えるといいですね。
何が違うんだと思われた人は、ぜひ試してみると良いと思います。メールやLINE、Instagram、Twitter、Facebook などがいかに集中を妨げていたのか、気づかれると思います。
また、本は純粋に娯楽として読むもの以外は、できるだけ買って読むことをお勧めしています。「そんなお金はない」と言われる方もいらっしゃるとは思います。ただ、週1冊であれば月4冊になり、1、2回飲みにいく範囲で収まります。今はAmazonなどで中古の本も容易に購入できますので、その場合はさらに手軽です。
そうして買った本を読むときには、大切なところに黄色のマーカーでどんどん線を引いていきます。1ページで1~2行の場合もあれば、何箇所にもなる場合もあります。
▼大切なところはとにかくマーカーを引く
また、線を引いたページの耳を小さく折って、後ですぐに見つけられるようにもします。
▼後ですぐに見つけられるように耳を小さく折る
こうすれば、読書のスピードを落とさずに、大事な部分をハイライトして、後で大切なところだけ拾い読みできるようになります。
「攻めの読書」のために。アウトプットが行動を生み出す
「行動するための読書」として大切なことは、本を読んだら自分は何をするのか、どうなりたいのかを整理し、コミットすることだと考えています。
「チャレンジシート」というものに、
- この本を読んだ目的、ねらい
- 読んでよかったこと、感じたこと
- この本を読んで、自分は今から何をするのか
- 3ヶ月後には何をするか、どうなっていたいか
を読了直後にさっと書くとよいと思います。
それよりは、1ページに簡単にまとめて書くことで、あくまで「行動をどう起こすか」ということに焦点を当てます。小説や歴史、ドキュメンタリーなどでも、同じように書くことができます。
▼チャレンジシートに記すことで、行動につなげやすくなる
本は厳選して読み、読んだらチャレンジシートに書いて、行動していくと良いと思います。年に50ページ書くと、いろいろ実践してみるきっかけになります。
単に娯楽として、あるいは暇つぶしとして本を読むことも、もちろん良いです。でも、それよりもはるかに楽しく、充実して読んでいただくことができるのではないでしょうか。
「受け身の読書」「逃げの読書」ではなく、「攻めの読書」「行動するための読書」をしていただければと思います。(了)