• MAMORIO株式会社
  • 代表取締役
  • 増木 大己

在庫管理は丸ごとアウトソースする時代?「MAMORIO」の、徹底した業務効率化とは

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〜2017上半期Amazonランキング大賞・第1位!実はわずか6名の社員が運営する、落とし物防止タグ「MAMORIO」の、物流を中心とした業務効率化に迫る〜

「モノ」を扱うビジネスにおいて大きな課題となるのは、在庫管理、および物流の仕組みの構築と、それにかかるコストだ。

特にスタートアップの場合、コストを抑えながら、スケーラビリティを担保した物流機能を自社に備えることは、容易なことではない。

スマートフォンのネットワークを活用した、世界最小級のIoT紛失防止タグ「MAMORIO(マモリオ)」を開発・販売するMAMORIO株式会社。

実は同サービスは、わずか6名の社員によって運用されている。そのような体制を実現させている背景には、徹底した業務の効率化があるのだという

例えば物流アウトソーシング「オープンロジ」を活用し、在庫管理から出荷までを、完全に社内から切り離している。

また社内業務に関しても、社内チャットツール「Slack(スラック)」をハブとして、人の仕事をできる限り減らすよう、様々な工夫を行っているのだ。

今回は、代表取締役の増木 大己(ますき だいき)さんと、ディレクターの桶本 茂理(おけもと もり)さんに、同社の業務効率化の取り組みについて、詳しいお話を伺った。

「モノをなくした人」の課題を解決するために創業

増木 実はこの会社は社歴が長くて、前身である落し物ドットコムという会社から数えると、創業は5年ほど前になります。

当時は、MAMORIOというデバイスの構想は全くありませんでした。もともとは「落とし物ドットコム」という、落とし物で困っている人の役に立つポータルサイトを運営していたんです。

原体験としては、僕は以前、非常にセキュリティーが厳しい金融機関にいて。備品などをなくすと、金融庁に報告しなければいけなかったんですよ。

それで困っている上司や同僚を何度か見て、この「落とし物」という領域には、警察以外のサービスがないことに気が付き、Webサイトを立ち上げました。

ただ、全然マネタイズのことを考えておらず、2年ほど運営しても全然伸びなくて…。もうにっちもさっちもいかない、という状態になったときに、たまたま海外でBluetoothを使った製品がたくさん出てきていることを知ったんです。

この技術をうまく使えば、日本でも、物をなくした人の課題を解決することができるのではないか、と考えました。そして生まれたのが、MAMORIOです。

MAMORIOの名称は「お守り」から来ています。Bluetoothを使った紛失防止タグなのですが、弊社独自の機能として、みんなでモノを探す「クラウドトラッキング」ができることが特徴です。

▼Bluetoothを使った世界最小の紛失防止タグ「MAMORIO」

2014年の秋にまずはクラウドファンディングを実施し、そこから1年かけて製品化をして、2016年の初めに販売を開始しました。

たった6名の社員で、「モノづくり」ビジネスを展開

増木 現在の組織体制は、代表の僕と、開発がCTO含めて3名、それからディレクター、セールス、サポート、バックオフィスといった役割を担うメンバーで、社員は合計6名です。

よく、「人が少ないね」と驚かれます(笑)。モノづくりをしている以上、ハードウェア、アプリ、Web…色々作らなければならないので、人がたくさんいるだろうと思われるんですね。

ただ弊社の場合、いわゆる付随業務の部分を、かなり効率化・自動化しています。ですので、このようなコンパクトな体制でも、運営ができています

桶本 僕は現在、ディレクターという立場で仕事をしているのですが、もともとはUI/UXデザインが本業です。ただ今はかなり幅広く、PRやWebマーケティング、さらに物流の部分までを担当しています。

業務の効率化で言うと、特に物流の部分で、様々な改善を進めてきました。具体的には、以前は社内で行っていた在庫管理や梱包、発送の部分を、「オープンロジ」という物流のアウトソーシングサービスに外注しています

▼以前は社内で、すべての在庫を管理していた

経験して初めて気が付いた「在庫を持つ」ビジネスの難しさとは…

増木 オープンロジを導入した背景は、いくつかあります。そもそも、最初にクラウドファンディングを行った時に、商品を発送するタイミングですごく苦労したんですよ。

まずやはり、送料が高い。思ってた以上に、めちゃくちゃ高いんです。平気で600円、700円かかってくるので、5,000円の物を売ったら、10%以上が送料で持っていかれてしまうんです。

また、いざ200個の物を送るぞとなったときに、1つひとつ住所を書いて、間違いのないように送っていく作業も大変で。やってみて初めて、その難易度の高さに気が付いたんです

当時からアルバイトやパートの方に手伝ってもらっていたのですが、例えばその方が病気で1日休んでしまうと、それで1日出荷が遅れるような状態になってしまって。これではお客様の期待に応えることができていないな、と考えていました。

他にも、販路が拡大するにつれて、他の課題も出てきました。色々な小売店さんやECサイトに納品するとなると、それぞれのルールがあるんですよね。

段ボールにオリジナルのラベルを貼らないといけなかったり、表記にも決まりがあったり。作業としては難しいことはないのですが、これをじゃあ誰がやるのかっていう話になってくるわけです

スケールへの対応と明確な料金体系が魅力の「オープンロジ」

増木 そういった経緯から、物流のアウトソーシングを検討していました。ただ、そういったサービスを提供されている多くの会社さんでは、「詳細はお見積もり」という形になり、料金があまり明確ではないんですね。

そしてお話を聞くと、結局「毎月何個の商品を送るのか」という話になるんです。それを元にラインを組み立て、料金を計算するので当然かと思うのですが。

ただ、我々のようなスタートアップの場合、正直、何個送るのかわからないんですよ

今月は1,000個かもしれないけれど、来月は100個かもしれないし、その次には急増するかもしれない。新しい事業なので、毎月何個、ということははっきりと予測できないんですね。

その点、オープンロジさんは、料金がすべて明確なんです。倉庫への入庫料、保管料、出庫料という形で、それぞれが従量課金になっています。

また、月1個という少ない物量からでもアウトソースをお願いできて、物量の増加にも対応しています。このようにスケーラビリティを持っていることが、非常に魅力的だと考えました

そういった背景から2016年4月に導入を決め、そこからずっとお世話になっています。一番ボトルネックになっていた在庫の部分に関して、かなりフレキシブルに対応できる仕組みを作れましたね。

以前は社内で行っていた、入荷・出荷の作業を完全アウトソース

桶本 現在、基本的には、オープンロジを倉庫として在庫を保管させていただきつつ、出荷作業もお願いしている形になります。

入荷や出荷の依頼は、すべて管理画面から操作できるようになっています。また、今いくつ在庫があるのか、誰が出荷依頼をしていて、それが今どのような状態にあるか、といったステータスもすべて見ることができます。

▼実際に使用している、オープンロジの管理画面

例えば入荷で言うと、以前に他の倉庫さんともやりとりさせていただいたことがあるのですが、普通はかなりアナログなんですよね。

1週間前に1回メールして、前日にもう1回連絡して…と、かなり細かく連絡しなければいけないんです。

その点オープンロジさんは、Web上の管理画面で入荷から出荷までを手配できるので、非常に助かっています。出荷も、CSVファイルをアップロードするだけで依頼が完了します。

こうした作業は、以前はすべて社内で行っていました。その部分がゼロになったことで、僕自身を含めて、社員が本来行うべき業務に集中できるようになりました

さらに、以前は問題だった誤配送も全然起きなくなったので、その点もありがたいですね。

更なる効率化を目指し、オンラインアシスタント「CasterBiz」を活用!

桶本 さらに、効率をもっと上げるべく、出荷作業はすべてオンライン秘書サービスの「CasterBiz(キャスタービズ)」にお願いするようにしました。

CasterBizは、リモートで働くスタッフの方に、オンラインで業務を依頼できるサービスです。

実際に依頼しているのは、毎朝、前日の注文を集計、確認した上で、その注文をオープンロジに上げて出荷指示を出す、という仕事です。

業務フローについては、ドキュメント共有ツールの「Qiita:Team(キータチーム)」を使ってマニュアルを作成し、CasterBizさんと共有しています。

▼実際のマニュアルの一部

業務自体はシンプルですが、毎朝9時までに必ずきっちりやる、となると、なかなか厳しいんですよ。アルバイトの方を1人雇ってお願いするとしても、例えば遅刻で間に合わなかったり、病欠になってしまったり…。

CasterBizさんの場合は、そこに複数名の担当者をつけてくださっており、必ず作業自体は行われるようになっています

また、発送の部分でも、新しい取り組みを始めています。具体的には、「注文が入りました。商品名は◯◯、△個」というメールの文面が、CSVファイルに変換される仕組みを構築しました。

これによって、受注リストをCSVでダウンロードできないようなショッピングモールさんからの注文も、オープンロジへの出荷指示をすぐに出せるようになりました。

少人数だからこそ。社内業務もどんどん効率化を進める

桶本 このように弊社は、人数は少ないのですが、逆に誰でも同じ仕事ができるように、マニュアル化や自動化にはかなり力を入れています

増木 社内でも色々と工夫していますね。コミュニケーションにはチャットツールの「Slack(スラック)」を使っているのですが、様々なサービスと連携させて、業務を効率化しています

例えば受付に置いてあるiPadもSlackと連携していて、来客があると、Slackに通知があり、受付の様子がライブ動画で映されます。それを見れば、どなたがいらしているのかすぐに判断できます。

また、Slackのbotも色々作って活用しています。例えば、近所に電話かFAXでしか注文を受け付けていないお弁当屋さんがあるんです。

そこで、Slackと「eFax(イーファックス)」というサービスを連携させ、毎朝お弁当がほしい人の数を集計して、自動でPDFにして、FAX送信までを行うようなbotを作りました

▼「お弁当bot」がSlack上でお弁当の注文を集計する

出退勤も、Slackから打刻できるようにしています。「おはよう」と打つと、出勤になるようなイメージですね。

落とし物の「発見期待個数」を、これからも伸ばしていきたい

桶本 今後は、現状まだ効率化をしきれていない入荷の部分も、新しい自動化の仕組みを構築したいと思っています。

増木 僕たちが目指しているのは、社内では「発見期待個数」と呼んでいるのですが、なくしたものがMAMORIOのクラウドトラッキングによって見つかる、その期待値を上げていくことです。

現在、毎月の発見期待個数はおよそ数十万個程度になっています。

MAMORIOの流通数と、MAMORIO Spotという、駅や街に設置されている「MAMORIOが届くとお知らせが来る場所」を増やすことで、その数字をどんどん伸ばしていきたいです。

桶本 より多くのユーザーの方に使っていただけるよう、プロモーション施策も強化していきます。例えば今年の隅田川花火大会では、来場者のサービス向上を目的として、MAMORIO Spotを活用した「お忘れ物自動通知サービス」を提供します。

大会本部に設置する本サービスの専用アンテナがMAMORIOの利用者の忘れ物を検知すると、MAMORIO社のサーバーを経由して、持ち主に紛失物の位置情報を通知することができます。

増木 これからも「なくすを、なくす」ことを目指し、効率化できる業務はどんどん効率化して、良いサービスを届けていきたいと思っています。(了)

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