- 株式会社マナボ
- ディレクター Growth Hacker
- 塚本 洸介
SQLさえ書ければOK!ビッグデータを無料でグラフ化、数値分析を楽にする「Re:dash」
今回のソリューション:【Re:dash(リダッシュ)】
〜OSS「Re:dash」でアプリ・サービスサイトの数値情報を可視化し、ビジネスサイドのみで重要数値の取得から分析までを可能にした事例〜
Webサービスのディレクターは数値が気になるものだ。サイトへの来訪者数、この前打ったキャンペーンの成果、A/Bテストの結果など、知りたい数字を挙げればきりがないだろう。しかし、ディレクター個人が知りたい数字をその都度エンジニアに依頼していると、エンジニアの工数を圧迫してしまう。
BIツールの導入はひとつの手だが、いかんせん費用が高いことが多い。それでは、Webサービスを提供するスタートアップ企業はどうしたらいいのだろうか。
スマホ家庭教師「mana.bo」の開発、運用を行う2012年創業の株式会社マナボでは、無料のデータ可視化ツール「Re:dash(リダッシュ)」を活用することで、数値分析フローを大幅に効率化することに成功したそうだ。
その運用の前提には、ビジネスサイドのメンバー全員がSQLを扱うことができるという、同社の高いITリテラシーの水準がある。同社でディレクター兼グロースハッカーとして活躍する塚本 洸介さんにお話を伺った。
▼SQLさえ書ければビッグデータを無料でビジュアライズできる「Re:dash」
▼SELECKにおけるBigQueryとRe:dashの活用事例も公開中!
教育サービスの「王道」を行くマナボにジョイン
2012年に新卒でワークスアプリケーションズに入社し、eコマースに関わっていました。ただ、組織が大きくなって制度化が進んできたので、新しいチャレンジがしたいと思って新天地を探していました。
いくつか企業を見た中で、教育は最もITが進んでいない分野だと思っていたのと、マナボのサービスが教育の中でも王道を行っていると感じたので、2015年4月からジョインしました。現在は、ディレクターとしてビジネスサイドを担当していて、主に数値分析を担当しています。
サービスサイトの数値取得が大変 数値確認にタイムラグが発生
弊社はスマホ教育サービス「mana.bo」を運営しています。そしてサービス改善のために、生徒からの質問回数、ログインしている先生の数、質問に対して立候補した先生の数といった指標を、いくつか取得して分析するようにしています。
そういった数値を社内のダッシュボードで確認できるようにしているのですが、以前は毎回プログラムを書き、数値を取得して表示していたんですね。なので、ビジネスサイドから数値を取る要望が出る度に、エンジニアがコードを書いて、デプロイして閲覧できる状態を作らなければなりませんでした。
特に新しい施策を打ったときは測定すべき数値が多くあるので、その度にエンジニアに依頼が行くという感じになっていました。
ビジネスサイドとしては自分で数値を見たいときにすぐアクセスしたいという欲求があったのですが、それにエンジニアサイドが応えられない部分もありました。というのも、エンジニアはとにかくタスクが山積みで、リソースはどこまでいっても足りない状況なので…。開発の優先度の関係から、どうしても数値の取得は後回しになってしまうことが多々あったんです。
また、忙しい中でやっとコードを書いてもらってもバグが発生することもありました。日々数字を見ているビジネスサイドが「何かこの数字おかしくない?」と突っ込んで、よくよく確認すると間違っていた、という感じで。結果的に、正しい数値を見られるまでにタイムラグが発生してしまっていました。
Re:dashを導入し、各自がSQLを叩いて数値が見られるように
そこで、データを可視化するためのツールはないかと探し始めました。有料のダッシュボードサービスの利用も検討しましたが、明らかなスペックオーバーのBIツールか、機能が少ない割に金額が高いオンラインサービスしか見つけられず、自分たちで作ることも考えました。
そんな中で、たまたまネットで「Re:dash」というデータ可視化ツールを見つけました。Re:dashは、SQLのクエリを登録することで、様々なデータソースからデータを取得してダッシュボードにできるオープンソースです。
▼様々なデータソースから得た数値をビジュアライズする「Re:dash」
弊社はビジネスサイドの人間も全員SQLを叩けるので、使えそうかな、と思ったんです。実際にサーバーを立てて動かしてみて、社内でこんなのあるよって感じで吹き込んでいったら、徐々に使われるようになりました。
今では数値管理のダッシュボードをRe:dash上で作っていて、エンジニアがプログラムを書いて1つひとつの数値を取ってこなくても、それぞれのディレクターが欲しい数字をSQLで指示して取ってくるだけで済むようになりました。
プログラムで10分かかっていた作業⇒SQLでは10秒で
ビジネスサイドの人間がSQLを書いて数値をとってくると、それがRe:dash上でグラフとして可視化されます。エンジニアがプログラムを使って数値をとっていた時間が大幅に短縮され、データ取得までの時間も、肌感覚としてそれまで10分かかっていたものが10秒でできるようになった感じですね。
▼実際に同社が作成している、Re:dashのダッシュボード
ディレクターとしても、数値のグラフがリアルタイムに出てくるのでエクセルを使って加工する必要がなく、業務が楽になっていると感じます。
日々のリアルタイムの変化に気付きやすくなった
Re:dashを活用することで、日々の変化に気付きやすくなった気がします。例えば、テストの時期に質問数が伸びはじめるのですが、それがリアルタイムにグラフで分かるので、先生に対して呼びかけをする際の参考にしています。
また、数値に間違いがあったときに気付きやすくなりました。バグが出ているかどうかって、最終的にはエンジニア以外それを知りえないんですよね。数字がおかしいという事実がわかる人がいないと、バグがある状況のままで走ることになってしまう危険性があります。その点ではRe:dashを使えば、数値を取得するためのSQL文も確認ができるので、間違いがあるとすぐに分かるようになりました。
数字を見る社内文化の強化に貢献
そもそもなぜ数字をしっかりと見たいのかについては、CTOの山下の前職での体験があるかもしれません。山下は料理に関する大手のIT企業に勤めていたのですが、そこでは大量のA/Bテストが同時に走っていて、社内ブログでもその施策がうまくいったかどうかの大量の報告がなされていたようです。
そういった体制を作りたいな、というのがベースにあり、弊社でも数値を確認する文化が追求されてきました。Re:dashは数値を見るまでの時間を短縮してくれるため、施策を打った後の効果検証のスピード向上にも貢献していて、数値を見る文化を強化してくれていると思います。
Re:dashは、ビジネスサイドもSQLを叩ける組織にはオススメのツールです。今後も数値を追ってサービスを改善して、最高の教育サービスを作っていきたいです。(了)
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