• 株式会社フォーデジットデザイン
  • 代表取締役
  • 田口 亮

ワイヤーフレーム反対派!が使う UIデザインの情報設計が効率化できるWEBツール

今回のソリューション:【Cacoo/カクー】

株式会社フォーデジットデザインは、グループで社員120名を越えるデザイン会社だ。代表の田口さんは、音楽活動でメジャーデビュー経験のある異色の社長。UI設計に関しては幅広いご経験と、深い知見をお持ちだ。

田口さんはUIデザインのプロセスの中で、もともとワイヤーフレームの作成に「反対」だったのだという。その一番の理由は、中間成果物でしかないワイヤーフレームの作成にかかる作業時間だった。

しかし同時に、UIデザインにおけるその必要性も理解していた。そんな田口さんが作業効率化のために使っているのが、WEB上でワイヤーフレームを作成・共有できるツール「Cacoo(カクー)」だという。田口さんにCacooの活用法、そしてUIデザイン哲学について聞いた。

バンドでのメジャーデビューから一転、デザイン会社へ

大学在学中にバンドでメジャーデビューして、卒業後も音楽をやってました。メジャーでは成功しなくて、インディーズになったんです。そうするとCDも自分で作らないといけないですし、プロモーションも自分たちでやりますよね。WEBは、そこから覚えました。

それからサイトで音楽配信したり、VJツールでアニメーション作って配信したりといろいろ工夫していました。目的は自分たちの音楽を広めることだったんですが、デザインも技術もいつの間にか身について覚えていきましたね。

そんな形で音楽の傍、フリーでWEBデザインの仕事を始めました。いろいろやったんですが、2002年の日韓ワールドカップの時にサッカー日本代表のサイトをやっていて、それが大きい仕事でほぼ専任だったんです。終わった時にどうしようかな…と。そんな時出会ったのがフォーデジットでした。

始まりは5人で、マンションの1室から 

僕が入った当時は、弊社はマンションの1室で5人ほどが働いている会社でした。その頃のWEBは今のように高度な技術が確立されていたわけでもなく、ざっくりサイトを作れる人が何でもやっていました。デザインもコーディングも写真撮影も、とにかく全部していましたね。

目の前のことを一生懸命やっているうちにいろいろと評価して頂いて、会社も順調に大きくなって。マネジメントという概念が必要になって、組織の方向性を決めたり、その流れで今は会社全体を見ている感じでしょうか。

フォーデジットデザインの代表の他に、次世代アンケート作成サービス「クリエイティブサーベイ」を運営する会社の代表をしています。

「かっこいい」だけのUIデザインはNG 目的に基づいた設計を

フォーデジットデザインの制作スタイルは、ディレクター、デザイナー、ディベロッパーの3人でチームを組んで、全員がお客様のところへ行きます。ディレクターの力量や知識に依存しないように、なるべく全員でお客様とコミュニケーションをとるようにしています。

最初の段階では、現状調査でユーザーモデリングをやることがあります。どのユーザーが何をしにサイトに来ているのか、という現状を認識するんですね。次に、サイト内でユーザーが「どうやって動くか」ではなく、「どう動いて欲しいか」という目的に合わせて設計を進めていきます。

あのサイトのデザインはかっこいいよね、という議論が先行しがちなこともありますけど、それだけではなくて「きちんとユーザーとビジネスの目的を果たせるデザイン」になっていることがまず大事だと考えています。

描くのが大変!でも必要!ワイヤーフレームを作る工数が課題

UIデザインの課程で作るもののひとつにワイヤーフレームってありますよね。僕、あれ反対派だったんですよね。基本的に中間成果物って無駄が多いと思っているんです。

昔はみんな大体それをエクセルとかパワポで作っていたと思うんですが、けっこう時間かかりますよね。社内ならデザイナーに伝わればいいはずだから、別に手書きでもいいはずなんです。

そもそもエクセルって表計算ソフトだし、パワポはプレゼンツールじゃないですか、それで図を書くのってどうなん?って思っていました(笑)。

でもワイヤーフレームが必要だっていうのもわかっていました。ワイヤーフレームは情報設計をしっかり可視化してくれるので、みんなで設計を協議するには必要なツールです。だから嫌だけど書かざるを得ない(笑)。

それで、その作業を効率化するために3、4年前から使っているのがCacooというサービスです。

Cacooで作業を効率化し、チームでの情報共有も便利に

僕は作業を効率化するツールっていつも探しているんですよね。Cacooは最初、WEB上でワイヤーフレームを簡単に作れるサービスがあるらしいと聞いて、まずは自分のプロジェクトで使ってみたんです。

使ってみたら、パワポよりはるかに良くて。図形やモジュールがたくさん用意されていて、よく出来ているなって思ったんです。作業効率で言うと2割以上は改善したイメージです。

便利なのは、作ったワイヤーをオンラインで複数人で共有できて、共同で編集ができることです。

複数人が絡むプロジェクトでは重宝します。大きなプロジェクトであれば、きちんとした形で中間成果物が必要ですし、デザイナーとディレクターが何人かで関わる場合に良いと思いますね。

▼「Cacoo」画面イメージ

ワイヤーフレームは「正解に近づく」ために必要な行程

デザインの作業って、正解はないですが、だんだん正解に近づけることはできます。ワイヤーフレームの作業もその1つで、情報設計と機能をすり合わせて、正解に近づけていく中では必要な行程だと思います。

「デザインを限定してしまう」とワイヤーフレームを嫌うデザイナーもいると思いますが、使い方と使いどころを間違えず、そしてツールを使って業務を効率化していけば、もっとワイヤーフレームを有益に活用できると思います。

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