• 株式会社岡村製作所
  • 未来企画室 室長 兼 WORK MILL 編集長
  • 遅野井 宏

オフィスでの「働き方」をウェアラブルデバイスが可視化!岡村製作所の働き方改革とは

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〜「経験や勘」だけに頼っていては、働き方改革はできない。岡村製作所の、「Apple Watch」と「JINS MEME」を活用した働き方検証を紹介〜

1945年の創業後、オフィス家具の製造や、オフィス設計などの領域で業界をリードし続けてきた、株式会社岡村製作所。

同社では、「新しい働き方」の創造と発信を行うための、様々な活動を実施している。

例えば2015年には、これからの「働き方」を考え、発信する「WORK MILL(ワークミル)」プロジェクトを開始。2017年9月27日にはForbes JAPAN編集部とのコラボレーションによる、紙媒体の発刊にも踏み切った。

そんな同社が現在取り組んでいるのが、スマートウォッチ「Apple Watch」と、集中を見える化するアイウェア「JINS MEME」を活用した、従業員のオフィスにおける働き方の検証だ。

▶「集中」を可視化するメガネ「JINS MEME」の開発秘話をご紹介した記事はこちら

2種のデバイスを通じ、オフィスワークにおける個々の姿勢や運動量、集中度などを計測することで、健康的で生産性が高い働き方を実現することを目的としているという

この取り組みを通じ、実際に「集中」が可視化されたことで、各メンバーが自分なりの仕事の進め方・組み立て方ができるようになり、自律的な働き方の実現にもつながっているそうだ。

今回は、WORK MILLのプロジェクトリーダーを務める遅野井 宏さんに、同社の働き方改革の取り組みについて、詳しいお話を伺った。

「集中」や「効率化」の領域は、個々の経験や勘に依存している

いま「働き方改革」が叫ばれている中で、やはり大きなキーワードになるのは、働き手1人ひとりがいかに自律的に働いていくか、ということだと考えています。

ですがその一方で、仕事に対する「集中」や「効率」を定量的に測れる手段は、これまでなかったんですよね。

「自分はどうしたら集中モードに入れるのか」ということは、基本的にそれぞれの従業員の経験や勘に基づくもので、ブラックボックスに包まれていたと思うんですよ

そうなったときに、「今の自分の状況をモニタリングできる」という意味で、ウェアラブルデバイスに非常に価値を感じていました。

また、私たちはオフィス空間をつくっている会社です。例えば「この空間は集中に向いている」といったことを図面上に表していくわけですが、そうやって設計したものに果たして本当に効果があるのか、ということまでは、なかなか計測できていなかったんです。

そこで、自分たちがまず自分たちの集中力を計測することで、そこで集まったバックデータを研究して、空間提案にもつなげていくことが可能なのではという期待がありました。

こうした経緯から、Apple WatchとJINS MEMEを活用した、今回のプロジェクトをスタートしたんです。

オカムラ発の働き方変革プロジェクト「WORK MILL」とは

私は現在、マーケティングの部門の中の、「未来企画室」の部門長をしています。

未来企画室というのは、弊社の「WORK MILL(ワークミル)」というプロジェクトを専任で動かしているチームです。兼務のメンバーも含めると、全体で30名ほどが関わっています。

WORK MILLは、個人や組織のこれからの「働き方」を考え、発信していく活動です。

プロジェクトの大きな枠組みはふたつあります。まず、メディアを作ることで、新しい働き方に関しての情報発信を行っていくこと。Webマガジンを定期的に配信するだけでなく、ペーパーマガジンも発刊しています。

そしてもうひとつは、新しいイノベーションが起こるような共創空間を企画運営することです。

オカムラはもともと、35年前に「オフィス研究所」という機能を立ち上げました。自分たちで働き方に関する研究や実験を行いながら、それをビジネスに生かしてお客様に届ける、という活動自体は、ずっと行っているんですね。

例えば、人間工学の研究成果が椅子の設計に活かされたり、様々な形でその研究がオカムラの製品やサービスに活かされています。

ただこれまでは、その研究の方向性は「家具の作り方」と、「空間の作り方」の2系統が中心だったんです。ですが、時代の流れの中で、やはりもっと働き方や生産性に向けたリサーチも重要になってきました

そのような背景から、あらゆるワークスタイルを研究し、常識にとらわれないワークプレイスを創造するために、オカムラ発の働き方変革プロジェクトとしてWORK MILLが立ち上がりました。

Apple WatchとJINS MEMEによって、「生産性」を測る実験を開始

そもそもJINS MEMEには、プレスリリースが出た当時から注目していました。

眼鏡という、デバイスとして非常に興味深いものが出てきたなと。そして、それをApple Watchと連携させることで、リアルタイムに集中力のようなものが可視化できるということで、それではスタートしてみようということになりました。

大きな目的としては、JINS MEMEを使って「集中」をデータとして可視化すること、さらにそれをApple Watchで計測できる活動データと照らし合わせて、例えば「歩いた歩数」と「生産性」の関係を探っていく、ということでした

まずは先行実験として、2017年3月より、私を含めた5、6人のメンバーでプロジェクトを始めました。

▼実際に、Apple WatchとJINS MEMEを装着して働いている様子

そのときは、そもそもどのように実験を組み立てていくべきなのか、というところから始めていった感じですね。

例えばJINS MEMEを常に装着しておくべきなのか、それとも一定時間に区切って計測をしたほうがいいのか…。そういったことを、プロジェクトのコアメンバーが実際にデバイスを使ってデータを取りながら、確認していきました。

JINS MEMEを装着すると「集中に入る」感覚がつかめる

先行実験でまずわかったのは、やはり「集中」には個人差があるということです

例えば週初めに集中力が高い人もいれば、週の終わりに向けて高まってくる人もいる。午前中に集中しやすい人もいれば、午後に高くなる人もいる。

この、個人によって様々な特性はある、ということがデータで可視化されたのは、ひとつ大きなポイントでしたね。

私自身は、午前と午後で特に大きな差はなかったんです。ただ、座っているときのほうが、立っているときより集中力が長く継続するということがわかりました。

これは個人的には、結構おもしろかったですね。と言うのも、オフィスの空間を設計する上では、立ち姿勢でいられる場所をあえて設けるケースも多いんですよ。すぐにホワイトボードに書きに行けたり、資料を見に行けて、次のアクションが取りやすいからです。

ですが、例えば資料作成のような長く集中する時間が必要な仕事ですと、やはり座り姿勢が自分には向いているんだなと。

あとは実際にJINS MEMEを使っていて思うのは、「集中のモードに入れる感覚」がわかってきたな、ということです

JINS MEMEを使うと、1日の中で「深い集中」に入れている時間が可視化されます。そうすると「この感じが集中なのか」ということを自分で体験できるわけです。

そうすると、その感覚に入れるように自分を仕向けていくことで、集中モードに速く入れるようになるんです。

このような結果を得られたことで、2017年5月より、対象者を50名に拡大した、本格的な実証実験をスタートしました。

実証実験を50名に拡大。各メンバーの自律的な働き方が促進された

この対象者である50名は、もともと加入していたメンバーに加えて、マーケティング、クリエイティブ、リサーチに関わっているメンバーの大きく3種類ですね。人数だけではなく、職種も拡大した点がポイントです。

いま行っている実験は、基本的に午前1時間、午後1時間はApple WatchとJINS MEMEを装着した計測をしています。そして計測するにあたっては、立ったり座ったりという「姿勢」を因子として入れてみて、その影響を測っています

その結果として、全体の傾向というよりは、個人の傾向を各メンバーが自分で把握できるようになってきているのが大きな成果ですね。

例えば、自分は午後のほうが集中できるから午後に資料作成を持ってこよう、といった形で、自分なりの仕事の進め方・組み立て方ができるようになっています。するとそれが、自律的な働き方につながっていくわけです

「スイーツ」が仕事を効率化!?今後も新たな切り口で研究を推進

WORK MILLではいま、他社との面白い共同プロジェクトもいくつも仕掛けています。そのひとつに、チーズタルトで有名なBAKEさんと行っている、スイーツが働き方に及ぼす影響の研究があります。

例えば長い会議の最中に、BAKEのような特別感のあるスイーツを食べると、その前後で集中力や会議の活性度がどう変化するのか、といった検証を行いました。

こういった活動を弊社では「共創プロジェクト」と呼んでいますが、これも働き方に関する新しい切り口の提供だと思うんですよね。今後はもっと様々な新しい組み合わせを模索して、多面的に検証を続けていきたいと思っています。

また、メディアに関しては、Webマガジンはもちろん、紙媒体により一層力を入れていくつもりです。

2015年にWebマガジンを立ち上げたときから、書店で紙媒体を売りたいという思いがずっとあって。今回、Forbes JAPAN編集部とコラボする形で、9月27日(水)に「WORK MILL with Forbes JAPAN Vol.01」を発刊しました。

人事、マネジメント、システム、デザインなどの領域を超えたあらゆる視点から、世界における働き方や、日本各地の特徴的なワークプレイスを特集する紙媒体です。

やはり紙媒体は、働き方に関するコミュニケーション手段のひとつとして、伝播力がとても高いと思っていて。例えばオフィスの中に置いていただいて、それをぱっぱっと眺めるだけでも、1人ひとりの意識が変わってくると思うんです。

ここはしっかり、今後メディアとして育てていきたい部分ですね。これからも、時流にあわせた新しい働き方を、どんどん提案していきたいです。(了)

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