- 株式会社ネットマーケティング
- メディア事業本部 サービス推進部 マネージャー
- 山中 美佳
離脱の原因は「最初の2日」にあり。ユーザー分析を活用した、Omiaiのサービス改善
今回のソリューション:【Repro/リプロ】
〜Facebookマッチングアプリ「Omiai」が、アプリ解析ツールReproを活用して、サービスの改善を実現している事例〜
Facebookを活用した恋愛マッチングアプリ「Omiai」。会員数150万人を突破した同サービスは、Facebookを活用したキャンペーンや、特徴的な広告で、多くのユーザーを獲得している。
順調に会員数を増やすOmiaiだが、登録したユーザーがなかなか継続しないという問題を抱えていた。ユーザー登録後に異性に「いいね!」を押し、マッチング、そこからメッセージの交換という動線を設計していたが、ユーザーは想定した通りには動いていなかった。
そこで導入したのが、ユーザー行動の分析ツール「Repro(リプロ)」だ。Reproを使うと、ユーザーのアプリ内での動きを分析できるだけでなく、ターゲティングしたプッシュ通知を送信したり、ユーザーの実際のアプリの操作を、管理画面上で動画で再現することができる。
「アプリの分析だけでなく、施策の実行までできるのがReproの良いところ」と語るのは、株式会社ネットマーケティングでOmiaiのマーケティングを担当する、山中 美佳さん。
今回は、山中さんに、Omiaiのマーケティングから、Reproを活用したユーザー分析、グロースハックの方法まで、詳しくお話を伺った。
▼ユーザーの実際の操作を動画で再現し、プッシュ通知も送れる「Repro」
Omiaiのディレクターから、マーケティング担当に転向
前職では、Webサイトのディレクションをしていました。当時展開していたサービスの特性もあり、1人で複数のサービスを同時にディレクションしていました。ただ、そのような体制だと、しっかりと見られないサービスが出てきてしまうんですよね。
そうやって多くのサービスに関わるより、もっと1つのサービスに腰を落ち着かせて取り組みたいと思い、Omiaiを運営するネットマーケティングに入社しました。
最初はディレクターとして入社したのですが、私が今後チャレンジしていきたい方向性も考慮していただき、今はマーケティングを担当しています。
Facebookを利用している方は見たことがあるかもしれませんが、Facebookに広告を配信したり、メディアとタイアップした企画を実施して、Omiaiのユーザーを獲得するといった業務をしています。
Facebook広告の活用により、ユーザー数を伸ばす
Omiaiは他のマッチングサービスと比較して、ユーザーの年齢層が少し高めです。その理由は、サービスのゴールとして「しっかりとしたお付き合い」というものを置いているからだと考えています。
▼Omiai サービスイメージ
実際にユーザー同士が付き合うまでには、登録し、異性に「いいね!」して、メッセージを送るという流れがあります。その流れの最初にある、ユーザー登録の部分にはFacebook広告を活用しています。男女それぞれで、どのようなクリエイティブ、文言が登録率が高いのかを検証しています。
ユーザー登録後の定着率が課題に…
ユーザーが登録した後、実際に付き合うまでにもいくつかアクションがありますが、やはり多くのユーザーが途中で離脱してしまいます。何をきっかけに使わなくなったのか、逆に使っている人はどのようなアクションをしているのか、しっかりと分析を行うことが課題になりました。
しかし、厳密に分析しようと思うと、エンジニアの工数がかかってしまいます。分析が必要だと分かってはいても、なかなか工数を割けていませんでした。
そんなときに知ったのがReproという、ユーザー分析ツールです。まずはこれを使って分析・改善をしていこうと考えました。
Reproの活用により、「最初の2日」に問題があることが明確に
Reproを使うと、実際のユーザーのアプリの操作を、管理画面上で動画で再現することができます。使い始めてすぐに分かったのは、登録直後に離脱してしまい、滞在時間がとても短い人が多かったということです。
ぱっと見て、数秒で離脱してしまう。ユーザーを獲得するために広告のコストもかけているので、この結果はショックでしたね。
ユーザーのリテンションについても分析してみると、最初の2日のリテンションがとても低かったんです。7日目や8日目になるとそこまで変わらないのですが、1日目と2日目は酷かったですね。
逆に、長く使い続けている人を分析すると、ログインの後に「いいね!」を押してくれるなど、何かしらのアクションをしていることも分かりました。
▼ユーザーの残存率が分かる、Reproの「リテンション分析」(画像はイメージです)
そのため、まずは1日目、2日目の離脱を抑えることを重要課題としました。最初の7日間のログインボーナスを厚くし、アクションを促すために、その日に「いいね!」ができる回数を増やしました。
結果的に、この施策で「いいね!」の送信数は上がり、マッチング数も向上しました。DAUも積み上がりましたね。
ユーザーの利用動画で、「第三者目線」を得る
もちろん、それまでも自分たちでサービスを実際に使ってみることはあったのですが、Reproを入れるまでは、実際のユーザーの操作について知ることはできませんでした。やはり自分たちだけだと、動線も分かっていて、第三者的な目線では見られないですよね。
ユーザーの操作を動画で再現するReproの機能でも、今後の施策に活かせるような気付きがありました。
▼Reproでユーザーの実際の操作を動画で再現できる(画像はイメージです)
例えば、男性は顔写真が並んでいる画面で「いいね!」を押す傾向がありました。なので、女性は画像をたくさん登録したほうが「いいね!」されやすいです(笑)。
一方、女性は個別ページまでじっくり見て、自己紹介文まで見てから「いいね!」を押す傾向があります。男女の違いが現れていますよね。
Reproは「分析から施策の実行まで」を一気通貫で実現するツール
分析だけでなく施策の実行まで結び付けられるのが、Reproの良いところですね。
例えば、自己紹介を詳しく書いているかどうかは、マッチングのための重要な要素です。なので私たちとしては、多くのユーザーさんに自己紹介を書いて欲しい。しかし、一度自己紹介のページをスキップしてしまうと、もう一度書くことを促すのは難しいと考えていました。
しかし、Reproなら、ファネル分析の機能で「自己紹介を書かなかった人」を抽出できます。そして、そういったユーザーだけに、プッシュ通知機能を使って「自己紹介を書くと、「いいね!」されやすくなります」というメッセージを送れます。
▼実際に用いられたプッシュ通知
こういった機能を活用した結果、自己紹介を書いてくれる人の割合は約5倍に伸びました。
ユーザーの抽出、プッシュ通知、自己紹介を書くページへの遷移といった施策を、全てReproで実現できてしまうのが凄いですね。
これを普通に実現しようと思うと、エンジニアの工数も使ってしまいますし、もし結果が出なかったらと思うと、なかなか踏み切れないところだと思います。でもReproを使えば、そんなことを気にする必要がなくなります。
今後もReproを活用し、検証に力を入れていく
Reproの開発元は開発力が凄くて、リリースも細かくどんどん機能が追加されていきます。私たちの細かい改善要望に対応いただくこともあります。
Omiaiは、ある程度分析が終わり、やることがクリアになってきた段階です。今後は、施策をたくさん検証していくことが求められています。検証するべきことは山ほどあり、何をやったら数字が上がるのか、その要素のようなものは見えてきているので、楽しみでもありますね。
今後もReproを活用して、ツールで解決できる施策はどんどん試していきたいですね。(了)