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GitHubがあれば、情報共有ツールは要らない? クックパッドを支える組織文化

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〜常に現状に満足せず、改善を積み重ねるのがクックパッド流。同社における、GitHub Enterprise、自社開発の社内wiki、そしてSlackの活用を紹介〜

月間約6,000万人が訪れる、料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」を運営する、クックパッド株式会社。

▼日本最大の料理レシピサービス・クックパッド

同社では、職種問わず全員が「GitHub Enterprise(以下、GHE)」のアカウントを持ち、チームの「今やっていること」をオープンにしているそうだ。

それに加えて、自社開発の社内wiki「Groupad」や、「Slack」を用いることで、社内での円滑な情報共有や、コミュニケーションを実現している。

社内ドキュメントは最小限がいい」「Slackで生まれる雑談には、組織にとって大きな価値がある」と語るのは、同社でCTOを務める成田 一生さんだ。

今回は成田さんに、クックパッドの社内カルチャーや、情報共有の仕組みについて、詳しくお話を伺った。

サービス開発と組織づくりは、常に「産みの苦しみ」の連続

僕は個人的に、料理がすごく好きなんです。好きなことをやって世の中の役に立てるのが良いなと思い、2010年に中途でクックパッドに入社しました。

当時はすごく小さな組織で、エンジニアもまだ15人ほどでした。現在はその数も100人を越え、僕はCTOとして、技術の経営レイヤーの部分を担当しています。

クックパッドにおけるサービス開発では、「現状に満足しない」という文化が根付いていると思います。

サービスや新機能がリリースできても、「おっしゃ、完了!」みたいな喜び方はしないんですよ。「ここから改善だから」「そうだね」という感じです。

社内に、「リリース後7割」という言葉があります。新しい機能をリリースして「やったー!」ではなくて、「その時点ではまだ3割。ここから7割の改善の旅が始まる」という意味合いです。

何においても、「リリースしただけでは価値がない」「なぜその仮説なのか」「なぜその数字なのか」という風に、根拠を突き詰めて考えるということをずっとやってきています。

と言うのも、クックパッドはひとつの大きなサービスを中心に展開している会社なので、常にそのサービスを改善し、試行錯誤を続けることが大切なんです。

「今あるものをちょっと伸ばす」って、すごく大変なんですよ。0から1は高低差が大きいけれど、改善って本当に少しずつの積み重ねなので。

サービス開発というのは、ずっと産みの苦しみを味わう仕事だと思っています。

ですのでクックパッドも、常にみんなが「うーん」と頭を捻りながら、「毎日の料理を楽しみにする」サービスづくりを真剣にしている会社ですね。

組織づくり自体も、サービスづくりと同じように試行錯誤の連続だと考えていて。社内コミュニケーションのやり方についても、いろいろ試している最中です。

クックパッドを支える組織の形と、全員が最も大切にする目標とは

弊社の組織体制は、まずサービス開発部という一番大きな開発組織があります。いわゆるクックパッドというサービスのWebやアプリを開発しているチームで、エンジニア、デザイナー、ディレクター等が所属しています。

他にも、有料会員や広告といった事業を担当するチームや、新規事業の開発をしているチームがあり、それぞれにエンジニアが所属しています。

加えて、部署を横断する形で技術部やインフラストラクチャー部といった組織横断的な技術部門があり、各事業のサービス開発を支えています。

事業部がこのように分かれている中で、情報共有や目標設定はなかなか難しい部分もあって、色々と試行錯誤しています

ただ結局は、「毎日の料理を楽しみにする」というクックパッドのミッションに向かって、全員が集中できているかどうかが一番重要です。

この考え方は、創業時から変わっていません。もともとその考え方に共感してクックパッドに入社している部分もあるので、大切にしていますね。

全職種がGitHub Enterpriseを活用し「今やっていること」を可視化

情報共有で言うと、社内で一番情報が集まっている場所は、「GitHub Enterprise(以下、GHE)」です

単純にソフトウェア開発だけでなく、サーバ設定や、社内規定のドキュメント類など、様々なものを置いています。

それだけでなく各プロジェクトの議論のためのリポジトリや、コーポレート部門のタスク管理リポジトリまで、GHEで管理しています

アカウントは、全職種に発行しています。なので例えば、ユーザーサポートのチームが「最近こんなお問い合わせが多いけれど、何か仕様変更があったのか」というIssue(イシュー)を立てて、開発のチームにメンションが来る、といったこともよくあります。

▼GitHubのIssueのイメージ(同社の実際の画面ではありません)

※GitHubの使い方(Issuesの使い方)は、こちらの記事をご覧ください。

他にも、例えばインターンの受け入れというのは、部署を横断して色々な人が関わるプロジェクトになります。そうすると人事がGHEにリポジトリを作って、そこでIssueを立てて関係者を呼び、プロジェクトを進めたりしていますね。

このように、「今起こっていること」がオープンになっているので、「あのチームは今何をやってるんだ」と気になったら、そのチームのIssueを見に行けばわかるようになっています

企業における情報共有というのは、難しい課題です。社内ドキュメントを網羅的に用意し、最新であることを保つには大きなコストがかかります。なので、流れの早い状況ではまともにメンテナンスすることができません。

例えば「まとまった情報をここに書いてください」と言っても、更新されなかったり、どれが最新のものかよくわからなくなったり…。なので、社内ドキュメントは、本当に必要なものを除いて最小限であることが望ましいと思っています

本当に必要な「APIの仕様」といった、参照する回数が多かったり、頻繁には変更されなかったりするドキュメントは残す価値があります。

しかし、サービス開発に関する日常的な議論は日々移り変わるので、Issue を残していくこと自体がドキュメンテーションになると考えています

長期的に残したいドキュメントに関しては、昔から使っている自社開発の社内wiki「Groupad」を使っています。これはシステムとしては全然完璧ではないのですが、本当に多くの人が書き込みしているんですよ。

新入社員の自己紹介もあれば、エンジニアにしか意味がわからないようなものもあるし、週末の遊びの誘いやポエムみたいなものまであって、ある意味カオスなのですが(笑)、職種を問わずたくさんの人が書いていることに価値があると思っています。

Slackで生まれる「雑談」には価値がある

また、リアルタイムなコミュニケーションには「Slack」を使っています。Slackはあえて運用ルールをほとんど用意しておらず、自主性に任せて各々が自由に使っています。

Slackを使うようになってひとつ良かったのは、部署を横断した雑談のきっかけが増えたことです。

雑談と言うと悪いことのように感じますが、やっぱりいい面もあって。特に会社が大きくなって組織も分かれてくると、けっこう大事だなって思ってるんですよ

先日、ラウンジで有志が集まってLT大会をやったんです。そのきっかけは、あるエンジニアがSlackの分報で「LT大会やりたいんだよね」ってボソッとつぶやいたことだったんです。

そうしたら、「いいじゃん、いいじゃん」「僕もLTしたい」って言う人たちが何人かSlack上で現れて。じゃあ人を募ってやろうかということで、Issueを立てて。結局、事業部横断でLTしたい人が20人くらい集まったんですよ。

▼Slack上での雑談からLT開催が決定!

そしたら今度は総務のメンバーが、LT大会に料理人として参戦するということにもなって。

結局、パーティー料理がたくさん用意されて、会社のオフィシャルなイベントではないにも関わらず、かなり盛り上がりました。

技術の話もありましたが、法務のメンバーもLTしてましたし、「ガパオライスの『ガパオ』とは何か」についてLTした人もいました(笑)。

これは全部、個人の分報と、そこでの雑談から始まったことなんですよね

部署を横断したコミュニケーションを円滑にすることは、組織運営にとって重要な課題なので、こういった「雑」な場も大事だなと思っています。

他にも最近、法務のメンバーがプログラミング不要の電子タグとSlackをつなげて、法務宛の書類が社内ポストに投函されると、法務のSlackチャンネルに通知が飛ぶ仕組みを作ったんですよ。

これも、「こんなことできないかな?」という法務のメンバーの相談に対し、あるエンジニアが「電子タグを使うとできるかも」とアドバイスをしたことで、すぐに実現されました。

このように、部署を横断した雑談の敷居を下げておくことで、日々の業務や、組織全体を良くすることにつながっていくと考えています

これからも、サービスも日々の業務も改善を続けることで、クックパッドのユーザーさんにより高い満足を提供していきたいですね。(了)

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