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上司と部下の「信頼関係」がカギ!MBOの運用を1on1で支える、グリーの目標管理とは

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〜MBOと1on1の併用で、全員の成長サイクルを加速させる!上司と部下の「信頼関係」をベースとした、グリーの目標管理とは〜

部下を動機づけて支援することで、個人の成長と業績アップを目指す目標管理の仕組み「MBO(※)」。

1990年代頃から日本でも導入企業が増え、長らく目標管理の主流であった同制度は、近年注目を集める「OKR(※)」と比較されることも多い。

グリー株式会社では、2007年より「MBO」による目標管理を導入。目標の達成基準を5段階の指標で明確化し、1on1で定期的な振り返りを行うことで、個人の成長と組織目標の達成を実現している。

さらに、マネージャー向けの「1on1研修」を実施することで、上司と部下の「信頼関係」を構築する1on1の実践が出来ているという。

実際のアンケート調査でも、「1on1に満足している」と回答した社員は、全体の7割だったそうだ。

今回は、人事企画部で制度設計・運用を担う千原 啓さんと、XR事業開発部で部下の育成に携わる原田 考多さんに、MBOの仕組みから現場の運用手法に至るまで、お話を伺った。

※MBO、OKRって何?という方は、こちらの記事をご参照ください。

【保存版】Googleも採用する目標管理「OKR」を徹底解説!導入事例や運用ツールも紹介

事業目標の達成と人材育成の両立を目指し、MBOと1on1を導入

千原 私は、グリーが設立して1年も経たない頃に入社しました。株式上場準備などを経験した後、2014年7月から人事関連の業務に従事しています。

現在は、人事企画部の責任者を務め、15名ほどのメンバーで人事評価、報酬、労務といった各種人事制度の整備と運用を担っています。

グリーの人事本部では、「事業の成長に貢献する組織・人材・カルチャーの創造」をミッションに掲げ、様々な人事制度の設計や運用を推進しています。

そのなかで、短期的な事業目標の達成だけでなく、中長期的な人材育成や社員のキャリア実現の両立を目指し、2007年に「MBO(※)」という目標管理の仕組みを導入しました。

※Management By Objectives:個別に目標を設定し、それに対する達成度合いで評価を決める仕組み

MBOが定着してきた一方で、2014年に会社として事業の転換と多角化を決定した際、人材育成やマネジメントにおける課題が見えてきました。

というのも、当時、社員のキャリア形成と適材適所の人材配置を全社的に実現するため、「全社員面談」という形で社員1人ひとりと人事が面談を行ったんですね。

その取り組みを通じて、新しい環境下でどのようなチャレンジをしたら良いのかわからない人や、従来のマネジメントスタイルを変えられない管理職がいることがわかったんです。

この状況を踏まえて、各部門で上長が部下に対してチャレンジの機会を与え、それをサポートする仕組みが必要だと考えました。

そこで2015年に導入した制度が、「1on1(※)」です。

これは、必ずしもMBOのためだけに実施しているものではありませんが、従来のMBOによる目標管理に加え、1on1での定期的な振り返りを行うことで、個人と組織の成長が促進されています。

※1on1:上司と部下で、定期的に1対1で行うミーティングのこと

MBOの目標は「5段階」の達成基準で明確化

千原 MBOにおける目標設定と振り返りは、半年のサイクルで実施しています。

▼ 目標管理制度「MBO」の全体の流れ

まず、期初に部門目標の提示がなされるのですが、それを元に上長との話し合いの上、各自の目標・達成基準・アクションプランを設定します。

その進捗確認や、目標の見直しなどについては、週次で行われる1on1の場を活用しています。また、MBOの個人目標は、基本的に「組織の目標達成に資するもの」と定義しています。

OKRのように、組織のKR(= 成果指標)を明確に定義することは必ずしも求めていませんが、組織の目標達成に貢献することを通じて、自己成長も実現すると考えています。

▼MBOの目標は、上位組織の目標達成に貢献するものを設定

半期で5〜6つほどの目標を設定し、全体を100%として各々ウェイトをつけています。さらに、各目標に対する達成基準は、期初に5段階で定めています。

例えば、「売上予算の達成」という目標に対しては、予算の100%達成で「3」、110%達成なら「4」、逆に予算未達の90%であれば「2」といったような形です。

▼実際の、目標管理シート(一部のみ抜粋)

このように達成基準を明確にしておくことで、上司と部下のゴールの認識にズレが生じないようにしています。

その一方で、MBOの達成度と人事評価との関係については、緩やかな連動になっています。

というのも、直接的に連動する形にしてしまうと、目標設定や振り返り自体が「評価」のインテンションに影響されるため、MBOで本来実現すべきことから外れてしまう可能性があると考えていて。

そのため、MBOの達成度だけでなく、他の情報と総合的に勘案した上で、人事評価を決定する仕組みにしています。

目標設定は、数値だけでなく「アクション」ベースに落とし込む

原田 僕は2010年に入社し、現在は20名ほど在籍するXR事業開発部の部長を務めています。

メンバーは30代くらいの中堅社員を中心に、インターン生も多く受け入れており、比較的若いチームです。

XR事業開発部は、新規事業を手掛ける部署なので、なかなか半年スパンでの目標を追うことが難しくて。どの事業をやるか模索するところから始まるので、今月追っていた目標が来月には変わっている、といったこともよくあるんですね。

そのため、MBOの目標を設定する際には、数値目標だけでなく、なるべくアクションベースでの目標を立てるようにしています。

具体的には、「今月はAとBのアクションを実行する」といった目標を立て、それを実行できたかどうかで達成度を測っています。

また、主業務ではないけれどチームのためになる活動については、その実行においてリーダーシップを取る人をきちんと設定して、その人の目標に組み込むということを意識しています。

例えば最近ですと、「VRのヘッドセットを使って、面白いコンテンツをみんなで体験する」という取り組みを始めたのですが、これも運営者を決めて、その人の目標に組み込むといった形です。

こうすることで、取り組み自体も良いものになるし、「やっているのに評価されない」という事態が発生しづらくなります。

一方で、これらの目標は、ある程度チャレンジングな水準に設定することが重要です。

ここが一番難しいのですが、「上長側がいかに臆さず、難易度の高い目標を部下に提案できるか」という部分が、結構大事だと感じています。

そのためには、やはり「信頼関係」がベースにあると思っていて。それを培うため、1on1では目標の進捗確認だけでなく、プライベートやキャリアの話など、1人ひとりに合った内容を話していますね。

1on1を円滑に進めるため、「マネージャー研修」を実施

原田 1on1は、週1回・原則30分を基本として、直属の部下と実施しています。

今でこそ現場に定着していますが、始めた頃は「最近どう?」「特に変わりないです」で終了してしまうようなことも度々ありました。

とりあえず、1on1の場を設定したはいいものの、何をどうやって話せばいいのか、現場のマネージャーが対応出来ていなかったんですね。

千原 そうした状況を想定して、マネージャー向けの「1on1研修」を人事側で用意しました。

この研修は、1on1に臨む基本姿勢や、傾聴、コーチングなどの講義を受けた上で、参加者のマネージャー同士でロールプレイングを実施するプログラムになっています。

具体的には、「PCを見ながら話さない」といった傾聴の基本から、失敗に対して前向きな振り返りに導く会話術、1on1で話すトピックの例まで、かなりボリュームのある内容です。

▼「1on1」で話すトピックの一例

また、研修は年1回のペースで開催していますが、必要なときにいつでも参照できるように、社内のポータルサイトにも「1on1の進め方」に関する手引きを載せています。

さらに、それでも上手く実践できない人をサポートするため、部下からの評価が高いマネージャーを集め、「どのように1on1を行っているか」を座談会形式で話してもらう、といった取り組みも行っています。

原田 こうした研修や参考資料があると、「こういう内容の話を、こういう風に聞けばいいのか」といったことがわかるので、実際の1on1においてもかなり役立っていますね。

MBOのカギを握るのは、上司と部下の「信頼関係」の構築

原田 人事によるサポートもあり、MBOや1on1は現場にも定着してきましたが、そもそもの前提として、上司と部下の「信頼関係」がとても大切だと思っていて。

最近、マネージャー向けの「リーダーシップ研修」に参加する機会があったのですが、研修を通じて、信頼関係を構築する上での「相互理解」の重要性を感じました。

その研修は、事前アンケートの回答をもとに、自身の強み・弱みに対する自己評価と周りの評価とのギャップを認識するというものでして。そして研修の最後に、そこで得た気付きを部署のメンバーの前で発表したんです。

そこで「自分がどういう人間なのか」といった自己開示をしたことで、今まで遠慮していた部分がなくなり、以前よりも意思疎通がしやすくなったんですよね。

この経験をもとに、自分の部署でも「16類型性格診断」という4指標16タイプに性格を分類する簡易版テストを取り入れ、全員で受けてみました。

そして、各々が自分の診断結果に基づいて、「自分は生来こういう性格で…」といった発表を、1人ずつ皆の前で行ったんですね。

すると、今までは理解しづらかったような発言も、「この人は元々こういうタイプの性格だから、あの時あんな発言をしたんだな」ということが、お互いに分かり合えるようになって。

このように、相互理解を深めることが心理的安全性に繋がり、MBOや1on1の運用もスムーズになるのではないかと感じています。

MBOと1on1の両軸で、組織と個人の成長を実現していきたい

千原 人事本部では、1on1に関するアンケート調査を、年1回のペースで実施しています。直近の調査では、社員の7割が「満足」という回答でした。

また、1on1を通じて「上司への信頼感が高まった」「自分のことを理解してもらえる機会ができてよかった」といった声もあり、総じて良い反応を得られています。

今後は、耳の痛い部分のフィードバックや、そこから次の行動にどう結び付けるか、といったより成熟度が求められるレベルまで、全社的に底上げしていきたいと考えています。

そして、MBOと1on1を組み合わせて運用し、当社の人材開発テーマである「経験学習サイクル」を回すことによって、個人、チーム、そして組織全体の成長に繋げていきたいですね。(了)

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