• 株式会社Nagisa
  • 社長室 採用プロジェクトチーム 採用担当
  • 内田 遼

求人票のA/Bテストで応募数が4倍に!Webマーケティングの手法を活かした採用術とは

〜元アプリプロデューサーが人事に転身し、半期でエンジニア含む10名以上の採用に成功。Webマーケのテクニックを活かして応募数を4倍にした、採用手法を紹介〜

成長の早いスタートアップにおいて、優秀な人材の「採用」は経営の最重要事項といっても過言ではない。

ITサービスを事業領域とし、数々のアプリを手掛ける株式会社Nagisa。現在、契約社員・アルバイト含む47名の従業員を抱える同社は、組織として採用を強化するため、2017年4月に採用チームの立ち上げを行った。

そして担当者には、採用未経験の元アプリプロデューサーを抜擢。それまでWantedlyのみだった採用媒体を増やし、「募集」と「スカウト」を使い分ける形で、本格的な媒体運用を開始した。

その運用には、Webマーケティングのテクニックが散りばめられており、例えば求人票を作るにあたっては、「技術トレンド」をはじめとする4つの要素からタイトルをスコア化し、A/Bテストによる最適化を実行。

こうした取り組みの結果、月の応募数は以前の3倍以上になり、半期で10名以上の採用に成功したという。

今回は、同社の採用を担当する内田 遼さんに、その詳しい手法をお伺いした。

人事未経験のアプリプロデューサーから、採用担当者へと転身

僕は5年前にNagisaに入社し、昨年までずっとアプリのプロデューサーをしていました。

しかし2017年4月に、組織強化のため、社長直下の採用チームを立ち上げることになり、その実務担当を務めることになりました。

それまで、全く採用業務の経験はなかったのですが、イメージはわりと最初から出来ていまして。


というのも、前職では営業を、Nagisaではアプリのマーケティングを経験していたので、「営業やマーケティングにはない変数はあるものの、採用も重要な要素は共通しているはず」だと考えていました。

実際にやってみて、そこまでギャップはありませんでしたね。はじめに、採用関連の記事を読み漁るなかで、Findyさんの採用マーケティングの全体像に関する記事を見つけたんです。

それを元に、まずは採用プロジェクトの全体像を整理しました。具体的には、ターゲット選定から内定に至るまでのプロセスを区分して、各フェーズのKPIとアクションプランを定めました。

▼採用プロジェクトの全体像(同社ブログより引用)


このKPIには、マーケティング用語であるPV(=求人閲覧数)、CTR(=応募率)、CVR(=内定率)を共通の指標として使用することにしました。

僕らはアプリ開発を主力事業とする会社なので、社内に説明する際にも、これが一番しっくりきたんです。そしてKGIには、エンジニアの採用をメインとして、「半期で10名の採用」を掲げました。

採用チームを立ち上げる以前は、労務メンバーが採用を兼務していて、求人媒体もWantedlyしか使っていない状況でした。そのため、社員の8割以上がWantedly経由だったんです。

ですが、単一の媒体だけでは採用人数に限界があり、次第に母集団の属性も偏ってきまして…。

そこで、募集媒体であるWantedlyに加えて、スカウト媒体であるビズリーチ、キャリアトレック、Green、転職ドラフトの運用を本格的に始めました。

4つの企業ブランド軸をもとに、ワーディングの洗い出しを実施

まず、媒体運用を始める上で、企業としてどのようなイメージを持ってもらいたいか? を整理するため、社長や現場マネージャーを集め、話し合いの場を設けました。


もともとNagisaでは、企業ブランディングの軸を、「人」「組織」「プロダクト」「ミッション」の4つに定めています。そこで、それぞれの軸ごとに、単語レベルで各自の持つイメージを出し合いました。

すると、「人」の軸では「数字や技術が好き」「やんちゃ」などが、また「組織」の軸では「技術的自由」「事業に向き合う」といったキーワードが出てきました。

▼企業ブランディング軸ごとのキーワードを洗い出したシート

ここで洗い出したキーワードは、Nagisaを表現する単語として、求人票やスカウト文にも活用しました。

求人票やスカウトを作成していると、どうしてもネタに詰まったり、ワーディングに迷うことがあるので、その時に立ち戻るものとして活用していましたね。

求人票はタイトル命!独自のスコアを設け、A/Bテストを実行

ワーディングの洗い出しを行った後は、CTR(=応募率)を増やすため、「募集」と「スカウト」の2軸で、採用媒体の運用を開始しました。

募集媒体としては、創業当初から使っているWantedlyを主に活用しています。求人票ごとにPV・CTR・書類通過率の3つをモニタリング指標として、Googleスプレッドシート上で数値を管理しています。

▼実際の数値管理シート(上:全体数値、下:募集における数値)

求人票のCTRを上げるため、「タイトル」と「クリエイティブ」の2つを変数として、A/Bテストを行いました。検証は、1週間を目安に、「CTRが1%を超えるかどうか」を判断基準としました。

というのも、初速が悪いものが後から良くなることはほぼないと思っていて。なので、1週間後にCTRが1%を下回っているものは取り下げる、という形で運用しました。

テストを重ねる中で、徐々にわかってきたのは、タイトルを構成する「要素」ですね。

求人票の場合ですと、タイトルが最も重要なのですが、「技術トレンド」「プロダクト」「実績」「ポジション」の4要素の組み合わせが、CTRを決定するのではないか、という仮説を立てました。

この仮説を基に、タイトルのA/Bテストでは、要素ごとに○×△をつけて、A〜Dの4段階評価を設けて検証したんです。

例えば、サーバーエンジニアの募集では、「月間100億PVを支える!サーバーエンジニア募集!」というタイトルで、求人票を出したんですね。

一見、キャッチーで良さそうなのですが、これですと実績は◎だけれども、技術トレンドが入っていないので、全体としてはDになります。

そこで、今度は「技術トレンド」がわかるように、「Goを使ってライブ配信サービスを作りたいサーバーエンジニア!」というタイトルに変更しました。すると、CTRが約3倍に上昇したんです。

▼4つの要素でタイトルを評価。左から順に改善し、CTRが向上(取材内容に基づき、編集部にて画像作成)

これは、技術トレンドの「Go言語」とプロダクトの「ライブ配信」がどちらも◎のため、CTRが改善したと考えています。

こうした検証を重ねていくうちに、4つの要素の中でも、「技術トレンド」の影響が一番大きいと感じましたね。

そこで、技術トレンドを把握するため、社内エンジニアに話を聞くだけでなく、はてブやQiitaなどの外部メディアからも情報を収集しました。

例えば「Go」言語で人気ソートをかけて、人気記事に共通する要素を、求人票のタイトルに転用することもありましたね。

候補者の「レジュメ」を理解し、For Youのスカウトを送る

一方、スカウト媒体では、求人票で検証したタイトルを転用しても、全然刺さりませんでした。

というのも、媒体ごとのユーザー属性の違いもあると思うのですが、そもそも「スカウト」と「応募」では、刺さるポイントが全く異なっていまして。

具体的には、スカウトでは「企業ブランド」が第一の要素なんですよね。求職者からすると、やはり全然知らない企業からのメッセージって、正直読む気がしないじゃないですか。


ここはどうしても有名ベンチャーや大手企業と比べると弱い部分になるため、転職ドラフトを活用して、ベンチャーでもいかに魅力的な人に関心を持ってもらうスカウト文面を作るか? に注力しました。

転職ドラフトでは、求職者のテンプレートに「野望」を記載する欄があり、レジュメ情報がとにかく多くて。そのため、1人ひとりのレジュメを読み込んで、その人に向けたFor you文の改善を重ねました。

運用を始めた当初は、僕のレジュメ理解度が浅く、なかなか上手くいかなかったのですが、エンジニアと一緒に書類選考からすることで、自分の中でも徐々にポイントがわかってきまして。

例えば、Gitを読む際には、単に「どの言語を使っているか」だけでなく、「どういったプロダクトで」「どのように使っていたか」を確認するように気をつけました。


そうしてきちんと理解してから、スカウトの「課題に基づいた指名理由」や「何を任せたいか?」という欄を、1通1通その人に合わせて、エンジニアと共に作っていったんです。

その結果、スカウト返信率は、平均を上回る40%に達しました。

▼実際の「転職ドラフト」のスカウト文面(一部)

また、転職ドラフトで上手くいったものは、ビズリーチやキャリアトレック、Wantedlyのスカウトにも活用しましたね。

こうして、多い月には月間200通ほどのスカウト文を作成し、募集とともにスカウトの運用を強化した結果、月の応募数は、以前の3〜4倍に増加しました。

※For you文を使ったスカウティング事例については、こちらの記事もご参照ください。

データベースを嗅ぎ分けろ!通称メスライオン、「Webマーケに学んだ」採用術とは?

「1次面接の突破」が最大の難関。企業と個人のブランディングを高める

こうした施策によって、CTRが改善し、半年で目標としていた10名以上の採用を実現しました。ですが、「一次突破率」においては、まだまだ改善の余地があると思っています。

弊社の採用では、0次のカジュアル面談から、一次面接、二次面接、最終を兼ねた会食というステップがあるのですが、「一次面接」が最大の難関でして。

この改善のためには、より自社にマッチした候補者に認知してもらうことが必要です。そのため、現在は中長期的な採用活動として、ブランディングにも注力しています。

具体的には、合同イベントを開催したり、社員に他社イベントに登壇してもらうなどして、企業の認知度をあげる活動をしています。


さらに、エンジニア個人のブランディングも同じく重要になってくるので、potatotips(ポテトチップス) など各言語別の「イケてる」コミュニティで開催されている勉強会への参加や、ブログの執筆を奨励しています。

また、社員の協力を促進するため、週次の定例会議で「このネタでブログを書くのはどうだろう?」と提案したり、月1の全社会議でブログランキングを発表するなどして、会社として採用に関わる活動を称賛するような空気作りをしています。

その結果、人気のあったものでいうと、900ほどはてブのついたブログもありました。

そうすると書いた本人も嬉しいですし、他の社員もシェアなど協力してくれるので、ブログ活動は今の所うまく回っていますね。

参加したイベントで知り合った方が、オフィスに遊びに来てくれることも増えているので、今すぐの採用には繋がらなくても、マッチ度の高い候補者の母集団が徐々に形成されていると感じています。

求人出稿をインハウス化し、魅力的な人の集まる組織を作っていきたい

今後は、ブログなどの採用に関わる活動を個人の評価にも組み込み、さらに全社で採用活動を強化していきたいと考えています。

また同時に、担当としては、外部の求人媒体に頼らず、採用のインハウス化に挑戦したいと考えています。

僕はやはりアプリのプロデューサー出身なので、リスティングやFacebook広告などの運用経験を、採用に活かしていきたいと思っていて。

例えば、ブログにFacebookのタグを埋め込んで、cookie判定でリターゲティングのようなことをしたり。蓄積データをもとに、ユーザーに合わせた形で求人出稿を効率化したいと考えています。

また、もうひとつの課題としては、現在Googleスプレッドシートで手動で行っている数値管理を、自動化していくことですね。そのため、例えば提供準備中の採用管理ツール「 HERP(ハープ)」の導入などを考えています。

弊社のビジョンである「ITコングロマリットカンパニー」を実現するには、やはり人や組織が最大の資産です。

その実現に向けて、これからも新しい採用手法を取り入れ、ブランディングも高めながら、魅力的な人材の集まる組織を作っていきたいと思います。(了)

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