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スタートアップの「50人の壁」。乗り越えるための採用・マネージャー育成のポイントとは?

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〜スタートアップの「30人の壁」「50人の壁」を乗り越えたフロムスクラッチ。ポイントとなる採用とミドルマネジメント育成のノウハウを紹介〜

短期間に急成長するスタートアップには、成長に伴う組織の問題がつきものだ。ひとつ判断を間違うだけで、組織が崩壊してしまう危険性を秘めている。

次世代型マーケティングプラットフォームと呼ばれるマーケティングテクノロジーのソリューション「B→Dash」を開発・提供する株式会社フロムスクラッチ。同社で組織人事を担当する三浦 將太さんは、スタートアップには「30人の壁」「50人の壁」があるという。そして、急成長を続ける1年の間でその2つの壁を越えられたのは、問題が顕在化する前に対策≒ワクチンを打っていたからであると。

今回は、ワクチンと称されている、採用とミドルマネジメントの育成のノウハウについて、三浦さんと、組織人事部門にてマネージャーを担う峰岡 健人さんに詳しいお話を伺った。

スタートアップの成長の壁、「採用」と「マネジメント」

峰岡 私は新卒で、当時、まだ社員が200名程度だった頃のリンクアンドモチベーションに入社しました。そこでナショナルクライアントなどの大手企業を中心に、人事制度の構築や採用の改革コンサルティングをしていました。その後2011年に、まだ創業間もないフロムスクラッチに入社しました。

▼左:峰岡さん 右:三浦さん

三浦 私は新卒で経営コンサルティングファームに入社した後、通信・メディア企業の新規事業立ち上げをしていました。今はフロムスクラッチで、ブランディングや組織人事など、会社とステークホルダーをつなぐコミュニケーション領域を担当しています。

弊社の主力プロダクトである、次世代型マーケティングプラットフォームの「B→Dash」は2014年11月にリリースしました。リリース当時は20人ほどの組織でしたが、そこから会社のフェーズは一気に変わり、2017年2月現在では正社員だけで80人、各開発拠点の人数も加えれば140名程度にまで成長しました。

スタートアップにはよく「30人の壁」「50人の壁」があると言われています。

30人くらいまでは、縁故採用(リファラル採用)や知り合いからの採用が多く、その人数であれば強烈なリーダーシップを持った人、主に経営者や経営陣が何とかマネジメントできる規模のため、組織に関連する問題も起こりづらい、もしくは起こったとしてもすぐに解消することができます。

でも、そこから50人くらいの組織まで拡大しようとすると、「採用」と「マネジメント」という2つの変数が一気に崩れていくことが多くあります。

壁を乗り越えるための2つのワクチンとは?

峰岡 30人を超えてくるとまず、縁故採用に限界が来て、エージェント経由やダイレクトリクルーティングによる採用が中心になっていきます。そうすると、価値観や今までの歴史が共有されていないメンバーが増えるので、そこに対してどうアクションを取れるのかが重要です。

マネジメントに関しては、人数が増えることで、どんなにフラットな組織構造を意識していても階層はできあがるものです。この組織階層がコミュニケーション不全を引き起こし、組織への問題へと発展していくことが多くあります。

飲み会やたばこ部屋などで、会社の意図と違う内容や愚痴などが増え始めるのもこの頃です。そのような組織においては、ミドルマネジメント層、すなわち中間管理職がいかに機能するのかが重要です。

つまり、50人の壁を突破するためには、「採用(エントリーマネジメント)」と「コミュニケーション不全を起こさせないためのミドルマネジメントの強化」の2つが重要になります。この問題に対して対策を打たずに成長ありきで走ってしまうと、組織は崩れていきます。

弊社は代表・安部や私が組織・人事領域のコンサル出身なのもあり、失敗するケースも数多く見てきました。だからこそ、会社を立ち上げた時点から、これらのポイントを徹底して大事にしてきました。そうして事前に対策=ワクチンが打てたことで、ここまで会社が成長できたのだと思います。

「えいや!採用」はするな!10回以上の面接でビジョンを共有

三浦 採用で気をつけるポイントでいうと、弊社では「えいや!で採用」はするなとよく言っています。

組織が30人から50人くらいになってくると、明確にポジションが空いてきます。するとこれまでは会う機会すらなかったような名だたる企業の実績ある人たちが応募をしてきます。当然、そのような人が応募してくると嬉しくなるんです。

事業も伸びているし、今まで全然出会えなかったような人たちから応募が来る。それにこの機会を逃すともったいない気がする。すると、スキルや職歴だけを見て「えいや!」で採用してしまうことがあります。

でもここで、スキルだけを重視して、組織や文化にフィットしない人を採用してしまうと、入社後に絶対に何かしらのハレーション(悪い影響)が起きてしまいます。

そうならないためにも、私たちは徹底的にビジョンやミッションを候補者とすり合わせます。これはアセスメントでもなければ、選考でもなく、あくまでもマッチングや価値観の共有です

採用までに10回、多いときで15回程度会うこともありますし、必要であれば1日インターンなどを行い、会社の雰囲気や文化を肌で感じてもらったりもします。

もちろん工数はかかりますが、弊社は「採用が経営の最重要課題」だと考えています。なので、全社が集まる会議などでは毎回、代表や役員が採用の重要性を社員に向けて説いたり、クォーターごとの納会でも毎回話をして、その重要さを伝えています。

価値観を伝えるミドルマネジメントを育成せよ!

峰岡 50人の壁にぶつかったときのミドルマネジメント層の役割の1つは、経営陣や会社の視点を持ち、同じ価値観や言動を発信していくことです。いわば代表や経営陣がいなくても、分身となって同じような選択ができるような人ですね。

コピーを作成するわけではありませんが、全社として共有したい想いや考え方は浸透させなければなりません。ミドルマネジメントがそういった役割を担えなければ実現しません。

そのミドルマネジメント層を育成するためにも、「マネジメントとは何か」というような研修を、早いうちから対象者に向けて実施しました。

他にも、トップとのコミュニケーションも意図的に増やしています。マネジメントに関して話をする場や期待値をすり合わせる場を多く設けたり、1on1での面談の実施、ミドルマネジメントの下についているメンバーと話し合う場など、工数はかかりますが、とにかく徹底してやります。

そこで話す内容としては、会社としての在り方から個人に求める期待値、マネジメントポリシーまで様々です。

ミドルマネジメントが機能して全社を統率していくためには、まずはポリシーを作らないといけません。どんな言葉でもいいのですが、「私たちはこういう会社です」というメッセージを体現しているものです。

弊社もマネージャーや経営陣が集まって合宿に行き、3日間、メールも見ずに朝から夜までひたすら「私たちのポリシーは何なのか」という話をすることもあります。

どんなキャリアでも、入社時にはメンバーから

三浦 また、どれだけ以前のキャリアが素晴らしいものであっても、必ずメンバーとして入社してもらうことにしています。実際に今では執行役員を務めている人も、メンバーから入って、成果を出して上がっていきました

組織が大きくなっていくと、新しく入った人がすぐに上役となるケースも発生しますが、そうすると、他のメンバーから「あの人は会社のことを何もわかっていないのに…」と思われてしまうトラブルも起きやすくなります。

実績のある方にはマネージャーやリーダーといった役割を求めますが、実態や会社の文化をつかむためにも、まずは足元から入ってもらいます。ちなみに給与などの待遇は、役職に紐づくような設計にしていません。これも組織の成長を前提にしたこだわりの1つかもしれません。

マネージャーは現場に迎合してはいけない

峰岡 他によくある失敗事例としては、「マネージャーが現場に迎合する」ですかね。

現場に迎合するマネジメントは、一番楽なんです。メンバーに対して「大変だよな。おまえの言うことは正しい。」と迎合してしまう。でもそれを言った瞬間に、多角的な視点を持たず、他責にし続けるようなワガママな組織になっていしまいます。

経営陣は常に5年後、10年後を見据えて意思決定をしています。さらに色々なステークホルダーを意識して施策を決めています。でも現場は目の前のことを中心に理解してしまう。だから現場からは「こんなに忙しいのに、なんで今さらこんなことするんだ!」と不満が出たりするのですが、それに対してミドルマネジメントは「そうだな、トップはわかっていないよな」と応えてはいけません。

マネージャーの役割は、「言っていることはわかる」と理解と共感はしつつも、「でも数年後を考えると、その考えは間違っているとも言える。会社はここを目指しているから、現状を改善する方法を探そう」と、多角的な視点を伝え、orではなくandを選択し続けることを伝え、理解させることです。

個が躍動する組織を作り、100人の壁も越えていく

三浦 50人を超えてから中間管理職を強化しようとか、採用を強化しようと思っても手遅れだと思います。そうなる前に、初めから予防注射を打っておくべきです。弊社も順調に成長していますが、どこかでボタンの掛け違いがあったら実現できていなかったと思います。

これからは「100人の壁」が現れると思いますが、私たちが大切にしていきたいポリシーは変えずにいこうと思います。どこまでいっても、すべては組織で決まると思っているので。まだまだ我々もできていないことばかりですが、少しでもよい組織にできるよう、変わらず努力していきます。(了)

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