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  • 開発人事部長 ソフトウェアエンジニア
  • 加来 純一

創業から5年で100人以上のエンジニアを採用!freeeの開発組織づくりの全貌

〜エンジニア組織をどう作るか? 専用ツールを活用したリファラル採用の取り組みと、入社後の活躍を促進する社内制度をご紹介〜

インターネットサービスが普及する中で、優秀なエンジニアを採用すべく、多くの会社がしのぎを削っている。

その中で、2012年に創業し、「クラウド会計ソフト freee(フリー)」などを開発するfreee株式会社では、創業以来、累計でおよそ100名以上の開発メンバーを採用してきたそうだ。

特に同社では、「Refcome(リフカム)」の活用などにより、リファラル(社員紹介)採用を強化させてきたという。

また、入社後に活躍できる環境を作るべく、2週に1度のペースでの1on1を実施したり、一定の期間、既存業務を抜けて好きなテーマで開発にチャレンジできる「巨匠制度」を導入している。

今回は同社にて、開発人事部長を務める加来(かく) 純一さんと、採用マネージャーを務める栗林 由季さんに、その採用手法や社内制度についてお話を伺った。

「名前は知っている、けれど詳しくは知らない」を解消するために

加来 弊社の開発組織は、正社員だけで100名強のメンバーから構成されています。

その中にはエンジニア・PM・デザイナーがおり、プロジェクトベースでチームを組んで開発を進めています。

これらの開発周りの採用ペースは、以前まで月に3名ほどでしたが、最近は採用を強化していることもあり、月に5〜7名ほどが入社しています。

私は採用に加えて、人が増える中でも開発効率を落とさないように、社員が働きやすい環境を作る、開発人事部長という役割を担っています。

栗林 私は企画から選考までを含めた、採用全般の設計を担当しています。

採用活動を行う中では、freeeという社名だけではなく、ミッションや働く環境といった、より詳細な情報を多くの方々に知っていただくことをテーマとしています。

サービスのリリースなどを通して、freeeという社名自体は、ある程度の認知はいただいているかなと感じています。

一方で、運営しているプロダクトは会計やビジネス向けのサービスとなるため、自分事として受け取りにくく、ピンと来ない方が多い部分もあります。

そこで、freeeをより知っていただくためにも、RubyKaigiやデブサミ九州などのカンファレンスへの出展や勉強会の開催、またエンジニアの方を直接オフィスへお誘いしたり、様々な活動をしております。

freeeへ遊びに来ていただいた方には、実際に働いているエンジニアと直接話をしてもらって、「なぜ、freeeに入ったのか?」といった生の声を聞いていただくようにしています。

それがfreeeを知っていただくために、最も効果的だなと感じていますね。

「Refcome」を活用し、リファラルでの採用数が向上

栗林 弊社では、社員が20名規模の頃から、経営陣を中心にリファラル採用を続けてきました。毎月、社員紹介での入社が決定しており、その多くが現在もfreeeで活躍しています。

リファラル採用は他の採用手法と比べて、やはり、採用に至る決定率が非常に高いです。

ですので、紹介者と紹介されて入社された方に、オリジナルのTシャツをプレゼントするなどして、リファラル文化を強める工夫をしています。

▼オリジナルのTシャツ

また、これらのリファラル採用をよりスムーズに行うために、1年半程前から「Refcome(リフカム)」というツールを活用しています。

Refcomeは、募集中の求人情報を社内向けに告知・発信できるツールです。

▼Refcome上で公開されている求人情報

また社員は、Refcomeから発行されたURLを送るだけで、紹介したい知人に募集中の求人情報を確認してもらうことができます。

そのURLにアクセスがされると、Refcomeの管理者である人事にメールが送信され、そちらでも候補者のメールアドレスなどの個人情報を確認できるようになります。そして、その後は直接メールなどでやりとりを進めます。

さらに、候補者や紹介者の情報をCSVに落として分析したり、スカウト数や応募数をグラフで可視化して確認することもできます。

▼スカウト数や応募数をグラフで確認することができる

このように、オンライン上のやりとりや、進捗状況を一元管理できるようになったことで、一連のプロセスがスムーズになり、結果的にリファラルでの採用数が上昇しました。

選考中も採用後も、「対話」を重視。定量的な評価は行わない

加来 また、その後の選考では、弊社の価値基準を理解してもらえるかどうかを大切にしています。

▼freeeの価値基準(画像は同社の採用ページより引用)

例えば弊社では、アウトプットの後に考えて改善する「アウトプット→思考」や、情報をオープンにする「あえて、共有する」といった価値基準を掲げています。

こうした基準を背景に、自分から進んでアウトプットしてくれそうか? 失敗があっても、ちゃんと共有してくれそうか? といった部分を会話の中で見極めています。

また入社後は、「成長を実感できる役割を担っていただくこと」を大切にしています。

人によって「特定の技術を磨きたい」「幅広い技術にチャレンジしたい」「マネジメント経験を積みたい」「ユーザーの課題特定・サービス設計までおこないたい」というように志向性が異なるので、それぞれに合った仕事を渡していくことが大事です。

そして、このようなキャリアビジョンを会社として把握するためにも、エンジニアの場合は、2週間に1度の頻度で、マネージャーとの1on1を実施しています。

私の場合はコミュニケーションを取るのも目的で、雑談のような形でざっくばらんに話をすることも多いです。

一方で、振り返りや今後についてしっかりと話す場を、クォーターごとに設けています。

そして、そのうちの年2回は、自分でマネージャーではない周りのメンバーを2、3名選んでフィードバックをもらう、ピアレビューを実施しています。

ここでのフィードバック内容を踏まえて評価を行うのですが、その際、あくまで定性的な情報に基づいて評価を行っており、定量的な指標は用いていません。

理由としては例えば、単純に短期間でリリースできたとしても、ものすごく実装が粗かったりすると後の人が大変だったりして意味がうすくなったりするんですよね。

ですので例えば、プロダクトの技術要件を満たしたかどうか? を基準にしたり、新しい言語をマスターして、チーム内に広める活動を行った人を評価したりしています。

既存業務を抜けて、好きな開発に集中できる「巨匠制度」

加来 また、約3ヶ月〜半年に1度、選ばれた1人のエンジニアが、1ヶ月間、既存業務を抜けて好きな開発に挑戦できる「巨匠制度」という制度を設けています。

経験を積んだエンジニアのキャリアのひとつに、マネジメント側に回るという選択肢があると思います。

一方で、そうではなく、技術に尖ってエンジニア組織を引っ張る人がいてもいいのではないか、という背景からできた制度です。

テーマは本人が決めるのですが、当然、何でも良い訳ではなく、プロダクトの何かしらの成長に関わる取組みである必要はあります。

例えば最近だと、データの分析基盤のアーキテクチャを変更するプロジェクトがありました。

何かひとつのポイントに集中して取り組む時間が与えられるため、本人にとってチャレンジになるだけではなく、プロダクトの非連続的な成長を実現する可能性をも秘めた制度だと考えています。

社会にとって本質的に価値のあるプロダクト作りを続けていく

栗林 リファラル採用を仕組み化するなど、採用活動を促進してきたこともあり、今ではエンジニア組織は100名を超える規模になりました。

ただ私としては、これからもfreeeという会社の魅力を、より多くのエンジニアの方々に知っていただけるよう、活動を続けていきたいと考えています。

プロダクト自体は、あまり馴染みのないものかもしれませんが、開発においては、かなり技術的なチャレンジもしています。

今後も、そういった現場の情報をどんどん発信していくことができればと思います。

加来 弊社の価値基準の中に、「本質的(マジ)で価値ある」というものがあるのですが、実際に入社されるエンジニアも、社会貢献度の高いプロダクトを作りたいという方が多いです。

また、技術的な部分でいうと、Rubyで開発をしたい方や、フロントエンドをやりたい方など、幅広い方に来ていただきたいと考えています。

そして、新しく迎え入れるメンバーが活躍できるような組織づくりを、これからも行っていきたいと思います。(了)

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