• 株式会社クヌギ
  • 代表取締役
  • 矢萩 浩之

ビッグワードでGoogle上位表示を実現する、SEO攻略法!カギは2種類の「網羅性」

今回のソリューション:【MIERUCA/ミエルカ・Ahrefs/エイチレフス】

〜SEOコンサル歴10年以上、株式会社クヌギの矢萩代表が、検索エンジンで「上位表示」を獲得するその方法論を公開〜

Google検索において、ある一定量を超える回数の検索がなされているワード、すなわち「ビッグワード」。上位表示を達成すればそれだけ流入が増え、大きな収益が見込める。しかしそれだけに、競合サイトがひしめき、戦いは熾烈を極める。

SEOコンサルティング業で10年以上のキャリアを持つ、株式会社クヌギ代表の矢萩 浩之さん。

経済を語らないSEOは寝言である」というポリシーのもと、単に「上位表示すればいい」という発想からは距離を取る矢萩さんだが、上位表示についても深い知見を持っている。

矢萩さんによれば、上位表示の鍵は、対象キーワードを「網羅」することと、同キーワードに含まれるユーザーの欲求を「網羅」のすることであると言う。

矢萩さんはそれを実現するため、SEO支援ツール「MIERUCA(ミエルカ)」と「Ahrefs(エイチレフス)」を活用しているそうだ。

今回は、矢萩さんに、SEOの基本的な考え方から、ビッグワードでの上位表示のための具体的な方法論とツールの活用術まで、詳しくお話を伺った。

「経済を語らないSEOは寝言である」という思想にたどり着くまで

Web制作会社に勤めていた2004年に、「SEOがすごく儲かる」という噂を耳にして(笑)、関わっていくようになりました。

当時はGoogleもまだザルだったので、リンク集に登録して被リンクを増やしたり、ページの文章のなかに対策しているキーワードを特定の割合で散りばめたり、といった手法で、半ば強引に上位表示を達成していました。

いまでは、こんな手法ではそもそも上位表示は不可能です。ただ当時も、この方法ですと上位表示されているコンテンツの質が必ずしも良いわけではないので、コンバージョンに繋がらないことも多かったんです。

そこで、単に上位表示を狙うのではなく、その先にあるコンバージョンや収益という「目的」をしっかり考えようという意味で、「経済を語らないSEOは寝言である」をポリシーとするようになったんですよ。

ユーザーの「検索意図」に答えることが原則

そのことに留意した上で、上位表示の方法論についていうと、原則はやはりユーザーの「検索意図・ニーズ」、つまり、ユーザーが知りたいことに答えるコンテンツを作ることです。

これは「ミエルカ」のブログでも出されていた例ですが、最近はGoogleで「バレンタイン お返し」と検索すると、「ホワイトデー」の関連ページを返してきます。

▼ 「バレンタイン お返し」のGoogleでの検索結果(8月2日)

以前だったら「バレンタインのお返し10選」みたいなページが上位に出てきたのですが、最近のGoogleは「検索キーワード」の字面に囚われず、そこからユーザーのニーズを正確に読み取れるようになっているんです。

このようなGoogleの進化に応じるために、私たちも「検索キーワード」の裏にあるユーザーのニーズを読み取り、それに答えるコンテンツを作る必要があるわけです。

上位表示に必要な、ふたつの「網羅性」とは?

以上は単なる原則です。具体的な上位表示のためには、検索キーワードからユーザーの欲求を導き出した上で、それについて「網羅」的で、「深掘り」されたコンテンツを提供することが重要です。

これは「対策するキーワード」の網羅性と、1つひとつの対策キーワードに含まれる「ユーザーの欲求」の網羅性という、ふたつの「網羅性」と言い換えることもできます

もう少し分かりやすく説明します。ある「ビッグワード」を狙うとしましょう。前者の網羅性とは、「そのビッグワードに関連する重要なキーワードすべてに対策できているか」ということです。

他方で、後者の網羅性とは、その中の特定のキーワードに対策するページの中での話で、「そのキーワードに込められたユーザーの欲求にすべて答えられているか」ということです。

「ビッグワード」本体のみならず、関連キーワードも網羅する

具体例で言うと、例えば、「カードローン」で上位表示を狙うとします。このように競争が激しい「ビッグワード」の場合、単に「カードローン」というワードだけを対策するのでは不十分です。

これがひとつ目の「網羅性」ですが、「カードローン」の複合キーワードも含め、繋がりが強いワードすべてに対策を施す必要があります。

「ビッグワード」そのものだけではなく、それに関連するキーワード群に対応するページ群を揃えることで初めて、「ビッグワード」本体でも上位が取れるんです。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ではないですが、みんなで一緒に上位に上がっていくイメージですね。

重要な関連キーワードは「ミエルカ」と「Ahrefs」で抽出

重要なのは、この関連キーワードの抽出の仕方です。私は、ここでコンテンツマーケティング支援ツールの「ミエルカ」とSEO支援ツールの「Ahrefs」を使って、以下のようなスプレッドシートを作ります。

▼ 矢萩さんが実際に作成したスプレッドシート

具体的に言うと、まず、ミエルカで、「カードローン」について、Google・Yahoo!・Bingで「サジェスト」される「カードローン ◯◯」という形の複合キーワードを一括取得します。

続いて、Ahrefsで、複合キーワードではないものの、「カードローン」と関わりが深いキーワードを抽出しています。

キーワードの重要性はライバルサイトが上位に入っているかで判断

ここから重複を削除した上で、残ったキーワードを「検索ボリューム」順ではなく、「ライバルサイトが上位に食い込んでいる順」で並べ替えています

ライバルサイトには、「カードローン」で検索したときに上位に表示される、しっかり作り込まれたサイトを選びます。

そういったサイト群が上位を確保している関連キーワードこそ、「カードローン」で上位をとる上で重要だと判断できます。

なので、各キーワードを、「上位10位にライバルサイトがランクインしている数が多く」かつ「ライバルサイトの順位合計が少ない」順に並べていくんです。

最後に、この表で、同じ検索ニーズを持っていると思われるワードは一緒のグループにします。そして、上の方にあるグループから、その検索ニーズに答える記事を作成していくんです。

各ページでは、キーワードに込められたニーズへの答えを網羅する

こうして、対策するべきキーワードのグループが出来たら、今度はそれぞれのキーワードに込められたニーズを漏れなく読み取り、それへの答えを「網羅」する記事を作成します。2番目の網羅性ですね。

そして、そのためには、例えば「ダイソン 壊れた」というワードの裏にどんなニーズがあるか、5W1Hで細かく分析してみて、それを組み合わせて現実的なシナリオを考えます。

▼ 検索キーワードに込められたニーズを5W1Hで分析

もちろん、それだけではなく、実際に検索して、上位に表示されているサイトがどんなニーズに答えているのかを見るのも重要です。

ただ、はじめに自分で5W1Hに分解して考えておいた方が、上位サイトの抜け漏れも発見しやすいんですよ。

抜け漏れをチェックするためにミエルカの「共起語」分析を活用

最後に、このページ内のコンテンツの網羅性をチェックするのに、ミエルカの「共起語」分析が使えます。

ある検索キーワードに対して上位に表示されているページに、多く含まれているワードを教えてくれるもので、それが自分のページに含まれていない場合、コンテンツに抜け漏れがあると判断できます。

また「共起語」はとにかく含めればいいというわけではありません。上位のサイトと下位のサイトを比べると、上位のサイトは「共起語」が密集し、緊密に結びついています

▼ 上位のサイトと下位のサイトの「共起語」分布の具体例

ここからわかる通り、無駄を削ぎ落としながら、共起語をちゃんと筋が通るように結びつけて、記事を書くことが重要なんですよ。

どれくらいの記事を、どのような順番で用意するのか

私の場合は、このような考えに基づいてコンテンツを設計し、とりあえず30記事〜100記事ほどは用意します

関連キーワードに対策する記事から作っていって、それをまとめるような親記事を作成し、それで「ビッグワード」本体を取りに行くイメージです。

「そんなに多くの記事を書いたら、自サイトの記事同士がバッティングしてよくないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、先に述べたように、記事をしっかり「検索ニーズ」ごとに分けられていれば、そんなことは起こらないはずです。

また、30〜100記事を用意したあとは、それ以上記事を増やすより、まずは順位の悪い記事には何か問題があると考えて、それらをリライトすることにしています。

上位表示に成功していないページは、低品質なコンテンツとして、サイト全体の足を引っ張ってしまう可能性があるためです。

上位表示に成功しても、戦いは終わらない…

ここまでやれば、新規のサイトの場合は半年ほどかかる場合もありますが、「ビッグワード」でもいい順位に食い込めるようになるはずです。

ただ、一度いい順位を確保したからといって、安心することはできません。日々情報はアップデートされていきますし、ライバルサイトもコンテンツを増やしてきます。

なので、関連ニュースやライバルサイトのコンテンツをチェックして、必要であれば、随時コンテンツを追加しなければなりません。

上位を確保し続けるためには、もっとも網羅的で深掘りされたコンテンツを提供し続ける覚悟が必要なんです。1位になったとしても、戦いは終わらないんですよ。(了)

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