- 株式会社スマートエデュケーション
- CTO
- 谷川 裕之
「共有」で社員が自発的に働く組織を!誰でも気持ちよく使えるプロジェクト管理ツール
今回のソリューション:【Backlog(バックログ)】
〜エンジニアも楽しめて、非エンジニアも使いやすい。「Backlog」で社内業務を可視化した事例〜
社員1人ひとりが自発的に動く組織づくりにまず必要なのは、情報の共有だ。今、誰が何をしていて、どのプロジェクトがどこまで進んでいるのか。そのような状況が透明化されることで、初めて社員は自ら進んで手を上げ、行動することができる。
「おやこでスマほん」といった子供向けの教育・知育アプリをはじめ、「IT ✕ 教育」という領域で幅広く事業を展開している株式会社スマートエデュケーション。
2011年に創業した同社では、日常のチャットコミュニケーションには「Slack(スラック)」、情報の蓄積には「Qiita:Team(キータチーム)」、そしてタスク管理には「Backlog(バックログ)」などを使い、互いに連携させることで、社内における情報の透明化に努めている。
特にBacklogに関しては、APIを活用してルーティンワークの抜け漏れを防ぐ仕組みを作ったり、誰でもBacklogを見ればするべきことがわかる、という状態を作ることができたという。「Backlogはエンジニアも非エンジニアも気持ちよく使えるツール」と語る同社CTOの谷川 裕之さんに、詳しくお話を伺った。
▼プロジェクト管理ツール「Backlog」
「子ども」を相手にサービスを開発 そこには独特の難しさも
弊社は5人で設立した会社なのですが、私は最初、フリーのエンジニアとして協力し、現在はCTOを務めています。2011年からこれまで、のべ50本ほどの知育アプリをリリースしてきました。
ただ、弊社はアプリを作っている会社というイメージを持たれがちなのですが、厳密には「IT ✕ 教育」という切り口でビジネスを展開していて、アプリという媒体にこだわっているわけではありません。ハードウェアにも可能性があると考えていますし、幼稚園のカリキュラムなども提供しています。
サービス開発をする上で大切にしているのは、いかに人生の早いタイミングで、子どもが自分の可能性に気が付けるかということです。
音楽が好きなのか、絵が好きなのか…自分の好きなことに早く気が付くための偶然の出会いを増やす。そのための手段のひとつとして、弊社のサービスを使ってもらいたいという思いを持っています。
子ども向けのアプリの開発は、やはり難しいですね。実際に保育園や幼稚園にプロトタイプを持っていって、必ずテストをするようにしています。
例えば、子どもってドラッグが全然できないんです。それで慌ててアプリをタップベースに変えたり。そんな風にモノを作り変えたことも、これまでに何度もありました。
口頭のコミュニケーションでは、情報共有に差が出てしまう
今の組織体制としては、エンジニアが5名、デザイナーが4名、そしてその他のビジネスサイドやコーポレートサイドに10名ほどの社員がおります。基本的にサービス開発を始めるときは、2、3名の小さなチームで行うことが多いですね。
社内のプロジェクト管理やコミュニケーションのためのツール、というと、2年ほど前までは何もなかったんですよ。人数も少なかったですし、自分で「聞きに行く」人が多かったので。
ただ、口頭でのコミュニケーションだと人によってばらつきが出ますよね。得意な人は情報を拾えるけれど、特に開発陣はあんまり得意じゃない。
「あのプロジェクト、そんなに進んでたんだ…」といった状況が起こるようになったので、そこはシステムの力を借りて変えていこう、ということになりました。
Slack、Qiita:Team、Backlogなどを全社で活用
そこで皆で話して、色々なツールを導入しました。今使っているのはSlack、Qiita:Team、Backlogなどですね。Slackではライトなチャットのコミュニケーションを取ったり、開発周りのCircleCI、NewRelicなどの通知を集約しています。
他には世界中から来るアプリのレビューも、すべて自動で翻訳されて投稿されるようにしています。英語ばかりではなく、アラビア語なんかもありますよ。
▼Slackに自動で各国からのアプリのレビューが集まる
Qiita:Teamには業務マニュアルや議事録を残しています。他にも、アプリにキャラクターを使う場合の権利関係であったり、外部の協力会社さんとのミーティングで出てきた話であったり、残すべきナレッジを蓄積していますね。
そして、タスク管理ツールとして使っているのがBacklogです。2年ほど前から、エンジニアも含めて全社で活用しています。その前はRedmineを使っていたのですが、ちょっとシステム屋向きというか。エンジニア以外の人にはわかりにくいんですよね。
Backlogは細かい部分まで、誰でも気持ちよく使えるんですよ。あとはガントチャートとAPI、それから特定の人に通知ができる仕組みを持つツールを使いたかったので、Backlogを選びました。
外部の方もプロジェクト単位で招待できますし、添付もできて画像もサムネイル表示される。機能に関しては、本当に問題なく網羅されています。
タスクを割り当て、プロジェクト単位でスケジュール管理ができる
BacklogはToDoリスト的に使っていて、それを見れば「自分が何をすればいいのかわかる」ようにしています。
個人別のToDoリストの他に、基本的にアプリ単位でプロジェクトを立ち上げて、その中でチームメンバーとコミュニケーションを取ったり、タスクを割り当てます。誰が今ボールを持っているのか、非常にわかりやすいですよ。
▼実際に同社が活用しているBacklogのプロジェクト画面
特に良いところは、マイルストーンがきちんと切れるところですね。タスクを登録する時にきちんと期限を設定すれば、そのままガントチャートに落ちます。自動でサマリーのようなものを作ってくれて、期限切れや期限が近づいているタスクの一覧を毎朝プロジェクト単位で送ってくれるのでわかりやすいです。
▼タスクの期限を設定すると、ガントチャートに落とせる
Backlogにはすでに終わったプロジェクトもすべて残り、「完了」というステータスで検索すると見ることができます。例えば、自分以外のメンバーが作ったものを確認する時にさらっと見たりしていますね。どのようなやり取りの結果で決まった仕様なのか、といった履歴をすべて追うことができます。
実はエンジニアも楽しめるBacklog APIも活用
最近は、社内でもプロダクト開発にTrelloやPivotal Trackerなどエンジニア向きのツールを使うケースも多いです。
ただプロジェクトによっては、そういった開発ツールを使った経験が少ないメンバーが関わることもあるので、そういった場合には特に、誰でも使いやすいBacklogを使うようにしています。
実は、BacklogもAPIが豊富に揃っていたり、Markdownが使えたりと、ツールを使いこなすエンジニアでも楽しめる要素が色々あります。
APIで作った仕組みとしては、例えば、ある程度決まったタスクをガントチャートに自動で落としこむ仕組みを作りました。アプリを作る時って、必ずやらないといけない作業や、チェックしてほしい項目があるんですよ。
新米ディレクターの場合、タスクに抜け漏れが出てしまう。経験の差が出てしまうので、その部分をテンプレート化しているんですね。
▼プロジェクトを開始すると、自動でToDoが落とし込まれた状態に
以前はそういったタスクはスプレッドシート上にリスト化していたのですが、今ではBacklogで新しいプロジェクトを立ち上げると自動でやるべきことが登録された状態から始まります。それらのタスクをBacklogで管理すれば、抜け漏れもなく進捗もしっかり確認できるので、いいですね。
メンバーが自立的に働くために、情報の共有が必要
このように情報を共有するようにしているのは、メンバーに自立的にのびのびと働いてほしいからなんですよね。理想的には、1人ひとりをきっちり管理したり、細かく指示を出したりせずとも、ある程度の方向性を示せば、それぞれが自発的に考えて動いていくという組織を目指しています。
このような組織にするためには、情報が共有されていることが必要なんですよ。誰がどこに向かっているのか、何を考えているのか、できるだけ皆に伝えるために可視化する。今後もこのようなスタイルを続けて、どんどん事業を拡大していければと思っています。(了)