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UPSIDER/10X/ゆめみが語る「エンジニア・デザイナー・PMの連携を強める方法」【イベントレポート】

働き方の多様化、AI生成技術などの台頭、専門技術のサイロ化といった世の中の大きな変化によって、不確実性が高まっている現代。そんな中で、各所で連携しながら業務を進める上では、何をどのように優先し、判断すべきかに迷われる方も多いのではないでしょうか。

そこで、2023年9月に開催したオンラインイベント「SELECK LIVE!」では、UPSIDER、10X、ゆめみの3社からゲストスピーカーをお迎えし、「エンジニア・デザイナー・PMの連携を強めるには?」をテーマにトークセッションを実施しました。

イベント当日は、それぞれの企業が異職種メンバーの連携強化についてどのように取り組んでいるかを詳しく伺いましたので、本記事ではその内容をお届けします!ぜひご覧ください。

▼ゲスト
株式会社UPSIDER / VPoE 泉 雄介さん
株式会社10X / Product Manager 江波 拓郎さん
株式会社ゆめみ / 取締役(デザイン担当)・シニアプロダクトデザイナー 田中 翼さん

▼司会・モデレーター
Webメディア「SELECK」プロデューサー 工藤 元気
株式会社ゆめみ / CCO・デザインストラテジスト エイマエダカツタロウ

【各社の紹介】開発組織の体制や特徴について

今回は「エンジニア・デザイナー・PMの連携を強めるには?」というテーマから、「開発実務も担うVPoE、PM、デザイナー」という異なる立場の方々に、ゲストスピーカーとしてご登壇いただきました。

また、視聴者の皆さまも特定の職種に偏ることなく、それぞれの職種の方が参加してくださいました。そこで、パネルディスカッションやQ&Aセッションに向けた前提情報として、イベント冒頭では各社の開発組織の体制や特徴についてご紹介いただきました。

▼本イベントに参加してくださった視聴者の皆さまの職種分布

1.株式会社UPSIDER / VPoE 泉 雄介さん

「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」をミッションに掲げ、上場を目指すスタートアップ・ベンチャー企業向けの法人カードSaaS「UPSIDER」と、BtoB決済サービス「支払い.com」を開発・提供している株式会社UPSIDER。

同社でVPoEを務める泉 雄介さんからは、開発組織の特徴として「会社全体におけるエンジニア・デザイナー・PMの割合が45%」、「社内のテック人材のうち12.7%が海外人材、バイリンガル人材」であることや、現在の技術スタックなどをお話しいただきました。

2.株式会社10X / Product Manager 江波 拓郎さん

非連続な顧客価値を作り・届けるという「10xを創る」をミッションに、チェーンストアECに特化したEC/DXプラットフォーム「Stailer」を開発・提供している株式会社10X​​。

同サービスはスーパーマーケット・ドラッグストアなど、チェーンストアのオンライン事業立ち上げと成長に必要な機能をすべて備えているため、複雑なプロダクト特性をもち、職種間・チーム間・部門間の連携・協調が不可欠だといいます。

同社でProduct Managerを担う江波 拓郎さんからは、開発組織の体制や大事にしているカルチャー・10X Valuesなどについてもお話しいただきました。

3. 株式会社ゆめみ / 取締役・シニアプロダクトデザイナー 田中 翼さん

企業に対する「開発内製化 / サービスデザイン / システム構築・運用・改善」などの支援を通じて、「アウトソーシングの時代を終わらせる」ことをミッションに掲げる株式会社ゆめみ。

同社で取締役(デザイン担当) 兼 シニアプロダクトデザイナーを務める田中 翼さんからは、事業会社であるUPSIDER、10X社と異なる「支援会社」としての特徴や、デザイン組織としてどのように開発領域と連携しているかなどをお話しいただきました。

【パネルディスカッション】3つのテーマから各社の取り組みを深掘り

本イベントのメインパートとして、ゲストスピーカーに事前に3つの質問にお答えいただき、それらをベースとしたパネルディスカッションを実施しました。

後半には、視聴者の皆さまからの質問にもお答えいただきましたので、ぜひ最後までご覧ください。

質問① プロダクトの方向性を決定するときの優先順位を教えてください

――まずは、それぞれのご回答に補足説明をお願いできますでしょうか。

 「色々な軸で議論する」と回答しましたが、軸の例としては、事業戦略やビジョンとの接合性、自分たちの競合優位性、収益性などが挙げられると思います。

また、組織の信頼関係や共通言語などができていない段階なら、大きなプロダクトを進めるより、まずは成功体験を積んでチームビルディングをすることが優先される場合もあるでしょう。そういったケースも含めて、1つの軸だけで判断しないことが重要だと考えています。

江波 私たちは経営方針、事業方針、プロダクトの開発方針の足並みをしっかり揃えることに、組織として力を入れています。10Xのプロダクト特性もあるのですが、その足並みが揃っていないと、いくら良い機能を作っても意味がないということも起こり得るので。

田中 私が回答した「提供価値の明瞭性」の部分を補足すると、ゆめみは支援会社なので、お客様と向き合って「誰に・何を(どんな価値を)・どのように届けるか」を明確にさせることを重要視しています。そこがブレてしまうと、やはりどこかで上手くいかなくなってしまうと思います。

――なるほど、ありがとうございます。個別で気になった部分をお聞きします。10X江波さんの「Why Now?」という言葉は何を指しているのでしょうか?

江波 さまざまな要求や課題が集まってくると、やりたいこと・やるべきこと・できることのバランスを考えて取捨選択が必要になってきますよね。

その取捨選択の際に、「それは本当に今じゃないといけないのか?」と強く問う必要があると思うんです。そういう意味で「Why Now?」を大事にしています。

 これ、すごく良い問いですよね。リソースは有限だけど、やりたいことってほぼ無限じゃないですか。だからこそ、「Why Now?」にシャープに答えられることは大事だと思います。

江波 「Why Now?」を重視しているのは、弊社のプロダクト特性もあると思います。「Stailer」という、ネットスーパーのプラットフォームサービスを提供しているのですが、お客様によって事業規模や事業フェーズがさまざまなんです。

他のプラットフォームでずっとネットスーパーを出していて、事業基盤ができている状態からStailerに乗り換えたというお客様もいれば、ネットスーパーを出すこと自体が初めてで、Stailerを使ってまずは1店舗出してみたというお客様もいる。

そうなると、それぞれ注力するポイントも全く変わってきます。ですから、要求・要望やアイデアの一つひとつに対して、「本当に今やる必要や価値があるか」という「Why Now?」の問いを重ねる必要があるんです。

――「Why Now?」の問いかけから、「今じゃない」と判断した場合はどうなるのでしょうか?

江波 イシューや要求はすべて管理してあるので、今期は後回しにしたものでもトラックできるようになっています。今は半期ごとにプロダクトロードマップを見直しているのですが、そのタイミングで再びイシューや要求を全部並べてみて、その時々で注力すべきものを決めている形です。

「Why Now?」で後回しにした要求が1年後に再浮上して、そのタイミングで実現したという例もありますし、逆に再検討したけれど「やはり、これは必要なかったね」と消えていくものもあります。

質問② 職種を超えたメンバーが連携する上で、どのような課題がありますか

――ご回答の中から、気になるワードについて伺いたいと思います。まず、UPSIDER泉さんに伺います。「間違えた前提(Making Wrong Assumptions)や曖昧さ(Ambiguity)」というのは、どういう状況下で起こりがちなのでしょうか?

 相手の言っていることを言葉の上では理解していても、実は同じ気持ちになれていない、という状況下で起きると思います。

気持ちの面でアライメントが取れていないと、相手が重要視している部分に対して、「なぜそれが重要なのか」を理解できないまま進んでしまい、情報の非対称性が生まれてしまいますよね。

そこを曖昧にしたまま進めてしまうと、後で「やっぱり何か違う」となってしまいがちだと思います。だから、言葉の上だけじゃなくて「なぜ、その人がその部分を重要視しているのか」をきちんと深掘りしないといけません。

「連携が上手くいっていないな」と思って詳しく話を聞いていくと、例えば「このタグを仕込んでいないと、デジタルマーケ上で問題が起きちゃうんです」とか、相手が重視していた事の背景が見えてくるケースがあります。

そこでやっと「だから重要だったのか!」と腹落ちして、慌てて対応するようなことが起きるのだと思います。

田中 気持ちのズレですよね。そこで言うと、期待値や熱量の差も気を付けるべきところかな、と感じました。

例えば、「プロダクトをもっと良くしよう!」や「もっと魅力的にしよう!」という人と、「ユーザーも居るし、ビジネス的に安定してるからそこまで頑張らなくても良いかな」という人では、熱量の差がありますよね。それがそのまま気持ちのズレになり、言語や認識のズレが発生することはよくあると思います。

江波 要求やイシューに対する解像度の違いも大きいのではないでしょうか。弊社ですと、お客様からStailerのサービスに関して、さまざまな要求やイシューが上がってくるんです。もちろん文字のメッセージだけでも要求内容は分かりますし、なぜ要求されているかの理由もある程度は理解できます。

しかし、実際に現場に入ってお客様の業務を体験したり、お話を聞いたりするのに比べると、要求に対する解像度が全然違うんですよね。文字だけで受け取る開発メンバーと、現場体験をした開発メンバーでは、お客様の要求に対する解像度、腹落ち度が大きく変わってくる。そうした解像度の違いによっても、気持ちのズレは出てくると思います。

――続いて、10X江波さんの回答についてお聞きします。「ボールが間に落ちる」というのはどういった状況でしょうか?

江波 責任の所在について、お互いがお見合い状態になってしまったり、逆に責任の取り合いになったり、という状況です。具体的には、プロダクトと事業の間で、イシューやトピックについてどちらが責任を取るかを明確化せずに放置したまま進めてしまう、などがあると思います。

――気持ちを揃えるために、熱量や解像度も揃えられるような取り組みを行うことが重要なんですね。

 そうですね。そのためにはやはり、リアルなコミュニケーションが必要なのではないでしょうか。Slackなどでのコミュニケーションが当たり前になっていますが、「文字だけでは(1文字)2バイト以上の情報は伝わらない」と感じるので、やはり行き詰まったときは直接会話することが大切だと思います。

「パッと5分話そうぜ」というコミュニケーションがあるだけで解決することも、実際に多いですから。

質問③ ビジネスメンバーも含めて、あらゆる職種のメンバー同士で相互理解するために取り組んでいることは?

――まず、UPSIDER泉さんの「他責しないカルチャー」というのは、非常に良い言葉だと感じました。

 「どんな大きな困難があっても、相手が持っている問題を一緒に解決しよう」というカルチャーが社内に醸成されていますね。特にステートメント化しているわけではないのですが、そうしても良いくらいのカルチャーだと感じています。

田中 大きな課題があっても他責にせずに自分の問題に置き換える、というのは素晴らしいですね。特にクライアントワークは他責になりがちですが、受発注関係を超えて「お客様のサービスやプロダクトを良くしたい」と自分事にすることが重要だと思います。その上で、お客様も含めて一緒にチームを作っていくことが連携の要になると思います。

また、課題だけ提示されても自分事に置き換えるのが難しい場合もあると思うので、その課題がなぜ生まれたのか、コンテキストやその裏にある情報を含めて共有することも重要だと感じました。

江波 コンテキストを揃えるという話で、1つ具体例があるのですが、ビジネスサイドのメンバーと『アジャイルな見積りと計画作り』という本の輪読会をしたことがあったんです。

プロダクトサイドはアジャイルなやり方に馴染みがあったのですが、ビジネスサイドはあまり馴染みがなく、プロジェクトを進める上で、ここの思想を合わせないと永遠に話が噛み合わないな、と感じて実施しました。

ビジネスサイドとアジャイルの話をするのは珍しい取り組みだと思いますが、これくらい立ち戻ってコンテキストを揃えることで、やっとお互いに大事にしている思想や物事を理解し合えると思うんです。コンテキストが揃っていないと解釈違いが起きることもあるので、やはりいかに理解を揃えるかは重要だと思います。

――ゆめみ田中さんの「コミュニケーション・レクリエーション・評価の3点」の、レクリエーションはどんなものを指しているのでしょうか?

田中 レクリエーションとかっこいい言葉を使ってしまいましたが、「飲みに行くのもけっこう重要だよね」という話ですね(笑)。

リアルでは、月1で飲み会を開催したり、それとは別にメンバー発信で東京オフィスを使った飲み会を開催したりしています。リモートでも、多種多様な職種のメンバーが集まってZoomでボードゲームを行い、親睦を深めたりもしています。
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 さきほどの質問②で、「パッと5分話そうぜ、というコミュニケーションを取るだけで解決することもある」と話しましたが、結局会って話すのが実は一番効率が良いというのはありますよね。

オンラインコミュニケーションって便利なようで、知らず知らずのうちに税金を払っているようなところがあると思うんです。Webミーティングだと、実は常に7割程度しか情報が伝わっていない気がするというか。

実は、オンラインで何度もやりとりするより1回会って話す方が、お互いのコンテキストや目線が簡単に揃って、そこから効率よく進められるというのはあるんじゃないでしょうか。

――なるほど、その感覚に共感される方も多そうですね。10X江波さんの「現場観察、社内LT、輪読会など」というのも、そうしたコミュニケーションを意識された取り組みになるのでしょうか?

江波 そうですね、連携を意識した取り組みになります。今のお話に関連して言うと、雑談でもなく正式な会議体でもないくらいのコミュニケーションに価値があるのではないか、と感じています。

例えば現場観察の帰り道に「あそこはどうだった」「こうだった」と、雑談と会議の中間みたいな真面目な話をするんです。そうした話こそ宝の山というか、学びや気付きが多く得られるように思います。

視聴者、X(Twitter)実況者からの質問にリアルタイムで回答

――ここからは、視聴者の皆さまからの質問にお答えいただきます。

1つ目は、「各メンバーの連携強化は、どの段階(フェーズ)から重要になると感じていらっしゃいますか?」という質問です。プロジェクト開発など、ミクロな視点における各メンバーの連携強化という観点で、お答えいただけますでしょうか。

田中 お客様の事業フェーズや組織規模によっても変わってきますが、まずはプロジェクト開始時に、総括的に各メンバーの役割を把握するような形での連携強化は必要だと思います。

その後は、プロジェクトの進み具合によって、連携強化すべき人をどう巻き込むかを考えることが重要ではないでしょうか。例えば、何かを売るためにはセールスやマーケティングメンバーとの連携が必須になってきます。

その際にはプロダクトやビジネス起点で、どのように連携するとプロモーションとセールス双方にとって効果的な施策を行えるのかを考える必要があります。また、ただ連携するのではなく、一緒に考えて意思決定することがとても重要なポイントになると思います。

このようにしっかりと意思決定して進めるには、関係者みんながチームとして一枚岩になって、合意形成していくことが必要です。プロジェクトの進み具合によって、その時に誰の合意を得ることが大事なのかを意識して、連携強化する相手を変えていくという感じですね。

 同感です。また、連携強化のタイミングは「これは1人ではできない」と思った瞬間からやれば良いと思います。その際には役割を曖昧にせず、明確化することも重要ですね。

――2つ目の質問です。「フェーズに応じた組織体制やレポートラインについてお考えを伺いたいです。」こちらは、ご自身の組織体制に沿ってお答えいただければと思います。

 どういうレポートラインを組むかは、時間をかけてしっかりデザインしないといけないところなので、マネジメントの3〜4割の時間を充てています。

どんな組織も上手くいっている時と、そうでない時があるので、上手くいかない時の痛みを許容して、みんなで課題を共有しながら、どう乗り越えていくかが大切になってくると思います。

江波 弊社で言うと、Stailerのお客様がまだ少なかった頃は、限られたお客様の方だけ向いてサービスを作れば成長につながっていきました。しかし、お客様が増え、規模も大きくなると、多くの事業を見ながらプロダクトを作る必要があります。

10Xはそのタイミングでマトリックス組織の体制に転換していきました。「組織は事業に準ずる」という考えのもと、今フォーカスしたいことに最適なフォーメーションを組むという形ですね。事業内容や事業規模が変われば、組織のフォーメーションも変わるという体制を取っています。

田中 ゆめみの特徴として、「上司・部下がいない」というカルチャーが挙げられます。いわゆるマネジメントをする人がいない、という組織なんです。

だから、ゆめみのデザイン組織は、自分たちで採用やブランディングまでやらないといけない。そのため、通常業務とは別に組織運用を行うチームを区分けして、体制づくりを行いました。

よりスケールさせるには分業が重要になると考えているので、今後はマネージャーを置かない組織運用を維持しつつ、Design Opsの仕組みを取り入れた方向に寄せていくつもりです。

――3つ目の質問です。「デザイナーが提案したデザインに対して、開発者からフィードバックや修正の要求がある場合、デザイナーがそれを受け入れて反映することが難しいことがあります。このときのコミュニケーションで意識されていることはありますか?」

まず、デザイナーの田中さん、いかがでしょう?

田中 デザインの反映が難しい理由として、リリース日の問題、ストーリーポイントの見積りの甘さ、実現可能性が低いものを要件定義してしまった、などがあると思うのですが、いずれにしても、「何のためにこれをやっているのか」を明確にするのが重要だと思います。

その上で、ストーリーポイントの見積りを踏まえた期間調整をしたり、技術的にどこまでなら可能かなどの歩み寄りを、デザイン・エンジニアリング・POが双方に行ったりすることが必要だと思います。

――エンジニアであるお二人はいかがでしょうか?

 めちゃくちゃ「その通り!」と思って聞いていました(笑)。期間やスピード、見積もりなど含めて、ネゴシアブル(交渉可能)にしておくことが重要だと思います。

江波 田中さんのおっしゃった「何のためにこれをやっているのか」って、出発点を明確にしておくことだと思うんです。出発点が明確なら、フィードバックがあってもデザイナーにその理由をしっかり伝えられるので、ハレーションは起きにくいんじゃないかと思います。

――4つ目の質問です。「自社で各職種の連携がうまくいった、あるいはそのおかげで良い成果が出せたと実感した実例があれば教えていただきたいです。」

江波 さきほども話に出た現場観察ですね。現場観察にも2パターンあって、1つは実際に現場の業務を体験させてもらう形です。自分たちの作ったプロダクトが現場でどう使われているかをチームみんなで体験して、課題を発見し、解決していく。

もう1つは、現場で働いている方を横から観察させていただいて、客観的にプロジェクトの改善点などを見つけていく形です。どちらも成果につながりました。

私も前職で物流サービスを作った際に、デザイナー、エンジニア、プロジェクトマネージャーで同じように現場を見に行ったことがあります。プロダクトの解像度が上がりましたね。

田中 似た例だと、プロダクトオーナーと開発メンバーとデザイナーで、実際のお客様にユーザーインタビューやユーザビリティテストを行ったことがあります。全員の意識が揃って、イシューの立て方が爆速になりました。

他には、事業会社のプロダクトを支援した際に、プロダクト開発に関わるメンバー全員で、先方のカスタマーサクセスの方にお話を伺ったことがあります。問い合わせに対して課題に対処している方の視点を聞くことで、自分たちでは分からない課題や、それをプロダクトで解決する方法を考えることができました。

――最後の質問です。「特にスタートアップの初期フェーズでは、連携強化まで意識が向かないことが多いと思います。組織の拡大に伴って連携強化が必要になったら、まず何から取り組むべきでしょうか?」

江波 まず、創業初期というのは、「連携強化に意識が向かない」というよりも「向ける必要がない」という方が正しいかと思います。規模も小さいため、自然と連携するので。

「30人の壁・100人の壁」などの言葉がありますが、組織が拡大するにつれて、暗黙の了解では通じなくなり、連携が必要になるのが30人くらいの規模だと思います。

田中 同感です。その「30人の壁」を迎えたときに必要になるのが、仕組みづくりやドキュメンテーションではないでしょうか。具体的には、Slackでのコミュニケーション設計などですね。「このチャンネルでは何を話す」とか。

30人って大した数字じゃないと思うかもしれませんが、コミュニケーションパスで考えると加速度的に増えていく段階になるので、やはり交通整理が必要になります。

田中さんのおっしゃった仕組み化に加えて、階層化も必要です。役職を整理したり、人事部をしっかり機能させたりしていくことが重要だと思います。

ーー改めまして、みなさま本日は本当にありがとうございました!

おわりに

いかがでしたでしょうか。異職種メンバーの連携を強化させるためのポイントなど、それぞれの企業の実例を交えてお話しいただきました。「明日から実践できること」のヒントとして参考にしていただけますと幸いです。

今後も、現場で役立つナレッジをお伝えするイベント「SELECK LIVE!」を実施していきますので、ぜひご参加くださいませ。(了)

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Webメディア「SELECK」が実施するオンラインイベント「SELECK LIVE!」より、【エンジニア・デザイナー・PMの連携を強めるには?】をテーマにしたイベントレポートをお届けします。

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