- 株式会社エイチーム
- 社長室 人材開発グループ マネージャー
- 菊池 武彦
人の魅力を武器に!年平均40%で成長し続けるエイチームの、人物重視の採用戦略
〜年平均成長率40%を誇る、名古屋発のベンチャー企業・エイチーム。組織にマッチする人材を選ぶための、人の魅力を武器にした採用戦略とは〜
「ヴァルキリーコネクト」をはじめとするスマホゲームや、引っ越し比較サイト「引越し侍」などを運営する名古屋発のベンチャー企業、株式会社エイチーム。
同社は1997年の創業後、順調に成長を続け、2012年には東証1部への上場を果たした。上場後の売上成長率は年平均およそ40%を誇り、営業利益も着実な成長を続けるなど、その躍進は止まらない。
▼同社の売上高・営業利益の推移
そして、その成長要因のひとつを「人」だと語るのは、同社の人材開発グループマネージャーの菊池 武彦さんだ。
実際に同社の社員数は、直近5年間で倍増し、現在は647人が在籍している。(※2017年4月末時点)
地方発のベンチャー企業でありながら、それだけの人材をどのように採用していったのだろうか? 今回は菊池さんに、自社に合った人材の見分け方からその惹きつけ方法まで、詳しくお伺いした。
13年連続増収の要因は、一緒に頑張りたいと思わせる「人」にあった
私は11年ほど、人材紹介の会社で営業をしていました。そのとき、たまたまエイチームを担当することになったんです。
そして採用支援を行う中で、エイチームの社員1人ひとりが仕事に向き合う姿勢に、次第に引き込まれていきました。会う人会う人が、「この人のために一緒に頑張りたい」と思わせられる人ばかりだったんです。
こうした人の良さや組織文化を維持しながら、会社をさらに成長させていきたい。そう思い、2012年の11月に、エイチームに入社しました。今は、人材開発グループで中途採用や人材育成などを担当しています。
ありがたいことに、現在エイチームは13年連続で増収しております。また、グローバルでの売上比率もエンタメ事業で見ると20%と、海外展開も順調に進んでいます。
その要因はまず、エンターテインメント・ライフスタイルサポート・ECと、3つの事業ポートフォリオが上手くバランスを取れていることだと思います。そしてもうひとつ大切なのが、やはり「人」です。
弊社は、「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」を経営理念として掲げています。
メンバーは、これを実現しようという当事者意識が強く、チャレンジ精神に溢れた人ばかりです。私が入社した当時から今まで、一丸となって会社の成長に取り組んでいます。
人の魅力を武器に。社員との交流を通じて、カルチャーを伝えていく
こうした人の魅力や組織文化を維持するため、弊社では、人物面を重視した採用に力を入れてきました。
私たちの場合はまず、実際に働いている社員との交流を通じて、応募者の方にエイチームという会社を理解・共感してもらうことを大切にしています。
例えば各地で行われる採用セミナーには、社長や取締役が自ら出向き、経営理念や事業の展望についてお話しさせていただいています。
また、新卒向けに開催しているインターンでは、特に社員との接点を多く設けています。
▼19卒向けインターンシップの様子
インターンのプログラムは、学生同士でチームを組んでゲームやWebサービスを作り、それをコンテスト形式で競うというものです。その過程で、各チームにメンターという形で社員が加わり、学生の近くで仕事の進め方などをサポートするんです。
参加した内定者からは、「お互い認め合いながら仕事自体を楽しんでいる社員の方が多かった」「『チームで勝ちにいく』という文化を強く感じた」といったフィードバックをもらいました。社員との交流を通じて、エイチームのカルチャーを感じ取ってもらうことができたのだと感じています。
このように、弊社の魅力は「人」だからこそ、社員との接点を作ることが惹きつけに繋がると考えています。
「採用」の目的は、単に労働力を確保することではない
また、選考にあたっては、経営理念への共感、そして企業文化に合う人材の採用を心がけています。
▼同社の経営理念と、大切にしているマインド
そのため面接では、スキルだけでなく人物面も重視しています。
面接官は、人事である私たちではなく、各職種の責任者クラスや部長クラスにお願いすることで、候補者の人物面をバランス良く見られるようにしています。
しかし、ただ任せきりにするのではなく、新しく面接官に入る社員には面接研修を行い、エイチームの採用基準やどのような面を見て欲しいかなどを理解してもらっています。
弊社の採用フローは基本的には2回で、各事業部の責任者クラスを経て役員面接という流れです。
また、週末には1日で内定まで出す採用セミナーも行っています。IT業界は応募者も忙しいことが多いので、1日で役員面接まで進む形は効率的ですし、お互いにメリットがあると考えているので、そうした点は柔軟に対応するようにしています。
エイチームにおける「採用」は、単に労働力を確保することを意味しません。エイチームグループの成長を加速させるため、エイチームの理念に共感し、その達成に尽くせる方々に入っていただくことこそ、採用の目的だと考えています。
そのため面接では、エイチームの理念や目指しているものと、本人の想いをすり合わせて、弊社でのキャリアプランを描けるかどうかをお互いに見ています。
高いエンゲージメントを誇るエイチームの職場環境とは
弊社では、こうして採用した人が活躍できるよう、「職場の質」にもこだわっています。
例えば、「情報のオープン化」を重視しています。会社がどうあるべきかを考えようと思っても、現在の売上や事業の成功理由といった経営に関わる情報がわからないと、適切な判断ができないですよね。
弊社では、会社の経営をオープンにするため、週に1度全社ミーティングを行い、各事業部からの進捗や近況を報告しています。毎月の売上や利益などの財務状況も月次で全社向けに報告しています。
また、「コミュニケーションの活性化」にも力を入れています。本社には、オフィス空間に仕切りを設けていません。ビルの30階から32階までを借りているのですが、専用の階段とすべり台を作り、フロアもぶち抜いています。
▼フロアが異なってもコミュニケーションが生まれるよう、すべり台が設置されている
他にも、社員食堂の設置や、懇親会代の補助など、他部署とのコミュニケーションが生まれやすくなるよう工夫しています。
▼社員食堂でメンバー同士が交流している様子
また、「適材適所」も進めています。2年ほど前からクラウド人材管理ツール「カオナビ」を導入して、各メンバーのキャリアプランを可視化しているんです。
会社の期待するものと本人のビジョンを、私たち人事が間に入って整理しています。
まだまだこれからの部分もありますが、キャリアプランをもとに配置換えなどを柔軟に行うことで、社員1人ひとりが成長していける環境を実現したいと考えています。
こうした活動の結果として、実際、社員のモチベーションもかなり高くなっています。
弊社では、「みんなで幸せになれる会社にすること」という経営理念の実現度を図るため、リンクアンドモチベーションさんの「モチベーションサーベイ」というモチベーション数値化ツールを導入しています。
年2回、会社、仕事、上司、職場の4つの観点で、社員1人ひとりの期待度と満足度を計測しているのですが、昨年開催された「ベストモチベーションカンパニーアワード2017」では、5位にランクインすることができました。
▼ベストモチベーションカンパニーアワード2017授賞式の様子
組織のモチベーションや課題が可視化されるようになったので、職場環境を良くするための改善アクションも、より具体的に考えられるようになりましたね。
1,000億の売上に向けて、組織・人材開発の面からサポートしていきたい
今後は、まずエイチームとして1,000億円の売上を目指していこうと思っています。そのため、既存の事業の拡大はもちろんですが、新規ビジネスにも挑戦していきたいと考えています。
そうした経営戦略を実行するため、そして、これからも会社を成長させていくため、人事として、組織・人材開発の面からサポートしていきたいと思います。(了)