Haruka Yamashitaさん
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「IoTを構成するもの」と未来を変える「接続機能」とは

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Acroquest TechnologyはIoTストリームデータ処理のアプリケーションプラットフォームである「Torrentio(トレンティオ)」を提供しています。 このビジネスノートでは、IoTビジネスの可能性と今後どう世の中が便利になっていくのかお伝えしていきます。第1回のこの記事では、マイケル・ポーター氏の「IoT時代の競争戦略」について説明します。

『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌にマイケル・ポーター氏が「IoT時代の競争戦略」(原題:How Smart, Connected Products Are Transforming Competition)と題した論文を米PTCの社長兼CEOであるジェームズ・ヘプルマン氏と共著で寄稿しています。

御存じの方も多いと思いますが、マイケル・ポーター氏は「ファイブフォース分析」や「バリューチェーン」の生みの親として知られる経済学者であり、史上最年少でハーバードビジネススクールの教授となった人物です。「競争の戦略」や「競争優位の戦略」など、経営戦略に関する論文を数多く発表しています。

この2名が寄稿した「IoT時代の競争戦略」は、今後のIoTの方向性を示唆するものとして大いに注目されました。

IoTはすでにレッドオーシャン市場になっていると言われており、いかに速く、ニーズのあるサービスを展開できるか、市場をつかめるか、がカギとなっていくと思います。IoTプラットフォーム開発に携わる身としては、『競争戦略』となると読まずにはいられない!ということで、読んでみました。

1.接続機能をもつ「スマート製品」が時代を変える

様々な製品にセンサーやプロセッサー、ソフトウェア、接続機能が組み込まれ、事実上コンピュータが各製品に内蔵されているような状況になりました。しかも、この接続機能を活かして、クラウド上で製品データを収集・分析可能になり、より個人に便利になっています。

『接続機能を持つスマート製品がなぜ画期的かというと、理由はインターネットにあるのではなく、「モノ」の本質が変化している点にある。』とポーター氏は書いています。

 今まで、「腕時計」といえば、その本質は「時間管理」でした。しかし、最近のアップルウォッチをはじめとするスマートウォッチでは、脈拍を自動計測し、クラウド上にデータを上げる、ナビゲートする、電話をかけることが可能になっています。もともとの腕時計の本質であった「時間管理」以外に「健康管理」・「スマートフォンの持つ機能の代替」を担うようになり、その本質は変わってきています。

 腕時計、というモノがこんなにも進化するなんて、10年前の誰が想像していたでしょう。まだ、発掘されていない「スマート」なモノのあり方が、これからどんどん創り出されていくと思うと楽しみですね。

2.「接続機能を持つスマート製品」とは何か?

接続機能を持つスマート製品は、 ① 物理的要素 ② 「スマート」な構成要素 ③ 接続機能 という、3本柱で成り立っています。その3本柱について見ていきましょう。

① 物理的要素

物理的要素とは機械部品と電気部品のことです。自動車で言うと、エンジン・ブロック・タイヤ・バッテリーなどがあたります。

② 「スマート」な構成要素

スマートな要素に相当するのは、センサー、マイクロプロセッサー、データ、ストレージ、制御装置、ソフトウェア、組み込みOS、洗練度の高いユーザーインタフェースです。 自動車の例では、エンジン・コントロール・ユニット、ABS(アンチロック・ブレーキング・システム)、タッチパネル・ディスプレイなどが該当します。

③ 接続機能

接続機能とは、製品を有線、もしくは無線通信を介してインターネットに接続するためのポートやアンテナ、プロトコルを指します。接続形態には「一対一」、「一対多」、「多対多」の3つがありますが、高い機能性を実現するには、3種類すべてが必要となります。

また、接続機能は2つの役割を持っています。 I. 製品と、その動作環境・製造元・利用者・他の製品やシステムとの情報交換を可能にする。 II. 製品機能の一部を物理的な機器の外、すなわち「製品クラウド」上に展開できる。

これにより、接続機能をもつスマート製品に対応するには、「テクノロジー・スタック」と呼ばれる、まったく新しい技術インフラを構築・支援する必要があります。

新しいテクノロジー・スタックを見てみると、ハード、ソフトウェア開発、システム・エンジニアリング、データ解析、オンライン・セキュア分野の専門性など、多様な最新技能が必要となることがわかります。しかし、これらを1社ですべて開発することは至難の業といっていいでしょう。 接続機能を持つスマート製品によってビジネスを成功させるためには、新しいテクノロジー・スタックを担う他社との役割分担を行い、スピード感を持った取り組みが必要になってきます。

3.接続機能を持つスマート製品は何ができるのか?

接続機能を持つスマート製品のケイパビリティは、 ① モニタリング ② 制御 ③ 最適化 ④ 自律性 の4種類に分けられ、各機能は前段階の機能を前提として実現されます。 たとえば、制御を行うためにはモニタリング機能は必須です。

① モニタリング

センサーと外部のデータソースを活かして、製品の状態や外部環境、製品の稼働、利用状況のモニタリングを実現します。異変が生じた場合の警告や通知も可能です。 たとえば、スマートウォッチで脈拍の変動を把握し、記録するなどが当たります。

② 制御

製品機器あるいは製品クラウド上の遠隔コマンドやアルゴリズムによって製品を制御することができます。 アルゴリズムによって、状況や環境があらかじめ指定したように変化した場合、それに対応するよう製品に指示を出す役割を果たします。 たとえば、スマートフォンのアプリから、自宅のエアコンの電源を入/切できる、などは制御の例です。

③ 最適化

モニタリング機能と制御機能を組み合わせると、数々の方法による製品性能の最適化が可能になります。 たとえば、工場設備の稼働状況をモニタリングし、そのデータから予測分析を実施します。そうすると、故障リスクが高まる時期を予測することができるようになります。これにより、故障する前に必要なメンテナンスを計画的に行うことができるようになり、不稼働時間や修理担当者の派遣回数の最適化につながります。

④ 自律性

モニタリング、制御、最適化の各機能が結びつくと、接続機能を持つスマート製品に、かつては夢でしかなかったような高い自律性が備わります。スマートウォッチで心拍数などの健康状態がモニタリングされており、病気の傾向を判断し、病院に行くよう通知が飛ぶ、というようなことも可能となるでしょう。

さて、ここまででマイケル・ポーター氏の「IoT時代の競争戦略」の前半、接続機能を持つスマート製品がどのようなものであるかを紹介してきました。

今やどの業界でも、IoTが叫ばれるようになり、巷には通信機能をもつ沢山の製品が出てきています。その製品を用いてIoTでビジネスを成功させるためには、新しいテクノロジー・スタックを担うための新技術の導入やいろいろな業界との連携が必要となるでしょう。

このビジネスノートでは、引き続き、マイケル・ポーター氏の「IoT時代の競争戦略」を紹介していきます。第2回では、今回紹介した「接続機能を持つスマート製品」によって産業構造がどのように変化するのか、について書く予定です。 お楽しみに!

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