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6社のイチオシ「リモートハック術」大公開!タスク管理、Web会議の工夫、各種手当も

みなさま、こんにちは!SELECK編集長の山本です。

4月7日に「緊急事態宣言」が発表されてから約1週間が経ち、本格的なリモートワーク(テレワーク)に移行された企業も多いかと思います。

今回、はじめて本格的なリモートワークに移行した企業では、日常の業務コミュニケーションから、心身のケアまで、まだまだ試行錯誤されていることも多いのではないでしょうか。

そこでSELECKでは、リモートワークに伴う課題に対する各社の工夫を、緊急取材いたしました。全部で4連載を企画しておりますが、本日と明日のテーマは、「各社イチオシのリモートハック術」です!

本日、特集企画の第一弾としてご紹介するのは、以下6社の事例になります。

    1. Slack絵文字の活用で「タスク進捗」を可視化 / GMOペパボ
    2. Web会議のあるある課題を「Snap Camera」で解決 / キャスター
    3. ZoomやDiscordよりも快適?「Slack Group Call」を使い倒す / 10X
    4. 「postalk」を活用して、オンラインKPTを実施 / LAPRAS
    5. 運動不足を「ラジオ体操」で解消!副次的な効果も / ヤプリ
    6. 在宅ワーク環境を「リモートワーク金」で改善 / hey

では、早速みていきましょう!

1. Slack絵文字の活用で「タスク進捗」を可視化 / GMOペパボ

まずは、GMOペパボ社minne事業部の、「つくる」の価値を届ける読みものメディア 「minneとものづくりと」編集部が実践する、おすすめハック術をご紹介します。

リモートワークにおいて、お互いの姿が見えないために「いま、誰が何をしているのか」「困っていることはないか」を把握することが難しい…といった課題はないでしょうか?

同編集部でも、個別のタスクに取り組むことが多く、そのような課題を抱えていたといいます。そこで、各自のタスクを可視化し、互いに分け合えるよう、Slackを活用したコミュニケーションの工夫をしています。

具体的には、毎朝10時に、Slack上で「今日の編集部のタスクを書きましょう」というbotを設定。そのスレッドに、各メンバーが当日に行うタスクリストを記載します。

さらに、負荷の高いものには「🚨」マーク、誰かに手伝って欲しいものには「🙏」マークをつけることで、メンバーの「タスク内容」「うまく進捗しているか」「手一杯なのか」「巻き取れるものはあるか」などを全員が把握することができます。

▼実際のスレッドへの投稿内容

また、周囲からの目がないことで、ともすれば業務モードのスイッチが入りにくい時もあるリモートワーク。

ですが業務終了時に、終わったタスクに「済」マークをつけて同スレッドに再投稿する運用にすることで、メンバーのモチベーション向上にも役立っているといいます。

というのも、「済マークで埋めていく」という行為自体が、一種のゲーミフィケーション要素となり、「午前中のうちに半分まで埋めたい!」「あと1時間ですべて完了させよう!」といった意欲につながるそうです。

加えて、同スレッドには退社予定や体調なども書いているため、各メンバーの「その日の状態」がわかりやすく、マネジメントとしてもケアしやすいとのこと。

タスクの可視化で、チーム全体の業務スピードや課題解決力を高め、個々人の意欲アップにもつながるハック術です。

2. Web会議のあるある課題を「Snap Camera」で解決 / キャスター

オンライン会議において欠かせない、ZoomやGoogleハングアウトなどのWeb会議ツール。ですが、背後の部屋の様子が画面に映ってしまったり、対面よりも場の雰囲気が固くなりがち…といった課題はないでしょうか。

そんな時に使えるのが、様々なWeb会議ツールと連携して使える、PCカメラのエフェクト加工アプリ「Snap Cameraです。

従来から、全メンバーがフルリモートで勤務するキャスター社では、Zoom + Snap Cameraの組み合わせで、オンライン会議をしているといいます。

たとえば、Zoomに映っている自分の顔にペイントや化粧などの加工をしたり、アバターの姿で出席することもできます。もともと、個人で利用し始めたメンバーから自然に広まったそうですが、今では全員がSnap Cameraを使うような会議も…!

▼同社の関連会社bosyu社での、Web会議の様子

会議の場のアイスブレイクになったり、化粧や背景(部屋が映るなど)を気にしなくて済む点がオススメとのこと。

また同社では、このような新しいツールをチームで気軽に試せる雰囲気や、雑談文化を作ることを大切にしており、SlackやChatworkなどに雑談専用のチャットグループを作ってコミュニケーションを活性化しているそうです。

無料で使えて、楽しいツールなので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

※4月9日にアップデートされたZoomの最新バージョンでは、記事公開の時点で、Snap Cameraが動作しておりません。他のWeb会議ツールでお試しください。

3. ZoomやDiscordよりも快適?「Slack Group Call」を使い倒す / 10X

Web会議だけでなく、いかに「日常のコミュニケーションを取りやすくするか」が、リモートワークにおいては重要です。

「タベリー」を運営する10X社では、Slackのグループ通話機能「Slack Group Call」を多用することで、コミュニケーションの課題を解決しているといいます。

▼Slack Group Callを活用

もともと、新型コロナウイルスの拡大が始まる以前は、リモートワークを推奨しておらず、オフィスでの雑談文化があったという同社。

その背景には、ほぼすべての情報をドキュメントに開示した上で「気軽に雑談が発生し、相談へと昇華され、緊密なコミュニケーションとなり、事業の加速につながる」という考え方を元にした、情報流通の設計があるといいます。

今回、全社員がフルリモート体制に移行したことで、「オフィスでは『声を上げる』だけで開始できていた雑談がしづらい」「どこで・誰が・何を話しているかがわからない」「自分に関係のありそうなトピックに横から参加することが難しい」といった課題が生じていたといいます。

そこで、「Zoom」の積極活用や、音声チャットアプリ「Discord」による常時接続などを試験導入してみたものの、以下のような課題が発生。

  • Slack以外の別アプリを立ち上げるのが手間(Slackは常時立ち上がっている場合が多い)。会話を始めるまでの、クリックなどの動作が増える。
  • Zoomでは、電話が開始するまでに数秒の待ち時間が発生する。
  • Discordは繋ぎっぱなしにしていると家庭内のノイズを拾ってしまうため、ミュートにしがち。また、誰に話しかけているかがわかりづらい。

こうした試行錯誤の結果、「Slack Group Call」を使い倒すという方法に至ったそうです。

Slack Group Callでは、チャットとの同期が取りやすく、誰でもワンクリックで開始できるため、必要に応じて急遽人を呼びたくなった場合にも対応しやすい、といったメリットがあります。

▼参加者を呼ぶ際には「Invite people to this call」で即対応

また、運用上の工夫として、Callを始める前に、チャット上にトピックを明示しておき、いま誰と誰が何について話しているのかを可視化しているといいます。

そして、離席や集中している可能性もあるため、「コールには応じなくても良い」という前提を共有し、気がついたらかけ直せばOKという形で運用しているそうです。

フルリモート環境下でも、雑談や相談を気軽に生み出すハック術。Slackユーザーの方は、ぜひ自社の運用ルールを作って、Slack Group Callを活用してみてください。

※こちらのハック術を詳しく知りたい方は、同社CTOのブログをご覧ください。

4. 「postalk」を活用して、オンラインKPTを実施 / LAPRAS

業務の振り返りに効果的な「KPT(※)。オフィスであれば、会議室のホワイトボートに付箋を貼ったりして実施することが多いかと思いますが、フルリモート環境下では代替ツールが必要です。

※KPT…Keep(良かったこと)・Problem(悪かったこと)・Try(次挑戦すること)の3要素からなる、振り返りの手法。詳しくはこちらをご覧ください。

LAPRAS社では、セールスとマーケティング関連の役割を担うメンバーで、以前から週1でKPTとレトロスペクティブ(振り返り)を行っているといいます。

プロジェクト進捗の可視化や、空き工数の活用、さらにアイデア出しの機会などになっていたことから、フルリモートワークに移行してからも「postalk」というツールを活用して継続実施しているそうです。

postalkは、直感的に使えるオンラインホワイトボードです。手元のPC画面を見ながら振り返りできるため、「会議室よりもやりやすい」といった声もあるといいます。

また、これまでは付箋に手書きしたものを、ホラクラシーのプロジェクト管理ツール「Holaspirit」に移す作業が発生していたのに対し、postalk導入後はすべてがデジタルで完結するので便利だそうです。(※同社の組織運営の詳細はこちら

▼実際の「postalk」を使った振り返りの様子

うまくワークさせるポイントとして、以下を挙げていただきました。

  • ファシリテーターが、発表のハードルを下げる(整理できてなくても、少しでも違和感などがあれば共有することが大事だと伝える)
  • メンバー全員が当事者意識を持つように、ファシリテーター以外の役割(タイムキーパーやセクレタリーなど)を決める
  • できる限り、後の予定がない金曜の夕方〜夜頃にミーティングを設定する(他のタスクに気が逸れないようにする)

上記の点に気をつけて振り返りを行うことで、フルリモートでも業務やプロジェクトを短いスパンで前進させることができているといいます。

また、リモートワークでは細々とした問題が各所で発生しがちです。同社では、KPTを通じて「自宅の椅子が腰に合わない」といった個人的なProblemも挙げてもらうことで、Web会議をするほどではないけれど業務に支障があるような些細な問題を抽出し、改善することにも役立てているそうです。

業務やプロジェクトの振り返りだけでなく、リモートワークにおける問題の抽出・改善にも役立つKPT。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

5. 運動不足を「ラジオ体操」で解消!副次的な効果も / ヤプリ

リモートワークが長期化してくると、業務コミュニケーションの改善だけでなく、「社員の心身の健康をどう保つか」も重要な課題だと思います。

外出できないことによる運動不足や、Web会議の増加などによって、身体の不調につながるのでは…という不安を感じていたヤプリ社では、有志のメンバーで遠隔での「ラジオ体操」を行っているそうです。

1日1回、主にランチ休憩後の時間帯に開催され、NHKラジオ体操のYouTube動画をZoomの画面共有で流しながら、各メンバーが自宅で体操しているといいます。

▼同社メンバーで「ラジオ体操」をしている様子

あくまで自由参加ですが、「ラジオ体操第1」を基本に、「ラジオ体操第2」や「EXダンス体操」など色々な体操を取り入れることで、飽きがこないような工夫をしているそうです。

また、運動不足の解消だけでなく、脳が活性化されたり、運動の後に自然と会話が生まれるような効果もあるとのこと。

リモートワークでは、普段よりもコミュニケーションの取り方に気を遣うことが多いため、それ自体が負担になってしまうこともあります。ラジオ体操であれば、事前準備なく手軽にできるので、コミュニケーションの活性化にもおすすめです。

6. 在宅ワーク環境を「リモートワーク金」で改善 / hey

リモートワークによって生じる問題は、個々の環境によっても様々です。そうした個別の問題に対して、金銭的な支援により解決している事例を、最後にご紹介します。

hey社では、3月26日より「在宅推奨」から「原則在宅」へと出社ルールを変更したことで、「家のネットワークが遅い」「業務に適した椅子がない」…といった様々な問題が生じてきたといいます。

そこで、在宅ワークの環境整備に対して「リモートワーク向上金」という名の手当を一律支給したそうです。

承認制ではなく、何にでも自由に使うことが可能で、Googleフォームに「使用用途」「利用金額帯」「どのようなことに使ったか」を記入して申請するだけ。

このフォーム申請も任意とのことですが、Slack連携させているので、誰が・どのようなことに手当を使ったかがわかり、ナレッジシェアになっているそうです。

▼実際の申請の例

また、在宅ワークの環境整備だけでなく、オンライン飲み会などコミュニケーション目的の利用も可能とのこと。

実際にリモートワーク金を活用した社員からは、以下のようなツイートが…!

一律支給で、困っていることや必要なことに自由に使えるのは良さそうですね。

業務に大きな支障が出ているわけではないけれど、ちょっとしたストレスになっていたことを解消できてオススメとのこと。こうした工夫も、ぜひご参考ください。

※こちらの内容を詳しく知りたい方は、同社副社長のブログをご覧ください。

まとめ

今回は、6社のハック術をご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

いまだ厳しい状況が続いておりますが、ぜひ各社の工夫を参考にしながら、自社のリモートワークの課題解決に役立てていただけたら嬉しく思います。

明日は、各社イチオシのハック術・第2弾をお届けします!

  • Slackの「ワークフロービルダー」で業務の抜け漏れを防止
  • Zoomのチャット以上に盛り上がる、全社会議の「ガヤ」の工夫
  • 業務負荷を分散させる「社内クラウドファンディング」の立ち上げ

などなど、先進企業のハック術が満載ですので、後編の6社もお楽しみに!

<追記:第2弾の記事は、以下よりご覧いただけます。>

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