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「ユーザー体験を損ねない」Web広告をアドネットワークで実現!C CHANNELの戦略とは

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〜2人に1人が最後まで動画広告を再生する!?総再生数6億回を超える「C CHANNEL」、そのユーザーファーストな広告マネタイズ戦略の裏側を大紹介〜

Web広告は、アプリ・Webサイトのようなメディアにとっては貴重な収益源だ。しかし一方で広告は、ときにユーザー体験を妨げ、満足度を下げることにもつながる。

累計6億回を超える動画の再生回数を誇る、動画ファッションマガジン「C CHANNEL」を運営する、C Channel株式会社。

▼動画ファッションマガジン「C CHANNEL」

同社は「Facebook Audience Network(フェイスブック オーディエンス ネットワーク)」「LODEO(ロデオ)」などのアドネットワーク広告を活用して、ユーザーにマッチした広告配信と、再生完了率が最大で50%に達する動画広告で、高い収益性を実現させた。

しかしその背景には、ただ広告を配信するだけではない、ユーザーに配慮した工夫があったという。

今回は「C CHANNEL」のマーケティングを担当している鈴木 精介さんに、アドネットワークの選定から、運用の工夫まで、詳しい話を伺った。

SNSで拡散される「分散型」メディアとして成長を遂げてきた

私は2016年2月、C CHANNELに参画しました。現在は、C CHANNELの集客を中心にマーケティングに関わる業務を担当しています。

C CHANNELは、F1層(※)へ向けて、ヘアアレンジ・メイク・ネイル・料理といった「女性の興味があること」を、How To動画にして紹介しています。最近ではドラマやタレントを使った動画などにもチャレンジしています。

(※)F1層:20〜34歳の女性のこと。

C CHANNELの特徴は、アプリやWebサイトだけではなく、Facebook・Instagram・Twitterといった複数のSNSからもコンテンツを配信する「分散型メディア」であることです。

▼C CHANNELのFacebook公式アカウント

これまでも各SNSからコンテンツが拡散され、現在は合計の延べユーザー数が1,600万人に達しました。

ユーザー体験を損ねない、新たな広告配信が課題に…

私が参画した当時、C CHANNELは新しいマネタイズの方法を検討していました。

それまでのC CHANNELの収益源は、企業様からスポンサードいただく自社制作のネイティブ広告でした。例えば、ある化粧品や食品を紹介するためのネイティブ動画を、企画から制作、配信までをセットにして、販売するようなビジネスモデルです。

▼株式会社桃屋「ごはんですよ!」とのネイティブ広告

弊社はこうしたネイティブ広告以外のマネタイズに、アドネットワークを活用した広告配信を検討していました。

アドネットワークとは、メディアに広告を自動的に配信するシステムです。例えば、アプリ画面に表示されるバナー広告や、記事内に表示されるレクタングル広告などが、その典型ですね。

自社制作のネイティブ広告とは違って、広告主や広告代理店によって制作された画像、動画広告が流れます。

しかし弊社では創業以来、「ユーザー体験を重視した」サービスを大切にしてきました。ですので、邪魔になるような広告や、誤クリックを誘発するような広告をサイト上に貼ることはしたくなくて…。

そうした背景から、いくつものアドネットワークを検討し、最終的に「Facebook Audience Network(フェイスブック オーディエンス ネットワーク)」と、「LODEO(ロデオ)」を導入することにしました。

枠ではなく人をターゲティングして広告配信するアドネットワーク

Facebook Audience Networkは、静止画(画像)と動画タイプの広告配信に使っています。選んだ理由は、大きく2つです。

第一に、ユーザーの負担が少ない点です。Facebook Audience Networkは、Facebook社の提供するアドネットワークで、Facebook上の情報から、各ユーザーにマッチした広告を配信します。

その最大の魅力は「枠」ではなく「人」にターゲティングすることです。つまり「その人が最近、どんな物に興味があるのか」という情報をもとにして、広告が配信されます。これは他のアドネットワークと、全く異なる特徴です。

一般的にアドネットワークでは、配信する広告の内容が「F1層向けの広告枠」のように、その広告の「枠」によって決まっており、機械的に広告が配信されています。ただ、その仕組みでは、ユーザーの多様な興味に沿った広告を配信することは難しいですよね。

これに対してFacebook Audience Networkであれば、それぞれのユーザーが本当に興味のあるものを中心に広告が配信されますので、ユーザーの満足度が下がりづらく、さらに高い収益性があげられると考えました。

そして第二の理由は、C CHANNELがFacebookと非常に親和性が高いことです。

そもそもFacebook Audience Networkは、Facebookユーザーにしか広告を配信できません。ですがC CHANNELの会員は、他のSNSと比較してもFacebookからのログイン率が抜きん出て高いため、多くのユーザーをカバーすることができます。

他にもFacebook Audience Networkでは、多様な形式の広告を選べる点が魅力です。

そこで私は、通常のコンテンツのサムネイルの表示に近い形の広告を選び、ユーザーへの違和感をさらに減らすようにしています。

▼コンテンツのサムネイルに近づけた広告


その結果として、eCPMが最大で35ドルという実績も出しております。

(※)eCPM:「effective Cost Per Mille」の略。視聴数1,000回に対しての収益性を示す指標。

動画広告を、コンテンツの「後」に配信する、逆転の発想

その他にも、弊社は縦型の動画アドネットワーク広告も配信しています。

今は「LODEO(ロデオ)」という、サイバーエージェント社が提供する動画広告に特化したアドネットワークも利用しています。LODEOを採用した理由は、C CHANNELのUI、UXとの相性の良さです。

弊社の動画は、スマートフォンで全画面表示される縦型のものです。しかし、当時は縦型動画に対応したアドネットワークはほとんどありませんでした。

▼縦型再生に特化したコンテンツ

そんな中、縦型の動画広告の普及に、特に意欲的だったのがLODEOさんだったんです。ただ、動画広告は、画像・テキストタイプのものより、さらに配信の工夫が必要でした。

私たちは、「C CHANNELの動画が終わった後に広告が再生される」、エンドロールという手法を採用しています。実は、再生が完了した後の動画広告は、驚くほど再生率が高いんです。

実際にエンドロール広告の再生完了率は、40〜50%と非常に高い数字です。これは他の配信形態(数%~20%程度)を大きく上回ります。

▼動画広告がフルスクリーンで再生される


しかもスマホのフルスクリーンでCMを15~30秒も流せるため、非常に高い認知効果を上げることが出来ています。

ユーザーの「行動の切れ目」が、広告のベストタイミング

「動画の後」に広告を配信するという発想は、最初から持っていたわけではありません。サイバーエージェントさんと試行錯誤した結果、この形にたどり着きました。

そもそも弊社のコンテンツは、ユーザーの離脱率を最小限にするために、全ての動画の尺を1分程度にしています。しかし、プリロール広告(再生前に動画広告を再生するタイプ)では、広告を途中でスキップしてもその時間だけ、再生時間が必ず長くなってしまいます。

他にも色々なパターンを検討したのですが、いずれも広告が目立ちすぎてしまいました。


ヒントになったのは、PC・ガラケー全盛期に大手ポータルサイトを中心に流行った、「モンスター広告」と呼ばれるものです。これは、メールの送信「完了後」や、IDログアウト後、オークション出品「完了後」に表示される広告のことです。

ユーザーの行動の「切れ目」に表示される広告は視認性が高く、非常に高い効果が出て、当時は広告の出稿がエントリー制(抽選)になったりするほどでした。

ユーザーはコンテンツを見終わって一息ついたときに広告が流れると、目的が達成した「後」なので、暇であればつい見続けてしまうんですよね。例えるなら「YouTube」で目的の見たい動画を見終わったあとにも、他の動画を続けて見てしまう気持ちに近いのだと思います。

こうした心理をスマホのメディアに応用した、ということですね。結果として再生完了率も高く、今では弊社が窓口として純広告でも販売していますが、C CHANNELの動画の再生完了後の広告枠は、多くの会社から広告出稿について問い合わせが増えています。

ユーザーを想い続ける、「C CHANNEL」のメディア運営

もちろんエンドロール広告は、そもそも弊社の動画コンテンツが再生されなければ見てもらえません。

しかし、ユーザーが自分の見たいコンテンツを見終わった後に表示される広告のため、ユーザーの感じるストレスも少ないです。それでいて広告効果も高いため、ユーザーにも広告主にも健全な手法だと考えています。

こうした工夫もあって、C CHANNELは動画の再生回数が、6億回を超える規模まで成長しました。この経験を活かして、今も新たなマネタイズ手法について検討をしている最中です。

これからも今以上にユーザーのことを考えて、メディアを運営していければと思っています。(了)

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