- 株式会社シュゼット・ホールディングス
- MD本部 事業推進部 POS推進ディビジョン 課長
- 森田 浩幸
100店舗のシフト管理を効率化!脱Excelで残業も減らした、有名洋菓子店の解決法
〜シフト管理ツール「シフオプ」を導入し、全店のシフトをオンラインで可視化。欠員時に店舗を越えてヘルプ人材を確保することで、社員の残業削減に成功した事例〜
多店舗を展開する業態において、スタッフ採用や、シフト・人件費の管理に課題を感じている企業も多いのではないだろうか。
「アンリ・シャルパンティエ」や「シーキューブ」といった、全国で100店舗を越える洋菓子店を展開する株式会社シュゼット。
同社では2016年4月より、シフト管理ツール「シフオプ」を導入。全店のシフトを可視化することで、店舗を越えた人材の効率的な配置を実現させた。
例えばとある店舗では、月間20人分のシフトを、他店からのヘルプで補うことができたという。
また、これまでアナログで管理していたシフトの申請・作成業務も、オンラインで簡単にできるようになり、現場の業務負担の軽減にも成功。
今回は、同社で店長を約12年経験し、その後本社でシフト管理ツールの導入を推進された森田 浩幸さんに、シフオプの活用について、詳しくお伺いした。
長年の店長経験を活かし、本部主導でシフト管理ツールを導入
私は中途でシュゼットに入社し、アンリ・シャルパンティエなどの店舗で、約12年にわたって店長を務めていました。
▼アンリ・シャルパンティエの実店舗
その後、複数店舗を監督するスーパーバイザー職を経て2014年に本社へ異動し、店舗運営の支援や人材開発、POSシステム(※)の構築と、ここ数年で幅広い業務に携わってきました。
※レジでの精算業務が行われた時点で商品データを集計する、販売管理のシステム
弊社では、今から約3年前にPOSシステムを導入しました。そして同時に、スタッフのシフトや人件費の管理も、システム化したいと考えていたんです。
もともと、私が店長だった時代からずっと、現場ではExcelを使ってシフト管理をしていました。ただ、各店長がオリジナルのフォーマットを使用していたので、本部目線からすると非常にわかりづらくて…。
▼シフオプ導入前に、店長が作成していたシフト管理用Excelシート
また、当時はシフトで欠員がでた時も、仲の良い店長同士がお互いに人員をやりくりするくらいで、管理は現場に任せっきりでした。そのため、どの店舗で人が何人足りていないか、といった情報は、本部では全く把握していませんでした。
こうした課題感から、オンライン上でシフトを可視化することができ、かつPOSとの連携が可能なツールを探していたんです。
そして、5社のツールを比較検討した結果、リクルートが提供する「シフオプ」を導入することに決めました。
現場から課題を抽出するため、パイロット店舗での検証をスタート
シフオプは、店舗スタッフのシフト作成・管理をオンライン上で行うことのできるツールです。
シフト作成そのものがラクになるだけではなく、シフトを全体に可視化することで、店舗を越えてヘルプ人材を確保することに役立っています。
2016年4月に、まずはパイロット期間として5店舗での導入を開始しました。スタッフの人数が多すぎず、かつ参考になる規模感ということで「中型店舗」を選びました。
検証をする上では店長の協力が必要不可欠なので、中型店舗のなかでも、本部の指示を守りうまく連携が取れそうな「真面目な店長」を選びましたね(笑)。
そして、実際に運用を開始してみると、いくつかの課題が見えてきました。
例えば、Excelであれば、特定の日付や時間に「〇〇をやってください」と具体的な指示を記入できます。しかしシフオプは定型チャートになっているので、スケジュールに直接書き込むことが難しくて。
また、シフオプの機能を本部が説明しきれていなかったこともあり、「逆にシフト作成が大変になった」という声も現場から上がってきたんです。
そこで、店長と密にコミュニケーションを取り、リクルートさんのサポートもいただきながら、1つひとつの課題に対応していきました。
そして半年の検証期間を経て、2016年10月から全店舗での導入に踏み切りました。
店舗を越えたシフトの可視化で、月20人分のヘルプを調達!
全店への導入により、本社から「どの店舗で」「どの曜日の」「どの時間帯に」「何人の」スタッフが足りていないかが確認できるようになりました。
また現場での活用を促すため、オンライン上の確認だけではなく、週次の会議も行っています。
この会議には、本社の人間と10店舗ほどを統括する全国のブロック長が集まるのですが、ここでもシフオプのデータを活用しています。
例えば「社員の残業時間が多い」「シフトの人数が足りていない」など、意識的にウォッチすべき店舗について、本社から各ブロック長へ伝達しています。
しかし、いくらシフトが可視化されても、弊社の店舗特性による課題も残っていました。
私たちの店舗は、ほとんどが百貨店の洋菓子売り場にテナントとして入っています。そのため、他店の人手を借りたくても、その百貨店の研修を受け、入店バッチを持っていなければ、ヘルプに入ることができません。
そこで、アルバイトの時給アップの条件に、各百貨店の「入店バッジの個数」を紐付ける施策を始めました。
こうして、オフライン施策とセットで店舗間のスタッフ共有を促進した結果、ある店舗では月20人分のシフトを、他店からのヘルプで補うことができました。それに伴って、無理なシフト体制や社員の残業時間も大きく減りましたね。
リアルタイムな可視化で、人件費予測の精度が向上
また、作成段階のシフトを本部から確認することで、人件費の予測精度が向上しました。
もともと、店舗の人件費は昨年実績をベースに予算を組んでいたため、月次の実績と大幅にずれることが度々ありました。月によっては、予実の差が120%になってしまう店舗もあったんです。
しかしシフオプを導入し、本社が日々のシフト実績を確認することで、翌月の人員計画を管理、調整できるようになりました。その結果、今では全社で約5%の誤差に収まっています。
さらに、店長が作成したシフト計画は、評価の材料としても利用しています。
シフトの計画と実績を突き合せることで客観的なデータが得られるため、管理能力を見るひとつの判断材料として役立てています。
現場でのシフト回収・調整にかかる工数が減少
また、現場でもシフト調整における工数負担が大きく軽減しています。
以前は、スタッフに紙でシフトを提出してもらい、未提出の人には店長が電話で個別催促して、ようやく回収したものをExcelに打ち込んで…という作業が発生していました。
それがシフオプでは、シフト回収から人員不足時のリクエストまで、ボタンひとつで簡単に一括送信できます。スマートフォンでも提出ができるので、スタッフのシフトの提出遅れもなくなりましたね。
▼シフオプ上での、「ヘルプ募集」リクエスト一括送信画面
ある店長の話では、今まで月2回、シフト回収から調整、確定までに約3〜4時間かかっていたものが、1時間で出来るようになったと聞いています。シフト作成後の時間数や人件費の計算もすべて自動化されるため、全ての作業工数を加味すると大幅な工数削減になっています。
また、チャット機能がついているため、店長とスタッフのコミュニケーション向上にも効果が出ています。LINEのような感覚で気軽にやり取りができるので、スタッフのみなさんからも評判がいいですね。
▼店長とスタッフ間の、シフオプ上でのチャットの様子
シフト作成の精度を高め、採用にもつなげていきたい
現在、シフオプを活用し、「最適なシフト」のロジックを確立する取り組みを始めています。
全店舗で、試験的に5つのパターンのみでシフトを作成しているんです。「平日の昼」「土日終日」など、本当に人が足りていない曜日・時間帯を可視化することで、採用ターゲットに合わせた採用計画を推進しています。
今後は、店舗だけでなく製造現場へのシフオプ導入も決まっているため、よりシフト作成の精度を高め、採用コストの低減にもつなげていきたいと考えています。
さらに言うと、定量面だけでなく、将来的には「この日は経験の浅い人がシフトに入っているから、通常4人だけど6人にしよう」といったような、定性的な人事データとも連携したシフトを、自動で作成することが目標です。
ただ、いずれにしても基本はシステムですから、最終的にはシステムを使う側の人間が、自分の目で確認をする必要があると思っています。
そのため、システム構築とともに、現場で使う人たちの意識と行動を変えていけるように、今後も挑戦していきたいですね。(了)
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