- 株式会社ビズリーチ
- サービス企画部 マネージャー
- 小川 晋一郎
Webサイト上の数値データを自動で集計・グラフ化!意思決定を加速させた「Tableau」
今回のソリューション:【Tableau/タブロー】
株式会社ビズリーチでメディアプロデューサーを務める小川 晋一郎さんは、管理職・グローバル人材に特化した会員制転職サイト・ビズリーチ上で、求職者がより活動しやすくなるためのサービス改善を担っている。
そして、その改善を行うためには、「顔が見えない」ユーザーのWeb上での行動を数値化し、解析して課題を抽出することが必要だ。
その作業に必要な時間を削減するために、小川さんはBIツールの「Tableau(タブロー)」とアマゾン ウェブ サービス(以下AWS)が提供するデータウェアハウスソリューションの「Amazon Redshift(アマゾン レッドシフト)」を接続する方法を導入した。
データ分析の資料作成にかかる作業時間をほぼゼロにしたというその仕組みについて、お話を聞いた。
サービス改善のためにWeb上のユーザー行動を数値で「見る」
2014年の3月にビズリーチに入社しまして、今ちょうど1年と少しが経ちました。
現在所属しているサービス企画部に関しては、立ち上げから関わっています。求職者様がより活動しやすくなるように、ビズリーチのサイトのサービスを改善することがミッションです。コンテンツを作成する編集部と連携しながら業務を進めています。
サービス改善を行うためには、まずはサイト上のユーザーの動きを示すデータを抽出し、課題を洗い出す必要があります。我々はこれをモニタリングと呼んでいます。
ビズリーチはWebサービスなので、黙っていてもユーザーの動きは見えません。従ってデータを抽出して可視化し、数値やグラフで見ていくわけです。日次、週次ベースで見続けています。
400以上の指標をモニタリング Excel処理は限界寸前
実は今いる部署を立ち上げる前から、ビズリーチの経営指標のモニタリングをお手伝いしていました。
当時は毎週400以上の指標をデータ抽出して、Excelで集計して、加工して、グラフにして、資料に貼り付けての繰り返し。他の会社さんでもこのようなことをされているところは多いと思うのですが。毎週半日くらいはこの業務に時間を使っていました。
しかもExcelの調子が悪くてなかなかレポートが出ない時もあるわけです。あとは貼り付けた時にずれているとか、数字がおかしいとか、本当にいろいろ起こります。
1ヶ月位やって、「これは時間の無駄だ!」と(笑)。これがきっかけで、データを簡単にグラフなどにビジュアライズできる優れたBIツールはないものか、と探し始めました。
そして知人の紹介で「Tableau(タブロー)」のことを知って営業担当の方にコンタクトを取って、これは使えそうだなと。それに今まで知っていた他のBIツールよりも値段もかなり安かったですし。それでさっそく社内でプレゼンして、導入を決めました。
大量の数値データを自動でグラフ化するTableau
Tableauが優れているのは、今までデータをExcelに落として、グラフにして、という手作業で行っていた部分を、データ構造で判断して最適な形のグラフに自動でビジュアライズしてくれることです。
▼「Tableau」画面イメージ
また、グラフからすぐに生データに戻れるということも非常に便利です。
例えば会議で、大枠はグラフで見せられても、「ここはどうなってるの」と細かい部分を質問された時は元の生データに戻らないといけないですよね。
Excelを使っていた時は、そもそも指標が400もあるわけなので、そのまま貼り付けると何千万行というデータになってしまう状態で、貼り付けできるレベルを超えていました。
そのために一度データをSQLで集計して加工して、データ量を少なくしていたんです。すると、そのExcelを会議に持って行った時に、細かい部分を質問されてもすぐに対応できなくて…。「来週また持ってきます」ということになってしまうこともありました。
たったひとつの質問に、とんでもなく時間がかかっていたんですよね。
他にもちょっとデータ集計の切り口を変えたい、となったらまたSQLから書き直し。正直心折れますよね(笑)。生産性がすごく悪かったです。
Tableauは生データに直に繋げることができて、データ抽出の切り口の変更もその場でできてしまうので、生産性という意味ではかなり向上したなと。
作業量はほぼゼロに!データマートを構築しTableauを連携
導入後に、Tableauをもっと使い込みたいと思って、ユーザー会に参加しました。
その時にTableauをAWSのRedshiftに繋ぎ、Redshiftを「データマート」として利用している事例を見ました。データマートというのは、データウェアハウスの縮小版のようなもので、特定の目的に合わせたデータだけを取り出す仕組みです。
その「Tableau ✕ Redshiftのデータマート」という仕組みをそのまま導入させてもらったことで、今ではデータ解析にかかる作業量がほぼゼロになりました。サーバからデータをとってきて、集計して、ダッシュボード上に綺麗にビジュアライズするのが全部自動化されています。
▼「Tableau」ダッシュボードの画面イメージ
サービス改善の加速化へ データへのアクセスを社内に広く解放
この環境構築のおかげで現在、社内の人はTableau Readerを用いて基本的に誰でもダッシュボードにアクセスできるようになりました。
以前は本番サーバに直でアクセスしていたのですが、それだとセキュリティ的に触れる人も限られてきます。
Redshiftを活用して、個人情報の部分を抜いたデータをデータマートにしているので、多くの人が触れるようになりました。予測しない負荷がかかってしまって落ちたとしても、クラウドなので再起動すれば問題ないですし。
データを見ているのは、具体的には部門ごとに各KPIを追いかけているメンバーですね。
求職者様に関連するデータだけではなくて、採用する側の企業様関連にもいろいろなKPIがあります。スカウトをどれだけ打っていただいているかや、求職者様にどれくらい返信していただいているかなど。求職者様と企業様の両方を見る必要があります。そういった理由から、社内ではデータを必要としている人も多いですね。
数字はあくまでも土台。意思決定を加速化することが次のステップ
Tableau ✕ Redshiftという仕組みによって、以前は週に一度見ていた程度だった数字も、ほぼ毎日見るようになりました。そうすると、異変にすぐに気づくことができます。毎日の健康診断みたいな感じです。
でも最終的に、数字は意思決定の土台でしかない、と思っています。
その数字を解釈して次の一手を考えられる人を、もっと増やすことが今の興味ポイントです。数字という結果を受けてコミュニケーションをとって、意思決定に繋げる。このサイクルを早めていくことが大切だと考えています。(了)