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メンティが「自分で考え、納得する」ことが大切。二人三脚で行う目標達成プロセスとは

〜目標は「コンフォートゾーン」に置かない。若手メンバーをいち早く成長させるための目標設定、1on1運用のノウハウを公開〜

まだ業務経験がほとんどない新卒メンバーに対しては、どのような目標設定を行うのが正しいだろうか?

累計会員数が350万人を突破したマッチングアプリ「タップル誕生」を運営する、株式会社マッチングエージェント。

同社に2017年新卒として入社したエンジニアの木邑 和馬さんは、メンターの島谷宙伸さんのサポートの元、まずは目指すグレードに上がるために「自分が何をすべきか」をツリー化。

次に同社オリジナルの目標設定シートを用いて、事業・技術・組織という3つの貢献軸の中でウェイトを定め、半年の目標を設定した。

そこから隔週の1on1などを通じてその進捗をメンターと共に追うことで、1年後には周囲の同期に先駆けて少人数チームのリーダーができるレベルまで到達できたという。

島谷さんは、メンターの役割は「ギリギリ届くか届かないかという目標を導くこと」「本人が目標に対して納得し、自ら行動するように背中を押すこと」だと話す。

今回はお二人に、同社の目標設定のノウハウや、メンター・メンティ双方が持つべき姿勢について、お話を伺った。

新卒が1年で目指すグレードを、半年で達成するために目標設定

島谷 僕は2012年度にサイバーエージェントに新卒入社して、5年ほどはゲーム部門でサーバーサイドエンジニアをしていました。2016年に、ゲーム以外の領域にも挑戦しようと、マッチングエージェントに異動してきまして。

そのタイミングから、徐々にサーバーサイドチームのメンバーの目標設定や、振り返りを担当するようになりました。それ以前はトレーナーとして後輩の面倒を見るくらいだったので、個人的には新しい経験でしたね。

木邑 自分は2017年度の新卒として入社しました。2ヶ月間に渡るグループ全体の研修を経て、マッチングエージェントに配属された形です。

最近では、サービスの主要機能の開発におけるサーバーサイドを1人で任せてもらったり、A/Bテストの実施を主導したり、業務の幅が広がってきています。

▼左:島谷さん、右:木邑さん

島谷 サイバーエージェントグループの専門職に関しては、その職種に沿ったスキルセットが定義されたグレード制が導入されています。

エンジニアの場合は、7段階の「Sランク」というものがあり、一人前と呼ばれるのがS3です。全社的な新卒の目標としては、まず1年間でS3になることを目指します。

木邑に関しては、ちょっと背伸びをして、半年でS3を目指そうと。そこから、小さなチームのリーダーができるランクのS3.5を1年で目指そうということで、配属の直後に目標設定を行いました。

木邑 S3は、同期でも大体の人が目指して、概ね達成できる目標ではあるので、そこから先に抜けたいという気持ちがありましたね。

島谷 結果的に、約1年でS3.5を達成してくれました。これはしっかり目標設定をして、その達成に向けて努力をしてもらったからこそ実現できたのだと思います。

目指すべき状態を自分自身で理解するために、ツリーマップを作成

木邑 入社した時から、なんとなく「自分の手で事業を成長させたい」ということは思っていたのですが、それ以上は何も考えられていなくて。

具体的にどんな役割があるのか、自分が得意なこと・目指すべき方向は何なのか、ということを全くわかっていない状態でした。

そんな状態から、島谷との対話を通じて、きちんと地に足を付けて目標を追えるようにしてもらったという感覚があります。

目標設定にあたっては、まず「この能力をここまで上げましょう」という時に、「じゃあ何をすればいいのか」というハードルがありますよね。

最初は自分自身もあまり想像がつかない部分があった中で、「エンジニアとして一人前になるために何が必要か洗い出してみたら」というアドバイスをいただいて。

そこから自分でツリーマップを作成し、島谷さんからアドバイスをいただきながらブラッシュアップしました。

▼実際に作成した、目標設定のツリーマップ

いかに「ギリギリ」を設定できるかが鍵!目標設定は徹底的に行う

島谷 マップを使ってS3に必要なスキルやアクションをすり合わせた後、一緒にマッチングエージェントで使っている目標設定のシートに落とし込んでいきました。

事業・技術・組織貢献という3つの貢献軸がある中で、自分がどこにどのくらい注力するのかというウェイトを決めます。そしてそれぞれに対して、目標と、それを計測するための指標を設定します。

指標を数値化しづらい場合は、「セリフメソッド」という方法でできるだけ計測可能にしています。「誰々さんに〇〇と言わせる」という方法です。例えば「Aさんに木邑は仮説力があるなと言わせる」といったイメージです。

基本的には、これを各自がリーダーにフィードバックをもらいながら作成し、最終的には事業責任者とすり合わせて、半年ごとに決定する仕組みになっています。

木邑の場合、最初は技術に70%のウェイトを置いていました。新卒の場合は、まずエンジニアとして独り立ちするだけの技術的な成長をすることが、事業の貢献にも繋がりますよね。なので最初はそこに重きを置いてもらったという形です。

このように、しっかりと目標設定を行うのは、マッチングエージェントの良い文化だと思います。これまで携わったプロジェクトでは、ここまではやっていませんでしたね。

また、メンバーの成長のためには、いかに「ギリギリ届くか届かないか」という目標を設定できるか、ということが大事だと思っています。

いかにコンフォートゾーンから抜け出して、ストレッチゾーンに入るか、ということですね。ただパニックにはならないように、上手くそこを導いてあげるのがメンターの役割だと思っています。

あとは、目標に対して具体的なイメージがつくまで、メンバーにしっかり考えさせてあげることも大切です。

こちらとしては「こういう風に成長して欲しい」といった期待があったりしますよね。そこは伝えつつも、本人がどうなりたいのか、ということを自分で考えてもらうことを意識しています。

木邑の時も、あまり口出ししすぎず「考えて欲しい」ということをずっと言ってましたね。

信頼関係ナシの1on1は成り立たない。互いに努力することが大事

島谷 目標に対しては、クオーターに1回は事業部長を含めて中間振り返り面談を行いますし、隔週ごとに実施している1on1でも進捗確認をしています。

木邑 自分にとっては、1on1は不安を解消する場にもなっています。「このままで目標達成できるのかな」と思った時に、そのもやもやを伝えて、方向性を正してもらう感覚もありますね。

また、1on1は「何でも言って良い」場所だと思っています。これは島谷がそういう雰囲気づくりをしてくれていたというのもありますし、個人的にも、思っていることを全部言うことが、リーダーのためにもなると考えています。

今ここで自分の不安を溜め込むと、いつか自分ではない誰かが同じことを思った時に、チーム内でトラブルになったりするかもしれませんよね。

やはり参加する以上は、1on1を良いものにしたいという気持ちがあります。なので入社してすぐのタイミングで、1on1の本を読んで勉強しました。

それによって、1on1ではメンターが「傾聴」を大切にするということもわかったので、何でも言うようにしていますし、話すことも事前に考えておくようになりました。

実際に1on1で相談した例で言うと、「お出かけ機能」という新しい機能を作っている時に、コンセプトや仕様を決めるのに時間がかかって、なかなか実装に入れなかったんです。

その時「このままじゃ間に合わないかもしれない」と相談したのですが、「確かに作った後に手戻りすることになったらもったいないけど、手を動かしちゃっても良いんじゃない?それで進む時もあるし」と言ってもらえて。

自分の中で「絶対ここは進めたらうまくいかない」と思っていたのが、その一言が後押しになって、実際に行動が変わりました。

島谷 あくまでも「これをやって欲しい」ということは言わずに、背中を押す程度にしたいと思っています。ただ1on1でも、一番大事なのは、やはり本人が納得できるかどうかなんですよね。

「◯◯してよ」と言うのと、「◯◯してみたらどう」と言う場合で、受け取り方も全然違うと思っていて。「自分がやってみようと思ったからやります」という形で1on1が終わって、行動に移ってもらうまでが僕の責任かなと。

自責で考えてもらい、メンバーの視点を上げる

島谷 1on1でメンバーの視点を上げるために意識しているのは、他責ではなく、なるべく自責で全ての問題を捉えるよう導くことです。

開発チームで何か悩みがあるとした時に、「自分自身が解決出来る方法は何かないの」と話を振ってみたりして、なるべくメンバーの責任範囲を広げる。それが結果的に、その人の影響範囲やできることを増やすことにつながると思っています。

自責で考えてもらうよう促す時、詰めっぽくならないためには「言い方」が重要なのはもちろんですが、前提としてメンバーへの信頼感が大切かなと思います。「木邑だったらこう捉えてくれるだろう」という感覚があるんですよね。

この信頼関係は、1on1の場で急にできるものではないと思います。

木邑 入社した時から、島谷は全部の質問に真摯に答えてくれたり、定期的にしっかり振り返りの時間を取ってくれていたので、そこで信頼関係ができていったのかなと思います。

島谷 こちらとしても、毎週毎週、成長しているなと感じていたので、教え甲斐がありました。信頼関係は、お互いの努力あってこそのものですよね。

次の世代へ、「人を育てる」ことをの大切さを伝えていく

島谷 最近では、木邑に対するビジネスサイドからの信頼も非常に高まってきたと感じています。自分の責任とする範囲が広がっていった結果だと思うので、良い育ち方をしてくれたなと感じています。

木邑 今は、いつかプロダクトオーナーになるという視点から、事業的な責任を一部持たせてもらうような目標を設定しています。やはり、事業を伸ばすような役割を目指していきたいですね。

また5月からは、新しく入ってきた新卒のトレーナーも担当しています。人を育てるということはすごく大切だと自分の経験からも実感したので、島谷のようなメンターになりたいですね。

島谷 エンジニアのキャリアパスとしては、プロダクトオーナーのようなビジネスサイドに深く関わっていく方向って多くはないですよね。

その中で彼がそのまま突き進んでいけば、ある意味ロールモデルのようになっていくと思っています。なのでこれからも、そこを一緒に目指していきたいですね。(了)

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当媒体SELECKでは、これまで600社以上の課題解決の事例を発信してきました。

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