• 株式会社サイカ
  • 執行役員 CCSO カスタマーサクセス部 部長
  • 高橋歩

カスタマーサクセスは「攻め」ではなく「伴走」。顧客を成功へ導く最短ステップとは

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〜顧客とゴールを握り合い、そこに至る道筋を共に歩いて行く。大企業での経験を基に培われた、カスタマーサクセスの哲学をご紹介〜

様々なビジネス向けITツールや、ソフトウェアの普及が広まっている。そしてそれに伴い、顧客がその製品を活用し、課題解決を実現するまでをサポートする「カスタマーサクセス」という役割が注目を集めている。

オンライン・オフラインのマーケティング施策の効果を可視化する統合アトリビューション(※)分析ツール「XICA magellan(サイカマゼラン)」を提供する株式会社サイカの高橋 歩さんも、その役割を担うひとりだ。

※成果に至った最終の経路だけではなく、すべての要因を分析することで、成果への貢献度を測ること

高橋さんは、顧客の問い合わせに「対応」することがカスタマーサポートだとすると、ゴールを顧客と共有し、その達成に向けて「伴走」することがカスタマーサクセスだと語る。

今回は、マゼランの導入・活用プロセスを事例として紹介いただきながら、カスタマーサクセスに必要な考え方について、詳しくお話を伺った。

サービスの最大活用を目指し、導入プロセスの改善を繰り返す

僕はソフトバンク・テクノロジー、楽天、Kaizen Platformを経て、昨年12月に入社し、執行役員 CCSO(チーフ・カスタマーサクセス・オフィサー)に就任しました。

現在は、マーケティング施策の統合アトリビューション分析ツール「XICA magellan(サイカマゼラン)」(以下マゼラン)のカスタマーサクセスチームを率いています。

マゼランはオンラインに加え、クッキーデータのとれないオフラインマーケティングの効果測定を実行できるツールです。

主にテレビCMなど、オフラインのマーケティング施策に積極的に取り組まれている企業をターゲットにしています。

マゼランは統計を活用したデータ分析をするため、多くのお客様にとって初めての経験になるだけでなく、データを「集める」「分析する」という導入プロセスが必要で、ある程度の準備や期間を必要とします。

そのため、これらの実行をサポートするカスタマーサクセスの役割はとても重要であり、2016年9月のリリース後から、その導入プロセスを繰り返し洗練させてきました。

キックオフ時に「レポートイメージ」を提示してすり合わせ

僕たちは契約が決まった後のプロセスを、ふたつに分けて考えています。

まず最初は、「マゼランで何をするかを決める」「データ収集など、レポートを作成するために必要なアクションを実行する」という導入フェーズです。

そして次に、「お客様がサービスを使えるようになる」「成果が出る」という活用フェーズです。

はじめのフェーズである「マゼランで何をするかを決める」で大切なことは、営業時の伝え方です。

決して「何でもできますよ」ではなく、「この機能を使うと、こういうことがわかるので、それがこう役立ちますよね」と伝えて、具体的なユースケースのイメージを持っていただくようにしています。

そして、期待値を合わせるために最も重要なのが、関係者を集めたキックオフミーティングです。

ここでは、マゼランの使い方を説明するだけでなく、その先にどんなことをしたいのか? という、お客様のニーズを聞き切ることを大事にしています。

さらに、営業時にヒアリングした情報を踏まえて、具体的なレポートイメージもお見せして、互いの認識をすり合わせるようにしています。

▼マゼランでアウトプットされるレポートのイメージ

※各画像は、高橋さんが作成された資料「カスタマーサクセス部立ち上げ奮闘記」より引用

このようなプロセスを経ることで、サービスの利用開始後にお客様の想定と異なるアウトプットが出てしまうことを防いでいます。

自社と顧客、各担当者の役割をはっきりさせることが重要

そして次に、「レポートを作成するために必要なアクションを実行する」というフェーズに入ります。

ここでは、お客様と僕たちの役割の棲み分けを明確にすることがとても重要です。   開発初期のマゼランは、ツールだけでできることが多くなかったので、代わりに僕たちが作業をしてレポートを出していた時期もありました。

ですがそれですと、お客様自身がマゼランを使いこなせるようにならないので、結局サービスを提供している意味がないんですよね。

そのため、キックオフ時に「お客様には、ここからここまでをやっていただきたい。そして、この部分は我々がサポートしますよ」という風に、しっかりと伝えています。

また、お客様側のご担当者様に、それぞれの役割を認識していただく事も重要です。

レポートを作るには、まず社内にあるデータを集める必要があるのですが、それらのデータは部門ごとに管理されていることが多いんですね。

そのため、必要なデータをリストアップして、どの部門の誰々さんにこのデータを入れてもらって...という社内調整が発生するんです。

特に大きなプロジェクトチームになるほど、この役割が曖昧になりがちで、浮いてしまう業務が発生しやすいです。ですので、役割を明確にすることはとても重要なポイントになります。

「最初の成功体験」に至るまでのステップは、できる限り少なく

こうして、「何をするかを決める」「レポートを作成するために必要なアクションを実行する」という導入フェーズが終わると、次は活用フェーズに入ります。

この活用フェーズに入ると、レポートが完成するという形で、初めて成果が目に見えるようになります。

例えば、「テレビCMがWebサイトの売上に与える効果」といった、これまでは見ることができなかった情報が可視化されるので、レポートを見た瞬間、お客様には必ず盛り上がっていただけますね(笑)。

マゼランのようなSaaSのソリューションは、導入から活用までが早ければ早いほど、価値を感じていただいて定着しやすくなります。ですので、最初の成功体験までをいかにスムーズに進めるかは非常に重要です。

そのため、成果が出るまでにお客様が行うことを、できる限り減らしてあげるようにしています。

例えば、マゼランでは集めたデータをアップロードする前に、エクセル上で整理する必要があるのですが、分析対象のデータが多くなるほど、設定の確認作業にも時間がかかってしまうんですね。

この作業を少しでも楽にするために、関数を組んで自動入力できる項目を増やしたり、入力を間違えた時のエラーメッセージをわかりやすくするといった、細かい改善も行いました。

このように、導入プロセスの中で発生する作業の負担を減らすことで、最初の成功体験にできる限り早く到達してもらえる工夫をすることが大切だと考えています。

見るだけのレポートにしない。事例を共有し、アクションを喚起

そして成果が出た後は、「継続的にお客様側で使えるようになる」ことを目指します。

その時のポイントは、「レポートを継続して見てもらえるか」「次のアクションを実行してもらえるか」だと思っています。

というのも、レポートを見るだけで何にも活かすことができなければ、マゼランを使う価値がありません。

例えば、「もっと、Facebook広告にお金をかけて運用した方がいいですよ」とレポートに出ていたら、実際に投資比率を上げて、翌月にもう1回レポートで確認する。その効果検証を続けていただきたいんです。

ですので、お客様をどう次のアクションに結び付けられるか? という点はすごく気にしています。

例えば、「どういう使い方をすれば、どのような価値が出るのか?」という成功事例をお客様から集めて、シェアしていく取り組みを特に強化していますね。

「お客様を主語に」会話ができるチームを作ることも重要

また、カスタマーサクセスの役割として他にも重要なのは、社内の全メンバーがお客様を主語にした会話ができるようにすることです。

というのも、お客様が上手くマゼランを活用できていない時に、「カスタマーサクセスがちゃんと説明していないからじゃないか?」といった形で、他責で話をしていても問題解決には繋がりませんよね。

そうではなく、お客様の状況を僕らが理解して、同じ立場に立って物事を考える必要があります。

そのための施策として、例えば、みんなでマゼランを使ってみる「みんマゼ会」を実施しました。実際にお客様が行うアクションを、社内のメンバーにも経験してもらったんです。

統計初心者のメンバーなどはヒーヒー言いながら、データをアップロードしていましたね。

▼「みんマゼ会」の様子

また、お客様の情報を社内に共有するために、お客様ごとに「Slack(スラック)」のチャネルと「スプレッドシート」を作成し、社員全員がアクセスできる状態にしています。

▼プロジェクトごとにSlack上でチャンネルを作成

スプレッドシートでは、導入の進捗に加え、プロダクト改善に活かせそうな情報も蓄積しています。

例えば「どの機能に対しての要望か」「お客様から言われたのか、自分たちで気づいたのか」「それによって実現したいことは何か」「具体的な改善アイデア」といった項目で、メモを残しています。

これを踏まえて、CSとエンジニアの定例ミーティングで、どの改善を実際に進めるのかを話して、プロダクトの改善を進めています。

カスタマーサクセスは、カスタマージャーニードリブンな存在

このように、お客様の成功体験のお手伝いをさせていただく中で、僕が非常に大切だと考えていることがあります。

それは、お客様とゴールを共有して「伴走」することが、カスタマーサクセスの役割だということです。

最近、「攻めのカスタマーサクセス」という言葉をよく聞くのですが、僕はちょっと違うんじゃないかなと思っていて。

カスタマーサポートをリアクティブ、カスタマーサクセスをプロアクティブというふうに表現している書籍があって、おそらく、それが背景にあるのではないかと思います。

ただ僕の中では、あくまでも「攻め」ではなく「伴走」なんです。要はお客様が目指すゴールがあって、そこに対する道筋を一緒に歩いていくことが、僕たちの役割なんですよね。

つまり、カスタマーサポートがインシデントドリブンに問い合わせ対応をしていく役割だとすれば、カスタマーサクセスは「カスタマージャーニードリブンに動く」存在なんだと考えています。

▼課題ではゴールに向き合うことが重要

マゼランであれば、何のために分析を行うのか? を互いに共有できていないと、結局、レポートを出して終わりになってしまいます。

そこをしっかり握り合っていれば、ゴールにたどり着くまでに苦労があったとしても、「この人とだったら頑張ってやろう」と思っていただけるのではないでしょうか。

現状、直接お客様とコミュニケーションを取る役割は、私を含めて3名体制です。

ただお客様もどんどん増えてきているため、今後はぜひ新たな仲間も迎えて、よりお客様の成功に向けて伴走できるカスタマーサクセスチームを作っていきたいですね。(了)

※ご参考資料

高橋さんが作成された資料「カスタマーサクセス部立ち上げ奮闘記」はコチラ

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