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  • 古田 朋宏

アクセス解析ツールを使い倒す!シリコンバレーの本社訪問で学んだMixpanel活用術

今回のソリューション:【Mixpanel/ミックスパネル】

〜サイト上のユーザー行動を把握するために役立つ「Mixpanel」の使い方〜

WEBサービスの運営ではユーザーと対面する機会が乏しいため、ユーザーの声や行動といった情報をいかに取得してサービス改善に繋げていくかが課題となる。宿泊予約サービス「Relux」を展開する株式会社Loco Partnersでは、サイト上のユーザー行動を把握するためにアクセス解析サービス「Mixpanel(ミックスパネル)」を活用している。同社でCTOを務める古田 朋宏さんに、Mixpanelの活用方法、効果、そしてその背景にあるMixpanel, Inc.とのパートナーシップについて話を聞いた。

宿泊予約サービス「Relux」の運営にMixpanelを活用

弊社のサービス「Relux」は、厳選された高級宿の宿泊予約サービスです。そのWEBサイト上で、例えばランキングページからユーザーがどれくらいコンバージョンするのかといったユーザー行動を、Mixpanelを活用して解析しています。

実は先日弊社の代表がシリコンバレーに行った際に、Mixpanel本社にも訪問しました。全く面識はなかったのですが「今Mixpanelを使っているんだけどもっと活用したいから会って話を聞かせてくれ」と電話でお願いをして。すると心よく引き受けて頂いて、様々なアドバイスを頂きました…

より具体的な施策の効果測定のためにMixpanelを導入

そもそもMixpanelを導入したキッカケから話しますと、弊社に投資頂いているリクルートさんから紹介を受けたことです。グロースハックなどを含めた様々な技術的な支援を受けていた中で、より詳細なサイト解析のためにシリコンバレーでも多くの企業が活用しているMixpanelを導入するのはどうか、と提案をいただきました。

弊社としては当時からA/Bテストなどにも興味があったのですが、分析するほどのビッグデータがあるわけでもなかったので、ユーザー行動の解析にはGoogle Analyticsを使っていたくらいでした。タグを設定して予約数、会員登録数といったいわゆるKPIに対するコンバージョンを取っていたのですが、個別に打った施策がどう効いたのかというところまでは追えていなかったんです。なんとなく「悪くなっている気がする」と感じたら闇雲に施策を打って頑張っていたようなイメージでした(笑)。

そういった経緯で、まずは無料版を導入しました。そして今ではサイトのトラフィックが増えてきたこともあり、有料版に乗り換えて日々活用しています。

少ない工数で、サイト内のユーザー動線を詳細に解析可能

活用方法としては、ファネル分析(※サイト内におけるユーザーの遷移を把握し、ボトルネックを特定する手法)をメインで使っています。Mixpanelを使うとGoogle Analyticsではわからなかった、より複雑な動線までを追うことが出来ます。Reluxの例で言うと、検索結果から宿詳細のページを辿ってコンバージョンに至るまで、といったユーザーの動きを細かく見ることが可能になりました。

UIも非常に見やすいですし、非エンジニアでも簡単に分析ができる仕組みになっています。新しい情報を取得したい時もJavaScriptのタグを埋め込むだけなので、エンジニアが10分〜20分作業をするだけで済みます。従って、弊社のようなリソースの限られた環境でも十分に活用できるんですね。今はひとつの改善策に対して2週間くらい経過を見て分析し、また新しい施策を打っていく、というサイクルで運用をしています。

▼非常に見やすいUIの「Mixpanel」

シリコンバレーのMixpanel本社に訪問!新たな活用法を得る

先日、弊社の代表がシリコンバレー行く機会がありまして、その際にMixpanel本社にも行って具体的な活用方法を聞けないかという話になりました。そこで「今Mixpanelを使っているんだけどより活用したいから会って話を聞かせてくれませんか」とテレアポしました(笑)。すると快く引き受けてくださって、当日は営業責任者、技術責任者を含めた3人ものメンバーがミーティングに参加してくださったんです。

その場で弊社のマーケティングチームの分析体制も共有しました。例えば僕たちはFacebookを媒体として使っていて、それに対する分析にもMixpanelをかなり密に活用しています。そういった活動がかなり良いレベルだ、と褒めていただいて嬉しかったですね。そして今これだけ出来ているなら、もっと上を目指しましょうと。MixpanelはAirbnbやUberといった現地の有名スタートアップ企業でも使っているそうで、そのレベルを目指したいねという話になりました。すると帰国して数日後に、先方から100項目以上の改善案が書かれたExcelファイルが送られてきたんです。

▼実際にMixpanel本社より送付された改善案

訪問時に弊社のサービス概要について話していたので、その情報を元に「この機能に関してはこのポイントにタグを埋めてみたらいいんじゃないか」という提案が一覧になっていたんです。例えば、検索画面で「何件表示したか」という結果に対してのユーザーのコンバージョン結果の違いを算出する、といったようなことです。検索結果の件数によってユーザー行動が変わるということは考えてもいませんでしたし、「こんな使い方もあるんだ!」と感動しっぱなしでしたね。

その後も定期的に連絡をとりあってMTGをしています。弊社ほどMixpanelを使い倒している企業は日本ではまだまだ少ないようで、非常に協力的にご対応いただいています。

登録のコンバージョンが100%近くまで大幅に改善!

このように学んだことを活かしながら施策を打っていった結果、様々な数値が改善しました。特に大きかったのは、「ユーザー登録」のコンバージョン率です。実は以前は、登録のためのユーザー情報を入力する画面から、実際に登録ボタンを押すまでの過程で離脱してしまっている方がある一定数いらっしゃったんです。登録画面までは行っているので、本来なら100%に近いコンバージョン率になるはずだったのですが…。

そこで入力する項目の数を2、3個減らしたり、登録ボタンを常にブラウザの下に固定して表示するようにしてみた結果、コンバージョンを100%に近い数字へ持っていくことが出来ました。そもそもこの「ユーザーが離脱している」という課題にも、Mixpanelを使ってファネル分析を行っていく中で初めて気が付いたんですね。非常に大きな成果を出すことができたのでとても満足しています。

数字で見える「ユーザーの気持ち」を今後もサービス改善に繋げる

弊社でもMixpanelにはまだまだ活用できていない機能があるので、今後はそれをフル活用していきたいです。例えばReluxのサイト上のユーザー情報とMixpanelのデータを紐付けて、年齢や性別などの属性を考慮した分析を出来るようにしたいです。また、Mixpanelには一定の条件に当てはまるユーザーだけにターゲティングしてメールを送る機能もあります。「このページをこのタイミングで見ている人は、おそらくこれに興味があるだろう」という推測ができるので、それをメールマーケティングに繋げていくことも試してみたいですね。

WEBサービスというものは基本的にユーザーに直接会うことはできないので、どういった気持ちでサービスを使っていただいているのか把握することは難しいです。Mixpanelを使ったからと言ってそれが完璧に分かるわけではないのですが、データを見ていくことで推測が出来るようになっていきます。今後もユーザーの持っている背景やコンテキストをどう把握して、いかにマッチしたものを届けていくかということを常に考えていきたいですね。

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