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1年で社員数が倍増!ログラスの新採用チーム「ProductHR」の役割【SELECK miniLIVEレポート】
「SELECK miniLIVE」は、注目企業からゲストスピーカーをお招きし、X(旧Twitter)スペース上で30分間の音声配信を行う連載企画です。
2024年7月3日に開催した、SELECK miniLIVE シリーズ「スタートアップの採用術」の第3回には、株式会社ログラスにて、開発組織付のHRチームである 「ProductHR」を率いる佐藤 晶さん(@i_am_omame_ ) にお越しいただきました。
シリーズ「スタートアップの採用術」
ますます激戦を極める、スタートアップ界隈における「人材採用」。
本シリーズでは、各社の採用施策における工夫や知見をカジュアルに公開していくことで、相互に学び合い、採用する側・される側、相互の体験向上に寄与することを狙いとしています。
以前より、全社一丸となって採用に取り組むカルチャー「採用狂気」がスタートアップ界隈で話題になってきたログラス社。現場主導でのリファラル採用の成果もあり、150名まで一気に組織が成長した一方で、採用の体制や仕組みづくりの面では、実は課題も多かったのだそう。
そうした課題を解決すべく、2024年2月に立ち上がった新しい組織が、「ProductHR」(当時の名称はDev HR)です。
今回は佐藤さんに、同組織の具体的な役割や実行した施策まで、詳しくお話を聞きました。(聞き手:株式会社ゆめみ / Webメディア「SELECK」編集長 舟迫 鈴)
本記事は、上記に記載したSELECK miniLIVEの生配信を書き起こしした上で、読みやすさ・わかりやすさを優先し編集したものです。当日の音声アーカイブはこちらからお聞きいただけます。
入社初日からリファラル活動!カルチャーとしての「採用狂気」
舟迫 本日は、ログラスさんの採用力の秘密や、佐藤さんを中心に取り組まれている採用領域の新しいチャレンジについてお聞きしていきます。最初に簡単に自己紹介をお願いできますか?
佐藤 はい。私は昨年(2023年)の10月にログラスに入社し、最初はビジネスとエンジニア両方の採用を担当していました。
今年の1月からは、エンジニア・デザイナー・PdMといったいわゆるプロダクトに関わる職種の採用の専任となり、それに伴って、「ProductHR」という開発部門付のHR組織の立ち上げを担当しました。最近は採用だけではなく、採用ブランディングにも携わっています。
▼株式会社ログラス ProductHR 佐藤 晶さん
舟迫 今日はまさにそのProductHRについてお聞きしますが、まずは前提としてログラスさんの組織について教えていただけますか?
佐藤 現在は、社員数が150名を超えてきたようなタイミングです。私が101番目の内定承諾者だったと聞いているので、入社時から考えても一気に拡大しているような状況ですね。
今年の3月に、300人ほど入れるオフィスに移転したばかりなのですが、もうすでに「席が埋まってきたな」という印象です。
▼ログラス社の新オフィスの様子
舟迫 ログラスさんにはもともと「採用狂気」という、全社を挙げて採用にコミットするカルチャーがあり、リファラルを中心に全社で採用を頑張ってらっしゃることがよくSNSでも話題になっていますよね。
佐藤 そうですね、ただ「狂気」といっても、どこかのタイミングでめちゃくちゃ盛り上がった感覚はなくて。ずっと「リファラル採用は大切だよ」と言い続けてきた結果、カルチャーが積み重なって、メンバーが自主的にリファラル採用を続けてくれている状態だと思っています。
とはいえ、やはり「狂気的かな」と感じることの例としては、入社初日のオリエンテーションの中で、すでに「私たちはリファラル採用をすごく大事にしています」というインプットがあることです。
そしてその後に、「メモリーパレス」という、自分がこれまでの人生で出会ってきた優秀な方や、理想の上司を思い出すワークを行って、その方にすぐメッセージを送ってみる…ということをやっています。このように、入社初日から採用を意識していく状況は、ちょっと狂気的かもしれません。
舟迫 実際に入社経路として、リファラル採用の割合は今も高いですか?
佐藤 はい。直近でいうと、前の半期におけるプロダクト側の採用では、リファラル採用の比率は5割を超えています。
組織が拡大するにつれて、現場のエンジニアの負担増が課題に
舟迫 今でこそ、開発組織付けの採用チームがあるということですが、佐藤さんが入社したタイミングではエンジニア専任リクルーターもおらず、採用の仕組みという点では課題も多かったとお聞きしています。
佐藤 もともと私が入社する手前ぐらいのタイミングまで、人事担当者が一人しかいなかったんです。その後、少しずつメンバーが増えていったのですが、ポジションごとに専任の担当を付けることは難しかったので…。現場のエンジニアメンバーに、かなり頑張ってもらっていました。
ログラスのエンジニア組織には昔からリファラルの文化があり、他社でエンジニアリングマネージャーを経験してきたメンバーも多いので、部門単体で自律的に採用を進めることができていました。
なので、HR側はどちらかというとビジネス側の採用ディレクションにリソースを割いていて、開発側は少し任せ気味になっていたのが、正直なところです。
もちろん、リファラル採用でたくさんのエンジニアに声をかける、といったことはHRにはなかなかできないことではありますが…。とはいえ、本来はHRがもっとやるべき領域でも、課題がたくさんありました。例えば、数字を見て採用ファネルを分析することも、ほとんど手を付けられていないような状態でしたね。
舟迫 そういった課題感を放置したまま組織が大きくなり続けていくと、どこかに歪みが溜まってきて、いつか問題が起こってしまいそうです。
佐藤 そうですね。採用だけではなく、オンボーディングやその後の研修でもエンジニアの力をかなり借りていたので、人が増えるに従って、その負担も増えていって…。
採用活動に出てくれているEM(エンジニアマネージャー)を中心に、ただでさえ忙しいのに、開発以外の業務のウェイトがどんどん重くなってしまっていました。
数字と現場、どちらも見た上で課題を特定し、解決に取り組む
舟迫 そうした課題を解決するために、ProductHRを立ち上げたということですね。
▼当時の現状(As Is)と、向かっていきたい状態(To Be)※佐藤さんのnoteより
佐藤 はい。ProductHRは、プロダクト開発に関わるチームの採用が一番大きな担当領域です。採用戦略を立てて施策を実行するのはもちろん、外部のパートナー様を含めて適切にリソースを配分しながら体制を整えることや、いわゆるCX(※Candidate Experience:候補者体験)の改善などにも取り組んでいます。
現場にもがっつり入って動いていくような形で、幅広く活動していますね。例えば、「一次面談後の離脱率がちょっと高いな」という課題を見つけた際には、とにかく面談に同席して、話している内容を書き起こしてみたり、ログラスの魅力を改めて言語化してトークスクリプトに落としてみたりと、かなり泥臭いです。
舟迫 先ほど少しおっしゃっていた、いわゆる数値分析にも手をつけられているのですね。
佐藤 私、数字って本当によいものだと思っていて。数字を分析すると「ここが良い・悪い」といった形で、色々なことが見えます。ただ、結局そこで何が起こっているのかは、現場を見に行かないと机上の空論になりがちなんですよね。気になる数字があったら、現場を深く見に行く、ということを繰り返しています。
舟迫 これまでのお取り組みの中で、手応えのあった事例をご紹介いただけますか?
佐藤 はい。これは数字や、面接で実際に話している内容を見る中でわかってきたのですが、候補者様に対してのメッセージングのブレや、魅力づけに不足がある可能性が出てきたことがあったんですね。
その際には、面接で使うスクリプトの作成を行いつつ、カジュアル面談の資料をEMたちと一緒に作り変えて。それから、共通認識ができていない・言語化できていないようなログラスの魅力を、ワークショップ的に言語化していきました。
というのも、ログラスの採用のフローは、カジュアル面談の後に技術面談が続き、そのまま最終面接なので、ログラスのことを能動的に届ける機会としては、実はカジュアル面談が一番大きいんです。
そこで、「カジュアル面談は候補者の方に魅力を伝えるチャンスだ」という共通認識を揃えた上で、次の選考に進む・進まないに関わらず、面談に来てくださった人がポジティブな気持ちで帰っていただける状態にしよう、という認識を揃えていきました。
舟迫 ワークショップ、いいですね。みんなで言語化すればメッセージも揃いますし、新しい自社の魅力にも気が付きそうです。
佐藤 そうなんです!ワークショップという形式が、すごく良かったなと思っていて。というのも、実は私、入社した直後はエンジニアメンバーとのコミュニケーションに悩んだ時期もあったんです。
採用について、HRが現場に何かを言うと、ちょっと説教くさく聞こえてしまったりするじゃないですか。それでもエンジニアの皆さんは、何でも素直に受け止めて実行してくださっていたのですが、その一方で、皆さんの本音を聞けていないような気がしていて。
でも、ワークショップという形で、Miro(※オンラインホワイトボードツール)を使いながら言語化をしていったら、どんどん、色々な意見が出てきたんです。
もう社会人何年目だよ、という感じなんですが(笑)、ただ話すだけでなくて、、意見を出しやすいコミュニケーションの方法があるんだなとわかったのがとても良かったですね。
HRとエンジニア、得意領域でしっかりと役割分担を言語化する
舟迫 エンジニアとHRのコミュニケーションについても、お聞きしたいです。というのも、HRとエンジニアって、人種がちょっと違う印象があるので、困っている方も多そうだなと。
佐藤 これは、マインドでもあり仕組みでもありますが、自分たちが一番バリューを出せる領域をしっかり役割分担しましょう、という話をしています。
例えば、先ほども少しお話しした通り、HRは自分でエンジニアをどんどんリファラルしてくることはできません。また、ブランディング観点でメッセージを作ることはできても、それを言葉として届けられるのは、実際に面談に出てくれているエンジニアです。
ですので、私たちHRの役割は、そうした言語化であったり、オペレーションであったり、CXの向上のための施策をしっかりディレクションし切ることだと思っています。
一方でフロントに立つエンジニアは、同じエンジニアの人たちに、ログラスを魅力的だと思っていただけるようにすること。それから技術的な面をしっかりと見極めることなど、エンジニアにしかできない部分を責任を持ってやってもらっています。
こうした形で、それぞれの役割を明確にした上で、「ここは一緒にやらないといけないよね」という部分は都度、コミュニケーションを意識的にとっています。例えば週に1回は、HRとEMとの定例ミーティングを行っていますね。
舟迫 ProductHRの活動として、他にはどんな取り組みがありますか?
佐藤 実は最近、プロダクトチームのブランディングのための活動を始めたばかりなんです。その最初の取り組みとして、フレッシュな情報をしっかりと候補者様にお届けすることを目的として、Xのプロダクトチームアカウントを開設しました。
これまでも、エンジニアチームは非常に自律的な姿勢が強いので、「テックブログを書こうね」となったら、50週以上も継続してくれていて。これは私が入社する前からずっと続けてくれていることなんですよ。
ですがそこに、ブランドとして一本筋を通す、共通のメッセージを作る、といったことはなかなかできていなくて。また、エンジニアのインタビューの記事を作る、外部メディアに出る、Xの運用を続ける、といった活動は、どうしても時間をしっかり作らないとできないことでもあるので…。
HRがそこに関わっていくことで、継続的かつ安定的に、そうした活動ができるようにすることが狙いでした。
社内でも、これは非常に大切なプロジェクトだと認識しているので、現場のメンバーはもちろん、VPoEの伊藤ともしっかり議論をしています。「このタイミングでこの記事をもう1回拡散してみよう」「過去のこの記事が今回の記事に関連しているから、ツリーにぶら下げて一緒に読んでもらおう」といった形で、泥臭く頑張っています。
舟迫 今後、Xのアカウントがどのように成長していくかも楽しみですね。ではお時間も迫ってきましたので、最後に、聞いてくださってる方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。
佐藤 まず、ログラスのようにここまで一丸となって採用に向き合ってくれる会社は、本当に他にはないんじゃないかなと思っています。いかにこのモメンタムと熱量を維持しながら、強い採用体制を作って行くかということが、すごく面白いんですね。
また、HRのキャリアとして、急速に成長する組織と関わることはすごく大切だと思っていて。採用目標が高いだけではなくて、オペレーションの改善や仕組みづくりはもちろん、採用だけではなくオンボーディングや組織開発など、組織の成長に伴ってやることが増えていくこのタイミングが、一番面白いと感じます。
ですので、ぜひ興味のあるHRの方はお声がけいただければと思います。今はHRの組織が、3つに分かれていて、組織系のチームと、ビジネス・コーポレートの採用と新卒採用を見ているチーム、それからProductHRなのですが、すべてのポジションにおいて常に一緒に働いてくれる方をお待ちしています。
舟迫 ログラスさんに興味ある方は、ぜひ、アプローチしていただければと思います。佐藤さん、本日はありがとうございました!
佐藤 ありがとうございました。(了)