- ヤフー株式会社
- 情報システム本部
- 高橋 邦洋
7,000人が持つ情報・ノウハウを一元管理!ヤフーが10年以上使い続ける情報共有ツールとは
今回のソリューション:【Confluence/コンフルエンス】
〜情報共有ツール「Confluence」の活用により、7,000人におよぶ従業員の間での情報共有を効率化している事例〜
社内メンバー同士の情報やナレッジの共有は、企業の生産性を向上させるためには非常に重要だ。近年では情報共有のための社内ツールを導入し、その促進に努める企業も多い。しかしその際にしばしば問題となるのが、「ツールをうまく使いこなせない」メンバーが出てくることだ。
ヤフー株式会社では、7,000人を超えるすべてのメンバーが情報共有ツール「Confluence(コンフルエンス)」を使いこなし、そこには1日におよそ15,000回もの投稿がなされるという。投稿される内容は会議の議事録からプロジェクトの進捗報告、社内広報など、近隣の美味しい料理屋マップまで、幅広い領域に及んでいるそうだ。
「Confluenceはもはや社内の必須ツール」と語るのは、同社の情報システム本部の高橋 邦洋さんだ。新入社員に向けた独自の研修プログラムを作成するなど、Confluenceの浸透・運用に尽力してきたという高橋さんに、詳しいお話を伺った。
社内ツールの運用に尽力
ツールなどの運用に関わる仕事をしたいと思い、2007年10月にヤフーに入社しました。入社してからは、ずっと社内システムを担当しています。現在は情報システム本部で働いています。
70名ほどの部署ですが、それぞれ役割分担があり、私は全社のおよそ7,000名が使用している社内情報共有ツール「Confluence」の運用に、3名のチームで関わっています。
ひとり月40円以下!導入して10年以上、もはや「水のような」の存在に
ヤフーではConfluenceを私が入社する前から使っていて、運用歴はもう10年以上になります。2004年頃にフリーのWikiが社内でいくつも使われるようになってきたので、その状態を解消してツールを一元化するべく導入したそうです。
決め手になったのは、投稿された情報ごとに閲覧や編集の権限設定ができることだったようです。コスト面も魅力的で、今は1万人まで使えるというライセンス契約を結んでいますが、幾つかのアドオンを含めても1人あたり月40円もかかっていません。
正直なところ、私が入社した当時は動作も重く、トラブルの多いシステムでした。そこで、不必要な機能は使わないようにして負荷を減らすことで、安定的に運用できるように工夫しました。現在ではもはや会社の中になくてはならない、水のような存在になっています。
毎日15,000回もの情報やナレッジの投稿がなされる状態
Confluenceには、「スペース」と呼ばれる、情報を投稿する場所を区切る単位があって、自分専用のものとグループで使うものとに分かれています。スペース数は現在6,000にのぼり、かつ毎日およそ15,000回もの投稿がされています。
提供元のアトラシアン社によると、弊社は情報を自発的に発信する人の割合が非常に多いことが特徴のようです。具体的には、社内手続きの方法、プロジェクトの進捗状況、会議の議事録、業務フロー図、個人のメモなど、あらゆる情報を投稿しています。
テンプレートやフォローなど、細かい機能も優秀
Confluenceは、細かい機能が充実していますね。例えば、新しい投稿を追いかけたい人がいるときは「watch」をしておけば、その人がConfluence上で記事を編集する度に、メールで通知が来るようになっています。
さらに「follow」をしておくと、その人の過去の更新履歴も表示されます。とくにチームリーダーは、メンバーがどのように投稿を更新したかという状況がリアルタイムにわかるので便利ですね。
▼注目したいメンバーのアクティビティも追える(内容はイメージです)
また、記事のテンプレートも設定することができます。例えば、議事録のためのテンプレートを作っておけば、担当者にそのフォーマットだけを渡してそれに従って書いてもらうことができます。
ワードに近い感覚で簡単に書けるが、管理も必要
Confluenceの記事編集画面は、ワードと似たUIになっています。従って事務職の人でも使いやすく、誰でも投稿しやすい設計になっているのがいいですね。
以前は記事を書くのがマークアップ式だったので、一部の人には使いづらい部分もありました。直感的なエディタに変更されたので、マークアップのままが良いという声もありますが、社内ユーザーの裾野が広がったと感じています。
▼ワードのような感覚で使える編集画面(内容はイメージです)
ただ、記事を投稿する人が増えて多様な使い方が出てきた分、トラブルが増加するようになりました。それに対処する中で、ユーザーが共通して間違えやすい箇所が多くあることに気が付いたので、2013年からは使い方の統制を図るようにしています。
具体的には、Confluenceの「使い方講座」を開いて、塾の先生のように教えています。Confluenceの活用に対する習熟度に応じて、レベル1〜3に分けて講座を開いているんです。
講座は1回あたり10〜15分の短いもので、例えば「間違いやすいアクセス権限設定はこんな感じです」といった風に具体的に区切って、コンパクトな内容にすることで気軽に受講しやすいようにしています。
▼レベル別に使い方講座を開講
講座を受けにくる人達は様々です。Confluenceの最初のページに「セミナーもありますよ」という文言をつけているので、それを見て自発的に受けに来る人もいます。また、ある部署から新卒のプログラムの一環として要請が来て、それに対応するようなケースもあります。
初心者には基礎的な機能から、間違いやすいポイントまでを説明
Confluenceを全く使ったことがない方には、まず最初に「Confluenceとは何か」や「スペース、ページの編集」といった基礎的な講座を受けてもらっています。
実演しながら「このボタンを押します」という感じで、細かい部分まで教えています。当たり前のことなのですが、このようなツールに慣れていない方はこちらの思いもよらない使い方をしていることがあるんですね。
例えば、実際には10秒で済むところを5分かかっていたりするので、そういった意味でポイントになりそうな箇所は一通り説明するようにしています。
使い方のレベルが上がってきた方には、よりリッチな投稿を可能にするためにおすすめのマクロを教えたり、より細かいカスタマイズの部分を教えています。限られた使い方しか知らないとその操作しかしなくなってしまうので、幅広い項目での講座を用意していますね。
新しいことをするときにまず「Confluenceで検索」が当たり前に
社員皆さんは特に意識していないと思いますが、今では新しいことを始めるときや何かが必要なタイミングで、まずはConfluence内を検索して、先人の知見を見つけるということが当たり前になってきていますね。
検索すると、過去に同じことをした人が持っていたノウハウに出会えます。「こういう手順でやったんだ」ということがわかるので、ある意味で情報のコラボレーションが自然に起きていると思っています。
Confluenceはプラグインで様々な機能を拡張することができるのですが、最近では「Confluence Questions」というものを使い始めました。
▼Confluence Questionsで質問を自由に投稿できる(内容はイメージです)
質問を自由に投稿し、回答もできる知恵袋のようなシステムです。
今後もConfluenceを効果的に活用して、社内の円滑な情報共有を進めていきたいです。(了)