• 辻・本郷税理士法人
  • 「経理宅配便®」事業部長
  • 遠藤 豊子

税理士の仕事がなくなる時代がくる!?クラウドがもたらす会計自動化の未来とは

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今回のソリューション:【A-SaaS/エーサース】

〜税理士とのやり取りで役立つクラウド税務・会計システム「A-SaaS」の使い方〜

企業にとって税理士は必要不可欠な存在だ。税理士の歴史の根源は明治時代から始まったが、昭和に入り制度が整備され、そして時代と共に業務も複雑化してきている背景がある。

現在約700人の社員が在籍している日本最大級の税理士事務所、辻・本郷税理士法人で、「経理宅配便®」事業部の部長を務める遠藤 豊子さんは、これからの時代は税理士事務所もクラウドや経理の自動化が当たり前になっていくであろうと言う。そして現在、経理宅配便®の事業部では、全ての顧問先にクラウド税務・会計システムを導入しており、その中でも最近積極的に使用しているソフトが「A-SaaS(エーサース)」だ。

現在の税理士の働き方に危機感を持っていると語る遠藤さんに、クラウドサービスの活用法から、未来のあるべき姿までを聞いた。

産後の復帰が難しかった20年前、フレックスタイムの会社へ転職

今から20数年前の話になるのですが、当時私は某百貨店の財務経理部に所属しており、出産を機に退職致しました。その後復職しようとしたのですが、当時は女性の産休明けの復職というのが難しく、働く気があるのに働くことができない状態でした。

そんな時に、当事務所の代表が税理士補助業務のアウトソーシングを行う子会社を立ち上げ、「フレックスタイム、主婦の再就職、子連れ面接OK」で社員を募集している記事を見つけたのです。当時はフレックスタイムなんていう言葉が全く浸透していなかった時代ですから、働きやすそうな会社だなと思って軽い気持ちで面接を受けにいきました。そして運良く入社に至りました。気がつけばあれから20年。無理せずマイペースで仕事をしてきたので、辞めたいと思った事はありません。

▼現在では日本最大級の税理士事務所、辻・本郷税理士法人

辻・本郷税理士法人オフィス

「石器時代」の会計が主流の中、徐々にテクノロジーを導入

当時はWindowsの発売前、今思えば会計業務は本当に石器時代みたいでした(笑)。その後Windows95が発売されたことを機に少しずつIT化していき、弊社も自社開発で会計ソフトを売り出して、私はそのインストラクターやクライアントの導入支援を担当していました。そんな時に親会社である税理士事務所でももっとITに力を入れようということで、ある日代表から声がかかり、親会社に異動になったのです。代表は当時から、現在の会計ソフトのクラウド化を見据えており「コンピューター会計をもっとやってみないかい?」と薦められました。

ひとりで始めた「廉価版システムを売る」新規事業

当時はまだ、税理士の顧問料も比較的高額で、年間で100万円くらいからが一般的でした。当事務所のターゲットもまさにそういった金額をご負担いただける層だったのですが、未来の事を考えると、それだけでは生き残れないのではないかという展望がありました。そこで10年ほど前に、ビジネスの裾野をもっと拡大していくために、今まで手がけてこなかったような層のお客様にもアプローチしていくことになったのです。社長自ら経理や会計をしている小規模な企業や、町の税理士に安く会計を依頼している企業に、廉価版のシステムを売っていこうと。

実は私は、税理士や会計士の有資格者ではないのです。経理業務はずっとしていますが、税理士の資格より経理システムの開発に興味があったので。そこで代表からその新規事業の担当に直接任命されて、少し隠れたセクションで最初は1人で始めたのです。発足当初は事務所内でもそのようなレイヤーの顧客層にアプローチしていくことに抵抗もあって、大変だったこともありましたね。

まずはお客様と一緒に、会社を創るところから始めていきました。税理士を雇うほどでもないお客様をターゲットにして、細々と会計ソフトを導入していったのです。その当時から将来的には、データを共有して会計をする時代が絶対来ると信じていたので、既に発売されていた初期のクラウド会計ソフトを扱っていました。

遠藤 豊子さん

4年前の3.11で会計データが紛失。クラウドへの意識が高まった

ただ、当初は全くうまくいきませんでしたね。当時のお客様の意識としては、会計の情報をクラウドにあげるのは、まったく恐ろしいことだと。自社の情報が自分のハードディスクにない、という状態が想像できなかったのですよね。今だとクラウドは当たり前の時代になっていますが、データ漏洩することなどを心配される方がとても多かったです。

そんな中で、4年前の3.11が転機になりました。代表が東北出身なのでお客様も東北の方が多かったのですが、津波で会社が流れてしまって、会計データを全て失ったお客様が多くいらっしゃいました。それであればクラウドに上げておいた方が安全なのではないか、という考え方が徐々に浸透してきたのです。そして時代の変化と共に、クラウド会計ソフト自体のセキュリティもどんどんしっかりしていき、最近では逆にデータはクラウド化しないと危険だと言われるまでに浸透してきました。

クラウドへのアンテナを張り続け、2014年5月にA-SaaSを導入

クラウドサービスに対してはずっとアンテナを立てていたので、A-SaaSを知った2013年の8月にもすぐに問い合わせをしました。新しいクラウド会計ソフトが出るたびに使い勝手や、ユーザビリティをチェックしていたのですが、その中でもA-SaaSさんは良さそうだなと感じました。ただ当時はまだ私も大変だった時期で、社内でも少しずつ事業部として認められてきた段階でクライアント数も少なく、まだ予算を下さいと言える自信がなかったのです。

その後、2014年の5月に組織体制も整ってきたのでA-SaaSを再度検討し、導入しました。導入した最大の理由は機能的に1番充実していたからです。ただ実は事務所全体では法人個人を合わせて1万以上のクライアントがいる中で、A-SaaSなどのクラウド会計ソフトを導入しているのは、まだほんの数百社です。でも、今後は急激にクラウド化が進むでしょうね。

決算で期が変わるタイミングで、クラウドに移行するお客様が多いですね。弊社が費用は負担するので無料ということもあり、お客様にデメリットはありません。機能的にはまだ足りない部分が多々あることはありますが、日常的に困ることはないところまで進歩してきたので、現在私の部署では、導入時に全て100%クラウドにしています。

クラウド会計ソフトがもたらすメリットとは

クラウド会計ソフトを導入することでお客様にどのようなメリットがあるかというと、まず、データのバックアップをとり圧縮して税理士のところへ送る、という面倒な作業が一切なくなります。そしてこちらもお客様のところへ出向く必要がありません。一緒に画面を見ながら電話で話して作業ができますので。お客様も忙しい時間を割いて、税理士の先生が来るから、ケーキ買ってお茶入れてみたいな(笑)こともないんですよね。

常に会計データを共有していることで、お客様からするときちんとチェックをしてくれている安心感のようなものがあると思っています。最終的な申告は税理士が行いますが、そこに至るまでの作業行程においてもリアルタイムで質問などにお答えすることもできます。

A-SaaSを使えばデータ入力もExcelのデータベースから取り込むことで効率化できますし、最近はfreeeとも提携しましたので、freeeで吸い上げた銀行の預金データをそのまま会計ソフトに入れ込むこともできます。さらに現在弊社では、スキャナーで読んだ領収証や預金データなどを直接会計ソフトに取り込むことができるシステムに力を入れており、これも非常に便利だと思っています。

遠藤 豊子さん

クラウドならではの手軽さや機能が魅力のA-SaaS

A-SaaSには会社の経理部、人事部に必要な機能が全部詰まっているので、業務が1つのソフトでできることも魅力です。クラウドでない会計ソフトは、給与管理ソフト、販売管理系のソフト、などそれぞれ別で保守料金が必要だったり、必要機能をオプションで購入しなければならないものも多いです。

バージョンアップが自動で行われることも便利です。A-SaaSは2週間に1回ほどのペースでバージョンアップされています。環境によってインストール時間は少し誤差がありますが、数十秒で終わります。従来であれば税制改正がある度に毎回CD-ROMでインストールしていたので、手間は格段に効率化されました。

中小企業は安く、早く、綺麗に出来ることが大事!

会計では不正ができないような仕組みを作らなくてはいけません。いつ何時に、誰が入力や修正をしたかの履歴を残すことや、数字が固まったら遡って修正ができないようにする仕組みが必要になります。特に上場企業や大企業は一切改ざんできない会計ソフトを使っています。

ただ中小零細企業の場合は、非常に厳重にすべき部分と、多少柔軟に対応できる部分があります。A-SaaSはそのような企業をターゲットにしていて、私たちの部署のお客様とマッチしているのも良いです。中小零細企業の場合はきちんと法律は遵守しながら、「安く、早く、美味しく」、牛丼のようにできればいいので(笑)。

▼「A-SaaS」で作成された帳票

A-SaaSで作成した帳票

会計ソフトの場合、「美味しい」というのは「綺麗」ということです。A-SaaSは帳票の見た目が美しいです。プレゼンの資料などでも、綺麗でないと読む気が起きないこともありますよね。それと同じで、会計の帳票でも見やすいものと見づらいものがあります。まったく各社違うフォームで、インターフェイスも全然違いますが、美しく、見やすくというのが実は大事なことなのです。

知識と手間を売ってきた税理士の仕事の未来は…

そもそも税理士事務所の仕事は、時代に逆行していると感じています。会計の自動化が進んで便利になればなるほど、自分たちの顧問料を値下げしていかないとお客様が離れていってしまう。

もともとは知識と、手間を売る仕事だと思いますが、知識を売る部分は、お客様はインターネットの普及で、自ら知識を仕入れることができ、税法もネットで調べれば出てきますよね。税理士の知識にお客様もだんだん近づいてきていると思います。

税理士の「知識」はもはやインターネットで代替可能…?

弊社の代表も、税理士事務所の未来にはかなり危機感を感じていて、そういう意味では知識を磨いていく必要があると思いますが、ただ磨くといっても、限界がありますよね。いかにして安くしていけるか、という努力もせねばなりません。

そして、ただ安くするだけではコモディティ化に巻き込まれるだけ。このような状況で何をすべきかを考えると、付加価値が大事だと思いますし、今まで税理士事務所のやることではないと避けてきた周辺業務も手掛けていく必要があると思います。お客様が喜び「ありがとう」と言っていただける仕事を提供していく。代表の座右の銘「本業にこだわるな、しかし、はずれるな」を心して、今まで以上にこの時代の中で、我々の価値を出していきたいと考えています。

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