• 株式会社フィードフォース
  • コーポレート本部長 兼 広報・Bizdev チームマネージャー
  • 岡田 風早

社員の「市場価値」を上げる!エンジニア半数の組織における、評価・目標管理の全貌

〜社内制度の「現状維持」はNG!全職種のキャリアパスと給与テーブルを公開し、1on1やOKR運用を進化させた取り組みを公開〜

日々の仕事や数値目標に追われる中、「果たして自分は成長できているのか?」と不安に感じたことはないだろうか。

既存のWebサイトに複数のソーシャルログイン機能を導入できる「ソーシャルPLUS」や、自社ECサイトの広告運用を自動化する「EC Booster」など、BtoB領域におけるサービスを展開する株式会社フィードフォース。

同社では、およそ70名のメンバーの市場価値を高め、個人の成長をサポートするために、2017年12月に全職種のキャリアパスと給与テーブルを社内に公開

1人ひとりが「これが出来るようになったらこのくらいの給与になる」ということを明確にイメージできるように、細かいスキルやコンピテンシーまでを設計している。

またキャリアパスの公開に伴い、1on1OKRの運用も、組織の実態に合わせた見直しを行ったのだという。

社内制度に関しては『現状維持』が一番良くないので、常に変えていこうという姿勢を持っている」と話すのは、同社で評価周りの運用に関わる岡田 風早さんだ。

今回は岡田さんに、フィードフォースにおける評価制度・マネジメントの仕組みの改善について、詳しくお話を伺った。

カスタマーサクセスからコーポレート周りまで、幅広い業務を担当

フィードフォースには、カスタマーサクセスチームの立ち上げにジョインする形で、2015年10月に入社しました。当時はまだ、40名いかないほどの組織でしたね。

それ以前は400人規模の大型コールセンターの運営や、自社Webサービスのカスタマーサポートのマネージャーを経験していますが、かなりマンパワーに頼った仕組みだったんです。

よりテクノロジーを活かして効率よく課題を解決するアプローチをしたいと思っていた中で、フィードフォースに出会いました。

面接に来てみたら、水色の開襟シャツにハーフパンツの人が現れて。「一体、自分はどこにきたんだろう」みたいな感覚だったのですが(笑)、それが代表の塚田でした。

話をする中で自分がやりたいこととマッチするなということで、入社を決めました。

そこからカスタマーサクセスチームの立ち上げに関わり、自社サービスのプロダクトマネージャーなどを経験しました。現在はパートナーとのアライアンスや大型案件のサポートを行いながら、1on1や評価まわりの運用改善を担当しています。

実はコーポレートの業務に関しては、入社してすぐの頃から兼務の形で関わっていて。というのも、入ってきたばかりの頃は、自分が任せてもらえる仕事もそこまで多くなく、少し余裕があったんです。

であれば、ベンチャー企業で人数も少ないですし、社内の困りごとに自分の経験を還元できればと思い、最初にプライバシーマークの更新を手伝い始めました。

それをきっかけに、衛生委員会の立ち上げなども行ってきまして、その流れで、今は1on1や評価制度の運用などにも関わっている形になります

キャリアパスと給与テーブルを全公開し、社内の認識を合わせる

弊社には現在およそ70名の社員がいますが、その約半数がエンジニアです。チームは職種ごとではなく、プロダクトやサービスごとに分かれています。

役職に関しては、ジュニア・メンバー・シニア・エキスパートというシンプルなものです。シニアになるタイミングでマネジメント志向とプロフェッショナル志向にキャリアパスが分かれています。

また、全職種のキャリアパスと給与テーブルを公開しています。「誰がどのポジションか」は公開していませんが、自分が今どこにいて、何を目指すべきなのか、ということがわかるようになっています

若い時ほど、モチベーションが報酬に寄ってしまう部分は否めないなと思っていて

他社と給与だけで比較してしまうこともあるので、会社として「こういうことが出来るようになったらこれ位の給与になるんですよ」ということは全体に見せていかなければならないなと

▼実際に作成したキャリアパスの例(カスタマーサクセスの一部のみ)

これは1年ほど前から着手し始めて、2017年12月に公開し、翌月から運用を開始しました。半年ほどかけて、各職種にヒアリングを重ねて、現場と一緒に作っていったものです。

例えばエンジニアであれば、エンジニアのシニア以上の人を集めて、「こういう等級に分けたいんだけど、ここだったら何が出来た方がいいか」といったことを付箋に書き出してもらって、議論を深めました。

現場と共に作ったので、双方に納得感のあるものが出来たと思っています

以前は各メンバーがKPIを持っていて、それに対する達成度合いで評価をしていました。これですと、数値で成果を出しやすい職種は良いのですが、そうではない場合の評価が難しかったんです。

またメンバーからすると、自分が何を出来るようになったらいいのか明確ではなかったので、「頑張る方向」を間違えてしまうことにもなりかねないなと。

さらに、KPIだけを追っていって、果たしてメンバーの市場価値が本当に上がるのか、という疑問もありました

こうした理由から、キャリアパスを明確にして、メンバーとマネージャー間で個人の成長に関して共通の認識が持てるようにしたいと考えました。

具体的なスキルやコンピテンシーを設定するにあたっては、それが市場価値と乖離しないように、できるだけ自分たちのサービスに寄り過ぎないようにしています

人を育てて組織を強くする。1on1の運用もキャリア目線で見直し

また、キャリアパスについて議論を始めたタイミングから、社内で行われていた1on1(※)の見直しも行いました。

※1on1についての解説記事はこちら

やはり会社は人を育てていかないと強くならない、という意識が強くなってきたんですね。人が育っていかないと、プロダクトも組織も強くならないと。

そして、人を育てるためにキャリアパスを作って給与テーブルを明確にしたのですが、そのサポートとして1on1の運用も見直していこうということになりました。

1on1に関してはもともと、2年ほど前に「とりあえずやってみよう」と始めまして。

導入によって、社内のコミュニケーションが間違いなく良くなったという実感はありました。ですが、そこからそれ以上は誰も突っ込まず、だんだん「なぁなぁ」になってきてしまって

当時は、職種のマネージャーが行い、その後の組織変更に伴いプロダクトマネージャーと職種のマネージャーの両方から、プロダクトに関する1on1とキャリアに関する1on1をそれぞれ行なっていました。

設計時は両方のマネージャーからアドバイスをすれば完璧だと思ったのですが、実際にやってみると、上手くハマったケースはあるものの、そもそも1on1の回数が多くなってしまいます。

また、アドバイス内容がそれぞれ微妙に異なってしまうなど、割と上手くいかないケースもあったんです。

そこで、現在はプロダクト側の1on1に寄せて、キャリアパスを使いながら、キャリアのアドバイスも併せて実施しています

1on1の位置づけとしては、個人の成長をマネージャーがサポートするためのものとして、必ず月に1回は行うようにしていますね。

目標設定にOKRを導入したものの、実態と合わない部分も…

また以前は、個人までOKR(※)で目標を設定していて、その進捗も1on1で確認していたのですが、今は目標設定の方法自体を変えています。

※OKRについての解説記事はこちら

OKRは基本的に「ストレッチ目標」を立てるので、なかなか100%の達成は難しいですよね。なのでキャリアパスと一緒に話すと、目標を達成していない感覚が強くて

また、1人ひとりがOKRを設定すると、どうしてもストレッチ具合にブレが出てきます。さらにエンジニアに関しては、個人の成長のためにOKRを決めることも難しく、あまり現実にそぐわなかったんです。

そこで2018年の6月から、OKRはあくまでプロダクトの目標として個人の評価とは切り離して、毎週チームで行うKPT(※)の中で進捗を確認するようにしました。

※KPTについての解説記事はこちら

個人の目標に関しては、プロダクトのOKRとは別に設定しています。事業予算のようなものではなく、「1週間に◯◯件訪問をする」といった、なるべく自分でコントロールできるものですね。

マーケティング、フィールドセールス、インサイドセールスといったビジネスサイドは、こういった数値目標になることが多くなります。

一方でエンジニアに関しては、数値的な目標より、個人の成長とプロダクトへの貢献を見ています

エンジニアって、非常に目標が立てづらいですよね。チーム開発を行っている事に加え、色々な差し込みタスクもあったり、やるべきことも変わっていく中で、「1ヶ月先に何を達成しているか」を決めることにはあまり意味がないと感じていて。

ですので、評価に関しても目標を事前に決めるというよりは、「この3ヶ月の中で、チームにこういう貢献をしました」ということをプレゼン形式で1人ひとりが発表できる場所を作り、評価のプロセスに組み込んでいます

「現状維持」はNG。現場の声を聞きながら、より良い制度を作る

個人的に、実は「フレームワーク」というものにはあまりこだわりはなくて。例えばOKRにしても、ただ皆にわかりやすいようにしたいだけなんですよね。

あくまでフレームワークはフレームワークなので、良さそうなものは積極的に試してみて、その良いところだけをどんどん残して改善を繰り返していけばいいかなと考えています

環境やプロダクトやメンバーに応じて、どうしたらチームと会社が良くなるかを自分達で考えることが重要かと。

何でも、より良くしていくためには形を変えていかなければならないと思っています。現状維持が一番良くないので、常に変えていこうという姿勢は社内の共通認識としてもありますね

ただ、制度の形を変える以上、「こうやったらもっと良くなるから」ということをいかに説得力を持って社内に伝えられるかは大切です

場合によっては代表の塚田が皆の前で話すこともありますが、一番大事なのは、マネージャーがどれだけ熱意を持ってそれをメンバーに伝え続けられるかです。

基本的に「社長が言っている」ことは皆しっかり聞くものの、やはり普段から接している人が言い続けなければ、浸透していかないんですよね。

いわゆる経営陣からメンバーまで、伝言ゲームじゃないですが、どんどん温度感は下がっていってしまうので、それをどこまで保てるかだと思います。

我々に関しても、1on1やOKRも発展途上の段階で、導入当初よりはもちろん良くなったものの、まだまだより良くできると考えています。

最近1on1についてのアンケートを取ったのですが、メンバーから改善して欲しい要望も沢山挙がっていて。

こうした新しい取り組みに対して皆どう思っているか、自分達の感覚だけで判断をするのではなく、きちんと皆に聞いていかなければいけないなと反省している部分もあります

メンバーの育成を支援する側のマネージャーもいろいろと試行錯誤しているので、マネージャーの育成フォローなども含めて、これからも改善を繰り返していきたいですね。(了)

「チームのパフォーマンスを最大化したい」と思うあなたへ

当媒体SELECKでは、これまで600社以上の課題解決の事例を発信してきました。

その取材を通して、自律的な成長を促す「伴走型のマネジメント」が、組織づくりにおいて重要であるという傾向を発見しました。

そこで開発したのが、1on1の運用と改善で、メンバーの内省を促進し、パフォーマンスを最大化するツール「Wistant(ウィスタント)」です。

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