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  • 佐瀬 ジェームズ幸輝

強い人材をどう採用する?「解きたい課題」で惹きつける、プレイドのissue採用とは

〜職種ではなく「将来的に挑戦したいissue」の単位で採用。本当に求める人材と出会うために生み出した独自の採用手法を紹介〜

急成長を遂げるスタートアップにおいて、ステージが進むなかでも「本当に求める人材」を採用し続けるためには、どのような採用手法が有効なのだろうか。

2011年に創業し、2015年からCXプラットフォーム「KARTE」を展開する、株式会社プレイド。

同社では、2018年の大型資金調達や一等地へのオフィス移転を機に、「事業が仕上がった拡大期フェーズの会社」といった認知が形成されはじめ、自社が求める強い人材(※)からの応募が減っているという課題があったそうだ。

そこで、自社が目指す世界観とそのスケールの大きさを候補者に伝えるために、「プレイドが将来的に挑戦したいissue」を公開。

2019年12月からは、職種単位ではなく、候補者が関心を持つissue単位で応募できる「issue採用」の実験を開始し、この独自の採用手法を通じて「強い人材」の採用も実現し始めているという。

今回は、本プロジェクトを主導する佐瀬 ジェームズ幸輝さんと、実際にissue採用経由の1人目の社員として入社した宮下 巧大さんに、issue採用プロジェクトがどのように始まり、進捗してきたのか、詳しくお伺いした。

※編集部注:同社が定義する強い人材とは、「高い視点で自ら問題を定義できる。問題を楽しめる。学習のために挑戦できる。学習の仕組みをつくれる。クイックに動ける。深く考えられる。周囲を巻き込める。unlearningできる。そして、圧倒的な成長余白をもっている、広義の意味でのスキル・マインド・ポテンシャルを保有している方」を指し、この定義は可変なものとのことです。

issue boardで「実現したい世界」のスケールを可視化

佐瀬 僕は、2016年にプレイドに中途入社し、プロダクト開発やコーポレート・プロダクトブランディング業務などを中心に幅広く担っています。今回のissue採用は、採用チームの枠を超えたプロジェクトとして、立ち上げから携わってきました。

弊社は、2018年に大型の資金調達を行い、オフィスをGINZA SIXへ移転しました。その後、カスタマーサクセスなどを強化し、組織が急速に拡大してきたのですが、100名を超えた頃から違和感をもち始めました。それは採用活動がひとつの起点だったと記憶しています。

というのも、「非連続な事業成長に貢献したいので、アーリーステージのスタートアップに行きます」といった形で、候補者の方から辞退されることが増えてきて。

プレイドは以前はあまり知られていない存在でしたが、資金調達やどこにオフィスを構えているかなどの様々なイメージが加わったことで、「仕上がった会社」と思われるようになってしまったんですね。

それによって、僕たちが創業当時から求め続けてきた「強い人材」は、よりチャレンジングな環境を求めて離れていっているのでは、という危機感がありました。

一方で、僕たちが掲げる「データによって人の価値を最大化する」というミッションに対しては、感覚的にはまだ0.2%ほどしか進捗していません。実現したい世界はすごく遠くにあり、より多くの強い人材と共に進めていきたい。

そのためには、応募前に「僕たちがどこを目指しているのか」と「世の中に提供できる価値」のスケールの大きさを伝える必要があると考え、2019年1月から採用全体のリデザインに取り組み始めました。

▼左:佐瀬さん、右:宮下さん

まず、外部の方を含む多くのメンバーと「どのような組織(HOW)によって、事業として何を成し遂げたい(WHAT)のか?」についてディスカッションを重ね、それによって導き出された「プレイドが将来的に挑戦したいissue」を可視化することで、スケールの大きさを伝えようと考えました。

ここで可視化するissueは、候補者の方がプレイドの未来をイメージできる一例のようなものです。本来は無限に存在しますが、そのいくつかを「issue board」上に表現することにしました。

色々な表現方法を試した結果、オンラインホワイトボードのmiro上で「抽象度の高い親issueとそれをブレイクダウンした中issue、具体的に取り組んでいる事例である子issueを構造化し、過去に発信した事例のURLを紐付ける」という形で整理しました。

▼実際のissue board(同社提供)

※本取り組みの詳しい内容は、こちらのブログをご参考ください。

職種ではなく課題単位で募集。独自の「issue採用」を開始

佐瀬 このissue boardは、採用面談で候補者の方に見てもらったり、転職エージェントの方にフィードバックをいただいたりして、「ビジョンの共有がしやすくなった」などのポジティブな反応をいただきました。ですが、これは「強い人材を採用する」という目標に向けた実験的な施策のひとつに過ぎません。

続いて、2019年12月から開始したのが、独自の採用手法の実験である「issue採用」です。

これは、職種単位ではなく、issueという課題単位で応募できるもので、正社員・業務委託などの雇用形態や法人・個人を問わず、僕たちの掲げる未来に共鳴する方と一緒にプロジェクトを始める採用の仕方です。

この制度の開始に伴い、採用サイトなどで「社会のバグを改善し、生活者体験を10倍良くするCX事例開発に挑戦する」「日本をリードするOMO(※)のベストプラクティス開発に挑戦する」といった、10のissueを発表しました。

※OMO(Online Merges with Offline)…オンラインとオフラインでの顧客の行動データを融合させ、UX向上やマーケティングに生かす手法

▼実際のissue採用の募集ページ(一部)

重要なのは、これらはあくまで僕らが挑戦することの一部、例示でしか無いもので、本質的にはこのような挑戦を自ら生み出せるような方に仲間になっていただきたいということです。

とはいっても、まだよく知らない会社とどんな挑戦をするかを、一から思考するのはとても難しいと思うので、そのための入り口として10個のissueを挙げています。

issue採用では一般的な書類選考を設けていません。ただ、プロジェクトを進めていくなかで、候補者の方の熱量や、何に取り組まれてきたかといった情報は、やはり事前に知りたいと思うようになりました。

そこで、より良い面談体験を目指して、途中から応募フォームの項目を見直しました。具体的には、ソーシャルアカウントなどの「自分を示す何らかの情報」と、「なぜこのissueを選んだか」という問いに任意で答えていただいています。

また、応募後の選考プロセスはがっつり固めていませんが、特徴的なのは候補者の方とのディスカッションが非常に多いということです。

まず、候補者の方が興味を持っているissueに対して、お互いの考えを伝え合う形で複数人とディスカッションを重ねていきます。その後、アイデアの実現に向けてどのように進めていくかをざっくりと決め、入社前にお試しでジョインして、社員と共にプロジェクトを開始する流れです。

候補者の方によって対面する顔ぶれや内容が全く異なりますし、お互いの考えを伝え合う場は、面接というよりはビジネスにおけるアライアンスの打合せに近い感じですね。

一方、そのような議論からプレイドを知っていただくなかで、会社のミッションや事業ドメインに深く共感していただき、通常採用のフローへの転換を希望されて進めることもあります。

社員と共にプロジェクトを実行。issue採用の選考プロセスとは

宮下 僕は、建築デザイン事務所で設計業務に携わった後、issue採用を通じて2020年10月に入社しました。現在は顧客とKARTEの可能性を広げる新しい事例を作っていく取り組みのなかで、OMO領域をメインに担当しています。

僕がプレイドを知ったのは、転職活動中にTwitter上で見かけた「issue採用を開始します」というツイートでした。

「チャレンジする人を求めている」といったメッセージや、自分が興味を持っていたOMOがissueに取り上げられていたことから「なんかすごく楽しそうだな」と感じて。当時いただいていた内定を辞退してエントリーすることを決心しました。

そして、前職から業種も職種も違うので、自分が考えていることや、持っているスキルをどう活かせるかをなんとか伝えなければと思い、勝手にポートフォリオを送ってエントリーしました。

入社するまでには、大きく3つのステップがありました。

はじめに行ったのは、社員の方とのこれから取り組みたい内容についてのディスカッションです。ここでは5回にわたり、プロダクト開発やR&Dに携わる方、デザイナーなど、合計7〜8人の様々な役割の方とお話ししました。

未来の話をすることで、プレイドが目指している世界がイメージできましたし、それぞれの方の解釈が少しずつ違うことから伝わってくる自由度に、とても魅力を感じました。

次に、具体的に既存のお客様を想定し、KARTEを使って新たにどんな価値を提供し、事業を始めることができそうかを考えていきました。ここでも社員の方とディスカッションしながら進めていくので、課題を出されて解くといった選考形式とは全く異なりましたね。

最後に、5月から週に数日の契約で働きはじめ、ディスカッションを経てつくった案をお客様に提案し、実現性を検証していきました。実際に会社のメンバーとプロジェクトを進めることで、社内のカルチャーや環境を体感する機会にもなりました。

2019年12月にエントリーしてから、このような選考プロセスを経て、2020年10月に正式入社した形です。

応募者側としては、他社の選考とスケジュールが合わせられない、転職活動期間が長くなるといったリスクはあるかもしれません。しかし、入社した後に合わない部分があって苦しむといったリスクは全くないので、どこでリスクを取るかの違いかなと思います。

仕事をする上で、「個人の想いと会社のビジョンに共通点があり、その部分を協力して取り組む」という個人と会社の関係はとても本質的だなと思うので、そのために時間を掛けることに何も違和感はありませんでしたね。

候補者は「issueを体現する人」。推進力や主体性を重視

佐瀬 候補者の方がプロジェクトで取り組む内容は、基本的に一任しています。issueに対して大筋では同じ方向を向けているという感覚なので、社内の誰かが「やる・やらない」を判断するのではなく、プロジェクトチームのみんなが信じることを、ガンガン実行していく形です。

進めていくなかで必要に応じて、顧客であるKARTE Friendsを担当するメンバーと、「今のフェーズで提案できるアイデアか」「Friendsと一緒に作り上げていけそうな内容か」といった観点でディスカッションをしていますね。

自由度だけが非常に高いように思われるかもしれませんが、候補者自身が背負う範囲も大きなものです。

このissue採用において統一的な採用基準はありませんが、特に重視しているのは「特段のプロジェクト推進力」です。また、プレイドという実験場を使って、仲間と共に挑戦してもらう上では、アンラーニング力や学習欲も重要だと思っています。

宮下のケースでも、彼自身が強い主体性を持って関わるメンバーを引っ張ってくれました。これを既存のメンバーが主導すると、issueを渡しきれていない、本質的ではないものになってしまうので、やはり候補者の方には、誰よりも深く思考して率先垂範していく「issueを体現する人」であってほしいと思います。

オンボーディングに関しても型化したものではなく、入社前から自然と行っていたような形です。対話を重ねて、プロジェクトを進めるなかで疑問点が出てきた際に、それに詳しい人や理解を深めるための資料などを僕から紹介していました。

とはいえ、途中からは宮下自身が色々なメンバーに声を掛けて進めていたので、紹介する必要はすぐになくなりましたが(笑)。カルチャーに関しても、多くの社内ミーティングに参加するなかで感じ取ってもらう形でした。

宮下 一般的なオンボーディングが設けられていない分、一見ドライな感じがするかもしれないのですが、僕はこれが普通だと思っています。

結局やってみないと分からないことは多々ありますし、困った時に聞けば絶対に答えてもらえて、一緒に動いてくれるという環境は揃っているので、それで十分です。すごく自由を与えてもらっている感じですよね。

一緒にプロジェクトを進めてくれるメンバーを集める際に大事なのは、僕がどんなことができるかを知ってもらうことでした。

そのため、取り組んでいるものをアウトプットして社内に対して自ら発信し、それを見た人が次の仕事を頼んでくれて、徐々に影響範囲を広げていくイメージでしたね。

プレイドの実験をオープン化し、多くの企業と取り組んでいきたい

佐瀬 現時点で、issue採用を通じて入社に至ったのは宮下1名ですが、たくさんの方との面談を通じて強く感じるのは、「これまで出会えていなかった方々と、出会えるようになった」ということです。

issue採用を行うことで、これまでのプレイドやKARTEの発信では興味を持ってもらえていなかった方たちと、未来に向けてじっくり語り合うことができたのはすごく良かったと思っていて。

ただ、採用全体のリデザインから始めて掲げた、僕たちが目指すところから考えるとまだ極めて道半ばなので、今後も発展と拡張を繰り返していかなければと思います。

宮下 僕が携わっているOMOは今世の中で大きく動き出している領域なので、着実に成果を積んでいきたいと思いますし、その先に自分が建築家として目標にしている「データを使って空間を変える」ということを、成し遂げたいなと思っています。

また、僕はプレイドが掲げるミッション自体に共感しているので、OMOにこだわらず、色々な業務に携わっていきたいですね。

佐瀬 僕はやはり、大きく・本質的なミッションがあることが重要だと感じていて。遥か遠い目標に向かって、1人ひとりが思考して走っている状態はすごく楽しいし、本質的な働き方だと思っています。

このような働き方や組織の在り方を発信することで、自社にも取り入れてみようという企業が増えて、多くの人の働き方が変わったり、より意志を持って楽しく働けるようになったら良いなと思います。

issue採用もプレイドだけでやっていてはもったいないですし、興味を持った人がより参加しやすい枠組みについても検討していて、今春改めてローンチを予定しています。そちらもぜひ、楽しみにしていただきたいです。(了)

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