• 株式会社リブセンス
  • 転職会議 運営事務局 責任者
  • 石渡 崇之

転職に関する相談まで対応!「転職会議」のCS体制を改善したZendesk・Insightsとは

今回のソリューション:【Zendesk(ゼンデスク) 】

〜Webサービスのカスタマーサポート体制を数値分析によって効率化し、1人あたり1日3時間の工数削減に成功した「Zendesk」の使い方〜

ユーザー満足度が高いWebサービスを作るには、何が必要だろうか。その鍵を握るのは、「ユーザーの声がしっかりとサービスに活かされているか」ということだ。

一方で、ユーザー対応の最前線にいるカスタマーサポートチームからの声が他のチームに伝わらず、結果的にサービス改善に活かされないといった実情は、多くの企業にとって珍しいことではない。

株式会社リブセンスは、「ジョブセンス」や「転職会議」といったメディア事業を運営する2006年創業のIT企業だ。

同社の「転職会議」のカスタマーサポートグループでは、カスタマーサポート支援ツール「Zendesk(ゼンデスク)」の数値分析機能「Insights(インサイツ)」を使用することで、ユーザー対応を数値によって分析し、改善ポイントを客観的な根拠を持って把握している。

それにより、CS対応の効率化やサービスサイトの改善に成功し、1人あたり1日3時間もの工数削減につなげることができたそうだ。

また、サービス改善のポイントが分かったことで他部署の理解が得られ、これまでは無かった社内エンジニアのリソースを借りることにも成功し、同サービスのPDCAサイクルの好循環も生み出すことができた。

同社の転職会議 運営事務局の責任者を務め、CSグループのマネジメントを行う石渡 崇之さんにその詳細をお伺いした。

▼Zendeskの数値解析機能「Insights」とは…?

「転職会議」CSグループのリーダーを務める

私は新卒で株式会社ネクストに入り、不動産広告の営業やセミナー講師として5年間ほど勤務しました。2014年11月にリブセンスに転職したのですが、その際に決め手になったのは会社の風土です。

前職の会社では利他主義を掲げていて、自分がお客様に対して「こうしてあげたい」と思うことを、わりと自由に体現することができました。転職後もそのような会社で働きたいと考えていた中で、リブセンスであればそれが実現できるのではないかと思いました。実際に弊社には、どんな人でも新しい提案ができて、幅広く任せてもらえる環境がありますね。

現在は、6名から成る転職会議のCSグループのリーダーを務めています。グループでは、ユーザーと掲載企業様、クライアント企業様からの月数千件に上るお問い合わせに対応しています。

私が入社するまで、実はCSチームはアルバイトや派遣社員の方のみで構成されていました。そういった背景もあったので、私はまずチームの皆がよりやりがいを感じられる環境づくりを意識しながら、同時にCSの改善を目指しています。

業務の現状把握のため、Zendesk・Insightsで数値分析を開始

リーダーになった時、まずは皆に「問い合わせには好きなように対応していいよ」と伝えました。「自分が問い合わせた時にどう対応されたら一番嬉しいのかを考えて、自分に確認だけしてもらえばいいから」と話し、まず自分なりの理想のCSを考えてもらうようにしたんです。

それまでは、メンバーが正社員ではなかったこともあり、そんなことを提案するのはまずいんじゃないか、という雰囲気があって、それを変えたかったんです。今では、皆が自発的に考えるようになり、それがユーザー対応を改善するきっかけにもなったと思います。

マインド面以外では、業務をとにかく効率化するということを目標に掲げました。そのためにもまずは現状をきっちり把握する必要があり、活用を始めたのがカスタマサポートツール「Zendesk(ゼンデスク)」の数値分析機能「Insights(インサイツ)」です。

Zendeskそのものは私が入社する前から使っていたのですが、こちらの機能までは活用できていなかったんですね。

まずは、設定画面を色々と触り、CSに関わる数値の分析レポートができるようにしました。正直、設定が結構大変で。主な作業はグラフの横軸と縦軸の数値を選ぶことなのですが、すべて英語表記で、しかも表示できる選択肢が膨大なので、適切なものを選ぶのに時間がかかってしまったんです。

Zendeskのサポートの方に電話して聞いても細かい部分までは分からず、自力で何とか試行錯誤して辿り着いた感じです(笑)。

数値の解釈を元にKPIを設定&1度の返信での対応完了を目指す

Insightsの機能を使った数値分析を通して現状を把握し、それを元にKPIをいくつか設定しました。その中には例えば、「ワンタッチ解決率」というものがあります。それは、お問い合わせに対する担当者の返信の中で、1度でユーザーの疑問を解決しているものが占める割合です。

ワンタッチで解決すべきものは必ず1回で終わらせる、ということを目標にしたんです。それをZendesk上では、エージェント毎のチケット数と対応時間を追いかけることで計算しています。

▼エージェント(担当者)ごとのチケット(問い合わせ対応)数

▼エージェントごとの「ワンタッチ解決率」

各担当者のワンタッチ解決率を見ると、5名の中で1名だけずば抜けて高いメンバーがいると分かりました。そこで、その対応者が実際に使っていた返信テンプレートをZendeskのマクロに登録し、全員が使えるようにしました。また、ユーザー対応の方法も変更しました。

具体的には、相手の質問したいポイントがAとBの2パターンに解釈できる場合に、最初の返信で「AなのかBなのか」を確認してから再度回答するのではなく、最初から2つの回答パターンを送るようにしました。これらの取り組みにより、全員のワンタッチ解決率向上につなげることができました。

不要なお問い合わせ数も減少 チームの工数を1日15時間削減!

また、数値分析を行ったことで、本来は問い合わせをしなくても解決できる内容の問い合わせ件数を減らすことができました。例えば、「会員情報を変更するにはどうしたらいいか」という問い合わせが、非常に多いことがわかったんです。

その原因を探ると、そもそも会員情報変更ページに気が付いてもらえていない、ということがわかってきました。さらに、ヘルプページへ辿り着くのが難しく、ユーザーが困った時に「問い合わせしてしまおう」という風に意識が向いているのではないかと考えられました。

そこで、まずはヘルプページの改善を行うことにし、最初に導線を増やしました。次に、一度にずらーっと30個ほどの回答が羅列されて見づらかったデザインを変更し、よくあるご質問を目次に置くわかりやすいデザインに変更しました。

さらに問い合わせフォームにも、「ヘルプでは解決しなかった質問です」というチェックボックスへのチェックを必須項目としました。これらの施策により、問い合わせの件数を大幅に減らすことができました。

▼問い合わせ件数の大幅減に成功!

これらの改善により、昨年11月と比べると、約半年の短い期間で1日あたり約3時間 ✕ 5人で15時間ほど業務時間が削減されました。そこでできた時間を使って、具体的なサイト改善や営業のサポートを行うことができるようになりましたね。

数値分析を行うことで、他部署との連携もスムーズに

問い合わせ内容を数値で分析することで、どういった種類の問い合わせが多いのか、また改善のための施策を打ったあとの結果はどうだったのか、ということが可視化されました。すると、社内の他部署とのコミュニケーションも変わっていったんです。

例えば、サイト改善について「もっとこうしたら改善できる」という形で、具体的に要望を上げやすくなったんです。以前は、サイトの改善を私を含めた非エンジニアが簡単にできる範囲でしか実施できていませんでした。

けれど今ではこうした数値の根拠を見せることで、説得力を持って社内に要請ができるようになり、結果的にCS担当のエンジニアを1人つけてもらえるようになりました。

さらに、お問い合わせの中には「こんな業界に行きたいんですけど、オススメの企業ありますか?」というようなユーザーの個人的な転職相談もあるんです。以前は工数的にもこうしたお問い合わせに対応するのは難しかったのですが、今では社内の人材紹介事業部と連携し、ご本人の希望に応じて他事業部につなぐことができるようになりました。

以前は問い合わせの数をどんどんこなす感じだったのが、今では1人ひとりにホスピタリティのある対応ができるようになり、非常に嬉しいですね。

CSチームと他部署の連携に課題を感じる組織にオススメ!

Insightsは、カスタマーサポート業務の成果を社内にうまく伝えることができていない企業に使ってほしいですね。CS改善のために、エンジニアの工数をもらいたい、というような依頼って、本当に伝えるのが難しいんですよね。

表に立っている人と作っている人の温度感の差もあって、「絶対ここ変えた方がいいよね?」とCS担当が言っても「でも、それってごく一部の人が言ってるだけでしょ?」とエンジニアが返すみたいな。けれどInsightsを使えば、数字で明確な根拠を作れるので、お互いが納得した上でユーザーが満足できる体制を作っていけます。

今後はZendeskの活用の幅を広げヘルプセンター機能も使っていきたいと思っています。今は転職会議の中に独自のページを作って運用していますが、それをZendeskの機能に置き換えてよりリアルタイムに更新できるようにしていきたいです。

また、ユーザーからの転職相談についても、今後はチャットでリアルタイムに相談に乗ってあげられたらいいな、と思っています。今後もZendeskを活用しながら、よりユーザーに喜んでいただけるサービスを作っていきたいです。(了)

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