- 株式会社ヘノブファクトリー
- 代表取締役
- 谷脇 しのぶ
より事業に合った評価制度を 「社内モチベーションSNS」が生んだ組織の変化とは
今回のソリューション:【Hooop/フープ】
人事評価の仕組みをつくることは難しい。既に世の中にある指標を取り入れることで客観的な評価基準を用意することはできるが、決められた枠組みだけに頼ると、自社の事業と評価項目がマッチしない可能性もある。更に、従業員の実感と評価の間にいかに乖離をなくし、納得感を持たせるかということも重要だ。
2006年に創業したITベンチャー企業、株式会社ヘノブファクトリーで代表を務める谷脇しのぶさんにとっても、評価制度は悩みの種だった。
果たして正確な評価ができているのかという不安を抱えながら試行錯誤する中で出会ったのが、「社内モチベーションSNS・HoooP(フープ)」だ。
HoooPでは、社員同士がシステム上で「バッジ」を贈り合うことで、互いを「褒める」ことができる。コミュニケーションのハードルを下げ、各メンバーの思いを可視化することで、仕事に対するモチベーションを向上させることが狙いだ。
同社ではHoooPの導入により、社内コミュニケーションが豊かになり、社員同士の相互理解が進んだ。
結果的に、以前より社員1人ひとりを深く理解した上で評価を行うことができるようになったのだという。谷脇さんに、HoooP導入後の変化について、詳しいお話を伺った。
▼社内モチベーションSNS・HoooP
15名で7つのWeb事業を展開するヘノブファクトリー
高校を卒業して金融系の企業に就職し、その後転職して人材系の会社で6年ほど勤務する中でWebマーケティングに初めて携わりました。その時に「Webメディアをもっと作りたい」と感じたことから制作会社に転職し、2年ほどディレクション業務を担当しました。
その後、結婚したタイミングでフリーランスとして働き始めた時に創設したのがヘノブファクトリーです。Webの仕事が大好きでどんどん仕事をしているうちに自然に人が増えていき、2006年に会社を法人化して今に至ります。
現在はアルバイトを含めて15名の体制ですが、Web領域で7つの事業を展開しています。ネットショップの運営やWebサイトの運用代行など、Webを使って成果を出すためのビジネスを行っています。
既存の評価制度に限界を感じた時に出会った「HoooP」
弊社では以前より人事評価に「コンピテンシーマスター」と呼ばれる指標を用いています。コンピテンシーマスターとは、ビジネスシーンにおける行動目標を「8群75項目」に集約したもので、例えばアイデア思考、論理思考、状況分析といった要素が上げられています。
この項目の中から3つを選び、それらを達成したかどうかで評価をしていたのですが、果たしてこれだけで正確な評価ができているのか不安に思っていました。
また、評価する人が1人だと対象者の働きぶりを全て見ることも不可能です。評価される側も「この項目で認めてもらうしかない」という状態になって、少し窮屈な感じがしていました。
そこで、より納得感のある評価を行うために複数人で評価を行う360度フィードバックの制度を作ったり、お互いをもっと知るために有料のグループウェア等でコミュニケーションを取ったりしていたのですが、どれも上手くいかずすっきりしませんでした。
オリジナルの仕組みを何か作れないか、と考えるようになっていた約2年前に、「経営者通信」という情報誌で「CIMOS」という人事評価システムの紹介を見て。
それが今使っている「HoooP(フープ)」の前身のサービスだったんです。今ではアルバイト、インターンも含め、会社全体でHoooPを活用しています。
社員同士が「褒め合える」仕組みを提供する社内SNS
HoooPは企業向けのコミュニケーションツールなのですが、特徴として、ゲーム感覚でお互いを「褒め合う」ことができます。
基本的な使い方としては、各メンバーがタスクや日報を投稿するのですが、その投稿内容や、業務中の行動で誰かを「褒めたい」と感じた時には、お互いに「バッジ」を贈ることができるんです。
▼社員同士で褒めたい時に「バッジ」を贈ることができる
ハートフル、チームワーク、リーダー的といった12種類のバッジが用意されていて、ケースバイケースで最適なものをメンバー同士で贈り合っています。バッジを贈った数やもらった数はランキング形式になっているので、それに応じた表彰も行っています。
バッジの内容はカスタマイズできるので、自分たちの事業内容に合ったバッジを作ることも可能です。
▼様々な種類のバッジが用意されている
事業によりフィットした、納得感のある評価をすることが可能に
HoooPを導入した効果としてまず大きいのは、弊社の事業によりフィットした形で1人ひとりを評価できるようになったことです。以前は「仕事が早い」「デザインのクオリティが高い」などの、目につきやすいことだけで評価しがちな部分がありました。
でも今では、私たちの業務にとって大切なことをバッジにして、評価に落とし込んでいます。
例えば「ハートフル」というバッジをお客様や仲間への思いやりを持って働いた人に贈っているのですが、特にこの要素が求められるWebサイト運営代行業務の評価に役立っています。
運営代行ってお客様から特に指示がないような部分でも、自分達で気づいて積極的にサイト運営を行うことでお客様にとってのベストを追求することが求められる業務なので。
以前のように1対1での決まった枠内だけの評価ではなく、1人ひとりのより細かい部分までを見てあげられるようになったと思います。
例えばビジネスに直接はつながらなくても、仲間のことを非常に考えていたり、大変な時に火事場の馬鹿力を発揮してチームに貢献してくれた人がいたとします。
自分がそれを直接知らなくても、その人が他のメンバーからバッジをたくさんもらっているのを知れば、それを通じてその人が「組織にとって大事なんだな」と思うことができます。
このようなメンバーへのより深い理解が納得感のある評価を生み、会社の雰囲気を良い方へ変えていると感じます。
コミュニケーションのハードルが下がり、相互理解が深まった
また、HoooPを使うことでコミュニケーションのハードルが下がり、皆が自分の気持ちを伝えやすい環境ができました。以前は言いづらかったことも表現しやすいので、それまでのいわゆる「上司と部下」という関係性の軸が変わったと思います。
例えば、上司と部下の間で「感謝しています」ってはっきり伝えにくいですよね。でもHoooP上であれば、心理的なハードルが低いので気軽にバッジを贈って感謝を伝えることができるんです。
私も部下からバッジをもらうことがあるのですが、「あ、あの時こう思ってくれてたんだな」と気付かされることが多々あります。
日々、HoooP上で活発なコミュニケーションがされることで、メンバー同士がより理解し合えるようになりました。例えば各メンバーが自己紹介や目標を記入する「マイページ」があるのですが、そのページ上で贈られたバッジの中でも「自慢したい」と思ったものを紹介できます。
それを見ると、その人が何を褒められて嬉しかったかということが分かるんですね。何がその人のモチベーションにつながるのか、ということに気が付くことができるようになりました。
▼マイページ上では、各メンバーの「自慢したい」バッジもわかる
目標達成のため一丸となって働きたい企業にオススメ!
HoooPをオススメする企業としては、会社全体で一致団結して頑張ることを目指しつつも、事業部毎にバラバラに動いていて相互のコミュニケーションがなかなか取れていない企業ですね。
スペシャリストが集まって各自が自分の仕事に専念するような組織より、新しく入ってきた人も皆で一緒に頑張ろうよ、というような一体感を求める会社に向いていると思います。
HoooPではそれぞれの人がもらったバッジをチャートで見ることができるので、今後はこの情報をもっと活用してより良い人事施策につなげていきたいと思います。
これからもHoooPを活用して社内のコミュニケーションを促進し、より適切な評価の助けにしていきたいですね。(了)