• 株式会社PR Table
  • 編集長
  • 菅原 弘暁

単なる「効率化」では質が犠牲になる。使うべき場所で使う、ITツールの活かし方

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今回のソリューション:【Intercom/インターコム・他】

〜Intercom、ChatWork、CasterBizといったITツールを導入し、サービスの質を落とさずに業務を効率化することに成功した事例〜

チャットなどのITツールを活用し、業務を効率化する企業は多い。しかしそういった「効率化」が、時にクライアントへの提供価値を下げてしまうこともあり得る。

例えば、IT業界ではもはや当たり前の「Facebookメッセンジャーでのやりとり」。手軽さというメリットも大きい一方で、ビジネスマナーという視点から見ると、使い方に配慮すべきシーンもある。

2015年10月にリリースされた「PR Table」は、企業や団体が持つ「想い」を言語化し、「ストーリー」としてステークホルダーに伝えるサービスだ。同サービスの立ち上げメンバーであり、編集長を務める菅原 弘暁さんは、「ストーリー記事の本数が増えても、あくまでも質にこだわっていきたい」と語る。

そのために同サービスでは、「業務のどの部分を効率化すべきか」ということを考え抜いた上で、「ChatWork(チャットワーク)」や「Intercom(インターコム)」、そして「CasterBiz(キャスタービズ)」を、外部とのコミュニケーションに活用しているそうだ。

「質と量を両立するためには、『自分たちの仕事のやり方を変えるしかない』と思った」と語る菅原さんに、詳しいお話を伺った。

「ストーリー」で会社の想いを伝える、「PR Table」を立ち上げ

PR Tableは企業・団体が持つ「想い」を、「ストーリー」として言語化できるサービスです。ユーザーは自分たちでストーリーを書いて投稿することもできますし、僕たちにストーリー記事の作成代行を依頼することもできます。

PR Table

現在、フルコミットでは3名の社員が中心になって運営をしていますが、僕たちが大切にしているのはそれぞれの会社さんが持つ「想い」をしっかりと可視化するということです。その実現のためには、いくらお金をもらったとしても、外部の人間だけでできることには限界があります。

そこで僕たちがストーリーを作成させていただく場合には、依頼者の方ととにかく深いコミュニケーションを取っていきます。どのような想いを伝えるべきなのか、「なんで? なんで?」を繰り返して、深掘りしていくイメージですね。

依頼者の方にもヒアリングシートやオンラインのコンサルティングを通じて、「何のためにストーリーを作るのか」を考えていただくようにお願いしています。

そして執筆を担当するライターも、僕たちが運営している「PR Table Community」という招待制のオンラインコミュニティーの中から、最もそのストーリーに合いそうな方をアサインしています。

記事の質を落とさないために、「仕事のやり方」を変えることに

今後はもちろん、より多くの企業さんのストーリーを増やしていきたいのですが、あくまでもコンテンツの質にこだわっていきたいと思っています。

菅原 弘暁さん

ただWebメディアの場合、「量が増えると質が落ちる」ということが典型的ですよね。それでも質と量を両立できないかを考えたときに、「これは自分たちの仕事のやり方を変えるしかない」と思いました。

僕は今、ストーリーを作成するためのインタビューと、編集を担当しています。けれど以前は、ライターさんとのスケジュール調整のやりとりなど、オペレーションの部分もすべて自分で行っていたんですよ。

けれど件数が増えてくるにつれて、支払いなどの細かな業務が煩雑になってきました。僕自身がもともとPR会社で多くのクライアントさんや外部のパートナーさんとやりとりしていたので、その抜け漏れで多くの人に迷惑をかけることがリアルに想像できて…。

その状態を変えるため、どこを押さえればストーリーの質が担保できるか、どこに時間をかけるべきなのか、ということを考えて、業務内容を見直しました

まず、オペレーションの部分をスパっと僕から切り離して担当メンバーを立てました。僕が外部の方と話すのは、インタビューや編集に関する部分だけ。スケジュールの調整やお金のやりとりは、すべてマニュアル化してオペレーターに引き継ぎました。

さらに、より「自分しかできないこと」以外に時間を使わないために、「ChatWork(チャットワーク)」や「Intercom(インターコム)」というツールを導入し、業務を効率化していきました。

外部ライターとの連絡やデータのやりとりを「ChatWork」に集約

企業向けチャットツールのChatWorkは、以前は社内コミュニケーションだけに使っていましたが、それを執筆を担当するライターさんとも使うようにしました。理由は、質を担保したまま記事の本数を増やすために、キモになるのはライターさんとのやりとりだと考えたからです。

実は開発やデザインの社内コミュニケーションには、「Slack(スラック)」を使っています。ただSlackはUIが英語ですし、誰にでも使いやすいツールという観点からChatWorkの方を選びました。

▼わかりやすいUIのChatWorkに外部ライターとのやりとりを集約

ChatWork

今ではライターさんごとにChatWorkに部屋を作って、業務に関するすべてのやりとりを行っています。ChatWorkのいいところは、コミュニケーションを取りながらタスクも積めることですね。

▼原稿の締め切りなど、タスクを設定することもできる

CharWork タスク

取材日程などを調整しつつ、タスクを設定して期限を切れば忘れませんし、文字起こしや原稿といったファイルを送り合うのも便利です。ストーリーの作成に必要なすべての情報を集約して、管理しています。

▼チャットワークの使い方については以下の「徹底解説」を参照ください。

人気急上昇中!チャットワーク/Chatworkの使い方【保存版・1回/7回】

ユーザーともオンラインでやりとり。ただし、「お行儀」は大切に

そしてオンラインチャットツールのIntercomを、ストーリーを作成いただくお客様とのコミュニケーションに使っています。Intercomを使うと、Webサイト上で気軽にコミュニケーションを取ることができるようになります。

▼Webサイト上での顧客とのオンラインチャットを実現するIntercom

Intercom 使い方

現在、PR Tableにはアカウントをお持ちの企業様は220社ほどになります。サービスをお使いいただく中でちょっとした疑問が出てくることも多いと思うのですが、毎回メールですとお互いに面倒ですよね。

ベンチャーやスタートアップの場合、Facebookメッセンジャーでやりとりすることも多いかと思います。フランクなやりとりができて、すごく便利だと思うのですが、例えばこちらでオペレーターにつなぐ時に、彼が会ったことのない人だったり、Facebook上で友達になっていない場合もあります。

菅原 弘暁さん

そういうときに無理やりメッセンジャーに入れるのは、あまりお行儀がよくないと思うんですよ。また僕たちは、これから全国の中小企業さんとストーリーを作っていきたいと思っています。そこで、このベンチャー特有のコミュニケーションからは脱したい気持ちがありました。

そこで、メッセンジャーの持つ「気軽さ」という良いところだけを残して、お行儀の良いコミュニケーションができないかと考えていました。そんな時に、僕たちが使っているクラウド経理ツールMakeLeapsでは、オンラインチャットで問い合わせができることに気が付いて。

そこで使われていたのがIntercomだったんですね。「これなんだろう」というところから興味を持って調べ、自分たちのサービスにも導入することにしました。

Webサービスであっても、「人の気配」がある対応がしたい!

今は、アカウントをお持ちの方がサービスにログインすると、Intercomを使ったオンラインチャットで僕たちに問い合わせができるようになっています。いただいた質問に回答するだけではなく、取材の調整などもやりとりしていますね。

▼Intercomを活用し、クライアントとの細かいやりとりもWeb上に

Intercom

こちら側では、管理画面からすべてのコミュニケーションを確認できます。そこで誰がどのユーザーさんに対応したとしても、社内メンバーには情報が共有される状態になります

▼管理画面上ですべてのやりとりが確認できる

Intercom

また、もうひとつ使い方がありまして。Intercomを使うと、お客様のステータスに応じてチャットに表示する文言を自動で出し分けできるんですよ。

例えば、初めてPR Tableにログインされた方には「Welcome to PR Table」のような呼び掛けを表示する、2回目の方には無料のストーリー作成ガイドブックのご案内をする、といった感じです。

またログイン頻度の高い方には、作成したストーリーの活用方法や、外部サイトへの埋め込み方法、Wantedlyとの連携方法をご紹介したり。

▼ユーザーに合わせて、表示する文言を出し分けできる

Intercom

このようなきめ細かい出し分けを、エンジニア工数をかけずに設定できることが非常に便利です。Webサービスで「人の気配」がなくなってしまうのはとても嫌なので、できるだけ手厚く対応をさせていただきたいと思っているんですよね。

現在は、ストーリー作成に取り組んでいただいている企業さんのうち、約半数ほどの方にこのチャットをご利用いただいています。

オンライン秘書に「背中を預ける」ことで、さらに業務に集中

当初は、こういった外部とのやりとりを社内のオペレーターがやってくれていたのですが、当然彼にも「彼しかできないこと」があるわけですよね。そこで、更なる効率化のために、オンラインアシスタントサービスのCasterBizを導入しました。

▼「オンライン秘書」に業務を依頼できるCasterBiz

CasterBiz

今はオンライン秘書の方に、僕や編集者のスケジュール管理や、企業さんやライターさんとの調整をすべてお任せしています。特に僕は1日中、取材や打ち合わせで外に出ていることが多いので、「次はここに行ってください」「その次はあそこです」とリモートで指示してくれるのがとても助かっていますね。

他にも、音声データの書き起こし手配など、これまで社内でやっていた細かな業務連絡を、すべて秘書さんがやってくれています。まさに、背中を預けて自分たちの業務に集中できている感覚です。

企業もライターも、皆が幸せになるための「ツール」になりたい

いつか、ストーリーを作成する工程から自分を消したいと思っているんですよ。編集長というよりは、質の高いストーリーが大量生産される「仕組み」の工場長というイメージです(笑)。

いま僕が担っている役割の部分に人の手が必要なくなって、企業さんとライターさんと、PR Tableという「ツール」だけで、良いストーリーを生み出していけるようにしたいです

そのためには、企業さんとライターさんをうまくマッチングする仕組みづくりが大切だと思います。でもそこで効率ばかりを追求しても品質が落ちてしまうので、ただマッチングするだけではダメ。ライターさんの質が担保されていて、ポートフォリオも充実していて得意領域が分かる。価格もお互いにとって適正価格になっている。

そういった仕組みがあった上で、さらに企業さんもライターさんも、良いストーリーを作るために必要なスキルを持っていることが大切です。

例えばオリエンテーションやディレクション、ライティングやネガティブチェックのノウハウですね。そこに僕たちPR Tableが「伝えたいことを言語化するためのツール」として、知恵を貸していくような役割を担えるといいですね。

するとより多くの企業さんが、ストーリーを作ることに手を付けやすくなると思います。最終的には、企業さんはストーリーを作ることで自分たちの想いをこれまでになかった方法で言語化できる、ライターさんも自分の得意領域で仕事ができる。そうしたらみんなハッピーですよね。そんな風な世界が作れたらいいな、と思っています。(了)

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