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【銘柄6選】HashPaletteやAstarなど、国内ブロックチェーンをご紹介!選定方法から活用事例まで

近年、ブロックチェーンをビジネスに活用する動きが加速し、新たなプロジェクトの実施や既存システムの一新に向けた取り組みが活発化しています。

そうした中で、ブロックチェーンの活用を検討する際に重要なのは、「自社のビジネスモデルに合った銘柄を選ぶこと」です。ブロックチェーンは、銘柄によって特徴や活用方法が異なるため、実現したいビジネス内容と照らし合わせながら、合致したものを選ぶ必要があります。

また、昨今のNFTブームによって、海外発のイーサリアム(ETH)やPolygon(MATIC)といった銘柄はよく知られている一方で、日本国内でもいくつかの開発・運用が進んでいます。

そこで今回は、前半ではブロックチェーンの種類・銘柄による違いと選び方、そして後半ではおすすめの国内ブロックチェーン銘柄と活用事例についてご紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

<目次>

  • そもそも、ブロックチェーンの銘柄によって何が異なるのか?
  • ブロックチェーンの種類別に、メリット・デメリットを把握しておこう
  • ビジネス活用に向けた、ブロックチェーンを選ぶ際の3つのポイント
  • 国内ブロックチェーン銘柄6選
    • ASTAR($ASTR)
    • HashPalette($PLT)
    • FiNANCiE($FNCT)
    • OVERSE($NIDT)
    • Chaintope
    • Startbahn

<編集部より>本記事に掲載している情報は、記事公開時点のものになります。Web3.0の世界は日々変化していますので、「DYOR(Do Your Own Research)」の前提で記事をご覧いただけますと幸いです。記事の内容についてご意見や修正のご提案がございましたらこちらまでお願いします。

そもそも、ブロックチェーンの銘柄によって何が異なるのか?

前提として、ブロックチェーンは仕組みや用途などの違いによって「パブリック型」「プライベート型」「コンソーシアム型」の3種類に分けられ、大きく以下の5つの点で違いがみられます。これらは、後ほどご紹介する銘柄ごとの特徴にも表れているため、まずはどのような違いがあるのか把握しておくと良いでしょう。

1.管理者の有無

パブリック型は管理者がおらず、データはすべてユーザーが管理します。そのため、管理者が一方的にルール変更・改ざんすることがなく、システムの透明性が高いというメリットがあります。一方でプライベート型は特定の1社のみ、コンソーシアム型は複数企業が管理を行います。

2.ユーザー(データ保有者)の範囲

パブリック型は誰でも参加できるオープンさがあり、ユーザーは自由に参加・脱退を行えます。一方で、プライベート型やコンソーシアム型は、ユーザーの参加には管理者の許可が必要です。そのため、ユーザー範囲を限定できる安全性の高さに違いがみられます。

3.データ閲覧の自由度

パブリック型は世界中の誰もがデータを閲覧できることから公共性が高く、耐改ざん性が担保されています。しかし、膨大なデータ量が流通するため処理速度が落ちてしまう点や、ハッキングなどを目的とする悪質なユーザーの参加障壁が低い点に注意が必要です。

対するプライベート型は、管理者がデータ閲覧範囲を制限できるため、公共性は低いものの、プライバシー保護が可能です。また、取引の処理スピードが速いのもメリットとして挙げられます。

さらにコンソーシアム型は、複数の組織間でのみデータを閲覧できる環境のため、公共性と匿名性がどちらも高いことが特徴です。そのため、パブリック型とプライベート型がもつ両方のメリットを兼ね備えた仕組みだといえるでしょう。

4.ユースケース(使用事例)の違い

パブリック型は、主にビットコインをはじめとした暗号資産の記録用データベースとして活用されています。また、身分証システムや食品流通の履歴管理などへの活用も進んでいます。

一方プライベート型やコンソーシアム型は、元々企業などの組織で活用されることを前提に開発された仕組みです。そのため安全性・匿名性が高いなどのメリットがあり、現在は銀行間送金・証券取引・企業間の情報交換などのビジネスネットワークに応用されています。

5.合意形成メカニズムの違い

すべてのブロックチェーンでは、取引データを記録する際に第三者が安全性・正確性を確かめる「合意形成(コンセンサス)」を行う必要があり、その方法はブロックチェーンの種類によって異なります。

パブリック型の多くはPoW(Proof of Work)という承認システムが採用されています。PoWは、取引にあたって必要な計算を成功させた人によってデータが承認され、ブロックチェーンに新規情報が追加される仕組みです。ただし、現在はPoWの電力使用量が課題となっており、PoS(Proof of Stake)への移行への動きが高まっています。

一方、プライベート型やコンソーシアム型ではPBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)というシステムが用いられてるケースが多いとされています。これは、ユーザー範囲が限定できる特徴を活かし、決められた複数のユーザーでスピーディに合意形成できる仕組みです。

また、一部のユーザーに不具合が発生したり、不正を働こうとした場合でも、他のユーザーによって問題なく承認作業が行えるのもメリットです。

ブロックチェーンの種類別に、メリット・デメリットを把握しておこう

次に、ブロックチェーンの種類別でメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。

ブロックチェーン導入には多くのメリットがある一方、ビジネスモデルによってはメリットがいかせない・デメリットが目立ってしまうこともあります。そのため、まずはそれぞれの種類の違いをきちんと把握しておくことが大切です。

※なお、パブリック型の課題については現在改良が進んでおり、処理速度向上・合意形成メカニズムの移行などが随時行われています。

ビジネス活用に向けた、ブロックチェーンを選ぶ際の3つのポイント

ブロックチェーンは現在、金融・公共サービス・不動産などさまざまな分野で活用されており、今まさにビジネスへの導入を検討中の方も多くいらっしゃるかと思います。ですが、先述したようにブロックチェーンにもさまざまな種類があり、単に導入するだけでは効果を得られない可能性があります。

そこで、ビジネス運用におけるブロックチェーンを選ぶ時のポイントや注意点について、3つの観点でご説明します。

1.コスト削減につながらない可能性も視野に入れる

ブロックチェーンの開発には多額の資金が必要です。現在、日本では複雑なメカニズムを扱えるブロックチェーンエンジニアが少なく、その分開発費用が多くかかってしまう現状があります。また開発後は、運用・メンテナンス費用なども必要になります。

前提として、ブロックチェーンを取り入れるメリットは、データ共有の効率化・改ざんなどのリスク軽減といった、導入後のパフォーマンス向上にあります。そのため、コスト削減を第一の目的とする場合は、ブロックチェーン導入以外の方法も検討しておくと良いでしょう。

2.ブロックチェーンの使用目的を明確にする

前述したように、ブロックチェーンにはメリット・デメリットがあるため、本当にビジネス活用に向いているのかを見極める必要があります。つまり、何のためにブロックチェーンを導入するのか、その目的を今一度明らかにしておくことが重要なのです。ブロックチェーンはあくまで「手段」であることを理解しておきましょう。

なお、導入時は「ブロックチェーンの長所がビジネスのプラスになるか」「事業と掛け合わせて、ブロックチェーンの短所をクリアできるか」の2つの軸で考えるのがおすすめです。これにより、導入の目的を具現化しやすくなるでしょう。

以下、それぞれの軸においてどのようなユースケースがあるのか、一例をお伝えします。

<目的1:ブロックチェーンの長所をプラスで取り入れる>

まずは、事業に取り入れることでブロックチェーンの強みを最大限活用する方法です。ユースケースの具体例は以下の通りです。

1)改ざんの防止

プラス面:記録データを安全に保管できる / 当事者間でデータを共有できる
ユースケース:土地登記や法人登記など

2)二重支払いの防止

プラス面:資産の所有権を移転できる
ユースケース:中古車売買やデジタルコンテンツの販売など

3)中央管理者がいない(パブリック型)

プラス面:システム障害に強い / 不特定多数のユーザーに業務発注できる
ユースケース:クラウドソーシング

4)スマートコントラクト

プラス面:ワークフローを把握できる / 手続きを簡略化できる
ユースケース:食品流通の履歴管理

<目的2:ブロックチェーンの短所を補う事業内容を提案する>

また、ブロックチェーンがもつ課題点を改善する・補う形で事業内容を考える方法もあります。短所をゼロにできれば、ブロックチェーンが本来持つメリットを存分にいかすことができるでしょう。主なユースケースは以下の通りです。

1)処理速度が遅い/合意形成に時間がかかる

    • 改善策:大人数を相手にしない商売・ビジネスに活用する(保険商品の考案など)

2)管理者がいないため、取引相手の情報・信用が保証されない

    • 改善策:取引相手の信用度を示すレピュテーションシステム(過去の実績や利用状況から、悪質なファイルやサーバーを判別する仕組み)を採用する

3)ブロックチェーン技術と会社制度・設備との間に大きなギャップがある

    • 改善策:まずはエスクロー取引(第三者を介して決算・取引などを行い、相手の信頼性を保証する)を採用し、段階的に移行する

3.導入後の見通しを立てておく

ブロックチェーンは、ビジネスの規模に応じて「実装までにかかる期間」も変化します。なぜなら、複雑かつ新しいプロジェクトであるほど、開発や調整に多くの時間を要するからです。

また、たとえより良いサービスを開発しても、あまりにも革新的だとユーザーや社会に受け入れられない可能性もあります。そのため、まずは開発・応用しやすいものからリリースして、徐々に内容や規模を拡大していくことが大切です。

よって、技術成長スピードと、現在の社会需要や動向を客観的に分析したうえで、ビジネスモデルを段階的にイメージしてみることをおすすめします。

国内ブロックチェーン銘柄6選

ここからは、ビジネス活用におすすめの国内ブロックチェーンを6つ厳選してご紹介します。各銘柄の特徴だけでなく実際の活用事例もあわせて記載しているので、ブロックチェーン導入のプランニングにぜひ役立ててみてください。

1.ASTAR($ASTR)

Astar Network(アスターネットワーク)は、2022年1月にローンチされた日本発のパブリック型ブロックチェーンです。Stake Technologies(ステイクテクノロジーズ)社によって開発され、最新のITテクノロジーを利用した「Web3.0」の実現を目指しています。

Astar Networkの主な特徴は以下の通りです。

1.Polkadot(ポルカドット)のパラチェーンのひとつである

ポルカドットとは、異なるブロックチェーンの相互運用を目指して開発されたプロジェクトです。Astar Networkは、ポルカドットに接続できるブロックチェーン(パラチェーン)枠を獲得しています。これに伴い、Aster Networkは他のブロックチェーンがポルカドットに接続するための橋渡し役も担っています。

2.DApps開発のプラットフォームである

DApps(分散型アプリ)開発に向けた動きは、Astar Networkがもつ以下の3つの機能により活発化しています。アプリ内容は、DeFi(分散型金融)が中心で、今後さらなる発展が見込まれるでしょう。

<Astar Networkの3つの機能>
1)スマートコントラクト機能:正しく契約・取引を自動履行できる機能
2)ステーキング:DApps開発中は、エンジニアに継続的収入が与えられる仕組み
3)2つの仮想マシン(EVMとWASM)に対応:さまざまな機能やプログラミング言語を用いて開発可能

<事例1:NTTドコモとWeb3.0領域拡大に向けて合意締結>

Stake Technologies社は2022年10月31日に、日本国内最大手の通信事業者「株式会社NTTドコモ」と基本合意書の締結を行いました。NTTドコモは、これまでもブロックチェーンを活用した広告販売の実証実験を行うなど、Web3.0領域への参入を進めており、今回の締結によって両者がもつ技術やノウハウを組み合わせることができるようになりました。

なお今後の目標は以下の2つとのことです。

<Astar NetworkとNTTドコモが目指す今後の展望>
1)Web3.0の課題解決:ブロックチェーン活用における認知不足やシステム開発・運用環境の整備を行う
2)日本の社会課題解決へのアプローチ:DAOの考え方を活用し、所有者なしでも事業・プロジェクトを推進できる仕組みを育て、日本社会の地方創生・環境問題といった課題解決に貢献する

<事例2:AstarFarm × 博報堂 × カルビーのコラボ企画>

AstarFarm」は2022年7月にリリースされた、Astar Network上で展開されている「GameFi」です。暗号資産のASTRを預けてゲームをプレイし、収穫した野菜をゲーム内で販売することで、より多くのASTRをゲットできる仕組みです。

※出典:Astar Network上のGameFi「AstarFarm」が博報堂の企業Web3市場参入支援第1弾カルビー施策にてコラボ – PR TIMES

そして同時期には、限定のジャガイモを収穫したユーザーに抽選で、カルビーのジャガイモ商品が自宅に届くコラボ企画を実施。さらに、2023年4月には、カルビー対象商品の空袋を指定の形に折りたたむことで「ポテトNFT」がゲットできる新たなキャンペーンが開催され、Web3.0とリアルをつなぐ新しい試みとして話題となりました。

今回コラボしたStake Technologies社、博報堂ミライの事業室、カルビー株式会社は、「Web3.0が社会にもたらす新たな可能性・創造性を形にしていきたい」という共通の目標を掲げています。そのような想いがつながり、ブロックチェーンへの認知向上にも貢献したのが、これら一連の企画といえるでしょう。

2.HashPalette($PLT)

株式会社HashPalette(ハッシュパレット)は、ブロックチェーンネットワーク「Palette(パレット)」を開発・運用しています。デジタルデータに固有の価値をもたらすNFTの技術を用いて、マンガ・アニメ・音楽といったさまざまなコンテンツの発行・売買を行うことができます。

同社が提供する、Paletteの特徴は以下の3つです。

1.クロスチェーンに対応している

クロスチェーンとは複数のブロックチェーンを連結できる仕組みであり、Paletteはイーサリアムをはじめとした複数のブロックチェーンと連携可能です。そのため、取引所などの第三者を介さずに取引できることから、手数料がかからない・情報漏えいなどのリスクを防げるといったメリットが得られます。

2.エンタメ管理・運用に特化している

Paletteはデジタルコンテンツの中でも、マンガ・アニメ・音楽といったエンタメ領域に特化したブロックチェーンを構築しています。将来的には、さまざまなコンテンツがNFTを通してデジタル化され、所有・売却を自由に行える世界の実現を目指しています。

3.コンソーシアム型を採用している

Paletteはコンソーシアム型ブロックチェーンを採用しています。そのため、承認された複数のユーザーや管理者によって分散的に運営・管理できるのも特徴です。また、コンテンツの制作者や制作会社、著作権の保有団体などもユーザーとして参加し、価格調整などのルール作りに関わることもできます。

<事例1:HashPalette × bitFlyerがIEOに向けて契約締結>

ハッシュパレット社は、国内最大級の暗号資産取引所を運営するbitFlyerと2022年9月1日に契約締結を行い、IEOによる資金調達の実施を決めています。

IEOとは企業やプロジェクトがトークンの発行を通じて資金調達を行う方法の一種です。新規トークンは値段が高騰する可能性があり、投資家からの人気が高くなるため、販売後はスピーディな資金調達ができるメリットがあります。

今回のIEOで獲得した資金は、ハッシュパレット社が運営するゲーム「ELF Mastars」で使用できるトークンをはじめとした開発費に充てられます。同月には正式版がリリースされ、新機能実装など定期的なアップデートも行われています。また2023年以降には、コラボイベントの開催や派生ゲーム開発といった新たなプロジェクトも計画されています。

<事例2:HashPalette × RIZAPとの共同プロジェクト始動>

「人は変われる。」という理念を掲げるRIZAP(ライザップ)社とも、2023年5月より共同プロジェクトをスタートさせています。

同社は、さまざまな事業を展開しながら人の健康に寄り添う活動を続けてきましたが、健康の価値を十分に伝えきれていない側面があると課題を感じていたといいます。そうした中で、Web3.0の「X to Earn(特定の行動をして稼ぐ)」という特性に可能性を感じたことから、今回のプロジェクトがスタートしたそうです。

※出典:HashPalette、RIZAPと共同でNFT・暗号資産等を活用したWeb3ヘルスケアエコシステム構築に向けて“Workout to Earn”プロダクトを2024年にリリースへ – PR TIMES

同プロジェクトでは、Paletteを活用したGameFiによるプロダクトが開発され、「Move to Earn(運動して稼ぐ)」「Workout to Earn(筋トレをして稼ぐ)」を通して、ユーザーの健康へのモチベーション維持・向上を目指しています。

さらに、SBT(ソウルバウンドトークン)を活用して個人の健康関連情報を記録し、ランクに応じてRIZAPが提供するサービスの特典を受けられるといった仕組みも視野に入れているとのことです。(本製品は2024年にリリースを予定)

3.FiNANCiE($FNCT)

株式会社フィナンシェ(FiNANCiE)は、トークン発行型のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE(フィナンシェ)を運営しています。他にも、NFT発行・運営のサポート事業やIEO実施支援など、ブロックチェーン技術を活用した幅広いサービス展開が魅力の企業です。

スポーツやエンタメ領域などで活躍したいという夢を持つ人と、彼らを応援したい人とをつなぐ仕組みづくりによって、活動・イベントの発展や夢の実現に貢献しています。

株式会社フィナンシェは、主に以下の3つのサービスを運営しています。

1.トークン型クラウドファンディングサービス「FiNANCiE」

FiNANCiEでは、夢や目標の実現を目指すスポーツチーム・クリエイターを「オーナー」、オーナーを支援するファンを「サポーター」と呼んでいます。

FiNANCiEを利用するオーナーのメリットは、トークン発行・販売によって資金を獲得できることです。これにより活動のレベルアップや新たな企画運営などが行えます。一方サポーターにとっても、コミュニティに参加して意見を伝える・投票できるといったメリットがあります。

また、トークン保有者限定の特典をゲットできるほか、オーナーの夢が実現していく中でサポーターが増えれば、保有トークンの価値が上昇する可能性もあります。

2.NFT提供サービス「FiNANCiE NFT」

FiNANCiE NFTは、ブロックチェーン上で発行されるNFTの配布・販売を行うサービスです。先ほど紹介したFiNANCiEと連動しており、NFTを用いた新たなプロジェクト創出・運営をサポートしています。

3.IEO支援サービス

また、同社は暗号資産「FNCT(FiNANCiE Token)」の開発・企画を行っており、そのノウハウをいかしたサポート事業も実施予定です。日本国内の企業を対象として、トークンエコノミーの設計支援をはじめとした、IEO実施に向けたサポート体制を検討中とのことです。

<事例1:日本の映像業界史上初のプロジェクト「SUPER SAPIENSS」>

「SUPER SAPIENSS」は、日本のエンタメ・映画界を先導してきた3名の映画監督がタッグを組んだエンタメDAOプロジェクトです。彼らが目指す「原作作りから映像化までに関する全プロセスの一気通貫」が実現すれば、日本の映像業界史上初の快挙となります。

2022年1月に行われた第1回ファンディングでは1,000人を超えるサポーターが集まり、支援総額は約4,500万円にのぼりました。さらに、同年7月10日には、物語の序章となる映像作品「SUPER SAPIENSS THE BEGINNING」が完成。2022年冬にはWEBTOON(Web上で読める縦スクロール型のマンガ)が公開されました。

なおサポーターは、堤 幸彦監督のオリジナルキャラクター案をもとに漫画家のちょび氏が描いたアート画像をゲットできます。これは、プログラムによってキャラクターの各パーツがランダムに組み合わせられるジェネレーティブNFTとなっています。

今後は、作品内に保有NFTが登場するシーンの作成や、登場人物の超能力に関するアイデア募集をコミュニティ内で実施予定とのことです。

<事例2:日本伝統工芸の次世代継承を目指す「WAKON」>

「WAKON」は、日本の伝統工芸のあり方や関わり方を見直し、Web3.0を通じてアップデートしていくプロジェクトです。「日本各地の伝統工芸1,500社と連携し、新たな文化経済圏を実現する」という最終ゴールに向けて、トークンを活用した様々なプロジェクトを展開しています。

※出典:国内初!日本文化を愛する学生起業家の挑戦。Web3を活用した、職人文化の継承×伝統工芸ブランド創出プロジェクトがFiNANCiEにて始動。 – PR TIMES

2023年1月の第1回トークン販売では319万円の資金調達に成功。その資金を元に、トークンコミュニティの設立や職人との連携活動がスタートしました。現在までの間に、トークンに関するセミナー実施や技術研修企画などの活動が精力的に行われています。

また、同年5月より開催中の第2回トークン販売では「伝統工芸の工房30社との連携」が目標として掲げられ、その収益は着物ファッションNFT「MetaKimono」や文化体験パスポートNFT「WakonPass」などのプロジェクトに活用される予定です。

なおトークン保有者の特典として、個人には「投票企画への参加」「マーケットでの売買」など、そして法人には「図案のデータ化とNFT販売代行」「WakonPassへの掲載料無料(個人特典も利用可能)」などが付与されます。詳細については随時コミュニティにて更新・発表予定とのことです。

4.OVERSE($NIDT)

株式会社オーバース(OVERSE)は「ブロックチェーン技術とメタバースを利用したアイドル活動領域の拡大」をミッションに掲げ、新しいアイドルグループの創造を目指す企業です。

同社は、暗号資産の「NIDT(Nippon Idol Token)」を運用することで、従来のアイドル業界とはまったく異なる資金調達法を確立できると見込んでいます。

これまでアイドル活動の運営資金は、大手芸能事務所や広告代理店などからの資金提供に依拠していました。そのため、営業方針や収益状況などの理由で資金提供が減少・ストップしてしまうと、アイドル活動にも大きな影響が出てしまうのが課題として挙げられていました。

ですが、NIDTの発行・販売を行うことで、提供先に左右されることなく活動を続けられるようになり、自由かつ創造的なアイドル活動を展開できるのです。

<日本におけるアイドル業界の4つの課題と、NIDT活用メリット>

 課題1)コロナ禍社会におけるアイドル活動の制限

  • 仮想空間でのイベントや交流の機会が充実し、接触リスクの軽減につながる
  • NIDTがコミュニティ内のツールとして作用し、ファンの支援意欲向上も期待できる

課題2)国内女性アイドルグループの海外進出

  • パブリック型ブロックチェーンにより、全世界のファンが交流できる仕組みを作れる
  • 楽曲や映像をデジタル配信できる
  • NIDTの一部をグループ活動実績に基づきメンバーに割り当て、卒業後に付与する仕組みを構築できる

課題3)メンバーのアイドル活動終了後における進路への不安

  • 卒業後の進路不安を和らげ、アイドル活動に専念できる

課題4)資金調達の不確実性

  • アイドル活動が資金提供事業者の方針等に影響されない

NIDT保有者には、「アイドル活動における運営の一部に対する意思決定(投票権)」「アバターやNFT等のデジタルグッズの購入」「コンサートやイベント等のチケットの購入」といった権利・特典が付与されます。

<事例1:「 IDOL3.0 PROJECT」による新たなアイドルの形を創造する>

IDOL3.0 PROJECTは、NIDTを活用した新規アイドルグループ創造プロジェクトです。総合プロデューサーに秋元 康氏、運営には人気アイドルグループ育成に携わった企業・スタッフを迎え、プロジェクトがスタートしました。

IDOL3.0 PROJECTでは、コンサートやイベント出演などのアイドルグループ活動に加え、仮想空間での活動やデジタルグッズ展開なども行われます。

なお、仮想空間を使ったアイドル活動としては、以下の内容が検討されているとのことです。

<仮想空間でのイベント内容(予定)>

  • コンサート会場、グッズ販売所、イベント会場など、従来のアイドル活動を踏襲した空間の設置
  • 現実世界では実現困難な女性アイドルグループとの交流スペースの創造
  • 既存の街並みや建造物を模倣し、かつ発展させたデジタルツインの実現
  • 一般的な女性アイドルグループの公式ホームページと同等以上の情報発信
  • 世界中のファンの獲得や支持を前提とした多言語展開の展開と、コミュニティの運営

今後のスケジュールとしては、まず2023年8月〜9月に募集メンバーの最終審査合宿を経てメンバー候補生が決定され、歌・ダンスレッスンを行った後、今年度中にはデビューシングルをリリース予定とのことです。

5.Chaintope

株式会社chaintopeは、ブロックチェーンを用いた自律分散型の新たな社会モデルの構築を目指し、2016年に設立されました。同社は、独自のパブリック型ブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」の開発やコンサルティング事業、エンジニア育成などのサービスを展開しています。

Tapyrusは、ブロックチェーン本体であるファーストレイヤーと、その外部システムにあたるセカンドレイヤーの二層構造でデータを管理しています。これにより、パブリック型ブロックチェーンにおける処理速度の遅さ・安全性といった課題点が改善され、アプリケーション開発もスムーズに行えるのが特徴です。

同社はTapyrusの開発だけに留まらず、以下の4つのソリューション事業や、実証実験の実施や社会資本の可視化に向けたサービスも提供しています。

(1)サプライチェーン向けソリューション「Paradium」

サプライチェーンとは、商品の調達から販売に至るまでの一連の流れを指します。Paradiumはスマートフォン・パソコン・プリンターがあれば、誰でも簡単にトレーサビリティ(商品の販売日・場所・提供者などが分かる仕組み)を導入可能です。これにより、サプライチェーンを可視化して安全な食品や製品の提供を可能にするとともに、顧客からの信頼性向上に貢献します。

(2)地域通貨発行ソリューション「NATALE」

地域通貨とは限定地域で発行・使用できる通貨です。住民のイベント参加意欲向上に加え、地域活性化の促進も期待できます。NARALEは、地域通貨発行プラットフォームとして活用可能です。

(3)電力業界向けソリューション「Electrowise」

日本の電力業界は、再生可能エネルギーの普及にともない電力発電の分散電源化が進むとされています。Electrowiseでは電力業界のあり方を再定義し、ブロックチェーンベースの新たなシステム構築を目指しています。

(4)セカンドレイヤーソリューション「Inazma」

Inazmaは、パブリック型ブロックチェーンの課題でもあった「処理速度の遅さ」を補うプラットフォームです。独自トークンを発行可能な上、Inazmaプラットフォーム上であれば異なるポイントプログラムでも互換性を与えることができます。

<事例1:フィッシャーマン・ジャパン・マーケティングがParadium導入>

株式会社フィッシャーマン・ジャパン・マーケティングは、漁獲の流通販売・水産リサーチ・SDGsに関する社会問題の解決などに取り組む企業です。同社は2020年に、販売した「朝獲れホヤ」の産地・鮮度を証明する仕組みとしてParadiumを採用しています。

※出典:ホヤの朝獲れをブロックチェーンで追跡、水産資源のトレーサビリティ向上に期待 – PR TIMES

ホヤは、毒を持った植物プランクトンを餌として食べることがあるため、稀に食中毒を引き起こす可能性があります。そのため、ホヤが安全かつ適正に管理された商品であることを消費者に認知してもらうことを目的に、取り組みが実施されました。

具体的には、商品の袋に貼ってあるQRコードを読み取ることで、ホヤのトレーサビリティ情報(出荷から到着までの流れ・収穫時間など)を確認できるページや、ホヤの捌き方を解説した動画、トレーサビリティに関する購入者アンケートなどのコンテンツが提供されています。

<事例2:福岡県「電力トレーサビリティ証明モデル事業」に採択>

株式会社chaintopeは、福岡県の「令和5年度電力トレーサビリティ証明モデル事業」に選出されました。これに伴い、国立大学法人九州工業大学・公立大学法人北九州私立大学・みやまパワーHD株式会社・株式会社EDAHAと連携し、実証事業がスタートしています。

近年は環境問題への関心が高まる中で、福岡県では「環境と経済の好循環を実現する持続可能な社会」の実現を掲げ、具体的な取り組みを設計・開始。これらの取り組みへの意識・流れをより加速させるシステムとして、ブロックチェーン技術が採用されたという背景です。

実証事業は、2021年にブロックチェーン推進宣言を掲げた新塚市を対象に行われます。主な実施内容としては以下の通りです。

<令和5年度電力トレーサビリティ証明モデル事業における実証内容>

(1)環境価値の可視化、証書化

  • 再生可能エネルギーの自家消費
  • 省エネルギーの成果など

(2)環境価値証書の活用先の調査および検証

  • 地域企業による環境価値証書の購入
  • 環境価値に関わる地域通貨や学内通貨の利用など

6.Startbahn

スタートバーン株式会社は、世界中のアーティストやアートに関わるすべての人が必要とする技術を提供し、より豊かな社会の実現を目指す会社です。アート業界の信用・価値形成におけるプロセスを守りながら、ブロックチェーン技術による作品の流通・評価インフラを提供しています。

代表的なサービスは、NFTの発行・管理ができるブロックチェーンStartrail(スタートレール)です。アート作品の信頼性・真正性を保証し、価値継承をブロックチェーン技術で支えることを目的として開発されました。

Startrail上で発行されたNFT証明書を使えば、発行事業者の情報から、取引内容、修復や鑑定状況といった作品のあらゆるデータを記録できます。絵画や彫刻といったものから、画像や音声などのデジタル作品に至るまで、幅広い作品形式に対応しています。

また、NFTの発行から管理までを一元管理できるアプリ「Startrail PORT」も提供しています。Startrail PORTは、低価格な固定料金でNFTの発行・新しい所有者への移転などを行えるのが特徴です。また各作品にはNFC(近距離無線通信)タグを付与でき、スマートフォンでスキャンすれば作品のNFT記録にアクセスできる機能もあります。

<事例1:集英社がマンガアート販売サービス「SMAH」を開始>

日本の総合出版社を代表する集英社は「マンガを、受け継がれていくべきアートにする」というビジョンを掲げ、2021年にマンガアート販売サービス「SMAH(SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE)」をスタートしました。

同プロジェクトは、高品質な技術と素材で漫画をアート化・NFCチップを利用した証明書を同時に発行し、ブロックチェーン上で真贋証明ができる仕組みを構築しています。すでにワンピースやBLEACHなどの多くの有名作がNFTアート化されています。

アートの購入者にはNFCタグシールが添付され、スマートフォンでスキャンすればNFT情報を閲覧できます。マンガの原画データを元に作家や技術者による加筆・再調整が行われており、単なる印刷では再現できないリアルな色味や迫力を楽しめるのが特徴です。

<事例2:文化庁の美術品DX事業にStartrail採用>

また、2022年度に文化庁が実施した「令和4年度美術品DXによる管理適正化・市場活性化推進事業」における実証実験にて、Startrailが活用されています。

※出典:文化庁による「美術品DXによる管理適正化・市場活性化推進事業」にStartrailを活用。 – PR TIMES

これまで美術館や博物館といった文化施設では、調書に手書きするなどのアナログな方法で作品を管理してきました。しかし、作品の紛失リスク・管理体制の統一などが問題視されており、これらを解決する手段としてデジタル技術の活用が求められるようになったという背景があります。

実証実験では、SOMPO美術館の収蔵作品5点をStartrail上に登録後、NFCタグが取り付けられました。そして各作品を他の美術館に貸し出し、その際の来歴管理やトレーサビリティの有用性が調査・検証されました。

その結果、館内保管時のデータと貸し出し時の配送データをまとめて管理できるようになり、データを一元化したことで記録内容が充実したため、作品の価値向上にも繋がったといいます。

今後も、より広くブロックチェーン技術が浸透すれば、文化施設の所蔵品と民間が所有する美術品を同一フォーマットでデータ管理することが可能となるでしょう。

まとめ

以上、国内のブロックチェーン銘柄とそれぞれの事例についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

ブロックチェーンの具体的な活用事例は、今後より一層増えてくるのではないかと思います。今後、ブロックチェーンを活用したいと考えている方は、ぜひ今回の記事を参考に自社のビジネスにあった銘柄を選んでみてくださいね。

※本記事は情報提供を目的としており、投資を勧誘するものではございません。本記事に記載している情報は本サイトの見解によるもので、情報の真偽、各種ツールの安全性、暗号資産の正確性・信憑性などについては保証されておりません。ツールの使用や投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願いいたします。

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