- 株式会社マーケティングアプリケーションズ
- CTO
- 大山 陽耕
海外リモートメンバーとのスクラム開発、成功の秘訣は「ディスカッション」にあり
今回のソリューション:【Basecamp(ベースキャンプ)】
〜世界8拠点で行われるプロダクト開発を円滑に進める、「Basecamp」の使い方〜
海外に拠点を持つグローバル企業にとって、メンバー同士のコミュニケーションをどのように取っていくかは課題になる。特に多拠点での開発ともなると、プロジェクトを円滑に進めるための密な調整が必要だ。
市場調査やデータ集計などのマーケティング・プラットフォームを提供する株式会社マーケティングアプリケーションズは、日本本社をはじめとして、アメリカの2拠点とシンガポール、中国、韓国、フィリピン、ベトナムの8拠点を持つグローバル企業だ。
同社の開発体制は、多拠点・多国籍のメンバーで行うスクラム開発。それを円滑に進めるために使っているプロジェクト管理ツールが「Basecamp(ベースキャンプ)」だ。
「Basecampを導入することで、いい形でリモート・ディスカッションする場所を作れた」と語る同社CTOの大山 陽耕さんに、詳しいお話を伺った。
####▼リモートワークを円滑にするプロジェクト管理ツール「Basecamp」
エンジニアのスキルを活かしてグローバルなビジネスにジョイン
アメリカの大学を卒業後、日本のベンチャーでエンジニアをしていたのですが、2015年の7月に、マーケティングリサーチのグローバル事業に力を入れようとしていた、株式会社マーケティングアプリケーションズにでジョインしました。現在は開発のマネジメントを担当しています。
弊社は社員数で言うと50名ほどなのですが、特徴としては、日本の本社以外にも多拠点で事業を展開しています。現在はアメリカに2拠点と、シンガポール、中国、韓国、フィリピン、ベトナムの8拠点がありまして、そのうちエンジニアがいるのは中国、韓国、ベトナムの3拠点になります。
各業務に特化したチームを作るというよりは、多拠点でスクラム風に回す開発体制をとっています。日本では、主に事業的に必要な仕組み作りをしています。
多拠点開発による、各プロジェクトの進捗情報の分散が課題
日本のエンジニアは、普段から新しい情報やトレンドを取り入れるのが上手な人が多いように感じます。海外の他の拠点のエンジニアだと、最新の情報に触れる機会が少ないのか、ちょっと開発スタイルが昔っぽく感じることがあるんです。
今後、さらに拠点が増えていくにあたって、日本の物づくりの良さというか、高い技術力や情報力を持つ日本のエンジニアのノウハウを海外のエンジニアにも伝えたいという思いがあります。そこで2年ほど前から、リモートでのディスカッションをいかに活性化させるかを重要視するようになりました。
*多拠点・多国籍のメンバーで複数のプロジェクトを同時に回しているため、以前は話し合うことがある度に、関係するメンバーでその都度ディスカッションをしていました。
そうすると、各々の業務の進捗情報が分散してしまって、今どのプロジェクトが動いているのかを全体で把握できないという問題が出てきたんです。そこで導入したのが、プロジェクト管理ツールの「*Basecamp」でした。
プロジェクトを一元管理するために、「Basecamp」を導入
Basecampを導入したところ、プロジェクト単位でメンバーがディスカッションしている状況を一元管理できるようになりました。Bacecampの良いところは機能がシンプルで必要十分なところですね。Redmineも検討したのですが、逆に機能が多すぎて、多拠点で運用するのは難しそうだなと感じました。
また、エンジニアに限らず、営業やマーケティング担当、ディレクターといった多職種がディスカッションに参加するので、シンプルで使いやすいことは大切だったんです。
最初はBasecampを使うメンバーは日本人だけだったのですが、現在は海外拠点のメンバーの割合が増えてきて、共通言語である英語でのコミュニケーションが主になってきています。英語が話せなかった人も、勉強して頑張って参加しています(笑)。
リモートで話し合う場所ができ、海外メンバーとの距離が縮まった
Bacecampには、現在ディスカッション中のもの、開発が始まっているものなど、多くのプロジェクトが登録されています。例えばあるプロジェクトの場合、東京のエンジニアと、ロンドンにいる営業と、韓国のディレクターの3人がディスカッションしています。
終わったものについてはアーカイブとして残していくのですが、まだ放置されているものもあるので、今後運用ルールについてはしっかり作っていきます。
####▼プロジェクトを登録することでディスカッションができる
また、アカウントの管理や権限の管理はエンジニアが担当しています。一時期、GitHubを導入したことがあったのですが、ディスカッションに関わる全員がコードを見られるようにしてしまうのは安全性に問題があるなと。
そこで今ではディスカッションはBacecampにして、GitHubとしっかり分けて使うようにしています。
Bacecampを使う前は、いい形でリモートでディスカッションする場所を作れていなかったんですよね。導入によって、リモートのメンバーの話す機会が増えたことはとても良かったと思います。
多拠点ディスカッション成功の秘訣は、「心細さをなくす」こと
一方で、テキストをベースにしたコミュニケーションは、温度感が伝わりづらいという課題もあります。そこで、口頭だと一言二言で済むようなことも、テキストでは色々と気を使って文章を作るようにしていますね。
さらに、テキストだけのコミュニケーションが続くとリモートのメンバーが「東京のメンバーは何を考えているかわからない」と心細く感じるのではないか、と思っています。「業務を一緒に進めている」という雰囲気作りが必要なんですよね。
やはり顔を見て話をするのが一番安心するので、毎朝5分から10分、リモートの開発メンバー全員でSkypeのビデオ会議をしています。会議ではToDoの確認や、雑談なんかをしています。ベトナムの開発チームとは常時Googleハングアウトをつなぎ、、その他の拠点とのミーティングにはWebEXを使っています。
海外拠点が増えることで現地に合った細やかなサービスが可能に
多拠点でリモート開発することの良さは、海外向けのサービスの場合にローカライズがしっかりできることですね。やはり日本で作るよりも、現地の方が開発に携わることで、その土地に合ったデザインと運営が可能になります。
他にも、海外の拠点に持つことで、その国での事業展開が円滑になります。そこを足がかりとして営業活動ができることや、エンジニアが拠点にいることで、何かあった場合も現地での対応ができるメリットもありますね。
海外採用のエンジニアが増える中で、技術レベルの調整については、中途で入ってきたメンバーにテストを書いてもらって実装する作業を一緒にやってもらうOJTのような形をとっています。
今後もディスカッションを密にとりながら、近くで仕事している感覚でのコミュニケーションスタイルを維持していきたいですね。(了)