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テレビCMでもA/Bテスト?会員数200万突破!SNS〜広告まで「チケキャン」のマーケ戦略

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〜事業の立ち上げフェーズにおける「地道な」SNS運用・SEOから、収益化後のWeb広告、そして買収後のテレビCMまで。「チケットキャンプ」のマーケティングノウハウを公開〜

どんなに良いサービスであっても、知られていなければ存在していないのと同じだ。その意味で、サービスを世に知らしめる「マーケティング」は決定的に重要である。

株式会社フンザが運営する、国内No.1のCtoCチケット売買サイト・アプリ「チケットキャンプ」、通称「チケキャン」。創業から3年で会員数は200万人を突破し、2015年には株式会社ミクシィのグループ企業となった。

今回は、創業から同サービスのマーケティングを一手に担っていた、執行役員の松浦 想さんに、「資金がなかった」時代のSNS・SEO戦略から、Webならではのノウハウを活かしたテレビCMの最適化まで、余すところなくお話を伺った。

「チケキャン」が生まれたきっかけは、自身の趣味!?

前職では、Zynga Japanでソーシャルゲームのディレクターをしていました。ですが、Zyngaが日本から撤退することが決まってしまいまして…。そこで当時の上司だった弊社代表と、CTOと、フンザの創業メンバーとして「チケットキャンプ」を始めました。

株式会社フンザ 松浦 想さん

チケットキャンプは、CtoCのチケット売買サービスです。当時、とあるアイドルのガチオタだった私は、オークションサイトでライブのチケットを血眼になって探していて…。そんな姿を見た弊社代表が、そこにビジネスチャンスを感じて生みだしたサービスなんです(笑)。

リリース当日にチケットの出品が!しかしその後…

創業メンバーである3人の役割分担ですが、代表がプロダクトの仕様書を書き、CTOが開発を、そして私が「それ以外のすべて」の仕事をしていました。「あらゆる手段を講じてユーザーを獲得する」ということが、自分の一番の仕事でした。

サービスリリース当日に、mixiコミュニティ経由で、さっそくとある劇団のチケットの出品があったんです。「うわあ、リアルユーザーだ!」って、出品5分後に僕が買いまして(笑)。当日のチケットだったので、その日にCTOと2人で見に行きました。

▼ユーザー同士でチケットを売買できる「チケットキャンプ」

チケットキャンプ 画面

「このサービスは来る!」とその日は思ったのですが、そこから伸びてくるまでは、けっこう時間がかかりました。

最初の3、4ヶ月は、「本当にこれでいいのか」という苦難の時期が続きましたね。Googleアナリティクス上で、リアルタイムでユーザーゼロ、なんてこともよくありましたし。

リリースから1年半くらいまでは、アプリもなかったので、Webでベースの流入をどれだけ最大化できるか、いうことを考えていました。ただ、やっていた施策は本当に地味でしたね。簡単に言うと、SNSの運用とコンテンツSEOです。

資金のない創業期。SNS運用とコンテンツSEOで、地道にユーザーを獲得

SNS運用では、アイドルのガチオタ時代に、自分でファンサイトを運営していた経験が役に立ちました。

ファンサイトのPRにTwitterを使っていたのですが、もちろんフォロワーはゼロからのスタートでした。ですが、当時のファンが使っているハッシュタグを付けてつぶやくだけで、50人くらいがすぐに集客できたんです

当時のハッシュタグって、ものによっては良質なコミュニティのようになっていたんですね。そこで、チケットキャンプでもそれを利用して、チケットが出品されたら、最適なハッシュタグをつけてツイートするように運用し、集客に活用していました

SEOに関しては、チケットキャンプのサブディレクトリに、アイドルグループや劇団に特化したメディアを10個ほど立ちあげましたそしてクラウドソーシングを使って、1ヶ月で500本ほど記事を作成していました

株式会社フンザ 松浦 想さん

記事単体でのPVを追うだけでなく、チケットキャンプの本体で狙いたい、「アーティスト名 + チケット」といった検索ワードでの表示順位の上昇を目的にしていました。「ザ・SEO」ですね。表示順位の変動は、「GRC」という計測ツールを活用して追いかけていました。

Web広告を活用し、集客をスピードアップ

チケットキャンプは、取引が成立した際に手数料をいただくというビジネスモデルです。しかし、リリースからしばらくは、手数料なしで運営していました。その後、手数料をいただくようになって、しばらくしてからWeb広告への投資を始めました。

もともとチケットキャンプの場合は検索流入が多かったので、リスティングを中心に進めていきました。広告の価値に関しては、内製で「どの広告がラストクリックコンバージョンに結びついているのか」を可視化できるようにして判断していました。

株式会社フンザ 松浦 想さん

ただWeb広告って、ニーズが顕在化した層にはすごく刺さるのですが、潜在層には難しい。チケットの場合は特に、アーティストのファンは大量にいても、「コンサートに行くと決めていて、チケットが欲しい」という人は非常に限られてきます

一度、潜在層にWeb広告でアプローチしてみたんですけど、やはり難しかったですね。結局、潜在層に対するリーチは、引き続きコンテンツSEOで担保していきました。

ネイティブアプリをリリースしてからは、オープンソースのSDKである「adjust(アジャスト)」をアプリ解析に使っています。例えば、Twitter広告でアプリをインストールした人の新規購入率であったり、LTV(※1人のユーザーが生み出す価値)を簡単に可視化することができます。

▼様々な数値を可視化できる、「adjust」のダッシュボート画面

adjust ダッシュボード画面

テレビCMを開始。ミクシィのノウハウを活かし、流入は急上昇

そして2015年の3月、ミクシィに買収されたタイミングで、テレビCMを打つことに決めました。

ミクシィはモンスターストライクなどでCMのノウハウも溜まっていたので、最初は手とり足とり、一緒にミーティングをしてもらいながら進めていきましたね。

そうしてクリエイティブのノウハウを注入してもらって、1回目のCMができたのですが、効果はやはりすごかったです。「どっかん」という感じで流入がありました。Googleトレンドで言うと、2倍弱で跳ね上がって。

▼当時のGoogleトレンド

Googleトレンド 画面

会員登録数の伸びも非常に大きくて、Googleトレンドとニアリーイコールでグラフの傾きが変わりました。

流入は増えたが…。最初のCMの「反省点」とは?

最初のCMの振り返りとして、流入はありましたが、CPI(※アプリ1インストールあたりのコスト)が高くついてしまったんですね。

CMは、Web広告と違って効果測定が難しいです。CMを見た人は普通にオーガニックとして入ってくるので、獲得したユーザーに特化してLTVを計測するようなことはできません。

そこでKPIとしては、CPIを置いています。CMを流していない期間のインストール数のベースがあって、それがCMを打ったときにどうなったか。CMにかかったコストを、そのリフトアップの差分で割って算出しています

CPIが高くついてしまった要因のひとつには、「チケットキャンプに最適な」放送の方法がわかっていなかったことがありました。例えば、どのエリアで、どの時間帯にCMを打つのが最も効率的か、ということを考えられていませんでした。

チケットキャンプの主なターゲットは、アーティストのライブが開かれるような大都市の近くに住んでいるユーザーです。だから地方に向けてCMを打っても、あまり効果が良くなかったんですね。

株式会社フンザ 松浦 想さん

この反省を活かして、2回目以降のCMは、Webマーケの考え方を取り入れて改善をしていきました

Webマーケの考え方を活かし、CMでもA/Bテストを実行?

具体的に何を行ったかというと、例えばA/Bテストを導入しました

テレビで流す前にCMを2種類作って、まずYouTubeに流し、それぞれのCPIを計測するそこで反応が良かった方をテレビで1週目、悪い方を2週目に流して、結果がYouTubeと一致したら、3週目以降は良い方を厚めに流す。そうやって、CMのクリエイティブをテストしていました。

実際には、チケットを「売りたい側」に訴えかけるCMと、「買いたい側」に訴えかける2種類のCMを作りました。すると、買う側のCMの方が、CPIが30%ほども低かったんです。

▼実際のCM画像 「売ります」編 ※動画(Youtube)はこちら

実際のCM画像 「売ります」編

▼実際のCM画像 「行きます」編 ※動画(Youtube)はこちら

実際のCM画像 「行きます」編

また、CMはGRP(述べ視聴率)でコストが変わるのですが、3週間で1,500GRP流すのか、8週間で同じ量を流すのかでも効果は違います。例えば、「平均で3回CMを見たらインストールする」なら、その人に対して6回流す必要はないですよね。

他にもうちの場合、CMを流すエリアや曜日、時間帯も重要な要素でした。このように、方法や地域もちゃんと検証して、最適な放送の仕方を探っていきました

「ユーザーストーリー」を重視したCMで、ユーザーの理解を促す

実際にCMを打った実感として、普段Webを使っていない人に対するアプローチは、やっぱりテレビが一番強いですねサービスを一気にグロースさせるには、全然アリなマーケティング手法だなと思います。

3回目のCMでは、クリエイティブの方向性も変えています。1回目・2回目は「キャンキャン!チケキャン!」を連呼するもので、インパクトを重視し、とにかく認知を広げようとしたものでした

ですが、チケキャンを知ってもらうことはできても、「他のチケットサイトとどう違うの」という意見があって。そこで、3回目は「チケットキャンプはどういうときに使うサービスなのか」がわかるような、ユーザーストーリーに沿ったCMにしました

株式会社フンザ 松浦 想さん

最後にライブを楽しんでいる姿を入れることで、チケキャンを使うことで、どういう体験ができるのかを表現しました。どういうときに使うのか、どういうサービスなのかを、わかりやすい形で見せてあげるのは、とても重要だと思いますね。

今後もこのようなノウハウを活かして、サービスをより一層グロースさせるためのマーケティングを打ち出していけたらと思います。(了)

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