- 株式会社マネーフォワード
- 小林 英恵
スプシ依存による人的エラーをゼロに。マネーフォワード クラウドStoreのオペレーション改革
【Sponsored by HubSpot Japan株式会社】
各所に散らばったデータを集め成果をレポートする、煩雑な業務プロセスを整備し互いに連携させる、異なるシステム間で顧客データの様式を統一する…
近年の業務システムの複雑化・サイロ化に伴い、上記のような「オペレーション(運用)業務」の重要性が非常に高まっている。
オペレーションを改善することで、社内に分散したプロセスやデータを繋ぎ、最適化することができる。それが結果として、顧客への提供価値の向上につながり、事業のさらなる成長を支える土台となるのだ。
この「オペレーション改善」のために強力な力を発揮するのが、統合型CRMプラットフォーム「HubSpot」から2021年に登場した「Operations Hub(オペレーション・ハブ)」だ。
そしてOperations Hubを、日本ではいち早く導入したのが、株式会社マネーフォワード内の新規事業として、2020年に立ち上がった「マネーフォワード クラウドStore」である。
同チームでは、スプレッドシートで煩雑な数値管理を行うことに限界を感じ、2021年にHubSpotの一連の製品群と共にOperations Hubを導入。
HubSpot上で、マーケティング、セールス、カスタマーサポートが持つ情報を互いに連携する形で一元管理した上で、事業全体のMRRやサービスごとの売上、顧客別のアップセル額など、あらゆる重要KPIの集計が自動でダッシュボード上に展開される仕組みを実現した。
結果として、レポーティング作業に必要な時間が半減しただけではなく、メンバーの数字意識も向上。改めて、事業成長を実感するきっかけにもなったのだという。
今回は、同チームでHubSpot導入を推進した小林 英恵さんと、導入・構築支援を提供したインフォニック株式会社の執行役員である今村 一壽さんに、詳しいお話を伺った。
事業の急成長に伴い、オペレーション業務の効率化が大きな課題に
小林 私は、マネーフォワード クラウドStoreで事業企画を務めています。2021年3月にフィールドセールスとしてチームにジョインしましたが、今年から役割を変えてアライアンス、チャネル開拓を中心に担当しています。
マネーフォワード クラウドStoreは、2020年に新規事業として立ち上がりました。本体のバックオフィス向けのマネーフォワード クラウドシリースとは切り離された形で、Google WorkspaceやMicrosoft 365、Dropbox、Zoomといったクラウドのサービスを代理販売しています。
▼マネーフォワード クラウドStore
事業を立ち上げた背景には、
マネーフォワードクラウド自体、「バックオフィスの業務効率化」を特長に掲げている中で、なかなか自社のサービスだけではやりきれない部分もあり、ストアという形で他社サービスの販売を始めた形です。
当初は3名でスタートした完全セルフサービスのモデルでしたが、後に、売上を伸ばすため、そしてお客様にサービスのことをよく理解して購入いただき無駄なIT投資を防ぐために、営業リソースを割いて販売する意思決定を行いました。そして、私含めて新たに3名が事業にジョインしました。
そこからは、一般的なSaaSのようにマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサポートという役割に分かれた体制になりました。現在は10名で運営していますが、前年同期と比較して売上が3.5倍に伸びるなど、大きく成長しています。
HubSpotを導入したのは2021年7月ですが、その背景には大きく2点の課題がありました。
まずは、事業とチームが拡大する中で、マネーフォワード本体とは切り離す形で、マーケティング施策を自由度高く自分たちで推進できる環境の整備が必要だったこと。
そしてもうひとつが、売上集計や契約管理といったオペレーション業務もマネーフォワード本体とは異なるため、クラウドStoreの管理方法に合わせて最適化する必要があったことです。
ですが、新規事業で人数も少ない中、システムを専任で担当できるメンバーをアサインすることは難しい。ですので、イチ営業でも扱いやすく、直感的に操作できるものが良いという理由から、HubSpotに決定した形です。
現在は、HubSpot Marketing、Sales、Serviceという役割ごとに使うソフトウェアに加えて、Operations Hubも導入し、売上等の数値集計を中心とした、オペレーション業務を自動化しています。
事業の実態に合わせてデータを自由自在に扱える「Operations Hub」
今村 私はインフォニック株式会社の執行役員として、グループ会社全体のマーケティングや営業と、社内オペレーション、新規サービスの企画などを幅広く担っています。
▼【左】株式会社マネーフォワード 小林 英恵さん【右】インフォニック株式会社 今村 一壽さん
今村 サービスのひとつとしてHubSpotの導入や運用・システム構築の支援を提供しており、今回はマネーフォワード クラウドStoreさんにおけるHubSpot導入をサポートさせていただきました。
私はもともと10年以上エンジニアをしていて、さまざまなソフトウェアを扱ってきました。その中でもHubSpotは、便利なだけではなく触っているだけでもすごく刺激を受けるプロダクトなので、導入支援もとても楽しくさせていただいています。
マネーフォワード クラウドStoreさんがHubSpotを導入されたのは、新製品としてOperations Hubがリリースされてすぐのタイミングでした。日本では、かなり早いタイミングでの導入だったそうです。
HubSpot Operations Hubは、オペレーション業務、言い換えるといわゆる「運用業務」の課題を解決するプロダクトです。
HubSpot自体はCRMプラットフォームがベースにあり、マーケティング、セールス、カスタマーサービス領域のソフトウェアがそれぞれ展開されていますが、その機能だけでも非常に優れたものです。
ですが、複数のサービスを扱っていたり、複数のプロダクトを展開していると、ソフトウェア間のデータ連携等の面で、自分好みにデータをカスタマイズすることが難しいんですね。
例えば会社によっては、売上を集計するタイミングや条件を細かく設定したかったり、細部にわたって契約情報を整理したかったり、といったニーズがありますよね。しかし、HubSpotの標準レポート機能ではカスタマイズ性にどうしても限界があります。
そこでOperations Hubを使うと、自分でコードを書くことで、ソフトウェア内に貯めたデータを非常にフレキシブルに扱うことができます。顧客データや売上データ、契約情報などを、意図した形の規則に従って修正したり、アウトプットすることができるんですね。
▼HubSpot Operations Hubの操作画面(公式ページより)
今村 公式ライブラリでもサンプルコードが色々と公開されていますが、例えば「郵便番号の値にすべてハイフンを入れる」「名前の姓と名を分離する」「会社名を正式名称にする」といったデータクレンジングを自動化することが可能です。
また、細かい契約情報をもとに売上の詳細なレポートを作ったり、バッチ処理のように月末の締め処理のときに売上データを自動で整備したり、といったこともできます。
▼HubSpot Operations Hubが提供する公式ライブラリ
今村 まさに「かゆいところに手が届く」ツールと言いますか、HubSpotの機能を大きく拡張するような存在です。様々なシーンで、非常に役に立つソフトウェアだと思います。
スプレッドシートからのデータ移行では「心が折れた」ことも
小林 マネーフォワード クラウドStoreには、大きくふたつの料金体系があります。具体的には、クラウドサービスの利用料金のように月額制のものと、導入支援のような単発で発生するものです。加えて、取り扱っているクラウドサービスも多岐にわたる上に、割引率も細かく設定されています。
事業をスタートした当初は、こういった数字をすべてスプレッドシートで管理していました。ひとつのシート上でタブを分ける形で、それぞれの担当者が数字を記載していたので、管理項目などもバラバラで…。
特に途中から入ったメンバーは、正しい情報を把握するのに時間がかかってしまう状態でした。
各サービスごとの管理システムに入れば正しい数字がわかるので、なんとかなっていたのですが、ミスが防ぎきれない運用だったので、それを解決したいと考えていました。
今村 MRRが正確に算出できていなかったり、ヒューマンエラーによって売上の計上金額に誤りがあるなど、課題がたくさんあると聞いていました。
見るべき数字が多様であることに加えて、商談前はセールス、商談後はCS(カスタマーサポート)、といった形でデータも分かれていたので、その連携もしっかりとする必要がありました。
こうしたケースでは、従来であれば別のシステムを入れて管理していたと思います。そこを全てHubSpot単体で管理する、ということで、個人的には面白いチャレンジだと思いましたね。
小林 導入にあたっては、今村さんに要件を伝えてシステムの構築をしたもらった上で、スプレッドシートからデータのインポートを行いました。その上で、HubSpotとスプレッドシートの二重運用を1.5ヵ月ほど続けて、メンバーが慣れたタイミングでHubSpotに一本化しました。
実はデータのインポート作業はとても大変で、何度か心が折れました(笑)。スプレッドシートにある顧客データや売上データが本当に間違っていないか、一つひとつ確認した上で、別のシートにデータを統合して、それをHubSpotにインポートしていったので…。
当時はまだチームに人が少なく、私とCSのメンバーという2名だけで作業できたことが大きかったです。ここで関わる人が多いと、確認が大量に発生するので、迅速な移行は難しかったと思います。
今村 データのインポートは本当に大変そうで…小林さんも半泣きになってましたよね(笑)。
私の方でも、ある程度の構築ができたあとに細かい修正がたくさん入ってきて、一回作り直したこともありました。やはり運用って、やってみないとわからないところがあるんですよね。
小林 あれは本当に申し訳なかったです…。移行は本当に大変でしたが、2021年7月に今村さんとキックオフをして、11月にはスムーズに運用ができていました。
数字への意識が上がり、事業成長を実感する機会にもつながった
小林 以前は各数字を集計するとなると、スプレッドシート上でデータを絞り込んで、関数を使って…という作業が発生していたのですが、現状は各チームごとにHubSpotのダッシュボード上で、見たい数字を常に正確に見られるようになっています。
それに伴い、以前は多発していたヒューマンエラーもほぼゼロになりました。
▼HubSpotのダッシュボードでさまざまな数字を可視化
小林 また、効率化という点で最も大きい変化は、週次ミーティングで使用するレポート資料の作成時間が半分以下になったことです。
マーケティング、インサイドセールス、セールス、CSそれぞれに報告すべき数字があるのですが、それらがすべてHubSpot上で自動集計されているので、表示されている数字をミーティング用のフォーマットに入力するだけになりました。
正しい数字を常に誰でも見られるようになったので、メンバーもこれまで以上に数字に対しての達成意識が強くなりましたね。
アップセルの平均値や、売上の見込み、ライセンス数といった細かい数字も把握できるので、「昨年と比べてここがこうだね」と、具体的な課題を見つけて施策を立てやすくなりました。
加えて、改めて「この事業大きくなったね」ということを実感できたきっかけにもなりました。
メンバーも皆、HubSpotは直感的に触りやすいと言っていて、ダッシュボードに欲しい数字を自由に出して活用しています。今村さんにマニュアルも作っていただいたこともあり、新しいメンバーが入っても自走するのがとても早いです。
▼実際に今村さんが作成されたマニュアル
小林 スプレッドシートって、いくらでも関数が組めるじゃないですか(笑)。ですので、やろうと思えばなんでもできそうに思えますよね。
実際に以前、私が別の事業部にいたときには、セールス周りの、商談数や商談化率などを、すべてスプレッドシートで日次・週次・月次で管理していたこともありました。
とは言え、それではやりきれない部分や、属人化、ヒューマンエラーといった課題もいつも感じていたんですね。ですのでやはり今回のように、CRMをきちんと設計して導入することは絶対に大事だと改めて実感しています。
今村 今回のプロジェクトを経て思うのは、やはり小林さんのように「ちゃんと最後までやりきる人」がいることが大前提として大切だということです。
Operations Hubはカスタマイズ性が非常に高いので、「何をしたいか」「どんな数字を見たいか」という要件がしっかり決まっている必要があります。それを私のような開発者にきちんと伝えられるようにしておくと、思った通りのデータが取れるようになると思います。
小林 今は全員がある程度HubSpotを使いこなせるようになったので、それぞれがより精密な管理や、応用的な使い方を試していこうとしています。運用をしっかり定着させた上で、より良いものにしていくフェーズに入ったところですね。
今村 実は弊社内にも、マネーフォワード クラウドStoreさんに負けず劣らず運用の課題がありまして、HubSpotを活用しながらその解決を図っているところです。
また今後、HubSpotと他のツールとの連携の需要が、より増えていくと思っています。ですので社内でも色々と試してみて、その事例を横展開していくような動きができたらと思っています。
HubSpotでできることをどんどん洗練させていくことで、自然とまた新しい楽しみが生まれてくるんじゃないかな、と感じていますね。(了)