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  • 代表取締役社長
  • 浮田 光樹

そのルーティンを疑え!職種の壁も越える「しらけない」働き方改革の進め方とは

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〜生産性の向上は、1人ひとりの意識改革から。ルーティンを効率化し、生まれた時間での新たなチャレンジを推奨する社内制度を確立した、ベンチャー流の働き方改革〜

ノー残業デー、フレックス勤務、テレワーク…。多くの企業が、このような働き方改革を行っている。しかし、こうした制度の導入は、生産性を高める本質的な解となっているのだろうか?

そんな中、「個」の意識改革から、働き方改革にアプローチするベンチャー企業がある。サイバーエージェントグループで、スマートフォン向けマンガRPG「ジョーカー~ギャングロード~」などのサービスを提供している株式会社アプリボットだ。

同社では2017年より、ルーティン業務の効率化と、生まれた時間での新たなチャレンジを推奨する制度「CR」を導入した。今や1ヶ月で生まれる効率化の取り組みは、20以上になるそうだ。

今回は、CRを推進してきた代表取締役社長の浮田 光樹さんと、統括本部の家門 真明さんに、CRのカルチャーを浸透させるまでの活動や、制度を運営していく上でのポイント、実際に生まれた施策まで詳しく伺った。

ルーティン業務を効率化し、生まれた時間で新たなチャレンジを!

浮田 アプリボットは、「世界震撼」をビジョンに掲げ、マンガRPG「ジョーカー~ギャングロード~」や学園ライフADV「グリモア~私立グリモワール魔法学園~」をはじめとするスマートフォン向けサービスを提供する会社です。

私たちのようなベンチャー企業は、常に新しいことにチャレンジし続けなければ生き残れません。しかし、日々の業務を抱える中で、チャレンジのための時間を作ることは簡単ではないのが実情です。

▼株式会社アプリボット 代表取締役社長 浮田 光樹さん

そんな中、労働時間を伸ばすのではなく、生産性を上げることでチャレンジし続ける体制を作るべきだと考え、「CR」という制度を作りました。「ルーティン業務(R)を効率化して、生まれた時間で新たなチャレンジ(C)をする」という意味を込めたワードです。

▼CRの概念図

CRのポイントは、「個」の意識を上げることに着目している点です。「こうすればもっと効率化できそうだ」ということを、1人ひとりが普段の業務で意識できるよう、会社として評価する仕組みを構築していきました。

浸透の第一歩は、「言葉が独り歩きする状態」をつくること

浮田 弊社では、役員がリーダーとなって会社のメンバー5名を選出し、経営・組織課題について1泊2日で議論する「みらい会議」というものを実施しています。CRは、この会議で可決された後、2017年2月よりスタートしました。今では、毎月20以上の優れた取り組みが生まれるなど、CRの意識がメンバーに根付きはじめています。

こうした取り組みは、いかにメンバーに浸透させるかが重要です。浸透させるためには、まずは言葉からだと思い、「CR」という言葉を広める活動を、家門を中心に進めていきました。

家門 「CRはこういう考え方で、こういうことなんです」と概念を伝えることは簡単です。

▼株式会社アプリボット 統括本部 家門 真明さん

しかし、ちゃんと理解してもらうためには具体性が大切なので、実際に現場に足を運び、ちょっとした効率化の取り組みでも「それってCRだね」と話しかけるようにしていました。

すると、だんだん社内で「CR」という言葉が独り歩きするようになったんです。

このタイミングで、「これがCRか」とさらに理解してもらえるように、CRの概念をポスターなどを通じて伝えていきました。

▼オフィスの入り口に貼られたポスター

また、毎日の朝会では、各チームのプロデューサーに、CRの概念や実施されている取り組みを発表してもらうようにしたんです。導入当初は毎日、各チームに出向いていましたね。

CRを「文化」にするため、上限人数ナシの表彰制度を用意

浮田 概念が浸透してからは、CRの取り組みをした人を「誉(ほま)れの対象」にしていくよう意識しました。3月からは、もともとの表彰制度にCR賞を組み込んで、毎月優れたCRの取り組みを発表するようにしています。

受賞者は他薦で決まるのですが、全社員250人中、50人ほどが毎回応募してくれていますね。

この賞のポイントは、順位を決めないということと、受賞人数の上限をなくしているところです。他薦された全ての人にCR賞が贈られます。

それだけでなく、「MCR(めっちゃCR)」という、特に優れたCRの取り組みも表彰しているのですが、これにも上限はありません。

上限を決めないのは、最終的にはCRを、全員が取り組む「文化」にしていきたいからです。

各自で持っているスキルや業務内容も違うので、取り組みの中身で優劣を判断することはせず、行動を起こしたこと自体を評価しています。

そして受賞した施策は、社内のディスプレイ上に流したり、ポスターにして掲載しています。

▼CR賞を受賞した取り組みが、社内のディスプレイに流れている様子

▼デザイナーにより制作された、優れたCRを伝えるポスター

こうした表彰で大事なのは、「しらけ」の排除だと思っています。250人もいれば、「CRなんて当たり前でしょ」「僕は大したことやっていない」といった意見が上がることもあります。

ですが、そういった声をマイノリティにして、大半の人がCRの概念に賛同している状態を作らなければ、全社を巻き込む施策はなかなかうまくいきません。

その意味合いで今回良かったのは、CRが可決されたみらい会議の場で、表彰などの具体的な施策までコンセンサスが取れたことだと思っています。

効率化が難しそうな「聖域」も、現場起点で改善

家門 日々「なんとなくルーティンになっている業務」ほど効率化すると効果的です。

例えば弊社のあるプロジェクトでは、開発した機能に不具合がないかを検証するため、毎日のように「テストユーザーアカウント」を作成して、何パターンも確認を行う必要がありました。

テスト担当の社員が毎回、そのユーザーアカウントを作成してテストを行なっていたのですが、1つのアカウント作成に10分程度かかっていたんです。1回10分ではありますが、ほぼ毎日、それも何度もやるので、実は工数的に相当大きいものとなっていたのです。

CRの取り組みを始めたことで、エンジニアがその問題に気づき、「テストユーザー作成ツール」を開発しました。その結果、1回10分かかっていたその作業を、30秒程度にまで短縮させることができたんです。

▼CRがきっかけで開発された、「テストユーザー作成ツール」の画面

さらに、それまでテストにかけていた時間を、クオリティアップのための企画立案などに使えるようになりました。プロジェクト全体で、サービス企画など、創造性を発揮できる仕事にうまく時間を使えるようになっています。

また、あまり効率化できると思っていなかった「イラスト」の領域でも、クリエイターからのアイデアで効率化に成功した事例があります。

彼らはイラストを描くとき、過去に描いたイラストを毎回調査して、作品が被らないようにしていました。その調査にかかっていた膨大な時間を削減するために、過去のイラストを簡単に検索できる仕組みが開発されたんです。

これは、CRという取り組みが始まるまでほとんど気付かれませんでした。CRをきっかけに、クリエイターから改善したいという声が上がってきて、エンジニアがツールを作ることで一気に解決したんです。

このように、現場からの声でどんどん施策が生まれてくるのは、非常に嬉しいですね。

エンジニアが集中できる時間を設け、1日で14のシステムを開発

家門 ただ、こうした施策のアイデアを実装するのは、多くの場合エンジニアです。もちろんエンジニアは担当しているサービスの開発もあるので、CRの依頼は対応したくても後回しになってしまう可能性があります。

そんな時、エンジニアのボードメンバーから「1回足を止めて、効率化の施策を集中して解決する時間を設けたほうがいい」という提案がありました。

そこで5月に、社内の全プロジェクトから代表のエンジニアを集め、「業務効率化につながる機能開発」だけを行うCRハッカソンを実施しました。

▼CRハッカソン 開会式の様子

約7時間弱のイベントだったのですが、その日だけで、14個もの業務効率化の新システムが開発されました。

このような時間を会社として確保することは、生産性向上に取り組むにあたって非常に大事だと、改めて感じましたね。

ルーティンを疑え!1人ひとりが「改善の可能性」を模索する組織を

浮田 業務効率化で重要なことは、「ルーティンを疑う」ことだと思っています。

例えば、イラスト検索に膨大な時間がかかっていたという話も、新卒のイラストレーターが入ってきたときには、それが「当たり前」として教えられてしまいます。そうすると、それがいつのまにか常識になってしまうんですよね。

そうした時、常識にとらわれず、「もっと改善できるかもしれない」という可能性を、1人ひとりが考えられるようになることが重要です。だからこそCRでは、「個」の意識を大切にしています。

ルーティン業務の効率化はできてきたので、今後はチャレンジの方も頑張っていきたいです。そこができないと意味がないと思っているので。

まだCRの取り組みは始まったばかりなので、文化としてもっと定着させられるよう様々な施策を実施していきたいと思います。(了)

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