- Ve Japan株式会社
- グラフィックデザイナー
- 高野 牧子
ロゴ等のブランド資産を一元管理!「Brandfolder」ユニコーンノミネート企業での活用
今回のソリューション:【Brandfolder/ブランドフォルダー】
〜企業のブランド資産管理に特化したクラウドストレージ「Brandfolder」の活用で、海外支社を含めたデジタルデータの管理を一元化している事例〜
自社HPやサービスサイト、各種PR媒体にSNS…様々なシーンで使われている「ロゴ」や「ビジュアル」といった企業のデジタルデータ。
細かいアップデートや新規ロゴなども続々と生み出される中で、現場では、「正しい」データを見つけ出すことに苦労をすることも多い。
2009年に英国で生まれたユニコーン企業(注:未上場で時価総額10億ドル以上の企業)にノミネートされているVe Interactiveは、現在33カ国でビジネスを展開する、IT系グローバルベンチャー企業だ。
わずか7年間で急拡大を遂げた同社は新陳代謝も激しく、ブランド資産の管理に課題を抱えていたという。そこで導入したのが、ブランド資産の管理に特化したクラウドストレージ「Brandfolder(ブランドフォルダー)」だ。
同サービスを世界中の全ての支社で導入することで、英国本社が決定したロゴの活用に関するポリシーを海外支社にも浸透させることに成功し、日本支社でもロゴの使用がミスなく、効率的に行われるようになったという。
同日本法人のVe Japanでグラフィックデザイナーを務める高野 牧子さんに、その活用について具体的にお話を伺った。
▼ブランド資産を一元管理できるBrandfolder
グローバルベンチャーの日本法人で、デザインを一手に担う
新卒で印刷会社に入ったのですが、ちょっと違う業界で新しくやり直したいと考えたこともあって、友人の紹介で2015年の2月からVe Interactiveの日本法人である、Ve Japanに勤務しています。
弊社は英国で2009年に生まれたIT系スタートアップ企業で、外資系ならではのフラットな文化に惹かれたことが入社の理由です。
弊社が提供しているサービスは、Webサイトを離脱しようとしているユーザーへアプローチするアプリケーションです。ポップアップ表示、リコメンド機能、メール配信などの機能を提供することで、ユーザーのサイトへの再訪問を促しています。
現在は21カ国、33拠点、23言語でビジネスを展開しているのですが、日本に法人が設立されたのは2014年のことです。社員は全社で850名ほど、日本支社では現在15名ほどが働いているのですが、日本でのデザインに関しては私がひとりで担当しています。
実際に担当している業務は、自社の製品をクライアント様が利用する際に、個々のブランドイメージに合うクリエイティブを制作したり、私たち自身のプレスリリースなどのデザインを作成したり、オフィス移転のお知らせハガキを作ったり…様々ですね。
「うっかり古いロゴが出てしまう」ブランド資産の管理は大変!
イベントで使用する看板や名刺のデザインを作る際に必ず使うのが、弊社のコーポレート・サービスロゴデータです。
そしてこれらのデータの管理には、ブランド資産の管理に特化したクラウドストレージサービス「Brandfolder(ブランドフォルダー)」を使っています。
▼「Brandfolder」でロゴデータを一元管理
導入の背景には、主要製品の名称変更に伴う、英国本社でのブランドイメージ一新の動きがありました。2015年9月頃のことだったのですが、全世界で新しいブランドイメージを適切に共有するために、英国本社のデザイナーとマーケティングチームが採用を決めたんですね。
現在では、全ての海外支社でBrandfolderを活用し、ロゴやビジュアルといったデジタルデータを管理しています。
Brandfolderの導入までは、日本の支社内でそういったデジタルデータを個別に管理していました。けれど、なかなか「その時に最新かつ正しい」データを使うことができていなかったんです。
例えば2015年の3月にコーポレートロゴが変わったのですが、ロゴの肩についているトレードマークがレジストレーションマークに変わった、という微妙な変化だったこともあって、担当者が気づきにくかったんですよね。
新しい方を使ってくれるように、社内に周知するのがすごく大変でした。担当者も目を通し切れておらず、うっかり古いロゴを表に出してしまったりしていたんですね。
用途に応じて「どのロゴを使うのか」を統一できるBrandfolder
Brandfolderにログインすると、様々なコーポレートロゴやサービスロゴが、カテゴリーごとにフォルダ分けされて並べられています。
有色/白黒といった色が違うもの、携帯や3Dといった表示環境に応じて使うべきもの、営業でのプレゼンテーション資料に使うものなど…様々なロゴがあるので、それらが用途ごとに分かれて整理されています。
▼ロゴの種類/用途に合わせ、フォルダ分けして管理できる
また、ロゴを使用する上でのガイドラインやレギュレーションも合わせてこちらに保存し、確認ができるようになっています。
ただ、実際は社員はそんなにガイドラインを見なくても使えるような作りになっています。どのロゴがどの用途で使うものかが、一覧ですぐに分かりますし、更新があればその通知も届くので、運用でミスが起きることもほとんどないです。
欲しいサイズやファイル形式で、データをダウンロードできる!
Brandfolderで特に便利だなと思うのが、ロゴをクリックすると、ダウンロードのファイル形式も選べることです。PNGで背景が透けているものや、EPSとAIというベクター形式と呼ばれる拡大縮小しても劣化しないものなど色々選べます。
ロゴを印刷するのか、Webに使うのかなど、用途に応じて色々なファイル形式でダウンロードできるので、便利です。
さらにすごいのが、データのサイズもピクセルを指定して選べることです。大きいもの、中間、小さいものから選んで、ダウンロードできるんですよ。ロゴを小さなアイコンとして使うときなどは、それにあったサイズで出せるので便利ですね。
▼ダウンロードの際のファイル形式、サイズも自由自在
セキュリティもOK!権限管理・外部ユーザーとの共有もできる
Brandfolderでは、ユーザーごとに権限の設定も行う事が可能です。企業のブランドイメージを形作るロゴデータは大切なので、細かく編集権限を設定するようになっています。
まず、弊社ではBrandfolderにアップされている全てのクリエイティブは、英国本社でブランドイメージを統括しているクリエイティブデザイナーの承認を通すようにしています。
そして、それらをBrandfolder上で編集する権限を持つ人は、そのクリエイティブ・ディレクターとマーケティングチームの代表、デザインチームの代表の3名になっています。それ以外のユーザーは、データのダウンロードができるのみです。
Brandfolderにアクセスするためのパスワードも設定できます。情報漏洩を防ぐため、弊社では毎週月曜日に新しいパスワードが発行される社内ルールになっています。社内の全体メールで、それらのパスワード情報と、クリエイティブの更新情報が一斉に共有されています。
外部にロゴデータを共有するときは、共有のURLを発行することもできます。その際、Eメールアドレスを入力しないと閲覧ができない、という形で送信することも可能です。
ブランド管理で人的ミスが起こらなくなった!
今ではロゴが必要になったら、まずBrandfolderを見て、そこから直接ダウンロードしてもらうようにしているので、古いものを間違えて出してしまうといったミスは防げるようになりましたね。
また、英国本社で何が起こっているか、ということはなかなか日本では実感しにくい部分もあるのですが、Brandfolderの活用を通じて、リアルタイムにブランド運営の方針が変わっていっていることを実感できています。
Brandfolderはロゴやビジュアルデータの管理に苦労している会社には本当に便利だと思います。弊社は開発しているアプリも多いので、その分ロゴも多く、かつアップデートも頻繁です。でもBrandfolderがあることで、最新のデータを常に全員が共有できるんですよ。
同じURLに自動的に最新のファイルデータが更新されるため、URLを一度共有しておけば、更新があった場合でも、最新のものを選んでメールで送る必要がありません。
ちなみに今週は、40個の資料がアップデートされていました。ロゴは毎日変わるものではないですが、常に正しいものを外に見せていくことがとても大切です。引き続きBrandfolderを通して、データをしっかり管理していきたいと思っています。(了)